ドクダミ科・ウマノスズクサ科

コショウ目

  ドクダミ科(ドクダミ)

  ウマノスズクサ科(ウマノスズクサ)


ドクダミ(Houttuynia cordata)

<コショウ目・ドクダミ科・ドクダミ属>

日本では本州、四国、九州に分布する。

海外では、日本も含め東アジアから東南アジアに分布する。

草丈は30cm前後になり、葉は互生する。全草に強い臭気がある。

開花期は5~7月頃。白い花弁のようなものは総苞で、中央の穂のようなものが花序。

この棒状の花序に淡黄色の小花が密生しているが、花には花弁も萼もない。

非常に繁殖力が高く、ちぎれた地下茎からでも繁殖する。

2012/5/23

ドクダミが花を付け始めました。

強烈なにおいと、駆除が難しい最強の雑草の1つです。

花穂の1つ1つの花には、花弁も萼もないので、オシベとメシベのみが見えています。

下段左の写真で、黄色い葯を付けたのがオシベで、人の字型の白いものがメシベの柱頭です。

ドクダミは、開花期の地上部を乾燥させたものが生薬(生薬名は十薬)となります。

その乾燥させたドクダミを煎じて使用するのですが、利尿作用や動脈効果の予防作用があると言われています。


ウマノスズクサ(Aristolochia contorta)

<コショウ目・ウマノスズクサ科・ウマノスズクサ属>


ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属の多年生つる植物で、在来種。

日本では、本州の関東以南から四国、九州、南西諸島で見られるが、数はそう多くはない。

日本以外では、中国に分布している。

蔓性で長さ2~3mになり、全体に無毛である。冬期には地上部は枯れる。

葉は互生し、長さ4~7cmの三角状卵形の粉緑色で全縁。やや厚い紙質である。

先は円頭で、基部は両側が耳状に張りだした心形。葉柄は長さ1~2cm。

花期は7月~9月で、花は葉腋につき、長さ2~4cmの花柄の先に長さ3~4cmの筒状花を付ける。

花弁はなく、3個の萼が合着して花弁状の上に湾曲した筒になり、舷部は広がり、筒の基部が球形になる。

花の外側は黄緑色で、舷部は内側は紫褐色である。筒部の内側には逆毛があり、上端が三角状に長くなる。

メシベ1個は筒の球形の基部にある。オシベ6個は、その下に隠れるように付いている

雌性先熟で、雌性期には筒部の逆毛が長くなり、ハエなどが入ると出られなくなる。

雄性期には、逆毛が萎縮してハエなどが出られるようになり、花粉を付けて次の受粉に向かわせる。

蒴果は長さ2~6cmの球形~楕円形で、熟すと基部から6裂する。

種子は長さ4~5mmの扁平な卵状三角形で、膜状の翼がある。

2012/9/3

多摩川に行く途中の幹線道路の中央分離帯に咲いていました。かなり大きな株です。

よく通るところなのですが、さっさと通り過ぎるところなので、今まで気が付きませんでした。

独特の形をした花で、花弁に見えるのは、実際には萼です。つまり花弁はありません。

 

昔から生薬(馬兜鈴、青木香、土木香など)として利用されてきました。

しかし、アルカロイド系のアリストロキア酸などの毒性物質を含むことが分かり、最近はあまり利用されないとのこと。

2013/7/3

ウマノスズクサのツボミをアップで撮ってみました。開花するときは、黒い筋に見えているところから開きます。

拡大撮影では、被写界深度が浅く、一部にしかピントが合わないので、少しずらして撮影しています。

基部の花柱や葯の収まる丸くなった部分とそこからロート状に湾曲して伸びる萼筒の様子が分かります。

  <左側の縁の拡大>      2013/7/3          <萼筒入口の拡大>

虫が入りやすく出にくくするため、萼筒の縁から奥に向かって、内向きに毛が生えています。

入るときは、毛の向きに沿ってスルスルと入り、出るときは逆向きになって、毛が行く手を邪魔します。

雄性期に入ると毛が委縮して出られるようになり、花粉を付けたハエなどが次の花に行けるようになります。