ミズキ目
アジサイ科(カシワバアジサイ、ヒメウツギ)
ミズキ科(サンシュユ、ハナミズキ、ヤマボウシ)
ムクロジ目
センダン科(センダン)
ミカン科(サンショウ、ナツミカン)
ムクロジ科(イロハモミジ)
カシワバアジサイ(Hydrangea quereifolia)
<ミズキ目・アジサイ科・アジサイ族・アジサイ属・アジサイ節・アメリカノリノキ亜節>
北アメリカ東部原産のアジサイで、栽培種。
樹高は2~3mであるが、原産地では8mに達するものも見られる。
地下に出走枝を伸ばして群生する。若枝は樹皮が淡褐色のフェルト状で、古くなると薄片状に裂ける。
葉は対生し、長さ10~30cmで3~7個の尖った裂片があり、大きいものは柏状の葉形になる。
葉表は黄緑色~暗緑色で、葉裏は銀白色になる。秋には黄色~赤色に黄葉する。
花期は5月~7月で、枝先に長さ15~30cmの円錐花序を出し、多数の花を付ける。
花は、初期には緑色を帯びているが徐々に白色になる。その後、紫色を帯び、赤さび色になって残る。
原種では、外側に大きな装飾花を多数付け、内側に小さな両性花を付ける。
園芸品種は装飾花だけのものが多く、八重咲きの品種もある。
日本でよく植栽されているのは八重咲きの Snowflake であるが、一重の Snow Queen もある。
同じ八重咲きでも、装飾花が多くて花序が大きな Harmony もある。
2015/5/21
多摩川への道路脇の公園で、八重咲きのカシワバアジサイが大きな花序を付けていました。
一重咲きのものと比べて、かなりのボリューム感があります。
ヒメウツギ(Deutzia gracilis)
<ミズキ目・アジサイ科・ウツギ属>
アジサイ科ウツギ属の落葉低木で、日本固有種。
日本では、本州の関東以西から四国、九州に分布する。
樹高は50~150cmで、幹は灰褐色で古くなると樹皮が縦に短冊状に裂ける。
葉は対生し、長さ4~8cmの長楕円形で、基部は円形、先は長く尖り、縁には細かい鋸歯がある。
葉表には星状毛がまばらに生え、葉裏は無毛で艶があり、葉表より白っぽい。
花期は4月~5月で、枝先に円錐花序を出し、下向き加減に直径15mm前後の白花をたくさん付ける。
花弁は5個で長さ7~10mm。オシベは10個で、長さは4~9mmと不揃い。
花糸は翼状に広がり、先端がやや長く伸びる。花柱は3~4個ある。
萼は筒部の長さが2mmほどの半球形で、萼片は三角形。
2014/4/18
多摩川への道路脇で、ヒメウツギがたくさん花を付けていました。
花はそれほど大きくはありませんが、多くの花が一斉に開花するので、見栄えは良いです。
そのため、公園などで植栽として植えられているのをときどき見かけます。
サンシュユ(Cornus officinalis Sieb. et Zucc.)
