アサ科・クワ科・バラ科・ブドウ科・アカバナ科

バラ目

  アサ科(カナムグラ)

  クワ科(クワクサ)

  バラ科(サンザシ、シャリンバイ、ビワ)

ブドウ目

  ブドウ科(ツタ、ノブドウ、エビヅル、ブドウ、ヤマブドウ、ヤブガラシ)

フトモモ目

  アカバナ科(コマツヨイグサ、ヒルザキツキミソウ、マツヨイグサ、メマツヨイグサ、ユウゲショウ)


カナムグラ(Humulus japonicus)

<バラ目・アサ科・カラハナソウ属>

アサ科カラハナソウ属のつる性1年草で、在来種。雌雄異株。

日本では北海道から本州、四国、九州と全国の日当たりの良い道端などによく自生している。

海外では、中国、台湾などに分布し、北米では園芸用に栽培されたものが野生化している。

茎や葉柄に刺があり、物によく絡み付くので、取り除くのには骨が折れる。

葉は対生し、葉身は長さ5~10cmで掌状に5~7裂し、基部は心形。

葉表には粗毛が映え、葉裏には黄色い小腺点がある。

花期は8月~10月で、雌花は小さな花序に固まって付き、子房は1個、花柱は2個付く。

雌花の苞は、緑色で濃紫色の斑紋があるが、花後に肥大して、果期には全体に紫褐色帯びて反り返る。

雄花は大きな円錐花序に多数付き、萼片は5個、オシベも5個あり、短い花糸に大きな葯が付く。

果実は痩果で、直径5mm前後の円形で、断面は厚いレンズ型。果皮は薄くて、まばらに毛がある。

2013/5/8

多摩川の川縁で見かけた、まだ、蔓を伸ばし始めて間がないカナムグラです。

葉の特徴だけから、本種としました。

2013/8/27

夏の終わり頃には、ずいぶんと大きく広がり、花茎を伸ばしていました。

穂状の花を多数付けていますので、この株は、雄株ですね。

残念ながら、近くに雌株は見当たりませんでした。

※ 雄株と雌株の花の違いは、「秋の野草/バラ目アサ科」をご覧ください。


クワクサ(Fatoua villosa)

<バラ目・クワ科・クワクサ属>

クワ科クワクサ属の1年草で、在来種。雌雄同株。

日本では、本州、四国、九州、沖縄に分布する。

海外では、朝鮮半島から中国、台湾、フィリピン、マレーシア、インドネシア、オーストラリアに分布する。

また、北アメリカや南アメリカなどに帰化が確認されている。

草丈は30~80cmで、茎には毛が生え、ときに紫色を帯びることがある。

葉は互生して、長さ4~10cmの卵形で、先は尖り、縁には鈍い鋸歯がある。

花期は9月~10月で、葉腋に集散花序を付け、雄花と雌花が混じって咲く。

雄花の花被は4深裂し、オシベは4個で葯は白色。花被片が開いてオシベが飛び出すと花粉が出る。

雌花も花被が4裂し、花被が閉じたまま、その隙間から糸状で紅紫色の花柱を外に伸ばす。

果実は痩果で、直径1mm前後の丸みのある3稜形で、花被に包まれている。

果実の下部に白色多肉質部があり、熟すと、膨圧により果実を弾き飛ばす。

2012/8/21

散歩コースの多摩川への道路脇で見かけました。

葉腋に変わった形の塊が付いていましたが、それが何なのか分からず、名前も不明でした。

偶然、クワクサと分かり、葉腋に付いていたのは、雄花と雌花の球状の花序と分かりました。

もう少し経てば、花(といっても極めて地味なようです)が咲く所だったようです。

しかし、その後、フォローしていませんでしたので、気が付いた時にはなくなっていました。


サンザシ(Crataegus cuneata)

