オシロイバナ科・スベリヒユ科・タデ科・ナデシコ科・ヒユ科・ヤマゴボウ科

ナデシコ目

  オシロイバナ科(オシロイバナ)

  スベリヒユ科(スベリヒユ、ハゼラン)

  タデ科(イヌタデ、オオイヌタデ、オオケタデ、ママコノシリヌグイ、アレチギシギシ)

  ナデシコ科(ムシトリナデシコ)

  ヒユ科(アカザ、シロザ、ヒナタイノコヅチ)

  ヤマゴボウ科(ヨウシュヤマゴボウ)


オシロイバナ(Mirabilis jalapa)

<ナデシコ目・オシロイバナ科・オシロイバナ属>

オシロイバナ科オシロイバナ属の多年草で、南アメリカ原産の帰化植物。

日本全国に分布し、海外でも南アメリカ、アフリカ、オセアニア、アジアに帰化している。

茎はよく枝分かれして灌木状となるが節がはっきりしていて、木質化はしない。全体にみずみずしい緑。

花期は7月~10月で、花は赤、黄色、白や絞り模様など。ただし、白と黄の絞りは少ない。

花は夕方開き、花筒が長いので、口吻の長い大型の夜行性鱗翅目でなければ吸蜜は困難である。

日本のオシロイバナでは、主にスズメガが吸蜜し、送粉に関わっている。

花弁はなく、花弁に見えるのはがくで基部は緑色でふくらんでいる。

また、花の根元にある緑色の萼のようなものは総苞である。

花が咲き終わった後、萼は基部を残して脱落し果実が、萼の基部に包まれたまま成熟する。

黒く熟した種子には粉状の胚乳があり、これからオシロイバナの名がついた。

根はいも状になり、暖地では冬に地上部が枯れてもこの地下部が生き残り次の年に根から芽を出す。

2012/8/20

多摩川に行く途中の道端で見かけました。

花色は、赤や白、黄色の単色、絞り模様のものがあります。

なお、実際には花のように見えているのは萼で、萼のように見えているものは苞です。

そして、花弁はありません。

2012/9/24

なかなか撮影機会のなかった黄色のオシロイバナを、やっと撮影できました。

多摩川に行く途中のどこにあるかは分かっていたのですが、散歩の時間帯には開いていないんです。

黄色に赤が少し入っているものと黄色のみのものがありました。

2012/10/16

オシロイバナを久しぶりに見ると、花もちらほらになり、種ができていました。

真っ黒で、直径は5mmほどで、完熟するとポロリと落ちます。

左の写真は、引っかかって落ち損ねた種です。


スベリヒユ(Portulaca oleracea)

<ナデシコ目・スベリヒユ科・スベリヒユ属>

スベリヒユ科スベリヒユ属の多年生で、在来種。

日本全土で見られ、海外でも熱帯から温帯にかけて広く分布している。

茎はよく分枝して地を這い、全体に無毛で、時に赤色や紫色をおびる。

葉は互生して多肉質で厚く、長さ15~25mmのへら状で基部はくさび形。

花期は7月~9月で、枝先に集まった数個の総苞状の葉の中心に数個の花が束生する。

花は陽が当ると開花し、暗くなると閉じるが、散りやすい。

花は直径6~8mmの黄い5弁花で、花弁は長さ3~5mmで軍配のような形をしている。

オシベは長さ12mm前後で7~12個あり、葯は黄色。メシベは1個で、柱頭は4~6裂する。

緑色の萼片は2個で、長さ3~5mmのヘルメット状で、先は鋭形。花後は大きくなって果実を包む。

果実は長さ5mm前後の蒴果で、熟すと上部が蓋のようにとれる蓋果(がいか)である。

種子は幅1mm前後のゆがんだ円盤形で、熟すと光沢のある黒褐色~黒色になり、表面は顆粒状。

※ 食用となり、全草を茹でて味噌和えなどにする。

リンゴ酸に由来する酸味があり、ぬめりのある独特の食感を持つ。

2012/9/3

多摩川に向かう道端で見かけました。河川敷では見かけません。

マツバボタンと同じ属ですので、葉が肉厚とか、花の形とか、何となく似ている気がします。

なお、スベリヒユは、健康食品として利用されるω-3脂肪酸を多量に含むことが知られています。

そのため、茹でたり、干したりして、山菜として扱われている地域もあるそうです。


ハゼラン(Talinum crassifolium Willd)