<ミズキ目・ミズキ科・サンシュユ属>
ミズキ科サンシュユ属の落葉小高木で、中国及び朝鮮半島が原産の帰化植物。
江戸時代に移入され、薬用植物として栽培されたが、観賞用にも利用されている。
樹高は3~10mで、幹は灰黒褐色で薄くはがれ、はがれた所は淡褐色になる。
葉は対生し、葉身は5~10cmの卵状楕円形で、縁は全縁。葉先が尾状に尖る。
6~7対の側脈が、湾曲しながら主脈にほぼ平行して伸び、良く目立つ。
花期は3月~5月で、葉の展開前に黄色い小花をたくさん付ける。
花弁は4個あるが反り返るため、オシベとメシベだけに見える。
果実は長さ12~20mmの惰円形の核果で、秋に赤色~紫赤色に熟す。
真っ赤に熟した実はおいしそうに見えるが、渋くて食用には向かない。
ただし、完熟すると渋みが抜けて、甘酸っぱいとの情報もある。
種を除いて乾燥させた果肉(偽果)は、「山茱萸」の名で生薬として利用される。
なお、「山茱萸」を音読みしたのがサンシュユで、訓読みだとヤマグミになる。
2013/3/6
多摩川への道路脇の民家で、サンシュユがたくさん花を付けていました。
秋には、真っ赤に熟した実を付けるそうですが、渋くて食用には向かないとのことです。
なお、種を除いて乾燥させた果肉(偽果)は、「山茱萸」の名で生薬として利用されるそうです。
そのため、偽果の色からヤマグミ、アキサンゴの別名、
早春に黄色い花を付けることからハルコガネバナの別名があります。
2013/5/14
3月には、花だけをたくさんつけていたサンシュユですが、花後、大きな葉が茂っています。
果実がなっていないか探してみたのですが、見つけられませんでした。
なお、葉裏に見える茶色い染みのようなものが、毛叢(もうそう)と呼ばれる長くて柔らかい毛の集まりです。
サンシュユの花と果実
2018/3/21 2018/10/29
実家の庭にもサンシュユの樹があり、その花と秋に赤く熟した果実の拡大写真です。
ハナミズキ(Benthamidia florida)
<ミズキ目・ミズキ科・ミズキ亜科・ヤマボウシ属>
ミズキ科ヤマボウシ属の落葉小高木で、北アメリカ原産。アメリカヤマボウシの別名を持つ。
庭木や街路樹として利用されることが多い。
1912年にワシントンD.C.へソメイヨシノを送った返礼として、1915年に送られたのが始まり。
樹高は5~10mで、樹皮は灰黒色。成長が比較的遅く、自然に樹形は整う。
葉は対生し、枝先に集まって付く。葉身は8~12cmの楕円形で葉脈が目立ち、縁は波打ち葉先は尖る。
裏面は粉白色を帯び、短い伏毛が密生し、脈腋には毛叢(もうそう)がある。
花期は4月下旬~5月上旬で、白と淡いピンクの花を付けるが、花弁に見えるのは総苞。
4個の苞の真ん中に見えるのが花序で、直径5mmほどの黄緑色の4弁花が多数集まって付く。
花後には苞が落ちて果実が付き、秋には真っ赤に熟す。また、葉も秋には紅葉する。
2012/4/19
多摩川の道路脇で街路樹として植えられている白とピンクのハナミズキです。
中心部の花序の拡大写真を見ると、黄色の4枚の花弁を持つ花だと分かります。
2014/5/28
花後、果実が大きくなっていました。
ヤマボウシとは異なり、個々の果実が独立して放射状に付いています。
2016/4/5
今年もハナミズキがほころび始めました。花を包んでいた苞も、まだ緑色を帯びています。
中央にある花も、まだ、ツボミで緑色をしています。
ヤマボウシ(Benthamidia florida)
<ミズキ目・ミズキ科・ミズキ亜科・ヤマボウシ属>
2014/5/14 2014/5/14 2014/9/2
ミズキ科ヤマボウシ属の落葉高木で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布する。
樹高は10~15mで、幹は暗赤褐色で、老木では不規則に樹皮が剥がれる。
葉は対生して枝先に集まって付き、長さ4~12cmの楕円形で、葉質は薄く、縁は全縁で波打つ。
葉脈は深く明瞭で、葉裏の脈腋には褐色の毛叢(もうそう)があり、茶色い染みのように見える。
花は5~6月に開き、淡黄色から淡緑色で小さく、多数が球状に集合している。
白い大きな花弁のように見える総包片が4枚あり、その中央に花が付く。
花弁は数mm程で4個、オシベも4個で、花柱は1個である。
ハナミズキの果実は、個々の果実が分かれて赤く熟するのに対し、本種は集合果になる。
直径10~15mm程の球形の集合果は、熟すると赤くなり、食用になる。