<バラ目・バラ科・モモ亜科・ナシ連・ナシ亜連・サンザシ属>

バラ科サンザシ属の落葉低木で、中国原産の古い時代の帰化植物。

熟すると赤くなる果実は生薬、果実酒、ドライフルーツなどに使われる。

樹高は1~3mで、若枝は紫褐色で毛があり、古くなると灰褐色で無毛になる。

なお、小枝が変化した長さ3~8mmの細い刺が多数ある。

葉は、長さ2~6cmの広倒卵形で、葉裏にはわずかに毛があり、葉表は無毛。

基部は楔形で、先が3~5裂し、不規則な鋸歯がある。葉柄は長さ4~5mmで狭い翼がある。

花期は4月~5月で、散房花序に直径10mm前後の白い5弁花を5~7個付ける

花弁は長さ6~7mmの倒卵形で、オシベは20個。子房は先に毛があり、5室で、花柱は4~5個。

果実は直径1~2cmのナシ状の偽果で、秋に赤色か黄色に熟す。果実の頂は窪んで萼が残存する。

果実は、特異な匂いがあるが、酸味があって可食できる。

2014/4/28

多摩川への道路脇の公園で見かけたサンザシです。

花はシャリンバイに似ていますが、樹高が数十cmと低く、木の大きさは数分の一です。

2014/6/27                 2014/6/25

しかし、その果実の大きさは、シャリンバイの倍以上になります。

2014/9/3

きれいな緑色だった果実も、秋が近づくにつれて赤みを帯びてきました。

秋が深まれば、真っ赤に熟してくると思います。

2014/9/18

2週間ほどしか経っていませんが、真っ赤に熟した果実が増えてきました。

2014/10/1

かなりの果実が熟して赤くなってきました。完熟までにはもう少しかかるようです。

2014/10/20

果実の色が鮮やかな赤から、赤黒くなっていました。これで完熟なのでしょうか。

2014/11/19

1ヶ月ほど経過し、様子を見に行くと、さらに赤黒くなっていました。

さすがに、この辺りが限界なのでしょうか、一部の果実には表面にしわができ始めていました。


シャリンバイ(Rhaphiolepis indica var. umbellata)

<バラ目・バラ科・モモ亜科・ナシ連・ナシ亜連・シャリンバイ属>

日本では、本州の東北地方以南から四国、九州にかけて海岸近くに自生している。

海外では、朝鮮半島、台湾に分布する。

樹高は1~4mで、若い枝には褐色の軟毛があり、小枝は輪生状に付く。

葉は互生し、葉身は長さ4~8cmの長楕円形で、革質で光沢があり、浅い鋸歯がまばらにある。

葉先は尖るものと、丸いものがあり、丸いものはマルバシャリンバイと呼ばれることもある。

ただ、中間型もあり、両者を明確に区別することができないため、種内変異とされる。

花期は5月~7月で、枝先に総状花序を出し、直径10~15mmの白い5弁花を多数付ける。

花弁は長さ1cm前後の倒卵形で、先は丸く、しばしば歯牙がある。

萼筒は漏斗状で、萼片は長さ5mm前後の卵状三角形。先が尖り、褐色の軟毛が密生する。

果実は直径7~12㎜の球形で、10月~11月に黒紫色に熟し、白粉を被る。

中には直径7~8㎜の球形の種子が1個入っており、褐色で光沢がある。

2014/5/16

多摩川の河川敷で、ユキヤナギと共に植生されているシャリンバイが、満開になっていました。

2013/8/13              2014/9/2            2014/9/30

8/13 花後、結実した果実が、少しづつ大きくなりってきています。

9/2 秋が近づき、果実が少し紫色を帯びてきています。

今後、日を追って黒紫色に色付いていくものと思います。

9/30 1ヶ月程経ちますが、まだ、半分ほどが赤紫色に色付いた程度で、隣の株とはずいぶん異なります。

2014/9/5             2014/9/30             2014/11/12

9/5 9/2に撮影した隣の株では、もうすっかり赤紫色に色付いていました。

9/30 1ヶ月ほど経ちましたが、いくぶん赤紫色が濃くなった程度です。

11/12 さら1ヶ月強経過して果実の成熟が進み、黒紫色に変わっていました。  


ビワ(Eriobotrya japonica)

