ツユクサ目
ツユクサ科(ツユクサ、オオトキワツユクサ、トキワツユクサ、ムラサキゴテン、
ムラサキツユクサ、メイドンズブラッシュ、ヤブミョウガ)
ミズアオイ科(ホテイアオイ)
ツユクサ(Commelina communis)
<ツユクサ目・ツユクサ科・ツユクサ属>
ツユクサ科ツユクサ属の一年草。畑や道端などでよく見かける普通種。
日本では北海道から四国、九州まで全国で見られる。
世界的には、アジア全域、北米の東北部など、各地に分布する。
草丈は30~50cmで、茎の下部は地を這ってよく分枝し、基部近くの節から根を出して増える。
葉は互生し、長さ5~12cmの狭披針形で、先は鋭く尖る。葉の基部には長さ10mm前後の鞘がある。
花期は6月~10月で、花は葉に似た1個の苞に包まれたさそり形花序に付く。
苞は長さ15~30mmで、円心形を2つ折りにしたような形をしている。
花は1個ずつ、苞の外に出て開き、半日でしぼむ。
花弁は3個あり、内2個は鮮やかな青色で長さ、幅とも10mmほどあり、残りの1個は白色で小さい。
萼片は3個で小さく、白色の膜質。側萼片2個は基部で合着し、上側の1個の萼片は披針形。
オシベ6個のうち、完全なのは花柱とともに長く突き出ている2個だけである。
花弁の側の短い3個は、葯が鮮黄色でよく目立つが、花粉をださない仮オシベで、
それよりやや長い1個は、葯がやじり形で少し花粉を出す仮オシベである。
基部の仮オシベの葯は黄色い十字形で、中央辺りに褐色の斑点が見られることがある。
中間の仮オシベの葯は黄色い逆V字型で、中央辺りに褐色の斑点が見られることがある。
花柱がオシベの間から突き出る両性花とオシベより短い雄性花がある。
花色の青は、濃い青から薄い青(空色)まで、変異が多い。
なお。この青はアントシアニン系の化合物で、容易に退色するため、染物の下絵書きに使われた。
普通、花色は青色であるが、色の薄いものをウスイロツユクサ、白いものをシロバナツユクサという。
2012/5/31
散歩コースからの帰り道、道端でツユクサを見かけました。
ずいぶん長い間、ツユクサを見た記憶がありません。
ツユクサが生えているような所に行っていないからでしょう。
右側の写真を見ればわかると思いますが、住宅のブロック塀の隙間に生えていました。
2012/7/2
神社の参道脇にある草地にツユクサがまとまって生えていました。
ただ、天気がよくないためか、蕾ばかりで、開いている花がありません。
それで、翌日、改めて出向いて撮影したものが、上記の2枚の写真です。
ツユクサの花色
ウスイロツユクサ ツユクサ ツユクサ
ウスイロツユクサの花被片の色は淡青紫色で、ツユクサより明らかに淡い色をしています。
ツユクサの花被片の色には、紫色のものや青味の強い青紫色のものがあります。
なお、ツユクサには赤みの強い赤紫色のものやその淡色型(淡いピンク)のウスイロツユクサもあるようです。
ミドリハカタカラクサ(Tradescantia fluminensis 'Viridis')
<ツユクサ目・ツユクサ科・ムラサキツユクサ属>
2012/5/28 2012/7/2 2012/7/3
ツユクサ科ムラサキツユクサ属の多年草で、南米原産の帰化植物。
園芸植物のシロフハカタカラクサの斑が消え、緑戻りしたたものとされる。
日本には、全体が緑色で種子のできないものと、茎や果柄、葉裏などが紫色を帯びるものがある。
前者をミドリハカタカラクサと呼び、後者をトキワツユクサ(ノハカタカラクサ)と呼んでいる。
国内では、本州から四国、九州で帰化が認められ、最近、著しく分布を拡大している。
似たものにオオトキワツユクサがあるが、シラフツユクサの緑戻りしたものとされ、一回り大型である。
草丈は40~60cmで、茎は匍匐または斜上し、節から根を出す。匍匐茎は紫褐色を帯びることもある。
葉は互生し、葉身は長さ3~6cmの卵形楕円形で葉柄はなく、基部は葉鞘となる。
葉鞘口部に粗長毛があり、葉身の縁に微細な毛がある。葉裏は緑色である。
花期は5月~8月で、茎の上部の葉にほぼ対生して、葉鞘の中から長さ1~3cmの花序枝を出す。
花序枝の先には総苞が2個接して付き、無柄で、基部が膨らむ。
対の花序は一体となって1つの花序のように見え、花が15~20個束生するが、1~2個ずつ咲く。
花は直径12~20mmで、3個の白い花弁は長さ7~10mmの三角状卵形で分離している。