今年もヤマボウシがたくさんの花を付け、開花させていました。
といっても、白い花弁に見えるのは総苞片で、その中心に小花が球状に集まっています。
その開花の様子は、下記を参照ください。秋には、右端のように果実は赤く熟します。
2012/4/28
多摩川の道路脇の公園で、ヤマボウシが薄緑色の苞を広げ、ツボミを付けていました。
まだ、苞も十分に伸び切っていないので、淡黄緑色で幅も細い状態です。
中央の集合花も、まだ固く閉じたままです。
2014/5/14
4枚の苞も白くなり、十分に広がって、中央の花も盛り上がって来ています。
開花もそう遠くないものと思います。
2014/5/15
日当たりの良い場所にあったヤマボウシでは、既に開花が始まっていました。
淡黄緑色の地味な花ですが、4枚の花弁、4本のオシベ、1本のメシベの花柱が確認できます。
2014/5/23
ヤマボウシの花もすっかり散って、メシベの花柱のみが目立っています。
表現は悪いですが、何となくメシベが機雷の信管のように見えてしまいます。
2014/6/12 2014/6/9 2014/6/12
ヤマボウシの白い総包片が枯れて散り始めていました。
総苞片がなくなると、ますます、機雷のように見えてきました。
2014/7/10 2014/7/10 2014/7/8
ヤマボウシの果実も一回り大きくなり、外に飛び出していた花柱も目立たなくなってきました。
6月の写真と比べると、その1つ1つの果実の違いが良く分かります。
センダン(Melia azedarach)
<ムクロジ目・センダン科・センダン属>
センダン科センダン属の落葉高木。別名としてオウチ(楝)、アミノキなどがある。
日本では、四国、九州、沖縄に自然分布する。ただ、最近は、本州の関東以西にも自生が見られる。
海外ではアジア各地の熱帯、亜熱帯地域に分布する。
樹高は15 mほどになり、成長はかなり早い。
若い樹皮は紫褐色で、楕円形の小さな黄斑な点在する。太い幹は樹皮が縦に裂け、凹凸ができる。
葉は互生し、奇数2~3回羽状複葉で、全体では数十㎝以上の大きさになる。
小葉は楕円形で、浅い鋸歯があり、薄くて柔らかい。
花期は5月~6月で、若枝の葉腋に円錐花序を出し、直径2cm前後の淡紫色の5弁花を多数付ける。
オシベ10個は、花糸が合着して円筒状になり、その色が濃紫色なのが特徴。
果実は長さ2cm程の楕円形の核果で、晩秋に黄褐色に熟し、落葉後もしばらく残る。
2016/5/13
多摩川からの散歩の帰り道、道に迫り出すようにセンダンが花を付けていました。
関西では、学校の校庭や民家の庭などでよく見かけるのですが、関東ではあまり見かけません。
最近は、関東でも盛夏にクマゼミの声を時々耳にするようになってきました。
関西では、センダンの樹にはクマゼミが付きものでしたが、関東でもそうなるかもしれません。
センダンの黄葉と果実
2020/11/22
関西の実家近くの川縁に生えいているセンダンがきれいに黄葉していました。
果実も黄色く色付き始めていましたが、まだ、緑色が残った黄緑色でした。
サンショウ(Zanthoxylum piperitum)
<ムクロジ目・ミカン科・サンショウ属>
ミカン科サンショウ属の落葉小高木で、北海道から屋久島まで、広く分布する。
日本以外では、朝鮮半島の南部に分布する。
樹高は2~5mで、幹は灰褐色、いぼ状の突起と鋭い刺がある。
サンショウは雌雄異株で、雄株と雌株がある。
葉は奇数羽状複葉で、枝に互生し、葉の基部には一対の刺がある。
4~5月頃、枝先に淡黄色の花を集散花序につけるが、花に花弁はない。
果実は10月頃に赤熟し、2経つに割れて、光沢のある黒色の種子ぶら下がって出てくる。
香りの良い新芽や若葉、若い実は食用になる。
2014/4/8
多摩川への道路脇にある学校の裏庭で、サンショウが雌花をたくさん付けていました。
昨年は、気がつけばもう果実になっていましたが、今年はバッチリと見ることができました。
写真の通り、花弁はなく、メシベの花柱が角のように飛び出しています。
ただ、周りには雄株のサンショウは見当たりませんでした。
2014/4/16
この日、学校からは少し離れた道路脇で、黄色い花を付けているサンショウを見つけました。
雌株の花とは、かなり異なった形状をしており、黄色いオシベが付いています。
後で調べたところ、これがサンショウの雄株に付く、雄花の花序でした。
2014/4/22 2014/5/7 2014/5/9