<バラ目・バラ科・モモ亜科・ナシ連・ナシ亜連・ビワ属>

2013/1/17                 2013/1/29        2013/6/18

バラ科ビワ属の常緑高木で、中国南西部原産の帰化植物。

日本には古代に持ち込まれたとみられる。

世界的には、インドやハワイ、イスラエル、ブラジル、ヨーロッパなどに移入、栽培されている。

樹高は6~10mで、幹は灰褐色、横しわがある。

葉は互生し、長さ15~20cmの広倒披針形で、葉は厚く、裏面には葉脈が隆起する。

葉表は濃緑色で光沢があって無毛。葉裏には褐色の毛が密生する。

花期は11月~1月で、円錐花序に直径1cm前後の白色の5弁花を多数付ける。

花弁の基部内側や萼には褐色の毛が密生する。

果実は直径3~4cmの広惰円形で、大きな種子が1~2個入る。

 

冬の最中に咲く、数少ない花のため、メジロなどが訪れていたビワですが、

気が付くと、黄色く熟して食べごろの色に変っていました。

ただ、摘果しないで普通に育てると、種が大きな果実なので、食べる所がほとんどありません。


ツタ(Parthenocissus tricuspidata)

<ブドウ目・ブドウ科・ツタ属>

ブドウ科ツタ属のつる性の落葉木本で、在来種。

北海道から本州、四国、九州と全国の山野に分布する。

ツルは太いもので数cmになり、古いツルの樹皮は黒褐色。

本年枝の樹皮は赤褐色~黄褐色で無毛。丸い皮目が多数ある。

葉には2種類あり、花の付く短枝の葉は大きく、長い葉柄がある。

葉身は長さ5~15cmの広卵形で、上部は3裂して先は鋭く尖り、縁にはまばらな鋸歯がある。

花の付かない長枝の葉は、小さくて葉柄も短い。葉身は単葉~3深裂するものまで多様。

短枝の先に集散花序を出し、直径5mmほどの黄緑色の5花弁の花を付ける。オシベは5個。

果実は液果で、直径5~7mmの球形で、秋には藍黒色に熟す。

2015/4/10

多摩川に行く途中の学校で、ソメイヨシノに巻付いているツタが、新葉を出していました。

ソメイヨシノの花とのコラボです。

2014/7/16               2015/6/29                2015/7/28

2014/7/16 昨年、花を見損ねたツタですが、今年も見損ねて、既に花が散った後でした。

2015/6/29 今年、別の場所でツタのツボミを見つけました。ブドウの仲間なので、ツボミも良く似ています。

しかし、その後、天候が悪かったこともあり、足が遠のいている間に咲き終わってしまいました。

2015/7/28 一月後くらいに見に行くと、しっかりと果実ができていました。


ノブドウ(Ampelopsis glandulosa var. heterophylla)

<ブドウ目・ブドウ科・ノブドウ属>

ブドウ科ノブドウ属のつる性落葉低木で、日本全国で見られる。

日本も含め、東南アジア一帯に分布しアメリカにも帰化している。

藪に多く見られ、都市でも空地などに見られる。

太いつるは暗灰褐色で、褐色の皮目が目立つ。

葉は互生し、葉身はほぼ円形で3~5裂する。基部は心形で、縁には鋸歯がある。

葉に対生して、巻きひげが出て、先が2又に分かれる。

花期は7月~8月で、葉に対生して集散花序を出し、直径数㎜の小さな花を多数付ける。

花被片は5個あるが、開花後、早めに落ちてしまう。

オシベは5個あり、花糸は短い。メシベは細く、1個で直立する。花盤は子房を環状に巡り、全縁。

果実は液果で、直径は7mm前後の緑色の球形。熟すにつれ、淡緑色からピンク、紫色になる。

しかし、ブドウタマバエやブドウトガリバチが寄生して、虫えいを作ることが多く、紫色や碧色等になる。

2012/8/20

多摩川に行く途中の道端や多摩川の土手で見かけました。

同じブドウ科でも、花序が下向きにぶら下がるブドウ属と異なり、ヤマブドウは花序が上向きで平らに広がります。

そのため、ヤブガラシに似ていますが、その花も似ています。ただ、花弁は5枚あります。

果実は食べられませんが、熟すと青や紫に色付き、光沢があるのできれいだそう。

写真の未熟な果実は、まだ緑色ですが、これから秋になって熟していくのが楽しみです。

2012/10/21

ノブドウの果実ですが、成熟が進んで、色付きはじめました。

青や紫、赤紫など、いろいろな色になっていました。この色が虫えいによるというのは知らない方が良いかも。


エビヅル(Vitis ficifolia)

