マツ科・オミナエシ科・スイカズラ科・レンプクソウ科

マツ目

  マツ科(クロマツ)

マツムシソウ目

  オミナエシ科(ノヂシャ)

  スイカズラ科(ウグイスカグラ、スイカズラ、ハコネウツギ)

  レンプクソウ科(サンゴジュ)


クロマツ(Pinus thunbergii)

<マツ目・マツ科・マツ亜科・マツ属・Pinus亜属・Pinus節・Pinus亜節>

2013/5/14                 2013/5/8

裸子植物門、マツ科マツ属の常緑高木で、自生種。雌雄同株。

日本では、本州から四国、九州にかけて海岸近くに自生している。

海外では、朝鮮半島南部の海岸部に自生する。

樹高は30~35mであるが、稀に神社などで60mを越えるものが見られた(現存しない)。

樹皮はアカマツよりも赤みの無い黒褐色で厚く、亀甲状に割れ目が入り、剥がれる。

針葉は濃緑色の2葉で太く硬く、長さは7~12cmになる。枝振りも太い。

そのため、別名には「雄松(オマツ)」や「男松(オトコマツ)」がある。

 

多摩川への道路脇で、クロマツがたくさんの雄花を咲かせていました。

この木では、雄花ばかりで、雌花は1つも付いていませんでした。

2015/4/16          2015/4/16             2015/4/21  

4/16 クロマツの雄花のツボミです。最初は赤紫色をしています。

4/21 これが開花する頃には、茶褐色に変わります。


ウグイスカグラ(Lonicera gracilipes var. glabra)

<マツムシソウ目・スイカズラ科・スイカズラ属>

スイカズラ科スイカズラ属の落葉低木で、日本固有種。

日本では、北海道南部から本州、四国の山野で、日当たりの良い所に分布する。

樹高は2mほどになり、良く分枝して茂る。葉は、広楕円形で両面とも無毛。

枝先の葉腋に長さ2cm程の細い花柄を出し、淡紅色の花を1個(ときに2個)下向きに付ける。

花冠は2cm程の漏斗状で、先が5裂し、裂片は平開する。オシベは5本で、花冠より短い。

果実は、15mm程の広楕円形の液果で、6月頃に赤く熟し、食用になる。

※ 本種は普通は全体に無毛で、ヤマウグイスカグラは枝や葉、花に毛が、ミヤマウグイスカグラは腺毛がある。

 

2015/3/31

多摩川へ向かう途中の公園で、たくさん花を付けた本種を見かけました。

枝や葉、花に毛はありませんでしたので、本種としました。

 

本種の和名は、ウグイスカグラ(鶯神楽)であって、ウグイスカズラではありません。

スイカズラ科なので、ウグイスカズラと言いたくなりますが、つる性ではないのでカズラとは言いません。

なお、カズラ(蔓)とは、つる草の総称です。

ウグイスカグラ(鶯神楽)の「神楽」は当て字で、ウグイスカグレが変化したものとの説もあります。

ちなみに、ウグイスカグレは、鶯が隠れるほどに茂ることに由来するとか。


スイカズラ(Lonicera japonica)

<マツムシソウ目・スイカズラ科・スイカズラ属>

スイカズラ科スイカズラ属の常緑つる性常緑低木で、在来種。

別名にはニンドウ(忍冬)があり、キンギンカ(金銀花)は異名になっている。

スイカズラの名は、「吸い葛」と書き、花を口にくわえて蜜を吸うことに由来する。

英名の「honeysuckle」も同じ発想から付けられたものである。

スイカズラの蕾は「金銀花」、秋から冬にかけての茎葉は忍冬(ニンドウ)いう生薬、また、漢方薬として利用さる。

この金銀花は、白と黄色の花色から、忍冬は、常緑で冬場を耐え忍ぶ事から付けられた名前とのこと。

日本では、北海道から本州、四国、九州まで全国に分布する。

日本以外では、東アジア一帯に分布し、欧米では観賞用に移入され、野生化している。

よく分枝して茂り、蔓は太くなると木質化し、主幹は灰褐色である。

枝には粗い毛が密生して、髄は早くなくなり、枝は中空となる。

葉は対生して、長さ3~7cmの長楕円形で、縁は全縁。先はあまり尖らず、基部は広いくさび形。

葉形には変異が多く、まれに粗く切れ込んで羽裂することもある。

表面には毛が少ないが、裏面には毛が多く、冬になると内側に巻きこむ。

花期は5月~7月で、枝先の葉腋に2個ずつ甘い芳香のある花を付ける。

ツボミの時は先の丸まった象の牙のような形で、開花すると筒状の花弁が上下の唇状に分かれる。

花冠は長さ3~4cmで、2裂した上唇は卵形で先が4浅裂し、下唇は広線形で長く下に垂れる。

花冠の色は、開花時には白色かわずかに淡紅色を帯びるが、時間と共に黄色くなる。

オシベは5個、メシベ(柱頭は球形)は1個で、共に花冠から長く突き出る。

萼は毛が密生して先が5裂し、花柄は長さ5mm前後。苞は葉状で長さ5~20mm。

果実は直径5~6mmの球形で、強い光沢があり、9月~12月に黒く熟す。

 