<ナデシコ目・スベリヒユ科・ハゼラン属>

スベリヒユ科ハゼラン属の多年草で、南米原産の帰化植物。

日本には明治時代に移入され、その後、逸出して野生化し、本州から四国、九州と分布を広げている。

海外では、メキシコ、カリブ海地域、西アフリカ、中米と広い分布域を持つ。

草丈は30~150cmで、茎は円形で、まばらに分枝する。全体に無毛。

葉は互生し、長さ5~12cmの楕円形。やや厚みのある多肉質で、全縁。

花期は6月~9月で、細長い花茎を立ち上げ、よく分枝する円錐花序に花を多数付ける。

花は直径6mm前後の5弁花で、花色は淡紅色~赤色で、萼片は早落性。

オシベは15~20個程度で、柱頭は3裂する。花柄は長くとも20㎜程。

本種が開花するのは午後の3時頃で、数時間でしぼむ。

そのためサンジソウ(三時草)やサンジカ(三時花)等の別名がある。

果実は蒴果で、直径3~5mmの球形で、3稜があり、熟すと3裂する。

2012/8/17

多摩川に向かう道端で見かけました。河川敷では見かけません。

大きな葉に、細いヒョロっとした花茎、小さな蕾らしきものがたくさん付いています。

ただ、花が咲いているところは見たことがありませんでした。

ある時、別の調べ物をしていて、ハゼランと分かりました。

その花は3時頃に開花し、夕方には萎んでしまうため、お昼の散歩時には、咲いていることがなかったのです。

2012/9/24

運よく、夕方近くに撮影するチャンスがあり、やっと、その花を見ることができました。

ピンクの5弁のかわいらしい花です。

この花や赤い蕾の付いている様が、線香花火の爆ぜているのに似ていることが名前の由来だそうです。

たしかに、茎を折って逆さまにすると、そんな風に見えなくもないですね。


イヌタデ(Persicaria longiseta)

<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>

タデ科イヌタデ属の一年草で、在来種。

日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。

海外では、朝鮮半島から中国、台湾、マレーシアに分布している。

草丈は20~50cmで、茎は赤味を帯びることが多い。

葉は互生し、長さ3~8cmの広披針~披針形で、先が尖り、基部は楔形。

葉の縁は全縁で縁毛があり、主脈上には伏毛がある。

花期は6月~10月で、長さ1~5cmの円柱状の総状花序に紅色の小花を多数付ける。

花被は淡紅色で5裂し、花後には紅色になって痩果を包んでの残る。花弁はない。

オシベは8個、花柱は3裂する。小苞は赤色で、長い縁毛があり、花の間から突き出る。

托葉鞘は長さが5~7mmの円柱状で、先に鞘と同じような長さの剛毛が付く。

痩果は3稜形で、長さ2mm前後。赤くなった花被に包まれたまま、黒く熟す。

2012/9/3

多摩川に行く途中の道端で、ところどころで花を付けていました。

写真は、比較的大きな株で、横に這うように枝を広げています。

そこから花穂が少し立ち上がって、小さな花(花弁に見えるのは萼で、花弁はない)を密に付けます。

花よりもその後に見られる真っ赤な果実の方が目に付くそうです。

その花や果実を赤飯に見立てた「アカマンマ」の別名を持ちます。

ちなみに、花が咲くまでのイヌタデは、和え物、炒め物、煮物や天ぷらで食べられます。

2012/10/24

多摩川の川縁で、イヌタデの大きな群生地を見つけました。

道端では複数の株が群生している事はありませんが、川縁では数十株が群生していました。


オオイヌタデ(Persicaria lapathifolia)

