タデ科・ナデシコ科・ヒユ科

ナデシコ目

  タデ科(イタドリ、ミズヒキ、ギンミズヒキ、ヒメツルソバ、ソバ、ミチヤナギ)

      (参)シンミズヒキ、キンミズヒキ

  ナデシコ科(ウシハコベ)

  ヒユ科(ケイトウ)


イタドリ(Fallopia japonica)

<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イタドリ属>

2014/4/8             2012/9/11             2012/9/11

タデ科イタドリ属の多年草で、スカンポなどの別名を持つ。

北海道東部を除く日本全土、朝鮮半島から中国、台湾に分布する東アジア原産種。

世界の侵略外来種の選定種で、その旺盛な繁殖力ゆえに嫌われ者である。

草丈は1~2mほどで、根茎を横に伸ばして増える。茎は中空で節があり、若い時に紅紫色の斑点がある。

葉は互生し、長さ10~15㎝ほどの広卵形で、基部は水平になり、先は急に尖る。

花期は7月~10月で、葉腋から枝を出し、その先に多数の小花を付ける。

雌雄異株で、花被は白色から紅色で5裂する。

雄花にはオシベが8個あり、メシベは極小さい。雌花には3個の花柱があり、オシベは極小さい。

花後、雌花の外側の3個の花被片が翼状に大きくなり、痩果を包む。

 

2014/4/8 イタドリが生い茂っていた所も、春先は枯れ草の間から、いろいろと芽吹いています。

そのなかに、イタドリも初々しい茶褐色の新芽を出していました。

2012/9/11 しばらく行っていなかった多摩川の川縁行くと、数株が花を咲かせていました。

イタドリは、雌雄異株で、写真のものは雄花です。オシベが花弁から飛び出しています。

雌花も同じ所にあったのですが、気付かずに撮りそこなってしまいました。

後日、気が付いて撮影をと思ったのですが、ほとんどが果実になっていました。

2012/10/17               2014/10/9

2012/10/17 イタドリもコガネムシに食い荒らされて、葉がほとんどなくなってしまっていました。

そのなかで、痩果だけが残っていました。

イタドリの痩果は、雌花の外側の花被片が3枚の翼のように包んでいます。

2014/10/9 今年も大半が、コガネムシなどに食べつくされていました。

しかし、まだ、きれいなものも少し残っていましたので、アップで撮影しました。

痩果を包む、3枚の翼状の張り出しが良く見えています。

2013/9/6(雄花)

2013/9/11(雌花)

昨年撮り損ねたイタドリの雌花ですが、今年、撮影することができました。

雄花は、花被片の中にオシベが8本、ゴチャゴチャっと収まっています。

一方、雌花では、中央の3本の花柱が中央から飛び出し、その柱頭は細裂しています。

また、外側の3個の花被片は、結実時に翼状に張り出し、痩果を包みます。

写真の赤く見えているのが痩果で、翼状に張り出しているのが分かると思います。


ミズヒキ(Polygonum filiforme)

<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>

タデ科イヌタデ属の多年草で、在来種。低地の日当たりのよい林床や林縁、路傍等で見られる。

日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。

海外では、朝鮮半島から中国、ロシア、台湾、ミャンマーに分布する。

草丈は50~80cmで、茎は直立し、茎の節部は膨らむ。茎や托葉鞘には毛が多い。

葉は互生し、葉身の長さは5~15㎝で、広楕円形で先が尖り全縁。葉の両面や縁には毛がある。

初夏の頃、葉の中央に「八」の字形の黒い斑紋が入ることが多い。

花期は8月~11月で、茎頂や葉腋から長さ20~40cmになる総状花序を出す。

それに直径5mm前後の赤い小花をまばらに付ける。

花被は4深裂し、上3個の上半分が赤、下半分と下1個が白で、これが和名の由来。

オシベは5個、メシベの花柱2個は長く飛び出し、果時まで残る。

果実は痩果で、長さ2.5mm前後のレンズ状の卵形。褐色で光沢がある。

痩果の柄は長さ1mmほどで関節があり、熟すと関節がはずれて果実が落果する。

ミズヒキのツボミと花後の姿は良く似ていて、違いは2本の花柱が飛び出しているか否かである。

2012/10/2

よく見かける野草ですが、多摩川では土手も含めて見かけません。

多摩川に行く道端の一角で見かけたもので、他の場所では見かけません。

花は、上半分が深紅で、下半分が白いので、紅白の水引に似ることからこの名があります。

色的には目立つのですが、なにせ花が小さいので見る角度によっては目立ちません。

長い花穂を上から見ると赤い花がびっしり見えるのですが、横からではバラバラと目立たないのです。

いろいろなミズヒキの花

ミズヒキ、シンミズヒキ、ギンミズヒキは、同じタデ科イヌタデ属の同属の植物です。

キンミズヒキのみ、ミズヒキの名前が付きますが、バラ科キンミズヒキ属の植物で、花の形も異なります。

ミズヒキ(Polygonum filiforme)<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>

紅白のツートンカラーの花が水引に似るのが名前の由来で、よく見かける花です。

シンミズヒキ(Persicaria neofiliformis)<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>