<ブドウ目・ブドウ科・ブドウ属>

ブドウ科ブドウ属のつる性落葉低木で、雌雄異株。

日本では、北海道西南部から本州、四国、九州に分布する。

海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。

葉の大きさは5~6cm程度で、切れ込みの浅いものと、深いものの二通りがあり、裏面はクモ毛に覆われる。

円錐花序を出し、黄緑色の小花を密生させる。

果実は、1cmほどになり、熟すと黒くなる。食用になるが特有の青臭いにおいを持つ。

2013/7/1

多摩川に行く途中の道端で、植栽に絡みつくエビヅルの雄株を見かけました。

近くに雌株はないかと探したのですが、見当たりませんでした。

雄花は、開花すると花弁が落ちてしまうので、長いオシベのみがモジャモジャと見えます。

2013/7/2 エビヅル(雄株)

雄花をさらにアップで撮影してみました。

花弁がないので、雄しべが異常に長く見えます。

2013/11/5

以前、雌株を探して見つからなかったのですが、ひょんなことから見つけました。

雄株からそう遠くない、背の高い植栽に絡みついていたのです。

秋も終わりの頃でしたので、その果実もすっから熟して黒くなっていました。

ただ、まだ、青い果実も交じっており、未成熟な果実の多い房もありました。

2014/5/9 エビヅル(雌株)

2014/5/9 エビヅル(雄株)

昨年見かけたエビヅルの雌株ですが、雌花の花序をたくさん付けていました。

雄株の方もやはり、同じように花序を出していましたが、少し成長が早く、花数も多いようです。

2014/5/26 エビヅル(雌株)

エビヅルの雌株(両性花)が開花していました。

花序によって開花状況が異なりますが、そのおかげで咲き方が分かりました。

ツボミに被さっているピーマンをさかさまにしたような花冠が、基部から反り返るように開きます。

右端の写真の左に写っているのが、開きかけている所や落ちかけている所です。

その右側で花が開いたように見えるのは、外れた花冠が、裏返っている所です。

2014/5/26 両性花(雌株)と雄花(雄株)

両性花(左)のオシベは、雄花(右)のオシベに比べてかなり短く、真っ直ぐには伸びないようです。

なお、両性花の写真で、左端の花弁のように見えているのが、外れた花冠(裏向き)です。

2014/6/3 エビヅル(雌株)

花が終わり、果実が大きくなり始めています。

2014/6/10             2014/6/10             2014/7/18

6/10 果実の大きさは不揃いですが、ブドウの仲間らしくなってきました。

6/23 果実の大きさのバラツキも小さくなり、立派なブドウの房となっていました。

7/18 果実の大きさは、ほぼそろい、後は熟すのを待つばかりとなったようです。  

2014/9/1

9月になり、久しぶりに様子を見に行くと、新しい雌花が開花を始めていました。

その奥には、7月に結実していた果実が色付き始めていました。

2014/9/10

9月に開花した雌花ですが、しっかりと結実しており、早いものは十分な大きさになっていました。


ブドウ(Vitis spp.)