3個の萼片は長さ5~7mmの披針形で、中脈には軟毛があり、背面には粗長毛がある。
長さ6~12mmの花柄があり、上部には腺毛が、基部には膜状の小苞がある。
オシベは6個あり、花糸は白くて細い。基部にはオシベと同長の多数の細長い長毛がある。
葯は黄色い扇方で、左右の端に楕円形の葯室があり、先が裂開して黄色い花粉がでてくる。
メシベは1個で、花柱は長さ4mm前後の白色。子房は長さ1.5mmほどで白色。
2012/5/28 多摩川に行く途中にあるお宅の庭にびっしりと生えていました。
花もトキワツユクサより大きめだったので、オオトキワツユクサだと思っていました。
2012/7/2,3 久しぶりに見に立ち寄りましたが、一段と成長し、垣からはみ出していました。
日の当たるところでは、日焼けして葉が黄緑色になっていました。
このときに撮った写真を、後日見直していて、葉の形などからミドリハカタカラクサと分かりました。
ただ、大きな葉は10cm以上ありましたので、それで誤認していたようです。
2013/6/18
昨年の拡大写真では、オシベなどがピンボケになっていましたので撮り直しました。
中心のメシベと6本のオシベ、オシベの花糸から出ている細い毛の様子が分かると思います。
トキワツユクサ(Tradescantia fluminensis)
<ツユクサ目・ツユクサ科・ムラサキツユクサ属>
2012/5/24 2012/7/3 2014/5/8
ツユクサ科ムラサキツユクサ属の多年草で、南米原産の帰化植物。
世界的には、北米、ヨーロッパ、オーストラリアにも帰化している。
観賞用に昭和初期に輸入されたシロフハカタカラクサなどの斑入り品種が、緑戻りして野生化したとされる。
日本には、全体が緑色で種子のできないものと、茎や果柄、葉裏などが紫色を帯びるものがある。
前者をミドリハカタカラクサと呼び、後者をトキワツユクサ(ノハカタカラクサ)と呼んでいる。
草丈は10~30cmで、茎は枝分かれして根茎状に横に這い、先が直立~斜上する。
葉は2列に互生し、葉身は長さ3~6cmの卵状楕円形で、縁毛があり、先は尖って無毛である。
基部は長さ7~12mmの鞘となり、無柄である。
花期は5月~8月で、茎の上部に花序を付け、15~20個の花を束生する。
総苞は2個接して付き、無柄の集散花序が対になり、2個の総苞の上に花が束生するように見える。
花は1~2個ずつ咲き、長さ10~15mmの花柄に直径10~15mmの白い3弁花を付ける。
3個の白い花弁は長さ4.5~7mmの三角状卵形で分離していて、爪部はない。
3個の萼片は長さ5~7mmの披針形で、中脈には軟毛があり、基部では腺毛が少し混じる。
オシベは6個あり、花糸は白くて細い。基部にはオシベと同長の多数の細長い長毛がある。
葯は黄色い扇方で、左右の端に楕円形の葯室があり、先が裂開して黄色い花粉がでてくる。
メシベは1個で、花柱は長さ3mm前後の白色で柱頭は小さい。子房は長さ1.5mmほどで白色。
2012/5/24 多摩川に行く途中の道端で、小さな白い花を咲かせていました。
小さな花で、白花のため、気を付けないと見過ごしてしまうほどです。
茎はあまり立ち上がらず、横に這うか垂れ下っています。
トキワツユクサの茎や花柄は、紫色を帯びています
2012/7/3 一段と大きく広がり、大きな群落になっていました。
2014/5/8 花をアップで撮り直しました。ムラサキツユクサ属の花の特徴が良く分かります。
ムラサキゴテン(Tradescantia pallida 'Purpurea')
<ツユクサ目・ツユクサ科・ムラサキツユクサ属>
ツユクサ科ムラサキツユクサ属の多年草で、メキシコ原産の帰化植物。
園芸品種が雑草化したもので、寒さにはそれほど強くないため、関東以西でないと越冬できない。
葉や茎、萼まで全体が暗紫色で、花よりも葉を観賞する観葉植物である。
草丈は10~50cmで、葉に厚みがあり茎や根が太いため、多肉植物扱いされることもある。
葉は互生し、長さ13~18cmの長楕円状披針形で、多肉質で先が尖る。
葉の表面には白くて柔らかい毛が生え、基部は鞘となって茎を抱く。
花期は5月~11月で、茎先に集散花序を付け、花序は2個の総苞で包まれる。
花は朝に開花して、昼頃には萎んでしまう1日花で、直径2cm前後の赤紫色の3弁花である。
オシベは6個あり、花糸は赤紫色で葯の近くは白い。花糸には淡赤紫色の軟毛がある。
