クモバチ科・スズメバチ科・ツチバチ科

ハチ目・ハチ亜目

 クモバチ上科クモバチ科(オオモンクロクモバチ)

 スズメバチ上科スズメバチ科(コガタスズメバチ、ヒメスズメバチ、コアシナガバチ、

               セグロアシナガバチ、フタモンアシナガバチ、

               オオフタオビドロバチ、ミカドドロバチ)

 ツチバチ上科ツチバチ科(オオモンツチバチ、キオビツチバチ、オオハラナガツチバチ、

             キンケハラナガツチバチ、ヒメハラナガツチバチ)


オオモンクロクモバチ(Anoplius samariensis)

<ハチ目・ハチ亜目・クモバチ上科・クモバチ科・ナミクモバチ亜科>

日本では北海道から本州、四国、九州と、ほぼ全国に生息する。

以前は、ベッコウバチ科のオオモンクロベッコウと呼ばれていたが、科名とともに和名も変更になった。

出現時期は6月~8月で、体長は12~25mmの大型の黒い狩りバチである。

体色、翅の色共に黒色で、腹部第2節に橙色の斑紋がある。

他のクモバチと同様にクモを狩り、ネズミやモグラなどの古巣を利用して地中に営巣する。

クモに麻酔をかけ、巣穴に引き入れて卵を産みつけ、孵った幼虫は、動けないクモを食べて育つ。

2012/7/13

オオモンクロクモバチに出会ったが、最初、キオビツチバチと見誤っていました。

触角の違いで、オオモンクロベッコウ...やっぱりこの名前の方がしっくりしますね...と気付きました。

草むらの中をうろうろしていましたが、クモを探しているのでしょうね。


コガタスズメバチ(Vespa analis)

<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・スズメバチ亜科・スズメバチ属>

日本には、本州から四国、九州、屋久島、種子島に生息する亜種、八重山亜種、沖縄亜種の3亜種が生息。

日本本土亜種「Vespa analis insularis」は、日本の固有種。

日本以外では、インド、東南アジア各国から中国、シベリア、台湾などアジア各地に広く分布する。

なお、原名亜種は、インドネシアのスマトラ島、バンカ島、ジャワ島に生息する。

スズメバチ属の中では中型種で、女王蜂で30mm程、働き蜂は25mm程です。

初期段階の巣は、フラスコをさかさまにしたような形で、働きバチが羽化してくるとボール状に変化する。

営巣規模は比較的小さくて、威嚇性・攻撃性はあまり高くない。

しかし、巣に直接刺激を与えると激しく反撃してくるので、巣には刺激を与えない方が良い。

営巣場所と餌の種類に柔軟性があるため、都会部でもよく見かける。

※ 都市部でもよく見かけるスズメバチについては、こちらにまとめました。

2013/9/12

多摩川の川縁を散歩中、イタドリの近くを飛び回っているスズメバチと出会いました。

ヒメスズメバチかと思ったのですが、腹部端が黄色く、オオスズメバチにそっくりです。

しかし、オオスズメバチほど大きくはありません。後で調べてコガタスズメバチと分かりました。

同じ所を飛び回ってはいるのですが、とまってくれませんので、ピンボケの写真しか撮れませんでした。

それでも、種類を特定できる程度には、撮れました。

2014/9/12

今年も、川縁のイタドリやアレチウリの所に、コガタスズメバチが飛び回り始めました。

数匹が、同じ場所をグルグル回りながら飛び回っています。

タイミングを計って撮るのですが、300mmの望遠で、数mの所を飛び回るのを撮るのは難しいです。

狭い視野内で、追いかけながらピントを合わせるのですが、なかなかピタリと合いません。

2014/9/19

いつもは飛び回っているだけのコガタスズメバチですが、今日は、アレチウリに止まりました。

恐る恐る近づいて撮影しましたが、やはり、迫力がありますね。

強靭な顎と巨大な腹部。そこに潜んでいる毒針を想像するだけで足が止まります。

2014/10/14

いつも通る多摩川への道路脇の民家、その庭先にあるキヅタにコガタスズメバチが来ていました。

最近は、通る度に見かけるので、かなりの頻度で来ているものと思われます。

お住まいの方は、オオスズメバチほどの凶暴性はないとはいえ、気が気ではないでしょうね。


ヒメスズメバチ(Vespa ducalis)

