アゼナ科・オオバコ科・キツネノマゴ科・クマツヅラ科

シソ目

  アゼナ科(ウリクサ)

  オオバコ科(ホソバウンラン)

  キツネノマゴ科(サンゴバナ)

  クマツヅラ科(アレチハナガサ、ヤナギハナガサ、イワダレソウ、ランタナ、タイワンレンギョウ)


ウリクサ(Lindernia crustacea)

<シソ目・アゼナ科・アゼナ属>

アゼナ科アゼナ属の一年草で、在来種。

日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。

日本以外では、朝鮮半島、中国、東南アジアに分布する。

草丈は5~10cmで、茎は4稜形。わずかに毛があり、分岐して地を這って四方へ広がる。

葉は対生し、長さ7~20mmの広卵形で、柄があり、縁に粗い鋸歯がある。

日当たりが良いと、茎や葉が紫色を帯びる。

花期は8月~10月で、上部の葉腋に1個ずつ長さ7~8mmの唇形の花を付ける。

上唇は先が浅く2裂し、下唇は3裂する。3裂した中央裂片には濃青紫色の斑紋があり、縁もやや濃色。

オシベは4個あるが、下側の2個には基部に棒状の突起がある。萼は5浅裂し、縦に5個の高い稜がある。

蒴果は長楕円形で、見た目がマクワウリに似ていることが和名の由来である。

2012/8/28

多摩川に行く途中の道端で、地面を這うように枝を伸ばし、その先に紫の小さな花を付けていました。

花の基部の萼は5裂しており、花後にできる蒴果は、その萼にすっぽりと包まれています。

下段左の写真は、近くに咲いていたトキワハゼ(左側)と比較にために写したもので、その小ささが分かると思います。


ホソバウンラン(Linaria vulgaris)

<シソ目・オオバコ科・キンギョソウ連・ウンラン属>

オオバコ科ウンラン属の多年草で、ユーラシア原産の帰化植物。

北海道から本州に帰化していたものが、四国、九州にも帰化したとの報告がある。

海外でも、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどにも帰化している。

草丈は、数十cmから1mにもなり、葉は互生する。葉身は5㎝ほどあり、線形で細い。

花期は6月~10月で、茎の上部に総状花序を付け、黄色い唇型の仮面状花を付ける。

上唇は2裂し、下唇には橙色の隆起が見られる。筒部は先が細長い距となる。

2013/9/27

何時も乗り降りしている駅のホーム脇で、春から花を咲かせていました。

なかなか撮影する機会がなく、やっと撮影できたのは秋でした。

当初、観賞用に移入されただけに、キンギョソウに似て野草の中ではきれいな方です。


サンゴバナ(Justicia carnea)

<シソ目・キツネノマゴ科・キツネノマゴ属(ジャスティシア属)>

キツネノマゴ科キツネノマゴ属の常緑小低木で、原産地はブラジル。

草丈は1~2mで、茎は丸みのある4稜形で、ある。

葉は対生し、長さ10~25cmの長卵形で、葉の縁は全縁で波打つ。

葉表には光沢があり、葉裏が紫色を帯びることがある。

花期は5月~9月で、茎頂に長さ10~15cmの総状花序を付け、多数の花を密に付ける。

花色は、濃赤紫色~淡赤紫色、白色がある。

花冠は2唇形で、上唇は長さ5~6cmで先が2裂し、真っ直ぐに立ち上がって先が外側に湾曲する。

下唇は3裂し、基部から大きく反り返る。オシベ2個は上唇に沿って伸び、葯は上唇の頂部下側になる。

苞は長さ2cm以下の卵形で緑色。小苞は苞の半分ほどの長さで披針形。

萼は5深裂し、裂片は長さ1cm以下の披針形で、先は尖り、微軟毛がある。

 2014/6/17

多摩川への道路脇の公園で見かけました。

ピンクの特徴的な花なので、直ぐに分かるかと思ったのですが、以外と同定に時間がかかってしまいました。

ピンクの花色からフラミンゴプランツ(Flamingo plant)とも呼ばれるサンゴバナでした。

2015/9/4

今年は花の咲くのがずいぶん遅く、9月に入る頃咲き始めました。

開花している花穂は少なくて、後の花穂は、まだ、花が見られませんでした。


アレチハナガサ(Verbena brasiliensis)