<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>

タデ科イヌタデ属の一年草で、在来種。

日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。

海外では、北半球の冷温帯・暖温帯に分布している。

草丈は80~200cmで、茎の下部は節が膨らみ、よく分枝する。

葉は互生し、長さ15~25cmの披針形で基部は楔形、縁毛があり、中央脈には伏毛がある。

花期は6月~10月で、長さ3~10cmの円柱状の総状花序に小花を多数付け、先が垂れる。

花被は白色~淡紅色で4~5裂し、花後にも痩果を包んでの残る。花弁はない。

オシベは6個、花柱は2裂する。托葉鞘は筒状膜質で、下部に太い脈が目立ち、縁毛は無い。

痩果は直径2mm前後の扁平な円形で、両面が少し窪む。果実は褐色~黒褐色。

2012/9/11

多摩川の川縁で花を付けていました。

写真は、上部のみが写っているため、大きさは分かりにくいですが、1m以上になります。

枝分かれは多く、そこから花穂をだします。花穂は10cmほどあり、先端は垂れ下ります。

花穂に淡紅色か白色の小さな花(花弁に見えるのは萼で、花弁はない)がびっしりと付きます。

2014/6/30                2014/7/8

以前、オオイヌタデが見られた川縁が、護岸工事で消滅してしまいました。

久しぶりに訪れると、河岸近くで白いイヌタデ属の花を確認しました。

ただ、大きさが貧弱で、白花のイヌタデなのか、オオイヌタデなのか区別が付きませんでした。

そこで、改めて近くを探したところ、立派な茎を見つけ、オオイヌタデと確認できました。

オオイヌタデ:茎には、濃紫色の斑点があり、節はふくれて赤味を帯びる。托葉鞘のふちに毛はない。

イヌタデ:茎は赤みを帯びていることが多く、節のふくらみはあまりない。托葉鞘のふちには長毛がある。


オオケタデ(Persicaria orientalis)

<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>

タデ科イヌタデ属の一年草で、インド、マレーシア原産の帰化植物。

全体に毛が多いことから付いた名前であるが、オオベニタデの別名がある。

日本では北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。

草丈は1~2m程になり、全体に毛が生えており、それが和名の由来になっている。

葉は長さ20㎝前後の広卵形で、先は尖り、基部は心形。葉裏には腺点があり、托葉鞘は長さ2㎝程。

花期は7月~10月で、枝先に長さ5㎝前後の総状花序をいくつか付け、淡紅色の小花を多数付ける。

花被は5裂し、8個のオシベは花被から少し飛びだす。痩果は直径3㎜程の球形で、黒く熟す。

2012/8/17

多摩川に行く途中の道端で、ポツンと1本だけ、花を付けていました。

1mを超える大きな野草ですが、その先端に10cmほどの花穂が付き、花自体は数ミリほどです。

オオベニタデとオオケタデに関しては、別名としている記載と、別種と記載している物があります。

両者を比較したことはないのですが、大学の研究室の記載に従い、別名としています。


ママコノシリヌグイ(Persicaria senticosa)