<ブドウ目・ブドウ科・ブドウ属>

ブドウ科ブドウ属のつる性落葉低木。

野生種は雌雄異株であるが、栽培種は一つの花にオシベとメシベがあり、自家受粉する。

葉の大きさは15~20cm程度で、葉は両側に切れ込みがある。

円錐花序を出し、黄緑色の小花を密生させる。花は花弁を持たず、オシベとメシベのみがある。

ブドウのツボミは、数mmのピーマンをさかさまにしたような形をしている。

このピーマンをさかさまにしたような花冠は、根元からめくれ上がって、ポロリと落下する。

ブドウ属には、いくつかあり、ヨーロッパ系(Vitis vinifera)は、ワイン用に淘汰され唯一ヨーロッパに残る種である。

アメリカ種(Vitis labrusca)は、北米原産の種の1つで、耐寒性があり、独特の香りを持つ。

東アジアには、ヤマブドウ(Vitis coignetiae)、チョウセンヤマブドウ(Vitis amurensis)などが知られている。

2014/5/23

多摩川への道路脇にある学校のフェンスに絡み付いていました。

1つの花にオシベとメシベがあることから、栽培種のブドウと判断しましたが、種類までは分かりません。

左端の写真には、花冠が割れて、オシベに押し上げられて外れかけている所が見られます。

昨年、果実が育っているのは確認したのですが、熟す前に剪定されて、どのような果実かは不明です。

2014/4/23               2014/5/7               2014/5/20

4/23 ブドウが新芽を出し。花穂もたくさん伸び出してきました。

5/7 今年は、木が一回り大きくなったためか、たくさんの花穂が大きくなっています。

5/20 花が咲き進み、ほぼ、咲き終わっていました。房の根元の方では果実が大きくなり始めています。

2014/6/9             2014/6/20             2014/7/17

6/9 果実が大きくなり始めていました。

このまま、色付けばどのようなブドウか分かるのですが、今年はどうなるでしょうか。

6/20 果実は直径1cm程になっていました。

デラウェアのような果実が小さい品種ではないようです。

7/17 果実はさらに大きくなっていました。今年は2房残っています。

この後、この状態のまま1房目がなくなり、2房目も無くなってしまいました。

2014/7/2           2014/7/23                2014/7/30  

7/2 今年は、昨年の何倍もの房が垂れ下がり、たくさんの果実が大きくなっています。

7/23 休日前、かなり色付いたので休み明けに撮ろうと思ったのですが、休み明けにはなくなっていました。

そのため、数日たって、少し色付いた所で撮影しました。まだ、少し紫がかった程度です。

数日後には、それももぎ取られてしまっていました。

7/30 奥の方で、小粒の果実がかなり色付いていました。これも、その後なくなっていました。

2014/7/24                 2014/8/5          2014/8/21

多摩川へのいつもの道路より少し離れた公園で、フジの花が咲いているのに気付きました。

その藤棚で、ブドウが一緒に大きく枝を伸ばしている事にも気が付きました。

良く見ると、たくさんのブドウの房がぶら下がっていました。少し果実が小さいので、デラウェア系と思われます。

2週間ほどして、また、見に行ったのですが、手入れされていないこともあり、かなり傷んでしまっていました。

まだ、一部の房はきれいなまま残っていましたが、熟すまで残る房はないかもしれません。

8月の下旬になりましたが、まだ、少しですがきれいなものが残っていました。

2014/9/29

もう残っていないかもしれないと思いましたが、様子を見に行ってみました。

多くの房は実が縮んでしまっていましたが、数房、色付いているものが残っていました。

良く見ると、色付いているものの中にも、しわしわと縮みかけているものが見受けられます。

デラウェアにしては、色がちょっと浅く、甲州の色合いに近い気もします。

小粒の品種のようなので、ひょっとしたらワイン用の品種かもしれません。


ヤマブドウ(Vitis coignetiae)

<ブドウ目・ブドウ科・ブドウ属>

ブドウ科ブドウ属のつる性落葉低木で、寒冷地に自生する野生種。

日本では、北海道、本州、四国に分布し、韓国の一部や、サハリン島、南千島に分布する。

樹皮は古くなると縦に裂け、薄く剥がれる。随は褐色で、若い枝や葉にはくも毛がある。

葉は互生し、葉身は直径30cm程の円心形で、3~5残裂する。縁は浅い鋸歯がある。

新芽は淡紅色で、新葉も淡紅色の毛に覆われている。

表面は当初綿毛があるが、後に無毛になる。裏面には赤褐色の綿毛が密生する。

葉に対生して巻ひげを出すが、全節ではなく、2回出すと、次の節からは出ない。

花期は6月~7月で、雌雄異株。葉に対生して円錐花序を出し、黄緑色の小花を多数付ける。

萼は輪形で、花弁およびオシベは5個、メシベは1個。

雌花のオシベには発芽能力のない花粉しか持たず、雄花のメシベは柱頭は花柱が退化している。

果実は液果で直径8㎜前後の球形。房になって垂れ下がり、秋には黒紫色に熟す。

生食可能であるが酸味が強く、果実酒に使われてきたが、近年はワインやジャムなどにも利用される。

2012/9/6

多摩川に行く途中の道端で、ノブドウにヤマブドウが1本だけ交じっていました。

その後、ノブドウともども除草されてしまい、その後がありません。

ノブドウと異なり、ヤマブドウでは花序が下向きにぶら下がります。

雌雄異株で、役に立たない雄しべを持つ雌株と役に立たない雌しべを持つ雄株があるそうです。

この株がどちらの株であったかは、今となっては確認する事ができません。

ちなみに果実は、黒紫色に熟すと、甘酸っぱいそうですが、生食できるとのこと。

ただ、個体差が激しく、年によっても大きな違いがあるそうなので、運に左右されそう。


ヤブガラシ(Cayratia japonica)