<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・スズメバチ亜科・スズメバチ属>

日本には、本州から四国、九州産、対馬産、八重山産の3亜種が生息。

他のスズメバチと異なり、女王バチ、オスバチ、働きバチ(メス)の大きさに差がなく、体長は30mm前後。

オオスズメバチに次ぐ大きさではあるが、攻撃性は弱く、毒性もあまり強くはない。

しかし、威嚇性は非常に強く、巣に近づくとまとわりつくように飛び回る。

日本では、活動期間が短いため、小規模な巣しか作れず、全盛期でも働き蜂は数十匹程である。

※ 餌のアシナガバチが年中活動する東南アジアでは、大きな巣を作り、攻撃性も強くなる。

本種は、他のスズメバチ類(腹端は黄色)と異なり。腹部の末端が黒いため、容易に区別できる。

なお、都市部でもよく見かけるスズメバチについては、こちらにまとめました。

2012/5/17

多摩川の川縁を散歩中、ヤブガラシの花にスズメバチが止まりました。

止まった所が高くて、見上げる形でしか撮影できませんでした。

相手が相手だけに、触らぬ神に祟りなしと、さっさと撮影して退散。

後で調べて、ヒメスズメバチと分かり、あわてて逃げなくてもよかったと反省。

 

以前、山中でオオスズメバチと鉢合わせし、威嚇を受けて後退りで退散した経験があります。

1m程の距離で、目の前をブンブンと飛ばれると、捕虫網を持っていても固まります。

おそらく近くに巣があったのでしょうが、それ以来、見かけるとさっさと退散しています。


コアシナガバチ(Polistes snelleni Saussure)

<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・アシナガバチ亜科・アシナガバチ族・アシナガバチ属>

スズメバチ科アシナガバチ属のハチで、在来種。攻撃性が高く、毒性も強い

日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。

海外では、朝鮮半島から中国に分布している。

体長は11~17mmと、和名の通り、日本産のアシナガバチ属の中では、最も小型の種である。

出現時期は4月~10月で、オスバチや女王バチは、8月~9月に出現する。

体色は黒色で、赤褐色と黄色の斑紋がある。

巣は、巣柄を起点に一方向に伸長し、大きくなると上向きに反り返る。

巣の規模としてはかなり大きくなり、本州では500育室の記録がある。働きバチは50匹規模になる。

本種とよく似たキボシアシナガバチとは、腹部第3、第4節の黄斑の有無で区別可能。

黄斑があるのが本種。なお、巣の繭の蓋でも区別可能で、白が本種、黄色がキボシアシナガバチ。

成虫の餌は、樹液、花蜜で、幼虫には青虫などを肉団子にして与える。

※ よく似たアシナガバチの見分け方に関しては、こちらに掲載させていただきました。

2012/5/17

セグロアシナガバチの近くでコアシナガバチを発見。

アシナガバチの中で、セグロアシナガバチが最大種なら、コアシナガバチは最小種。

この両種の大きさの比較に関しては、セグロアシナガバチの所に掲載させていただきました。

2013/5/8                2013/9/10

5/8 昨年と同じような時期にコアシナガバチを見かけました。

巣の材料でも集めているのでしょう。枝の表皮をかじり取った後が見られます。

※ アシナガバチの仲間は、巣を作るとき、古い木材や木の表皮をかじって薄くはぎとります。

そのかじり取った繊維質の材料に唾液由来のたんぱく質などを混ぜて巣を作ります。

9/10 河川敷で、葉の上で休んでいるコアシナガバチがいました。

逃げる様子もなかったので、目いっぱい近づいて横から撮影しました。

目や胸部、腹部の模様がよく分かると思いますが、黄色や褐色のグラデーションがきれいです。

2014/9/3

河川敷で、アレチウリの葉の上で休んでいるコアシナガバチがいました。

昨年も同じような時期に、同じような場所で撮影した気がしたのですが、見直してみるとありました。

今年は2匹が並んでいますが、大きさや模様が異なります。ひょっとしたら、右は新女王バチなのかもしれません。


セグロアシナガバチ(Polistes jadwigae jadwigae)