<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>

タデ科イヌタデ属の1年草で、在来種。

日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。

海外では、朝鮮半島、中国、台湾、ロシアに分布する。

赤色を帯びた茎はよく分枝して1~2mになり、茎は葉柄には下向きの刺を細毛がある。

葉は互生し、長さ3~6cmの長三角形で、先は尖り、全縁である。葉質は薄く、裏面脈上に逆刺がある。

葉柄は長く逆刺があり、葉鞘は膜質で短く、縁は緑色となって腎形となり茎を抱く。

花期は5月~10月で、葉腋から花茎を伸ばし、先で分枝して頭状花序を付ける。

花序には10個前後の花が付き、花序の下には腺毛がある。

花被は紅色を帯び、5深裂して裂片は長さ3㎜ほどの楕円形である。

オシベは8個、メシベは1個で、花後、花被は長さ4~5㎜となって果実を包む。

果実は上端がやや尖り、長さは3mm前後になる。

2012/6/25

以前から気になっていましたが、やっと花を咲かせてくれました。

非常に小さな花ですが、ピンクのグラデーションがきれいな花です。

しかし、茎には鋭い棘があり、迂闊には触れません。

2枚目の写真では見にくいですが、茎にびっしり棘が下向きに付いています。

そのとげがあるため、ママコノシリヌグイなどという、ありがたくない名前をもらってしまったようです。

こんな茎でお尻をなでられたら...想像するだけで目を覆いたくなりますね。

2012/9/4

ママコノシリヌグイですが、まだ、次々と花を咲かせています。

ずいぶん花期の長い花です。

2012/10/27

いつもの散歩コースより10kmほど上流の河川敷で見かけたママコノシリヌグイです。

たくさん集まって花を咲かせていましたが、その中に白花が混じっていました。

花が白いだけで、茎や葉などは特に変わったところがないので、白変種と思われます。

絡み合っているので、1株だけなのか、複数株なのかは分かりませんが、極一部のみで見られました。

※ 白変種は、全体の色素が出来ずに白くなるアルビノとは異なります。

ヤハズエンドウ(カラスノエンドウ)ユウゲショウの白変種を見たことがあります。


アレチギシギシ(Rumex conglomeratus)

<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・ギシギシ属>

タデ科ギシギシ属の多年草で、ヨーロッパ原産で帰化植物。

日本では、1905年(明治38年)に横浜で発見されて以降、関東を中心に全国に広がっている。

草丈は40~120cmになり、茎はしばしば紫紅色を帯びて直立して細く、見た目は弱々しく見える。

根生葉は花期にはなく、茎葉は互生し、長さ10~30cmの長楕円形~披針形で、長い柄がある。

縁は細かく波打ち、基部は円形~浅い心形で、先は鋭頭。上部の葉ほど小さくなり、苞葉となる。

花期は6月~7月で、花茎は分枝して、節間が長く、節毎に多くの花を輪生する。雌雄同株。

花は、外花被3個、内花被3個、オシベ6個、メシベ1個からなる。なお、花柄(果柄)には節がある。

内花被片は長さ2~3mmの長卵形で、花後、痩果を包み込む。

その内花被片は全縁で、中央の瘤状突起の大きさは同じで、赤みを帯びることが多い。

2013/7/3

多摩川の除草されてなにもない土手の則面で、緑と暗赤褐色のコントラストがきれいな葉を見つけました。

葉の出方から、ギシギシかスイバの仲間と推測されましたが、葉しかないので区別できませんでした。

後でいろいろと調べた結果、葉に暗紫色の葉脈が見られるのは、アレチギシギシと分かりました。

葉以外は確認できていないので、断定はできませんが、ほぼ間違いはないと思われます。

アレチギシギシの花

2021/5/14               2021/5/14                2021/6/5

実家近くの川岸で見かけたアレチギシギシの花と果実です。


ムシトリナデシコ(Silene armeria)

<ナデシコ目・ナデシコ科・マンテマ属>

ナデシコ科マンテマ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。

日本では北海道から四国、九州と全国に広く分布する。

海外でも、温暖な地域に広く分布する。

草丈は50cm程になり、葉は対生し、広披針形で基部は茎を抱く。

花期は5月~8月で、茎の頂部に円錐花序を出し、紅紫色の5花弁の花を密生させる。

花弁は平開し、先は浅く2裂する。

花弁の付け根に1対の鱗片があり、花の中央で立ち上がって飾りのようになっている。

萼は紅紫色の筒状で、15mmほどある。オシベは10本あり、メシベは1本で花柱は3裂している。

茎上部の葉の下部に粘液が帯状に分泌されて、薄茶色になっている部分がある。

この部分に小昆虫が捕えられることがあるが、食虫植物ではないので消化吸収されることはない。

和名は、この小昆虫が捕えられることに由来するものである。

2012/8/20

多摩川へ行く道端で見かけました。

周りに何もないのに花色が目立つので、弥が上にも目を引きます。

茎上部の葉の下から粘液が出るらしいので、確認しようとしたのですが、既に除草された後でした。

2012/10/29

多摩川に行く途中の道端で、ムシトリナデシコが咲いているのに気が付きました。

以前、確認できなかった茎の上部から分泌される粘液(茎の褐色になっている部分)を確認する事ができました。


アカザ(Chenopodium album var. centrorubrum)