<ブドウ目・ブドウ科・ヤブカラシ属>

ブドウ科ヤブカラシ属のつる性多年草で、在来種。なお、標準和名はヤブカラシである。

日本では、北海道から本州、四国、九州まで広く分布している。

日本以外では、東アジアから東南アジア、オーストラリアなどにかけて広く分布している。

地下茎を長く伸ばし、藪にはびこり、藪を枯らしてしまうほど繁殖力が強いのが和名の由来。

蔓は長さ2~3mになり、葉は互生し、葉と対生する巻ひげで他の物に巻き付いて覆い被さる。

葉は5小葉が鳥足状に付く複葉で、頂小葉が長さ4~8cmの狭卵形で一際大きい。

側小葉は頂小葉より小さく、基部のものほど小さくなる。柄も頂小葉は数cmあるが、側小葉は短い。

花期は6月~8月で、葉と対生する集散花序に散房状に付き、徐々に開花する。

花の直径は5mm前後で、淡緑色の花弁4個とオシベが4個、メシベは1個ある。

開花直後は雄性期で、メシベの花柱は短く、花盤は橙色で、オシベがある。

花弁とオシベは開花後半日ほどで散ってしまい、雌性期に移行する。

雌性期には、メシベの花柱が伸び出し、直径3㎜前後の花盤も淡紅色に変化する。

この花盤は蜜が豊富で、蜂や蝶などの昆虫がよく集まる。

果実は球形の液果で黒く熟すが、結実するのは2倍体のみで、中部以西では3倍体に混じって見られる。

関東以北に分布するのは3倍体のみのため結実は見られない。

2012/7/13

あちこちでよく見かけるつる性の植物ですが、小さな花なのに多くの昆虫が集まる植物です。

多摩川の河原では、川の縁の草むらとか、遊歩道わきの植栽とかに絡み付いています。

花は、房状に集まった集散花序で、薄緑色の4枚の花弁を持っています。

しかし、この花弁は午前中に4本の雄しべとともに落ちてしまい、白い雌しべと橙色の花盤が残ります。

※ 上段左の写真は、まだ花弁が残っています。上段右の写真では両方が見られます。

この花盤は、蜜が豊富なため、多くの給蜜する昆虫が集まってきます。

子供の頃、昆虫採集をするために、この花の近くでよく待ち伏せをしていました。


コマツヨイグサ(Oenothera laciniata)

<フトモモ目・アカバナ科・マツヨイグサ属>

アカバナ科マツヨイグサ属の二年草で、北アメリカが原産地の帰化植物。

日本では、本州、四国、九州に分布し、川原、裸地、農耕地などに自生する。

海外でも、アジア、アフリカに移入分布している。

草丈は20~60cmと幅があり、茎は毛が密生し、基部からよく分岐して、斜上あるいは匍匐する。

そのため、しばしば地表にグランドカバーのように広がることがある。

葉は互生し、葉身の長さは2~10cmほどで、深く切れ込むものから、鋸歯状のものまで変異がある。

花期は5月~10月で、葉腋から単生し、直径2cm前後の淡黄色の花を付け、夕方に咲き、翌朝にはしぼむ。

花弁、萼片とも4個で、萼片は開花後、垂れ下がる。花弁はしぼむと赤色を帯びる。

子房の上に長さ30㎜前後の円柱状の花托筒があり、子房も含めて花柄のように見える。

蒴果は長さ20~50㎜の円柱状で、上向きの短毛があり、4分果。熟すと先が4裂する。

2012/8/12

多摩川へいく道端の荒れ地で見かけました。

コマツヨイグサは、地面を這うように広がり、あまり立ち上がりません。

花は小型で、2cm強しかなく、花弁は淡い黄色です。しぼむと赤くなります。

暗くなってから咲くので、撮影にはフラッシュを使用しています。


マツヨイグサ(Oenothera stricta)