<シソ目・クマツヅラ科・クマツヅラ連・クマツヅラ属>

クマツヅラ科クマツヅラ属の多年草で、南アメリカ原産の帰化植物。

日本では、本州から四国、九州に分布しており、分布域を広げつつある。

草丈は1~2mで、綾のある四角形の茎は直立して粗い毛がありざらつく。上部でよく分枝する。

葉は対生し、茎葉は長さ5~10cmの広線形で、下部の茎葉は中ほどから先に鋸歯がある。

上部の茎葉は線形になって先が鋭く尖り、鋸歯もなくなる。いずれも無柄で基部は茎を抱かない。

花期は6月~8月で、茎の上部に長さ3~7cmび穂状花序を多数付ける。

淡青紫色の花冠は直径3㎜程で、5裂する。萼や苞は、共に長さ3㎜前後。

花は花序の基部から徐々に咲き登り、秋には細長い穂状花序になる。

2012/6/13

多摩川では、川の縁の草むらで他の野草に交じって生えていました。

薄い赤紫の小さな花が、細長い花序を咲き上って行きます。

花は小さくても、チョウやハチなどがよく訪れていました。

2012/10/17

多摩川の川縁に生えていたアレチハナガサです。

ずいぶんと咲き上って花序が長くなり、同じ花とは思えないような形です。


ヤナギハナガサ(Verbena bonariensis)

<シソ目・クマツヅラ科・クマツヅラ連・クマツヅラ属>

クマツヅラ科クマツヅラ属の多年草で、南アメリカ原産の帰化植物。

日本では、本州から四国、九州に分布している。

草丈は1~1.5mで、四角形の茎は直立して粗い毛があり、中空。根元から開いた株立ちになる。

葉は対生し、茎葉は長さ7~15cmの線形で、葉幅は先までほとんど同じで、基部は茎を抱く。

葉の先端から2/3程には不揃いな鋸歯がある。なお、若葉の頃には中央部が膨れた広線形になる。

花期は6月~8月で、茎の上部に穂状花序を出すが、長さは5~15mmと短い。

淡紅紫色の花冠は直径は5㎜程。長さが10㎜程ある筒状の花で、花序から長く突き出る。

萼や苞は、共に長さ3㎜前後。花冠、萼、苞、花柄には長い白毛と短い腺毛が密生して粘る。

花が咲き進むと花序は伸長するが、アレチハナガサ程にはならない。

2012/9/5

多摩川では川の縁の草むらで他の野草に交じって生えていました。

アレチハナガサと異なり、茎の頂に花序を出し、花は密に付きます。

花は長さが1cmほどの筒状になっています。

2012/10/21

ヤナギハナガサは、アレチハナガサと異なり花序が伸びないので、姿かたちはあまり変わりません。

ちょうど、モンシロチョウが給蜜に訪れていました。翅を目一杯広げて減速し、花に止まる寸前です。

2013/7/9

ヤナギハナガサの花期は7月~9月、条件によってはもっと長く咲きます。

昨年は10月末でも咲いていました。

ただ、咲き始めの頃には撮影していませんでしたので、追加したものです。


イワダレソウ(Phyla nodiflora)