ミズヒキに似て紅白のツートンカラーの花が咲き、それが花序に密集して付くのが特徴。写真は花後の痩果です。

ギンミズヒキ(Polygonum filiforme form albiflorum)<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>

ミズヒキに似ていますが花色が白一色で、ミズヒキの白花品種になります。

キンミズヒキ(Agrimonia pilosa var. japonica)<バラ目・バラ科・バラ亜科・ワレモコウ連・キンミズヒキ属>

黄色い花を付けるミズヒキに似た花というのが名前の由来ですが、タデ科ではなくバラ科の植物。


ギンミズヒキ(Polygonum filiforme form albiflorum)

<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>

タデ科イヌタデ属の多年草で、北海道から本州、四国、九州まで全国に広く分布する。

分布的には、ミズヒキと同じで、ミズヒキの白花品種。

海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ロシア、ミャンマーに分布する。

草丈は50~80cmで、茎は直立し、茎の節部は膨らむ。茎や托葉鞘には毛が多い。

葉は互生し、葉身の長さは5~15㎝で、広楕円形で先が尖り全縁。葉の両面や縁には毛がある。

葉の両面には毛があり、表面の中央に「八」の字の黒い斑紋が入ることがある。

初夏の頃、葉の中央に「八」の字形の黒い斑紋が入ることが多い。

花期は8月~11月で、茎頂や葉腋から長さ20~40cmになる総状花序を出す。

それに直径5mm前後の小花をまばらに付け、ミズヒキと異なり、萼片4個は全て白い。

オシベは5個、メシベは1個で、花柱2個は長く、果時まで残る。

果実は痩果で、長さ2.5mm前後のレンズ状の卵形。褐色で光沢がある。

痩果の柄は長さ1mmほどで関節があり、熟すと関節がはずれて果実が落果する。

ミズヒキのツボミと花後の姿は良く似ていて、違いは2本の花柱が飛び出しているか否かである。

2012/7/13

ギンミズヒキは、それほど多くはないようで、民家の道路脇で始めて見ました。

この場所以外では見かけません。

花は、数mmと小さく、白い4枚の萼片が見えており、花弁はありません。

ただ、左右に開いている萼片の先に、若干、赤い色が残っています。


ヒメツルソバ(Persicaria capitata)

<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>

タデ科イヌタデ属の多年草で、ヒマラヤ原産の帰化植物。

茎は地を這い、よく分枝して広がり、長さ50cm程になる。茎には赤褐色で長い毛がある。

葉は長さ15~35mmの卵形で先が尖り、表面には山形の暗紋がある。

花期は5月~11月であるが、真夏には花を付けない。

直径1cm前後のピンクの小花が球形に密集して付く。

2013/11/5

多摩川への道路脇の斜面を、びっしりとヒメツルソバが覆っていました。

ここまで大きな群落になると、小さな花とはいっても、かなり目立ちます。

ヒメツルソバの紅葉

2006/11/25

県立相模原公園フランス式庭園で見かけた、真っ赤に紅葉したヒメツルソバです。

多摩川近辺では、紅葉したヒメツルソバを見かけたことはないのですが、日照の関係でしょうか。

上の写真の場所は、大きな桜の樹の下ですが、こちらは芝生公園の側なので遮るものはありません。


ソバ(Fagopyrum esculentum)

<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・ソバ属>

タデ科ソバ属の一年草で、中国原産の帰化植物。

日本では、主に穀類として栽培されるが、イネ科ではないため、擬穀類とよばれる。

草丈は50~100cm程になり、茎の先端に総状花序を付け、多数の花を付ける。

花色は、白、淡紅色、赤色、茎の色は緑、淡紅色、濃紅色がある。

栽培種のソバは、自分自身の花粉では結実できない異型花型の自家不和合成を持つ。

そのため、長花柱花と短花柱花を混在して栽培し、相互受粉させる必要がある。

2012/10/30

多摩川の土手で、一株だけ花を咲かせているソバを見つけました。

はじめはソバと思わなかったのですが、よく見るとソバの花で、ちょっと予想外でした。

なぜ、このような所に一株だけ生育しているのか、ちょっと不可解です。

2015/11/13

多摩川の川縁を散歩中、川縁にへばり付くように咲いている白い花に気が付きました。

近づいて良く見るとソバの花でした。

以前見かけた時は、茎が1本だけの小さな株でしたが、今回の株はかなり大きいです。

この辺りは、今年何度か水没しているので、上流から流れついた種子が芽を出したのかもしれません。

夏に蒔かれた種は、1週間ほどで芽を出し、1ヶ月ほどで開花するそうですので、時期的にも合います。


ミチヤナギ(Polygonum aviculare)