<フトモモ目・アカバナ科・マツヨイグサ属>

2011/5/18 13:04           2012/5/8 12:35           2012/5/8 12:35

アカバナ科マツヨイグサ属の多年草で、南米が原産地の帰化植物。

嘉永年間(1851年頃)に観賞用に移入され、その後逸出して野生化した。

本来は、河原や山火事跡などの荒れ地や痩せ地に最初に生えるパイオニア植物である。

また、同じような環境の線路沿いとか路肩などでも見られる。

ただ、他の植物が成長してくると徐々に姿を消してしまうので、草地では見られない。

現在は、北陸、関東以西に分布しているが、同属のメマツヨイグサに押されて数が減っている。

草丈は25~100cmで、茎は直立して赤みを帯びる。全体に毛が多い。

根生葉は花期にもあり、茎葉は互生して、長さは5~10cmの楕円状披針形で縁に波状鋸歯がある。

花期は4月~5月で、花は葉腋に単生して、直径3~4cmの黄色い4弁花。花弁の基部に赤い点がある。

夕方から早朝に開花して、昼間には萎む。萎むと赤みを帯び、オレンジ色になる。

萼片は長さ14~20mm。花托筒は長さ20~45mmと長く、花柄に見えるが下位には子房がある。

蒴果は長さ30~40mmで、熟すと4裂して、裂片が反曲する。

若い根茎や新芽を食用として利用することもできるようですが、胃腸に不快感が出ることがある。

また、生薬として漢方で利用されることもある。

マツヨイグサは「月見草」、「宵待草」(よいまちぐさ)と呼ばれることがある。

「宵待草」は、竹久夢二の詩による流行歌のタイトルで、誤記なのか、わざとそうしたのかは不明。

なお、標準和名では、黄花をマツヨイグサ、白花をツキミソウ、 赤花をユウゲショウとして区別している。

 

2011/5/18 散歩コースからの帰り道、街路樹の脇でマツヨイグサを見かけました。

未整備の荒れ地などではよく見かけますが、整備の進んだところではほとんど見かけません。

昼には萎んでしまう花ですが、この日は天気が良くなかったからか、昼過ぎでもきれいな黄色でした。

2012/5/8 この日は天気が良かったので、昼には萎み始めて赤みが付き始めています。 

マツヨイグサ属の花

ユウゲショウ、ヒルザキツキミソウは、昼間に花を咲かせるマツヨイグサ属です。

ツキミソウ、マツヨイグサ、メマツヨイグサ、コマツヨイグサは、夕方以降に花を咲かせるマツヨイグサ属です。

標準和名では、黄花をマツヨイグサ、白花をツキミソウ、赤花をユウゲショウとして区別しています。


メマツヨイグサ(Oenothera biennis)

<フトモモ目・アカバナ科・マツヨイグサ属>

2012/8/12 7:46           2012/8/12 20:35           2012/9/10 12:03

アカバナ科マツヨイグサ属の越年草で、北米が原産地の帰化植物。

日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。

海外でも、アジア、南アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ、アフリカと広範囲に分布する。

本来は、河原や山火事跡などの荒れ地や痩せ地に最初に生えるパイオニア植物である。

また、同じような環境の線路沿いとか路肩などでも見られる。

ただ、他の植物が成長してくると徐々に姿を消してしまうので、草地では見られない。

草丈は50~150cmで、茎は赤色を帯び、下部からよく分枝して、上向きの毛が生えている。

秋に芽生えて、ロゼットで越冬するが、根生葉には柄があり、先が尖る。

茎葉は互生して葉柄はなく、葉身は長さ3~6cmで、先が尖る。

なお、根生葉、茎葉とも、葉の縁には浅い鋸歯があり、中央脈は赤色を帯びることが多い。

花期は6月~9月で、茎の上部に多数の花を付け、順次咲き上る。

花には花柄はなく、子房下位で、長さ3~5cmの円柱状の萼筒とその基部に子房がある。

花は直径3~4cmの黄色い4弁花で、萼片は4個、オシベは8個で、メシベの柱頭は4裂する。

花は1日花で、夕方に開花し、朝にはしぼみ始めるが、しぼんでも赤くならない。

 