<シソ目・クマツヅラ科・シチヘンゲ連・イワダレソウ属>

クマツヅラ科・イワダレソウ属の多年草で、在来種。

日本では本州の関東以西の南岸から四国、九州、南西諸島に分布している。

海外では熱帯から亜熱帯に広く分布している。

草丈は10~20cmで、茎は横に這い、良く分枝して、節から発根して広がる。

葉は対生し、葉身は長さ1~4cmの倒卵形で、基部は楔形、先の縁に粗く鋭い鋸歯がある。

葉質は肉厚で、側脈は4対あり、ほぼ無柄である。

花期は7月~10月で、葉腋から高さ10~20cmの花茎を出し、長さ10~25mmの円柱状の穂状花序を付ける。

花序にはびっしりと覆瓦状に苞が付き、その間から直径2mmほどの唇形花が顔を出す。

花は環状に開花し、徐々に咲き上って行って、花序がしだいに長くなっていく。

花冠は2唇形で、上唇が2裂、下唇が3裂し、始めは白っぽいが、次第に紅紫色を帯びる。

オシベは4個あり、子房は2室あって、花柱は短く、柱頭は頭状。

日照時間が短くても育ち、乾燥にも強いので、砂地や荒れ地の緑化用に選別品種が利用されている。

2012/6/29

工事後の裸地を覆う用途で植えられたものが、何らかの形で逃げ出して繁殖したもののようです。

花色は、赤紫のものと、それが極淡くなったものの2種類がありますが、時間が経つと色が濃くなるようです。

※ 近くの工事後の裸地では、数か月で完全に覆い尽くしていましたので、相当繁殖力が強いようです。

2013/7/3(白花)               2013/7/3

2013/6/19(白花)               2013/7/11

公園の一角にイワダレソウが植えられている所があったのですが、一面を覆い尽くしていました。

そこから少し離れた木の根元に、白い花のみを付けているイワダレソウの小さな群落がありました。

赤紫のものに混じる色の淡いものより、純白に近い色の花を付けていました。

時間が経っても白いままなので、おそらく白変種だと思われます。

※ 白変種は、全体の色素が出来ずに白くなるアルビノとは異なります。

2015/6/12

斜面の緑化に使用されているイワダレソウです。2年で広大な斜面を埋め尽くしてしまいました。

この季節、一面に花を咲かせ、斜面を赤紫色に染め上げていました。

ただ、所どころ、込み過ぎて茎が立ち上がり、花の少ないこんもりと盛り上がった所があります。

その1ヶ月後には、埋め尽くして行き場を失い、斜面全体が一段と盛り上がり、花が見えなくなりました。


ランタナ(Lantana camara)

<シソ目・クマツヅラ科・シチヘンゲ連・シチヘンゲ属>

2013/5/29             2013/7/9             2013/9/24

クマツヅラ科シチヘンゲ属の常緑小低木で、中南米原産の帰化植物。

日本には、江戸時代に渡来したとされている。

現在では、世界中に帰化植物として定着し、熱帯や亜熱帯では厄介な雑草として扱われている。

一般にランタナ・カマラ種をランタナ、ランタナ・モンテビデンシス種をコバノランタナと呼ぶ。

和名はシチヘンゲ(七変化)で、花色は赤、橙、黄、白などで、順次花の色が変わって行くことに由来する。

なお、ランタナ・カマラ種では、花色が変化するが、ランタナ・モンテビデンシス種は変化しない。

果実は、熟すと黒くなる液果で、有毒と言われている。ただ、鳥類に対しては無毒。

樹高は20~100cmで、よく分枝し、枝は四角形で粗い短毛がある。

葉は対生し、長さ2~8cmの卵形で、鋸歯があり、葉表に硬い毛があってざらつく。

花期は5月~11月と長く、葉腋から集散花序を出して、小花を多数、球状に付ける。

花はロート形で、筒部は長さ6~9mm。先は4裂して平開する。

なお、外来生物法で要注意外来生物に指定されており、世界の侵略的外来種ワースト100にも指定されている。

 

多摩川への道路脇の公園などで見かけたランタナです。

黄色から朱色、白からピンクに変わる品種(ランタナ・カマラ種)と、

黄色で色変りしない品種(ランタナ・モンテビデンシス種)です。

黄色のランタナ・イエロー・スプラッシュは、埼玉県の栽培農家が作出した園芸品種だそうです。

なお、道路脇で半野生化して、大きな株に育ったものもありました。

こぼれ種でどんどん増えてしまうため、植えてはいけない花とされている所もあるとか。

2013/7/9

道路脇で半野生化したランタナで、結実したものがありました。

最初は緑色をしていますが、成熟と共に紫から黒と変わって行きます。


タイワンレンギョウ(Duranta repens)

<シソ目・クマツヅラ科・デュランタ属>

クマツヅラ科デュランタ属の常緑低木で、熱帯アメリカが原産の帰化植物。

最近は「デュランタ」が通称となっているが、和名はタイワンレンギョウ、ハリマツリである。

原産地では常緑樹であるが、暖地以外では秋から冬に落葉する。

樹高は0.5~5mで、枝には刺があり、若枝には毛がある。

葉は対生し、葉身は長さ2~6cmの卵形~披針形で、縁は全縁か粗い鋸歯がある。

花期は6月~10月で、長く垂れ下がる枝先に総状花序をつけ、濃い青紫色や淡青色の花を咲かせる。

花は直径10~15mmの漏斗状で、花冠筒は長さ7~10mm、5裂して裂片は平開する。

花後に円錐状のくちばしが付いた、直径5~7mmの黄色い核果を付け、長く枝に残る。

2013/6/11

多摩川への道路脇で、街路樹の根元におかれた鉢から大きく育った本種が咲いていました。

大きくなりすぎて、手に負えなくなったのでしょうか。鉢底を突き破って、直植のようになっていました。