<ナデシコ目・ヒユ科・アカザ亜科・Chenopodieae連・アカザ属>

ヒユ科アカザ属の1年草で、在来種。

日本では北海道から本州、四国、九州と全国に分布し、海外では朝鮮半島や台湾に分布する。

通常は、茎は直立して縦に筋があり、数多く分枝し、草丈は60~150cmになる。

茎は秋には太くなり、木質化して硬くなるため杖として使われ、最高級品とされる。

葉には柄があり、下部では長さ3~6cmの三角状卵形で不揃いな鋸歯がある。

上部では長さ2~7cmの長卵形~披針形で、縁には歯牙があるが、形状や鋸歯の有無には変異が多い。

若葉では基部に赤い粉状の毛があるが、成長すると赤味が無くなり、シロザと区別が難しくなる。

花期は9月~10月で、茎先や葉腋から穂状の花序に多数の花を付ける。

5浅裂した黄緑色の花被片は長さ1mm前後の楕円形で、中肋は膨れて稜となり、縁が白い。

花被片は、花後に大きくなって果実を包み込み、果期には赤みを帯びる。

アカザは、野菜として栽培されていたこともあり、仲間のホウレンソウのような味で食用となる。

ただし、ホウレンソウ同様シュウ酸を多く含むため、茹でて水にさらす必要がある。

2013/6/11

多摩川に向かう途中の道端で、ピンクの粉を吹いたような個体に出会いました。

アカザの紅紫色ほどではないですが、シロザの白とも異なります。

一般的には、このような個体もシロザに分類されるそうですが、取りあえず、アカザとしておきます。

残念ながら、この後すぐに除草されてしまい、後が追えませんでした。


シロザ(Chenopodium album)

<ナデシコ目・ヒユ科・アカザ亜科・Chenopodieae連・アカザ属>

ヒユ科アカザ属の1年草で、史前帰化植物とされる。

インド原産で、中国を経由して、日本には古い時代に帰化したという説がある。

日本では北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。

海外では、ユーラシア大陸に広く分布する。

通常は、茎は直立して数多く分枝し、草丈は60~150cmになる。

しかし、生育条件によっては基部で分枝して斜上し、草丈が数十cmにしかならないものもある。

葉には柄があり、下部では長さ3~6cmの三角状卵形で不揃いな鋸歯がある。

上部では長さ2~7cmの長卵形~披針形で、縁には大小の歯牙がある。

ただし、葉の形状や鋸歯の有無、形状には変異が多い。

若葉では両面に白い粉状の毛があるが、成熟すると上面は緑で、下面のみに毛が残って白っぽくなる。

花期は9月~10月で、茎先や葉腋から穂状の花序に多数の花を付ける。

5浅裂した黄緑色の花被片は長さ1mm前後の楕円形で、中肋は膨れて稜となり、縁が白い。

花被片は、花後に大きくなって果実を包み込む。

2013/5/31

多摩川の土手下の通路脇で、まだ、背の低いシロザを見かけました。

若葉の表面に白っぽい粉が吹いたように見えるのが特徴です。

2013/7/1

河川敷のシロザは除草されてしまいましたが、多摩川への途中の公園で、大きくなったシロザを見かけました。

大きくなっても、若葉の表面は、白っぽい粉が吹いたように見えます。


ヒナタイノコヅチ(Achyranthes bidentata var. fauriei)