<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・ミチヤナギ属>

2013/9/10

2013/9/27

タデ科ミチヤナギ属の1年草で、在来種。

日本では北海道から本州、四国、九州と全国の道端や荒れ地にみられる。

世界的には、北半球の温帯から亜熱帯に広く分布している。

草丈は数十cmになり、基部から良く分岐する。

葉は互生し、長楕円形か、線状披針形で葉柄は短く、柳の葉に似ることが名前の由来。

花期は5月~10月で、葉腋に数個ずつ付き、花被(萼)は緑色で、白か紅色の縁取りがある。

 

2013/9/10 多摩川の土手下にある通路で見かけたミチヤナギです。

通路に生えているので、かなり踏みつけられていると思われ、葉も傷んでします。

生えているのは気付いていたのですが、花が咲いているのには気が付いていませんでした。

たまたま、葉腋に白い花らしきものが見えたので、気が付き、撮影したものです。

2013/9/27 久しぶりにミチヤナギの側を通ると少し色が濃くなっていました。

花数も多少は増えたような気がします。ただ、地味な花なので、相変わらず目立ちません。


ウシハコベ(Stellaria aquatica (L.) Scop.)

<ナデシコ目・ナデシコ科・ハコベ属>

日本では北海道から四国、九州と全国的にみられる。

世界的には、北半球に広く分布している。

草丈は20~50㎝ほどになり、茎は暗紫色になるか、緑色で、その場合は節が暗紫色になる。

葉は対生し、長さ5㎝前後の卵形で、下部の葉には柄があるが、上部では無柄で茎を抱く。

花期は4月~10月で、白い花弁は2つに深く裂けているので10枚に見える。

メシベの花柱の数が5本で、オシベの数は10本ある。

なお、ミドリハコベやコハコベの花柱の数は3本なのと、茎の節の部分は紫色を帯びないことで判断できる。

2012/10/31

春の花であるウシハコベですが、多摩川の川縁近くで群生しているのを晩秋になって気付きました。

ミドリハコベと比較すると、雌しべの花柱の数や、茎の節の部分の色の違いがよくわかると思います。 

ハコベ属の花とそれらによく似た花

春に見られるナデシコ科コハコベ属、ミミナグサ属、ノミノツヅリ属、ツメクサ属の花です。

イヌコハコベには花弁がありませんが、他は全て花弁の数は5個です。

コハコベ、ミドリハコベ、ウシハコベの花弁は2深裂しているので、花弁が10個に見えます。

オランダミミナグサとミミナグサの花弁は浅く2裂しているだけで、ノミノツヅリやツメクサには切れ込みはありません。


ケイトウ(Celosia argentea f. cristata)

<ナデシコ目・ヒユ科・ケイトウ属>

ヒユ科ケイトウ属の1年草で、熱帯アジア原産の帰化植物。

日本では全国で、園芸用に植栽されている。

草丈は30~90cmで、茎は直立して分枝し、赤色を帯びることが多い。

葉は互生し、長さ5~20cmの卵状披針形で、先は長く尖り、基部は楔型で葉柄がある。

花期は8月~10月で、枝先に花冠を付けるが、その形状で下記の4系統に分けられる。

トサカケイトウ・ヤリゲイトウ・クルメケイトウ・ウモウゲイトウ(フサゲイトウ)

花被片(萼片)は5個で長さ5mm前後、果時にも残る。花弁はない。

小苞は花被片の長さの半分程度。オシベは5個で、メシベは1個。

花色は、赤や黄色が基本であるが、園芸品種として橙、紫、ピンクなどが作出されている。

 2013/10/11

多摩川に向かう道路脇の公園で、ケイトウがポツンと1本だけ咲いていました。

トサカケイトウの系統で、大きくて立派な花冠に育っています。

ニワトリの鶏冠(とさか)に似ているのが、ケイトウ(鶏頭)の名前の由来です。

花のグニャグニャしている所は、鶏冠にそっくりですね。