2013/5/16

多摩川へ向かう途中にあるJRの道床脇の斜面で、ナワシロイチゴに交じって咲いていました。

花は、ツボミの時は先の丸まった象の牙のような形(右端)をしています。

開花すると、筒状の花弁が先の方で上下の唇状に分かれ、さらに上唇は浅く4裂しています。

特徴的なのが、花色で、開花当初は白い花弁(中央)が、時間と共に黄色くなります(右端)。

なお、花には甘い香りがあるそうですが、近づける場所ではないので、未確認です。

2013/6/11

梅雨の雨をまとったスイカズラの花です。

「金銀花」の名前の由来となった開花直後の白い花と、時間のたった黄い花の対比がきれいです。


ハコネウツギ(Weigela coraeensis)

<マツムシソウ目・スイカズラ科・タニウツギ属>

スイカズラ科タニウツギ属の落葉小高木で、日本固有種。

日本では、北海道南部から本州、四国、九州までの太平洋岸近くに分布する。

葉の脇にラッパ型で5裂した花を数輪ずつ付け、花色が、白からピンク、深紅へと変化する。

ただ、白花のものや初めからピンクのものもある。

本種は、潮風に強いことから植栽に利用され、それが野生化したものもある。

そのため、自然分布の境界が曖昧になっているが、福島県辺りが北限と考えられている。

ニシキウツギは、花色の変化などよく似ているが、主に山地が自生地となっている。

また、花冠の広がり方に違いがあり、ハコネウツギは萼より先が急に太くなった釣鐘型となる。

一方、ニシキウツギは、萼から先が徐々に広がるラッパ型になる。

 

2014/5/20

多摩川へ向かう途中の公園で、見かけました。

ランタナ(七変化)と同じく、花色が時と共に変わって行きます。

はじめ、ニシキウツギかと思っていたのですが、良く調べると花の形の違いから本種と分かりました。


ノヂシャ(Valerianella locusta)

マツムシソウ目・スイカズラ科・ノヂシャ属

スイカズラ科ノヂシャ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。

APG植物分類体系ではスイカズラ科に含まれるが、オミナエシ科として分離しても良いとされる。

日本では、北海道から四国、九州に分布している。

世界の多くの国でサラダ野菜として栽培され、日本でも各地で野生化している。

草丈は10~30cmで、冬にはロゼットを形成し、翌春に茎を伸ばす。

茎は4稜形で白毛があり、次々と2股に分枝しながら立ち上がって行く。

葉は対生し、長さ1.5~9cmのへら形で、葉の基部が狭くなり、葉柄へと続く。

茎の上部の葉は、基部が茎を抱き、無柄。葉質は柔らかく、鋸歯がある。

花期は4月~6月で、花序は花柄の2股分枝を繰り返して半球形になり、数十個の花を付ける。

花は直径1.5~2.5mmの淡青色の筒型花で、先が5裂し、長さ1mm前後の裂片は平開する。

花筒は長さ2mm前後で、長毛があり、花筒の中間にオシベが3個付く。葯は白い。

緑色の子房は下位で、長さは1.5mm前後になる。

 

2012/4/25

ヨーロッパでは、今でもサラダ用に栽培されているそうです。

名前は、野に生えるチシャ(レタスやサラダ菜のこと)から来ているようですが、キク科のチシャとは別科です。

2013/4/12               2013/4/17

今年も河川敷の道路脇に、ノジシャが大きな群落をつくり、大量の花を咲かせています。

極めて小さな白い花なのですが、さすがにこれくらい群生すると花が咲いているのが分かります。

2014/4/17             2014/4/17             2014/4/22

今年もノジシャが一斉に花を付け、道路脇をまだらに白く染めていました。

花がもっと大きければ、真っ白になるのでしょうが、2mmにも満たない花なので、部分的に白くなる程度です。

その小さな花を、接写系で強拡大してみました。


サンゴジュ(Viburnum odoratissimum var. awabuki)

<マツムシソウ目・レンプクソウ科・ガマズミ属>

レンプクソウ科ガマズミ属に属する常緑高木で、よく庭木にされる。

日本では、本州の関東南部から四国、九州、南西諸島に分布する。

海外では、東南アジアに広く分布する。

樹高は20mほどになる。葉は対生し、葉身は20cm程あり、全縁で表面に光沢がある。

開花期は6月で、枝先に円錐花序を出し、白い小花をたくさん付ける。

果実は、10mmに満たない楕円形の核果で、8月頃から赤く熟し始め、完熟すると黒くなる。

この赤い果実がたくさん付くのをサンゴに見立てたのが、和名の由来とか。

分厚い葉や枝はたくさんの水分を含むので、延焼防止の防火樹として庭木や生垣に利用される。

 

2015/7/28

多摩川へ向かう途中の道路脇で、たくさん実を付けた本種を見かけました。

春に花が咲いていましたが、すっかり撮り忘れていていました。

たわわに実った果実が垂れ下り、赤く色づいているとかなり目立ちます。

2015/9/4

果実の赤みが一層増し、橙色っぽかった果実が真っ赤になりました。

一部の果実は、完熟して真っ黒になっています。

2016/5/18

気が付くと、サンゴジュが大きな円錐花序を出していました。

ツボミはまだ固く、開花までにはもう少し時間がかかりそうでした。

2016/5/24

サンゴジュの花の様子を見に行くと、開花が始まっていました。といっても、一分咲きといった所。

多くの花序では、数個程度が開花しているだけでしたが、三分咲きの花序もありました。

白い花弁は、開花後直ぐに大きく反り返って、後に丸まってしまうようです。