葯は黄色い扇方で、左右の端に楕円形の葯室があり、先が裂開して白っぽい花粉がでてくる。
メシベは1個で、花柱は赤紫色で先は白い。柱頭は白くて小さい。
2012/7/3
多摩川からの帰り道、植え込みから顔を出しているムラサキゴテンを見つけました。
どこかで植えられていたものが、千切れて運ばれたのかもしれません。
花は、葉の濃い紫色に近い濃いピンク色で小さめなので、あまり目立ちません。
ムラサキツユクサ(Tradescantia ohiensis)
<ツユクサ目・ツユクサ科・ムラサキツユクサ属>
ツユクサ科ムラサキツユクサ属の多年草で、北米原産の園芸植物。
草丈は15~115cmで、茎は直立か斜上して、稀に節から発根する。
茎の節間は無毛が多いが軟毛があることもあり、粉白色を帯びる。
葉は螺旋状に並び、無柄で、茎に沿うように伸びる。
葉身は長さ5~45cmの線形で、先は尖る。茎葉は紫色を帯びた粉白緑色。
花期は4月~8月で、花序は頂生して、苞は葉状。
花は直径2~3㎝の3弁花で、花弁の長さは8~20mmの広卵形。長さ7~30mmの花柄がある。
花色は、青、紫、赤紫、淡赤紫色、白と変異が多く、朝咲いて午後には萎む1日花である。
3個の萼片は長さ4~15mmの三角状卵形で、粉白を帯び、無毛か先端に毛束がある。
オシベは6個あり、花糸は淡紫色で、下部に単細胞幅の細い軟毛が密生する。
この軟毛は細胞が一列に並ぶため、原形質の流動や細胞分裂などの実験によく使われる。
葯は黄色い扇方で、左右の端に楕円形の葯室があり、先が裂開して白っぽい花粉がでてくる。
メシベは1個で、花柱は淡紫色でオシベより長く、柱頭は白色で小さい。
2012/5/7
散歩コースへ行く道端で、ムラサキツユクサが咲きはじめました。
花色は、青紫と赤紫のみで、まだ、他の花色のものは見かけません。
2012/5/23
散歩コースの途中で見かけるムラサキツユクサの花色も、いろいろと見られるようになりました。
赤紫の濃い色の物から、ピンク、紫と、個体によって微妙に花色が異なります。
2012/7/20
散歩コースの途中で見かけるムラサキツユクサの花色で、淡い色合いのものを見かけました。
メイドンズブラッシュ(Tradescantia fluminensis "Maidens_Blush")
<ツユクサ目・ツユクサ科・ムラサキツユクサ属>
ツユクサ科ムラサキツユクサ属の多年草で、南アメリカの帰化植物。
トキワツユクサの園芸品種で、別名は、ハツカンセツ(初冠雪)、コチョウノマイ(胡蝶の舞)など。
草丈は20~40cmで、茎は枝分かれして根茎状に横に這い、先が直立~斜上する。
葉は2列に互生し、葉身は長さ3~6cmの卵状楕円形で、縁毛があり、先は尖って無毛である。
基部は長さ7~12mmの鞘となり、無柄である。
茎の先の方の葉には、白や赤紫の、斑が入り、観葉植物でもある。
寒暖の差が大きいほど斑はきれいにでるが、夏の間は斑が消えて普通の緑色の葉になる。
花期は5月~8月で、茎の先に集散花序を付けて15~20個の花を束生し、1~2個ずつ咲く。
総苞は2個接して付き、無柄の集散花序が対になり、2個の総苞の上に花が束生するように見える。
花は長さ10~15mmの花柄に、直径10~15mmの白い3弁花を付け、花弁の先端にピンク色。
3個の白い花弁は長さ4.5~7mmの三角状卵形で分離していて、爪部はない。
3個の萼片は長さ5~7mmの披針形で、中脈には軟毛があり、基部では腺毛が少し混じる。
オシベは6個あり、花糸は白くて細い。基部にはオシベと同長の多数の細長い長毛がある。
葯は黄色い扇方で、左右の端に楕円形の葯室があり、先が裂開して黄色い花粉がでてくる。
メシベは1個で、花柱は長さ3mm前後の白色で柱頭は小さい。
2014/6/9
多摩川への道路脇で、昨年の秋から気になっていたツユクサらしきものに花が咲きました。
その花で、ツユクサの仲間と分かり、調べ直したところ、本種と判明しました。
花は、白い花弁の先がほんのりとピンクになり、なんともかわいいですね。
2013/11/13
こちらは、昨年の秋から冬にかけて、見事な白と赤紫の斑が入った葉を見せていた本種です。
色合いは、花と同じですが、冬場は花が少ないうえ、葉は花より大きいので、インパクトはあります。
ヤブミョウガ(Pollia japonica Thunb.)