<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・アシナガバチ亜科・アシナガバチ族・アシナガバチ属>

スズメバチ科アシナガバチ属のハチで、在来種。

日本では、本州から四国、九州にかけて広く分布している大型のアシナガバチ。

体長は20~26mmで、体の模様は、黒の地に黄褐色の斑紋がある。

よく似たキアシナガバチとは、胸部後端に2本の黄色い縦筋の有無で判別できる。

本種には黄色い縦筋はなく、キアシナガバチにはこの縦筋がある。

また、セグロアシナガバチのメスの触角は全体が黄色く、キアシナガバチは先端側だけが黄色い。

なお、セグロアシナガバチのオスの触角は暗褐色で、頭部前面の黄色い部分がメスより広い。

4月くらいから女王バチが巣作りなどの活動を開始し、5月下旬らか働きバチの羽化が始まる。

7月下旬から9月にオスや新女王バチの羽化が始まり、新女王バチのみが越冬する。

攻撃性はあまり強くないので、巣を刺激したり、直接触るなどしない限り、刺されることはない。

なお、刺されるとアナフィラキシーショックにより死亡する可能性もある。

※ よく似たアシナガバチの見分け方に関しては、こちらに掲載させていただきました。

2012/5/17

巣の材料を集めているのか、木の枝や葉の所をうろうろしているセグロアシナガバチを発見。

日本に住むアシナガバチの中では最大種で、同じ場所に居たコアシナガバチと比較すると大きさがよくわかる。

触らぬ神に祟りなしと、さっさと撮影して退散。

2012/7/20                 2012/11/16

7/20 セグロアシナガバチは、相変わらず、河原の草むらの中で活発に活動しており、よく見かけます。

たまたま、目の前の枯れたムラサキツメクサに止まったので撮影しました。

手を出さなければ刺されることはないと言っても、あまり、近づきたくはないですね。

11/16 今日は、昼間でもちょっと寒く感じる日でしたが、河川敷で日向ぼっこをしているのを見かけました。

さすがに、この時期になると動きは鈍く、近寄っても逃げません。

2013/4/18                 2013/5/14

多摩川河川敷のハマダイコンが満開となり、いろいろな昆虫が見られるようになりました。

あまりお近づきにはなりたくないセグロアシナガバチも飛び回っています。

餌を探しているのか、巣の材料を探しているのか、葉の影をウロウロしていました。

2013/7/30

川縁のヤブガラシの花で、給蜜中と肉団子作りに精を出しているセグロアシナガバチです。

給蜜や団子作りに夢中になっていましたので、近づいてアップで撮影してみました。

黄色と黒の2色ですが、実に見事なデザインですね。

国内最小種のコアシナガバチと国内最大種のセグロアシナガバチの大きさの比較です。

セグロアシナガバチは20~26mm、コアシナガバチは11~17mmだそうなので、ほぼ、倍の差があります。

ちなみに、スズメバチは、27mm~37mmあるそうなので、セグロアシナガバチの倍くらいあります。

山で、スズメバチに出くわし、威嚇されたことがありますが、その恐怖は言葉にはなりません。

なお、大きさでは半分しかないコアシナガバチですが、その攻撃性の高さと毒性の強さは引けを取りません。

小さいからと言って、油断がならない相手ですので、見かけたら注意してください。


フタモンアシナガバチ(Polistes chinensis

<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・アシナガバチ亜科・アシナガバチ族・アシナガバチ属>

スズメバチ科アシナガバチ属のハチで、在来種。

