オトギリソウ科・コミカンソウ科・トウダイグサ科

キントラノオ目

  オトギリソウ科(ビヨウヤナギ、キンシバイ、タイリンキンシバイ)

  コミカンソウ科(コミカンソウ、ナガエコミカンソウ)

  トウダイグサ科(アカメガシワ、エノキグサ、コニシキソウ、ショウジョウソウ)


ビヨウヤナギ(Hypericum monogynum

<キントラノオ目・オトギリソウ科・オトギリソウ属>

2013/5/24                 2013/5/30

オトギリソウ科オトギリソウ属の半落葉低木で、中国原産の帰化植物。

北海道南部から本州、四国、九州で植栽として利用されており、逸脱して野生化している所もある。

背丈は1m程度にしかならず、葉は無柄で対生する。

花は6~7月に枝先に集散花序をつけ、5弁の黄色い花を見せる。

また、多数のオシベがゆるくカーブしながら多数立ち上がり、花弁よりも長く伸びる。

キンシバイとよく似ているが、全開時に花弁が下垂し、オシベが花弁より長い点で区別できる。

また、セイヨウキンシバイ(ヒペリカム・カリシナム)とも特徴がよく似ているが、

背丈が半分ほどにしかならない点、オシベがほぼ真っ直ぐに伸びる点で異なる。

 

多摩川へ行く途中の公園の一角に、ちょっとした群落をつくっています。

今年も、5/24の時点で、その特徴的な花が少し咲き始めました。

その1週間後の5/30には、ほぼ満開になり、その一角を黄色く染めていました。

2013/6/18

ビヨウヤナギの花はまだ咲き続けています。

アップの写真では、オシベの長いところがよく分かると思います。


キンシバイ(Hypericum patulum)

<キントラノオ目・オトギリソウ科・オトギリソウ属>

オトギリソウ科オトギリソウ属の半落葉低木で、中国原産の帰化植物。

本州以西で植栽として利用されており、逸脱して野生化している所もある。

背丈は1m程度にしかならず、葉は無柄で対生する。

花は6~7月に集散花序をつけ、5弁の梅花形の黄色い花を見せる。

ビヨウヤナギとよく似ているが、花弁の形やオシベが花弁より長くならない点で区別できる。

また、園芸品種のタイリンキンシバイと比較すると、花が小さく、花弁が全開にはならない。

また、葉の付き方が、本種は二裂対生なのに対して、タイリンキンシバイは十字対生になる。

2014/6/19

多摩川への道路脇の公園で、タイリンキンシバイの近くで見かけました。

当初、タイリンキンシバイをキンシバイだと思い込んでいたので、このとき、間違いに気付きました。

両者は、花の大きさが異なる以外、花の見た目の違いがあまりありません。

良く見ると、花の開き方や葉の付き方に違いがあります。詳しくは、下記のオトギリソウ属の比較表を参照ください。


タイリンキンシバイ(Hypericum patulum cv. Hidcote)

<キントラノオ目・オトギリソウ科・オトギリソウ属>

オトギリソウ科オトギリソウ属の半落葉低木で、キンシバイの園芸品種。

キンシバイに良く似ているが、葉も、花も大きく、花弁の黄色みが強い。

また、葉の付き方もキンシバイが2列対生なのに対し、本種は十字対生になる。

花も、本種は平開するが、キンシバイはそこまで大きく開かない。

樹高は60~100cmで、茎を叢生させ、枝が垂れ下がる。

葉は十字対生し、長さ4~8cmの狭長楕円形で全縁、両面無毛である。

花期は5月~7月で、花は直径8cm前後の黄色い5弁花で、ほぼ平開する。

花弁の先は浅く切れ込み、オシベは5群に分かれて多数付く。長さは花弁の長さの半分以下。

 