<ツユクサ目・ツユクサ科・ヤブミョウガ属>
2013/7/9 2013/7/17
ツユクサ科ムヤブミョウガ属の多年草で、在来種。
日本では、本州中部以南から四国、九州に分布する。
海外では、朝鮮半島南部から中国、台湾、インドシナ半島に分布する。
林の中や藪に自生し、草丈は50cm以上になる。
7月~9月頃に茎の先に円錐花序を付け、白い小花を輪生状に重なって付ける。
花は、両性花と雄花が混じって咲き、球形の果実を付ける。果実は熟すと黒紫色になる。
多摩川への途中にある公園の植え込みの陰から茎を伸ばして咲いているヤブミョウガを見かけました。
植えられたものか、自生していたものなのか不明ですが、1本だけ咲いていました。
右の写真で、花の後ろに見える淡い緑の球形の玉は、結実したばかりの若い果実です。
2013/7/10
ヤブミョウガが生えていた場所ですが、日陰で直接光が当たることのない場所です。
そのためうす暗くて、拡大写真を撮るのに、スローシャッターになって手を焼きました。
ホテイアオイ(Eichhornia crassipes)
<ツユクサ目・ミズアオイ科・ホテイアオイ属>
ミズアオイ科ホテイアオイ属の水性浮上多年草で、南アメリカ原産の帰化植物。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
寒さに弱く、冬はほとんど枯れるが、一部でも越冬すると翌年には大繁殖する。
草丈は20~40cmで、ひげ根状の根が多数水中に広がって、重りの役目をしてバランスをとって浮いている。
ただし、根が着底すると深く根を張り、養分を吸収して成長し、草丈は150cmくらいまで伸びる。
茎は非常に短く、匍匐茎を長く伸ばして、先に新しい株を作って増える。
葉は根生葉でロゼットとなり、小さい内は葉も短く、葉柄の浮き袋も球形に近くて、水面に接している。
成長して混みあってくると、浮袋は楕円形になり、水面から立ち上がるようになる。
さらに多数がより集まったときには、葉柄は細長くなり、葉も楕円形になって立ち上がるようになる。
着底して、さらに成長したような場合には、葉柄は細長く伸び、浮袋状ではなくなってしまう。
葉身も小さい内は、長さ4cmほどの円形~長さ14cmほどの広卵形で、革質で無毛。密な脈がある。
混みあってくると、葉身は楕円形になって、細長くなってくる。
花期は7月~10月で、葉の間から花茎を伸ばし、総状花序に螺旋状に花を7~15個付ける。
花序全体の花が一斉に開花し、淡青紫色の花は1日で萎んでしまう1日花である。
花被は6深裂し、上向きの花被片は幅広くて、中央に黄色の斑紋があり、周りを青紫色の筋模様が囲む。
他の5個の花被片は、ほぼ同長で幅が狭く、花被片の中央に濃色の縦筋がある。
オシベは6個あり、内3個は長く、3個は短い。メシベは3心皮が合着して1個になっている。
なお、オシベとメシベの長さが異なる長花柱花、中花柱花、短花柱花の3型がある。
この内、日本で広がっているのは、主に中花柱花であるが、長花柱花も見られる。
花後、花茎は湾曲して花序は水没し、果実は水中で成長する。熟した果実は水中で裂開して種子をばら撒く。
ただし、日本ではホテイアオイの訪花昆虫がいないため、結実することは稀である。
繁殖力の強さから「青い悪魔」と呼ばれ、肥料分の多い水域では、あっという間に水面を覆い尽くす。
そのため、外来生物法で要注意外来生物に指定され、日本と世界の侵略的外来種ワースト100にも指定されている。
2012/10/3
野草ではありませんが、民家の庭先の水瓶でポツンと咲いていました。
本来は夏の花なので、真夏にはもっと咲いていたのかもしれません。
今年は、残暑が厳しかった後、急激に涼しくなりましたので、残暑を恋しがっているのかも。
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