日本では本州に分布。九州、四国、朝鮮半島に生息するものは、亜種の"Polistes chinensis chinensis"になる。

また、北海道にはよく似た別種(トガリフタモンアシナガバチ)が生息している。

沖縄諸島に分布するものは、中国大陸のものと同じで、原名亜種とされる。

成虫の体長は、女王バチで14~18mm、働きバチは14~16mm、オスはその中間で15~16mmである。

体色は黒色で、黄色い斑紋がある。腹部第二背板に1対の黄色い円紋があり、それが和名の由来。

また、前伸腹節には黄色の2本の縦線がある。全体に黒い部分が多く、黄色班が明瞭である。

越冬は成虫(女王バチ)で行い、朽木の樹皮下や砂地の崖などで単独越冬する。

3月下旬から出現して巣作りを始め、最初の部屋ができると卵を産み、以降、部屋ができる度に卵を産んでいく。

天候や環境の影響もあるが、大きくなると育房数は数百~千室にもなる。

卵は1週間ほどで孵化し、その後20日ほどで成虫となり、ワーカーとして働き始める。

ワーカーもメスなので、産卵を行うのが本種の特徴であるが、排除されて孵化することはない。

晩夏に新女王バチとオスバチ(顔面が黄色い)が現れ、この頃、女王バチは死んでしまう。

10月~11月の暖かい日に、本種が多数飛び回っていることがあるが、これはほぼ全てオスバチである。

オスバチも越冬できないので死んでしまい、新女王バチのみが越冬することになる。

2012/7/2

フタモンアシナガバチにやっと遭遇。

アシナガバチの中ではポピュラーな種ですが、多摩川ではあまり見かけません。

 

小学生の頃、巣があるのに気付かず巣を振動させてしまい、これに刺されたことがあります。

一瞬のうちに10ヶ所ほど刺され、注入された毒の量が少なくなるに従って赤く腫れた大きさが小さくなっていました。

単独で飛んでいる場合は、刺激しない限り刺されることはありません。

しかし、アシナガバチ類の巣がある場合は、迂闊に近づかないことです。

単独ではなく、群れで襲われる可能性があります。

スズメバチほどではないにしろ、アナフィラキシーショックを起こす可能性もあります。

一度刺されたことがある場合は要注意です。

2012/11/16

セグロアシナガバチが日向ぼっこをしていましたが、川縁近くでフタモンアシナガバチも同様でした。

こちらは、一匹ではなく、群れて日向ぼっこです。

2013/7/25

河川敷の枯れ枝にフタモンアシナガバチが止まっていました。

よく見ると枯れ枝の表面をかじり取った跡が付いています。

巣作りの材料として持ち帰るのでしょう。口元に団子状に丸めた繊維の塊が見えます。


オオフタオビドロバチ(Anterhynchium flavomarginatum)

<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・ドロバチ亜科>

スズメバチ科ドロバチ亜科のハチで、在来種。

日本では北海道から本州、四国、九州、南西諸島とほぼ全国に分布する。

体長は10~21mmで、体色は黒色で、腹部に2本の黄色帯、頭部、前胸部背板などに黄色班がある。

巣は、竹筒やカミキリムシの脱出孔に泥で仕切りを作って営巣します。

その泥で仕切った育室に、ガの幼虫を狩って、餌として貯食します。

そのため、ハマキガやメイガなどの重要な天敵となります。

成虫の活動期間は5月~10月で、餌は花蜜である。幼虫で越冬する。

2012/9/4

ガガイモの花を訪れたオオフタオビドロバチを見つけました。

日本では、もっともポピュラーなドロバチです。

2014/9/17

サザンカの枝先でじっとしているオオフタオビドロバチを見かけました。

しばらく見ていたのですが、全く動きがありませんでした。


ミカドドロバチ(Odynerus quadrifasciatus)