サンショウの雌花ですが、授粉しているようで時とともに大きくなっていきます。
その後、採取されてしまったようで、ほとんどなくなってしまいました。
ナツミカン(Citrus natsudaidai)
<ムクロジ目・ミカン科・ミカン属>
ミカン科ミカン属の常緑小高木。
江戸時代中期に、黒潮に乗って山口県に漂着した種子が起源とされ、その原木が残る。
樹高は3mほどになり、よく分枝する。若枝は緑色で扁平。稜角があり葉腋から短い棘が出る。
葉は対生し、葉身は長さ10cm前後の楕円状披針形で、縁には低い鈍鋸歯がある。
葉は革質で両面無毛。葉柄には狭い翼がある。
花期は5月~6月で、枝先の葉腋から花柄の伸ばして白い5弁花を付ける。
花は多くの場合単生するが、稀に総状花序を作り、複数の花を付けることもある。
果実は、直径12cm前後、重さ500gほどになり、果皮がかなり分厚い。
晩秋に黄色く色付くが、酸味が強く、酸味が弱くなる翌夏季までは食用に向かない。
ナツミカンの枝変わり種であるアマナツミカンに取って代わられてきた。
2013/5/16
多摩川へ行く道路脇で、見かけました。
わざわざ植えたような感じではないので、捨てた種が発芽して大きくなったものかもしれません。
実は、小学生のころ、実生でナツミカンを育ててしまい、10年も経つと樹高は5mを超えました。
その枝に毎年、数百個を超えるナツミカンが生り、その始末に四苦八苦していました。
結局、大枝を何本か切って、生る数を抑えていましたが、最後は根元から伐採してしまいました。
2013/7/5 2013/10/18
花後、1cmにも満たなかった果実が、7月には数cmに、10月には10cm程になっていました。
2013/11/11 2014/1/6
11月には、深緑だった皮が、日当たりの良い方から黄色く色付きはじめました。
年を越して、1月になりましたが、もうすっかり黄色く色付き、見た目は完熟です。
しかし、ナツミカンは、この時期は酸味が強く、初夏になるまでは食べられません。
イロハモミジ(Acer palmatum)
<ムクロジ目・ムクロジ科・カエデ属>
ムクロジ科カエデ属の落葉高木で、本州の福島県以南から四国、九州に分布する。
日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾と東アジアに分布する。
日本では最もよく見られるカエデ属で、秋には黄褐色から紅色に紅葉する。
葉は対生し、掌状に5~9深裂し、この裂片を「いろはにほへと……」と数えたことが和名の由来。
4~5月頃、本年枝の先に暗赤色の花が垂れ下がってつく。雄花と両性花がある。
5個の暗紫色の萼片と、5個の黄緑色もしくは紫色を帯びる花弁を持つ。
果実は翼果で、10~15mm程の翼があり、熟すと風で飛ばされる。
※ よく似たモミジの識別は、下記の特徴から大まかに判断できる。
大まかに言って、イロハモミジとオオモミジは太平洋側、ヤマモミジは日本海側に自生する。
葉は、イロハモミジとヤマモミジは重鋸歯、オオモミジは単鋸歯である。
翼果は、イロハモミジは水平に開き、葉の上からかぶさるように実をつける。
ヤマモミジとオオモミジは、開いたV字型かU字型で、葉の下にぶら下がるように付く。
イロハモミジは極端な日陰でない限り紅葉するが、
ヤマモミジとオオモミジは黄葉、紅葉、源平と個体差がある。
2014/4/18
多摩川への道路脇で、イロハモミジが多くの花序を出し、小さな花をたくさん付けていました。
黄緑色の花弁よりも、赤い萼片の方が目立ちます。
2015/3/31(雄花) 2015/4/16 2015/4/16(両性花)
昨年、花に気が付いた時には両性花のみになっていたので、今年は気を付けてみていました。
すると、最初に開花するのは雄花ばかりで、その後、両性花が咲きだしました。
中央の写真は、下が両性花で、上が雄花です。花の構造がずいぶん異なることが分かります。
2014/5/9
翼果もすっかり大きくなり、赤みを帯びた大きな翼が目を引きます。
多くは、2個の翼果が向かい合って付いていますが、3個の翼果が付いたものもありました。
2014/6/3
赤みを帯びていた翼果ですが、すっかり赤みが抜けて、緑色になっていました。
2014/10/21
翼果の成熟が進み、春先と同じように翼に赤みが入ってきました。
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