2013/5/29

多摩川への道路脇の公園で、ビヨウヤナギの近くで見かけました。

ビヨウヤナギより、花の形は整っているのではないかと思います。

当初、本種がキンシバイだと思い込んでいたのですが、別の公園でキンシバイを見かけ、間違いに気付きました。

両種の違いに関しては、下記のオトギリソウ属の比較表を参照ください。

2014/6/19

タイリンキンシバイのツボミ、開花、若い果実です。

タイリンキンシバイは、花弁をほぼ平開近くまで開きます。

オトギリソウ属の比較


コミカンソウ(Phyllanthus urinaria)

<キントラノオ目・コミカンソウ科・コミカンソウ属>

コミカンソウ科コミカンソウ属の一年草で、在来種。別名をキツネノチャブクロという。

日本では、本州から四国、九州に分布する。

海外では、朝鮮半島から中国、ジャワ島、スリランカ、インド東部に分布する。

草丈は40cm程になり、直立茎は紅色を帯びる。そこから分枝のない小枝を横に出す。

小枝には、左右二列に分かれて密に互生し、小枝は羽状複葉の様を呈する。

小枝の葉は、就眠運動を行い、夜になると二列が上向きに閉じる。

花は単性で、7月~10月に小枝の中央より先に雄花、中央より基部に雌花を付ける。

果実は、直径3mm程の潰れた球形で、熟すと赤っぽいミカンのような形状になる。

それが本種の名前の由来でもある。

2013/10/3

多摩川への道路脇で、以前からどのような花が咲くのかと気になっていた野草が、大変身していました。

小枝にたくさんの果実を付けており、その果実を見て、コミカンソウであったことに気がつきました。

コミカンソウの花は、直径1mmに満たない非常に小さな花ですので、良く見ないと分かりません。

まだ、小枝の先の雄花が咲き残っていましたが、花と言われなければ気が付かないでしょう。

果実は、熟したものは朱色に近い色ですが、未成熟なものは黄色っぽく、ミカンを思わせる色と形です。

2014/11/17

昨年見かけたコミカンソウを、もっと早い時期に撮影しようとしたのですが、夏には見かけませんでした。

秋になって、通りかかった時、小さなコミカンソウがたくさん生えているのに気が付きました。

夏に見かけなかったのは、除草されたためと思われ、その後発芽したもののようです。

数は多いのですが、高さが10cmにも満たない小さなものが大半です。

道路際で、少し大きめ(といっても20cmもありませんが)ものを見つけて、撮影しました。

昨年より撮影時期が遅いためか、オレンジと言うよりは赤に近い色をしています。


ナガエコミカンソウ(Phyllanthus tenellus)

<キントラノオ目・コミカンソウ科・コミカンソウ属>

コミカンソウ科コミカンソウ属の一年草で、アフリカおよびインド洋のマスカレーヌ諸島が原産の帰化植物。

日本では、本州の関東以南に分布する。元々は、温室などで繁殖していたものが逸脱したと思われる。

原産地では、木本状にまで成長するようですが、本州では越冬できず、1年草になっている。

葉は、互生し、2cmほどの卵形で短い葉柄があり、全縁で両面無毛です。

葉腋に、直径が2mmにも満たない、花被片が5枚の淡緑色の小花を咲かせる。

雄花と雌花が同居するが、雌花の方が花柄は長い。

果実も直径2mmほどの扁球状で、葉の上に乗るように生る。

2014/7/18

多摩川への道路脇で、ハギの葉のような草本が数株密集していました。

良く見ると、ツボミのようなものが、葉の上に乗っかっていました。

そのため、開花はまだ先と思い、取りあえず写真に撮り、後で調べることにしました。

写真を拡大して、誤解していることが分かりました。ツボミと思ったのは果実です。

そして、目立たない淡緑色の花を咲かせていたのです。

果実の形状等からコミカンソウの仲間と判断して探したところ、本種と分かりました。

2014/7/22

左の葉腋に付くように咲いている、白く縁取られた淡緑色の花被片の花が雄花です。

右の葉腋から長く突き出た花柄の先に付いているのがナガエコミカンソウの果実です。

葉の上の果実は、かなり大きくなっていますが、右の茎に沿っている方は、子房が膨らみ始めたばかりのようです。

コミカンソウと違い、ナガエコミカンソウの果実は、緑色でツルっとしています。


アカメガシワ(Mallotus japonicus)