2012/8/12 多摩川へ行くときに渡る線路の則面で見かけました。

朝、多くの花が付いているのに気が付きました。萎んでも、マツヨイグサのように赤くはなりません。

夜、帰りに立ち寄って、その花を撮りに行きました。暗いのでフラッシュを使っています。

2012/9/10 いつもはしぼんでしまっているメマツヨイグサの花が、まだ、昼でも開いていました。

天候に左右されるのではと思いますが、日中でも咲き残ることがあるようです。

2012/10/27

いつもの散歩コースより10kmほど上流の河川敷で見かけたメマツヨイグサです。

先の方で枝分かれし、これでもかと言わんばかりに花と果実を付けていました。

メマツヨイグサの1日の変化

2012/8/12 7:46           2012/8/12 19:19         2012/8/12 20:32

メマツヨイグサの開花の様子を追いかけたものです。

左端07:46 朝、前日に咲いた花(中央と右)が萎み始めます。前々日に咲いた花(左)はすっかり萎れています。

中央19:19 夕方には前日に咲いた花(右の2個)は萎んで淡い橙色に変色し、前々日に咲いた花は落下しています。

      そして、萎んだ花の反対側のツボミ(左端)が膨らんで、開花の準備をしています。

右端20:32 膨らんでいたツボミは、夜には開花して開き切っています。

      そして翌朝には、左端の写真のように萎み始めます。


ヒルザキツキミソウ(Oenothera speciosa)

<フトモモ目・アカバナ科・マツヨイグサ属>

2012/5/16                 2012/5/11

アカバナ科マツヨイグサ属の多年草で、北米が原産地の帰化植物。

観賞用に輸入されたものが野生化し、各地で見かけるようになった。

草丈は30~60cmで、横に伸びる根茎で群生し、茎の下部は木質化する。

葉は互生し、上部の葉には波状の鋸歯があるが、下部の葉では深い切れ込みがある。

花期は5月~8月で、直径5cm前後の淡紅色か白色の4弁花を付ける。

花弁は広倒卵形で、基部は黄色味を帯びる。オシベ8個あり、メシベの柱頭は十字に4裂する。

花弁のすぐ下に萼片が4個あり、片側に捲れ上がる。

その下に長さ10~20㎜程の花托筒があり、花後、花托筒から落下する。

 

河川敷のゴルフ場脇で5月に見かけた、ピンクと白花のヒルザキツキミソウです。

河川敷は、この後除草が入り、すっかり刈り取られてしまいました。

しかし、多摩川への途中の道路脇の空き地や公園などで、その後もきれいな花を咲かせていました。

2012/7/3

そろそろ、花期も終わりに近いのですが、まだ、きれいな花を付けていました。

来年も、きっと花を次々と咲かせて、楽しませてくれることでしょう。


ユウゲショウ(Oenothera rosea)

<フトモモ目・アカバナ科・マツヨイグサ属>

2012/5/24             2012/5/24             2012/6/14

アカバナ科・マツヨイグサ属の多年草で、南米から北米南部が原産地の帰化植物。

現在は、世界中の温暖な地域に広く分布している。

草丈は20~30cmであるが、条件によっては50cmを超えることもある。

茎には軟毛があり、葉は互生して、葉身はやや幅広の披針形である。

花期は5月~9月で、茎の上部の葉腋に直径15mmほどの紅紫色の花を付ける。

花弁は4個で、紅色の脈があり、中心部は黄色い。なお、稀に白花も見られる。

オシベは8個あり、葯は赤味を帯びた白で、メシベの先は淡紅紫色で4裂する。

熟した果実は、雨に濡れると裂開し、種子が飛び散る。

 

ユウゲショウは、5月に入ってからちらほら見かけるようになりました。

マツヨイグサの仲間ですが昼間に花を咲かせ、河川敷の通路脇などでちらほら咲いています。

濃いピンクの15mm前後の花ですが、目立つ色なので、目に止まります。

6月も半ばになると、場所によっては大きな群落をつくっています。

※ ユウゲショウの花は赤いのですが、稀に白花のユウゲショウが見られます。