<ハチ目・ハチ亜目・スズメバチ上科・スズメバチ科・ドロバチ亜科>

スズメバチ科ドロバチ亜科のハチで、在来種。

日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島とほぼ全国に分布する。

体長は7~14mmで、体色は黒色で、頭部や胸部の頭部側と腹部側に黄斑があるが、変異がある。

また、腹部第一節~第四節後縁の背面と腹面には黄色い帯模様がある。

なお、オスの頭楯は黄色で、触角の第1節、脚部に黄色い部分が多い。触角の先が鉤型に曲がる。

成虫の活動期間は6月~9月で、蛾の幼虫を竹筒などに餌として運び入れ、最後に泥で蓋をする。

2013/7/19

多摩川の河川敷で、ハルジオンの花の上で見かけました。

この個体は、触角の第一節に黄色い部分があり、口の上部が黄色いのでオスですね。


オオモンツチバチ(Scolia (Scolia) histrionica

<ハチ目・ハチ亜目・ツチバチ上科・ツチバチ科・ナミツチバチ亜科・ナミツチバチ属

ツチバチ科ナミツチバチ属のハチで、在来種。

日本では北海道から本州、九州、四国と全国に分布する。

海外では、朝鮮半島から中国に分布する。

出現時期は7月~10月で、体長はメスで10~25mm、オスで15~22mm。

体色は黒色で光沢があり、頭部、胸部、腹部に黄色い斑紋がある。

灰色~黒褐色の長毛が生え、腹端には黒い毛がある。

メスでは、複眼後縁の細線、胸部肩、後部に黄色い斑紋がある。

また、腹部第1節の斑紋、第2節の眼状紋、第3~4節に黄色い帯状紋がある。

オスは、メスより小さくて細身であり、触角が長い。

胸部小楯板に2つの斑紋、腹部第1、2節の斑紋、第3~5か6節に帯状紋がある。

コガネムシ類の幼虫に卵を産みつける寄生バチで、成虫は花の花粉を餌とする。

2013/9/17

多摩川の土手で咲き始めたツルボの写真を撮りに行くと、オオモンツチバチのオスとメスがいました。

求愛行動をとっているようにも見えませんでしたので、たまたま、同じ花で鉢合わせしたようです。

そのおかげで、雌雄を同時に撮影でき、大きさや模様の違いを見比べることができました。

2014/9/12                 2014/9/16          2015/9/15

2014/9/12 多摩川の川縁を覆っているアレチウリの花に、オオモンツチバチのメスが来ていました。

なんとか、飛んでいる所を捉えましたが、ちょっとピントが甘めです。

2014/9/16 土手の則面に、今年もツルボが花を咲かせました。

そこに、今年もオオモンツチバチが訪れていました。

2015/9/15 今年もツルボにオオモンツチバチのメスが訪れていました。

オオモンツチバチのお気に入りの花のようです。


キオビツチバチ(Scolia (Discolia) oculata)

<ハチ目・ハチ亜目・ツチバチ上科・ツチバチ科・ナミツチバチ亜科・ナミツチバチ属

2012/7/5

2012/7/6

ツチバチ科ナミツチバチ属のハチで、在来種。

樹林とその林縁、畑地、公園、社寺境内、人家の庭などに生息する。

日本では北海道から本州、四国、九州まで分布し、朝鮮半島、中国、台湾、ロシア沿海州にも生息する。

体長は、オスで11~20㎜、メスでは15~25㎜。成虫の出現時期は6月~10月。メスは触角が短い。

コガネムシの幼虫に卵を産みつける寄生バチで、成虫は花の蜜を餌とする。

メスは、腹部に2個の黄斑があり、その黄斑の中に黒い模様があって目玉模様に見える。

オスでは、腹部に2個の黄斑は接近してつながり、帯状に見える。

 

7/5 花の蜜を吸っているキオビツチバチのオスと遭遇。

オスは、触角が長く、腹部の黄色い紋がつながっているように見えます。

7/6 昨日、オスと遭遇した場所の地面をキオビツチバチのメスが徘徊しているところを撮影。

メスは、触角がオスに比べるとかなり短めで、腹部の黄色い紋も離れています。

メスが地面を徘徊しているのは、卵を産みつけるコガネムシの幼虫を探しているのかもしれません。

2013/7/1(オス)               2013/9/5(メス)