<ナデシコ目・ヒユ科・ヒユ亜科・イノコヅチ属>

ヒユ科イノコヅチ属の多年生草本で、在来種。

日本では北海道の一部、本州、四国、九州に分布する。海外では中国に分布する。

草丈は50~100cmで、肥厚した太い根があり、茎の断面は四角形で、節で対生に分枝する。

節の部分はやや膨らみ、ときに紅紫色を帯びる。

なお、この膨らみをイノシシ(猪[いのこ])の膝頭に例えたのが和名のイノコヅチとされているが、他説もある。

また、イノコヅチ(ヒカゲノイノコヅチ)に対して、日当たりの良い場所を好むので「ヒナタ」を冠している。

葉は対生し、葉身は長さ5~12cmの惰円形で厚く、先が尖り、縁が波打ち捻じれることが多い。

葉の両面に絹毛状の毛が多く、葉裏は白っぽく見える。

花期は8月~10月で、茎の枝先に穂状花序を付け、小花を集密して付ける。

花は直径6mm前後で、花弁はなく、長さ5mm前後の淡緑色の5個の萼片のみのため目立たない。

オシベ5個の花糸の間に、淡黄色の四角形の仮オシベがあり、不整歯牙状になる。メシベは1個。

花後、花軸が伸びて、果実は萼片に包まれ、下向きに花軸に圧着する。

萼片の外側に鋭く尖った小苞が2個あり、これで人や獣に付着して、種子が散布される。

2012/8/20

多摩川の土手や河原の草むらで見かけました。

毛が非常に多い茎は太くて紫色を帯び、枝先に穂状の花序を出し、緑色の花を密に付けています。

なお、果実はくっ付き虫の1つで、基部にある2本の刺状の小苞が刺さるようにして服などに付きます。


ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)

<ナデシコ目・ヤマゴボウ科・ヤマゴボウ属>

ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の多年草で、北アメリカ原産の帰化植物。

アメリカヤマゴボウの別名を持つ。有毒植物で、全草が有毒で、根や種子の毒性が高い。

日本全国に分布し、海外でも南アメリカ、オーストラリア、アジアに帰化している。

草丈は1~2mで、茎は太く、赤色を帯びて平滑である。

葉は互生し、長さ10~30cmの長楕円形で、先が尖り、全縁。葉柄は1~4cm。

花期は6月~10月で、長さ10~30cmの総状の花序が垂れ下がる。

花は直径5mm前後で、白色~淡紅紫色。花弁はなく、花弁に見えるのは萼である。

オシベは10個、子房の心皮も10個ある。果実は直径6~8mmの扁球形で、果柄は果実より長い。

果実には種子が10個入り、熟して黒紫色になる頃には、膨れて境目が不明瞭になる。

熟した果実は柔らかく、潰すと赤紫色の果汁が出て、衣服や皮膚に付くとなかなか落ちない。

この特性のため、アメリカ合衆国ではインクベリー(Inkberry)などと呼ばれている。

2012/8/20

多摩川に行く途中の道端で見かけました。1m以上になるので、弥が上にも目立ちます。

まだ、種子は熟していないので緑色ですが、熟すと毒々しい黒褐色になります。

熟した果実は柔らかく、つぶすと赤紫色の果汁が出てきて、これが付くと服でも皮膚でもなかなか取れません。

そのため、原産国のアメリカでは、着色料として利用されていた時期があるそうです。

ヨウシュヤマゴボウは、全草が有毒植物であり、毒性は、果実(種)、葉、根の順に強くなります。

なお、名前にヤマゴボウが付いていますが、山菜として売られている「山ごぼう」とは無関係です。

「山ごぼう」は、アザミの一種であるモリアザミの根ですので、毒性はありません。

2012/10/4

ヨウシュヤマゴボウの実も、完熟している実が増えてきました。

種をつぶさなければ果肉は食べられるという話は聞きます。

しかし、見た目はブルーベリーの実に似ていますが、種が有毒だけに食べる気はしません。

実際問題、ブルーベリーと間違えての誤食や、名前から市販の「山ごぼう」と誤認しての根の誤食があるそうです。

厚生労働省のサイトには、根の誤食による事故例が紹介されており、やはり、手は出さない方が良いようです。

2014/6/19

ヨウシュヤマゴボウが、ちょうどか花序を伸ばして花を咲かせ始めた所です。

上の咲き終わりに近い花と比べると、なんとなく初々しさを感じます。