<キントラノオ目・トウダイグサ科・エノキグサ亜科・エノキグサ連・アカメガシワ属>

2014/6/10             2014/6/10             2014/6/17

トウダイグサ科アカメガシワ属の落葉高木で、在来種。雌雄異株。

日本では、本州から四国、九州の山野に自生し、空き地などに真っ先に生えてくるパイオニア植物。

日本以外では、東南アジアの山野に分布する。

和名は、新芽が紅色を帯びること、そして、その葉が柏のように大きくなることに由来する。

樹高は5~15mで、幹は灰褐色で、縦の網目となる。

葉は互生し、葉柄は紅色を帯び、長さは10~20cm、葉身も同様、葉幅は5~15cm程でかなり大きい。

初夏に枝先に円錐花序を出し、花弁のない小さな花を多数付ける。

雄花は、苞の脇に数個ずつ付き、多数のオシベが球状に付く。

雌花は、苞の脇に1個ずつ付き、子房には刺状の突起がある。

 

多摩川への道路脇の公園で、雄花をたくさん付けている本種を見つけました。

蜜を求めて、ハチやアブ、ハナムグリなどがたくさん集まっていました。

花の形から、この個体は雄株で、咲いているのは雄花と分かりました。

2014/11/12

新芽が赤くなるアカメガシワですが、時間と共に青々とした葉になっていました。

それが、11月になると黄色に染まり始め、見事な黄葉を見せてくれていました。

2015/4/21

4月も下旬になると、新芽が伸び出し、名前通りの真っ赤な新芽を見せていました。

2015/5/13           2015/5/20           2015/5/20

5月中旬になると、葉の赤みも薄れ、雄花の花序が伸び出していました。

それから1週間で、花序は大きく伸び、雄花も大きく膨らんできました。

昨年同様、6月に入る頃には咲きだすものと思います。

アカメガシワの雄花と雌花

       雌株              雌株              雄株

         雌花                  雄花

2014/7/26

牛久の谷津田を取り囲んでいる雑木林で、見かけたアカメガシワです。

こちらの方では、まだ、雄株の開花が始まったばかりで、多摩川とは1ヶ月以上の季節の差があるようです。

多摩川の方では見つけられなかった、アカメガシワの雌株が数本固まって生えていました。

雌花と雄花の形状に大きな違いがあることが分かります。

アカメガシワの雌花の柱頭は、上段のように淡黄緑色のものが一般的です。

しかし、下段のように赤味を帯びた個体もあります。

私が見かけた雌花は、どういう訳か赤味を帯びたものばかりで、それが普通だと思っていました。

上段の淡黄緑色の個体を見たとき、こんな色の雌花もあるのだ、珍しいと思いました。

が、前述の通り、この淡黄緑色の個体が一般的なものだと知り、二度びっくりでした。

ちなみに、この2個体は、河川敷の20mほど離れたで場所で見たものです。


エノキグサ(Acalypha australis)

<キントラノオ目・トウダイグサ科・エノキグサ亜科・エノキグサ連・エノキグサ属>

トウダイグサ科エノキグサ属の一年草。

日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国で見られる1年草。

海外では、東南アジアから東アジアにかけて分布する。

草丈は50cm程までになり、葉は互生する。

上部に穂状の雄花が付き、その基部に総苞に包まれた雌花が付いている。

雄花の花被は4裂し、オシベは8個ある。雌花の花被は3裂し、花柱は3本で先が細かく裂ける。

2012/9/6

多摩川への道端や河川敷の土手で見られます。

花序は葉腋から出て、苞葉から突き出た穂状の花序に小さな雄花を多数付けます(写真左)。

その苞葉の基部にある瘤のようなものが雌花です(写真右)。

下段左の写真で、中央に写っている花序ですが、花序の先端にも雌花が付いています。

根元にも雌花があり、この位置に付くのが本来の姿です。

このような花序は、これ1本だけで、他では見たことがないので、奇形なのでしょうか。


コニシキソウ(Chamaesyce maculata)