7/1 地面近くを飛び回っているメスは良く見かけますが、動きが早くてとても撮影できません。

この日、たまたま、スペアミントの写真を撮っていると、オスが止まりました。

すかさず撮影し、もう1枚と思った時に飛んで行ってしまいました。

とっさに撮った写真ですが、思った以上によく撮れていました。

9/5 今日は、あいにくの雨だったのですが、雨の止んでいる間に散歩に出かけました。

また、パラパラと雨が降り出したのですが、そのとき、キオビツチバチのメスがヤブガラシの花に止まりました。

雨にぬれたキオビツチバチですが、黒色が濃く見えるので、黄色い斑紋が目立ちます。

2014/6/17

多摩川への途中で見かけたアカメガシワ。その雄花にいろいろな昆虫が集まっていました。

1匹のキオビツチバチのメスが盛んに採餌していましたが、そこにオスが現れました。

メスの周りを飛びながら様子を見ていましたが、メスの方は全く反応しません。

しばらくして、オスは諦めたのか飛び去りました。


オオハラナガツチバチ(Megacampsomeris grossa

<ハチ目・ハチ亜目・ツチバチ上科・ツチバチ科・ハラナガツチバチ亜科・アラメハラナガツチバチ属

ツチバチ科アラメハラナガツチバチ属のハチで、在来種。

平地や山麓に生息し、林縁部などでいろいろな花を訪花する。

日本では、本州から四国、九州、屋久島、南西諸島に分布する。

海外では、中国、台湾、東南アジア、インドに分布する。

発生時期は8月~10月で、メスは、成体で越冬する。

体長は、オスは20~25mm、メスは25~32mmで、メスが一回り大きい。

オスの胸部には淡黄褐色の毛が密生し、中胸背中央に点刻の疎らな部分はない。頭楯は黒色。

腹部の第1~第5背板後縁に5本の黄白色の帯があり、帯の前縁は波状になる。

ただし、第5背板の黄白色の帯は細く、消失するものもある。

第2~第4腹板後縁の帯紋は、両側のみ残り、中央部は消失する。

よく似たシロオビハラナガツチバチのオスより、触角の長さは有意に長く、前翅長の2/3ほどある。

メスの頭部、胸部に黄褐色の長毛あり、腹部第1~第3背板後縁に3本の白い短毛の列がある。

2012/8/23

ツルボの花で、採餌中のハラナガツチバチのメスを見かけました。

最初、キンケハラナガツチバチと思っていたのですが、後で、写真を見てオオハラナガツチバチと判断しました。

判断理由は、腹部の3本の毛帯です。キンケハラナガツチバチの毛帯は4本あります。


キンケハラナガツチバチ(Megacampsomeris mojiensis

<ハチ目・ハチ亜目・ツチバチ上科・ツチバチ科・ハラナガツチバチ亜科・アラメハラナガツチバチ属

ツチバチ科アラメハラナガツチバチ属のハチで、在来種。

平地や山麓に生息し、各種の花にやってくる。

日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。

海外では、朝鮮半島から中国、台湾、東南アジア、インドに分布している。

発生時期は4月~10月で、年1回の発生。メスは、成体で越冬する。

そのため、春先にもみられるが、多くは晩夏から秋に現れて、セイタカアワダチソウなどでよく見れらる。

体長は、オスは16~23mm、メスは17~27mmで、メスが一回り大きい。

オスの体色は黒色で、腹部には幅広の黄色帯紋があり、後縁には淡色の毛帯がある。

メスの体色は黒色で、頭部や胸部には黄褐色の長毛が密生する。腹部に帯紋はなく、黄褐色の毛帯がある。

また、触角の長さが雌雄で異なり、オスでは長く、メスでは短い。

コガネムシの幼虫に毒針で麻酔して、卵を産みつける寄生バチで、成虫は花の蜜を餌とする。

2013/10/9

多摩川への途中にある公園で、マーガレットコスモスで給餌中のキンケハラナガツチバチのメスを見かけました。

ヒメハラナガツチバチと混じっていましたが、明らかに毛の色が異なるので、一目で分かりました。

2014/6/27

多摩川への途中にある公園で、縁石に止まっているキンケハラナガツチバチを見かけました。

そこここを飛び回っているヒメハラナガツチバチより、個体数はかなり少なく、滅多に見かけません。

昨年に撮影した個体より、毛の色が少し淡い気がします。

2012/10/16

セイタカアワダチソウの花で採餌中のハラナガツチバチのメスを見かけました。

写真を撮ろうとしたとき逃げられましたが、近くのヤブガラシの葉に止まりました。

それを3方向から撮ったのがこの写真です。

毛の色からシロオビハラナガツチバチかなと思ったのですが、腹部の毛帯の前に黄白色の帯状紋が確認できません。

ということで、キンケハラナガツチバチと判断しました。翅を開いてくれていれば分かり易いのですが....

2013/5/14

多摩川の河川敷で、通路脇の地面の上を這いまわっているハラナガツチバチを見かけました。

卵を産み付けるコガネムシの幼虫でも探しているのでしょう。さかんにあちこち動き回っていました。

この個体も、腹部の毛帯の前に黄白色の帯状紋が確認できませんので、キンケハラナガツチバチをしました。


ヒメハラナガツチバチ(Campsomeriella annulata

<ハチ目・ハチ亜目・ツチバチ上科・ツチバチ科・ハラナガツチバチ亜科・ツヤハラナガツチバチ属

2012/8/23

2012/9/3

 ツチバチ科ツヤハラナガツチバチ属のハチで、在来種。

平地や山麓に生息し、各種の花にやってくる。

日本では、本州から四国、九州、屋久島に分布している。

海外では、朝鮮半島から中国、台湾、フィリピン、ジャワ、スマトラ、インドに分布する。

体長は、オスで15mm前後、メスで20㎜前後。成虫の出現期は5月~10月。メスは触角が短い。

土中に巣を作り、スジコガネ類やマメコガネ類などの幼虫に寄生産卵する。

メスは、翅の端が褐色になり、腹部に白い4本の帯模様があるが、毛帯のみで白斑はない。

オスは、腹部に5本の淡黄褐色の帯紋があり、毛帯はメスに比べると目立たない。

他のハラナガツチバチとの明瞭な違いは、胸部背に黄紋があることで、識別は容易。

 

8/23 ヒルガオの蜜を吸っているヒメハラナガツチバチのメスを、多摩川の土手で見かけました。

さかんにヒルガオの花の奥に頭を突っ込んで、蜜を採餌していました。

 9/3 多摩川に行く道端のヤマブドウとヤブガラシの花で、ヒメハラナガツチバチのオスを見かけました。

メスと比べると、一回り小型でほっそりしており、触角が長いのが特徴です。

また、胸部背面に黄色い紋があり、腹部背面にも黄色い帯紋があります。

2012/9/27

ツルボの花で採餌中のヒメハラナガツチバチのメスです。

花から飛び立った瞬間を捉えましたが、まるで標本が飛んでいるような写真になりました。

2013/7/17(メス)             2013/7/22(オス)

今年も、河川敷や途中の公園など、花の周りでよく見かけます。

河川敷は、除草されて花がほとんどないので、川縁のヤブガラシに多く集まっています。

こうやって並べると、触角の長さ(オスが長い)、胸部背面の黄色い模様(オスのみ)など、かなり異なります。

また、腹部の形状(オスはかなり細い)や大きさ(オス:15mm前後、メス:20mm前後)にも差があります。

2013/9/3

河川敷の川縁のヤブガラシの花で、ヒメハラナガツチバチのメスが給蜜していました。

そこにヒメハラナガツチバチのオスが飛んできてとまりましたので、ツーショットが撮れました。

オスとメスの大きさの違いがよく分かると思います。

2013/9/30                 2013/10/1

コスモスの花で食事中のメスとハツユキソウで食事中のオスです。

今年も活動期間はそろそろ終わりに近く、あと一月もすると冬眠に入り、見られなくなるでしょう。

2014/6/16

多摩川の河川敷で、ヒルザキツキミソウで給餌中のハチを見かけました。

全身、ヒルザキツキミソウの花粉だらけで、ハチの種類も良く分からないほどです。

後で写真を見て、メスのヒメハラナガツチバチとしました。