<キントラノオ目・トウダイグサ科・トウダイグサ亜科・トウダイグサ連・トウダイグサ属・ニシキソウ亜属>

トウダイグサ科トウダイグサ属ニシキソウ亜属の一年草で、北アメリカ原産の帰化植物。

日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国で見られる。

海外でも、東アジアやニュージーランドに帰化している。

草丈は2~10cmで、地を這って広がるが、立ち上がることもある。

茎や葉など全体に白い軟毛が多く、全体が白っぽく見える。

葉は対生し、長さ6~20㎜ほどの楕円形で、左右非対称。

葉の中央に黒紫色の斑紋があることが多い。縁には低い鋸歯があり、葉裏には白毛が密生する。

花期は6月~9月で、花序は単生あるいは群生し、各々の花序は杯状花序である。

苞葉が変化した杯に4個の黄褐色の腺体が付き、淡紅色の付属体4個が花弁のように付く。

退化により雄花はオシベのみに、雌花はメシベのみになっている。

雌花1個に雄花が4~5個付き、3個の花柱の先は2裂する。

雌性先熟で、雌性期にはメシベが伸び出し、受粉結実後、果実が倒れこみ、雄性期に移行する。

雄性期に入ると、オシベを伸ばして花粉を出すすとともに、腺体が成長し表面に蜜を出す。

よく似た下記のニシキソウ亜属とは下記により判別できる。

・ニシキソウの果実にはしわも毛もなく、葉裏に毛がない。

・コニシキソウの果実は全面に伏毛が生え、葉表の中央に暗紫色の斑紋がある。

・ハイニシキソウには稜に沿って直毛が生え、あまり曲がらない。葉裏に毛がない。

・アレチニシキソウの果実は稜の毛が長くて曲がり、葉裏に伏毛が密生する。

・コバノニシキソウは全体に無毛で、蒴果も無毛。葉は全縁。

2012/9/10

多摩川への道端で大きな株がいくつも見られます。

写真の通り、四方八方に地面を這うようにして広がります。

葉には暗紫色の斑紋がありますが、ないものもあります(中央の写真)。

また、茎を切ると白い汁がにじみ出てきます。

花など咲いていないように見えるのですが、葉の付け根あたりに花序を付けています。

カップ状の総包が花弁のように見えます(左端の写真のピンクや白のU字状のもの)。

その内側にオシベのみの雄花と、その中央にメシベのみの雌花がありますが、小さ過ぎて見えていません。

そして、全体で1つの花のようになっており、非常に特殊化した雌雄異花の草本です。


ショウジョウソウ(Euphorbia heterophylla var. cyathophora)

<キントラノオ目・トウダイグサ科・トウダイグサ亜科・トウダイグサ連・トウダイグサ属>


2013/7/3            2013/11/13           2013/11/13

トウダイグサ科トウダイグサ属の一年草で、北アメリカ南部、ブラジル原産の帰化植物。

国内分布は不明であるが、耐寒性がないとはいえ、少なくとも関東平野では繁殖しているようである。

草丈は30~100cmに成長し、葉は長卵形または中央のくびれたバイオリン型で互生する。

茎の上部に葉が集まって苞状となり、その中心に、雌雄異花の小花が集まった杯状花序を作る。

花期には、花の周囲の苞や葉が、全体か一部が赤色に変わる。

 

多摩川への道路脇の民家の隙間に生えている本種を見かけました。

7月に見た時には、背も低く、小さな株でしたが、11月には大きな株になっていました。

2015/10/27

今年もショウジョウソウが大きく育ち、花の周りに赤い葉を展開していました。

トウダイグサ科の花は、特殊なもので、1つの花のように見えるものが杯状の1つの花序です。

そして、その中から横に飛び出しているのが雌花で、大きな子房とその先に3裂した花柱があるのみです。

雄花は、1個のオシベのみで、雌花同様に萼片も花被片もない無花被の花です。

杯状花序から、1個の雌花と複数の雄花が飛び出しているので、1つの花序が1つの花のように見えます。

なお、杯状花序には、たらこ唇のような腺体が1個あり、蜜を供給しています。