カメムシ科・ナガカメムシ科・ヘリカメムシ科

カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目

 カメムシ上科カメムシ科(ナガメ、ウズラカメムシ、ブチヒゲカメムシ、ウシカメムシ、チャバネアオカメムシ、

             クサギカメムシ、シロヘリクチブトカメムシ、アカスジカメムシ)

 ナガカメムシ上科ナガカメムシ科(ヒメナガカメムシ、ヒメマダラナガカメムシ)

 ヘリカメムシ上科ヘリカメムシ科(キバラヘリカメムシ、ハリカメムシ、ホソハリカメムシ、ホオズキカメムシ)


ナガメ(Eurydema rugosa)

<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・カメムシ亜科>

カメムシ科カメムシ亜科のカメムシで、在来種。

和名の「菜亀(ながめ)」は、菜の花に付くカメムシの意味で、アブラナ科の花に集まることに由来する。

日本では、北海道から本州、四国、九州までほぼ全国に分布し、海外では中国に分布する。

出現時期は4月~10月で年2回化、体長7~9mm、黒色の地に橙色~赤色の模様がある。

成虫で越冬し、越冬成虫が4月下旬から5月上旬に卵を産み、6月下旬~7月上旬に新成虫となる。 

幼虫から成虫まで、アブラナ科の植物を食草としているベジタリアンである。

2014/4/10

幼虫から成虫までベジタリアンな本種。

多摩川の河原にはハマダイコンなどのアブラナ科の植物が豊富なので、格好の繁殖地ですね。

この時期、多摩川の土手でナガメのカップルをよく見かけるようになります。

2014/9/9                2015/6/8         2015/6/8

ナガメの成長過程を時系列に並べてみました。

2014/9/9 アレチウリの葉の上で見かけたナガメの幼生です。

上の小さいものは、孵化間もない幼生で、下の大きいものは数回脱皮したものと思われます。

2015/6/8 真ん中は5齢(終齢)虫で、次の脱皮で成虫になります。右の成虫に模様が似ていますね。


ウズラカメムシ(Aelia fieberi)

<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・カメムシ亜科・ウズラカメムシ属

カメムシ科カメムシ亜科のカメムシで、在来種。

和名は、体の模様がウズラの頭頂部の模様に似ていることに由来する。

日本では、北海道から本州、四国、九州に分布している。

海外では朝鮮半島から中国、極東ロシア、千島列島に分布する。

出現時期は4月~10月で年2化、草の株元などで成虫で越冬する。体長は8~10mm。

全体が褐色で点刻があり、三角形の頭部から前翅の中央にかけて2本の淡褐色条がある。触角は赤い。

エノコログサやススキなどのイネ科の植物の汁を吸う。

2012/9/4

多摩川の土手のヤブガラシの未開花の花の上で見かけました。

最初、パッと見たときカメムシの幼虫かと思いました。

このずんぐりした体形からそう思ったのですが、これでも立派な成虫で、透明な翅を持っています。

2013/8/13                 2013/9/4

8/13 今年も、川縁のアレチウリの葉の上で、ウズラカメムシを見つけました。

数は少ないようですが、生息はしているようです。

なお、腹端の方が白っぽく写っていますが、これが透明な後翅で、うまく光が反射してくれました。

9/4 ヤブガラシの葉の上で、久しぶりに見かけたウズラカメムシです。

何度見ても、成虫なのか、幼虫なのか見分けが付きにくいです。

この写真で、腹端の方が色が濃く見えていますが、後翅越しに見える腹部背面です。


ブチヒゲカメムシ(Dolycoris baccarum)

<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・カメムシ亜科>

2013/9/13          2013/9/13          2013/10/3

カメムシ科カメムシ亜科のカメムシで、在来種。

日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。

海外では、朝鮮半島から中国を含むユーラシア大陸のヒマラヤ山脈以北に広く分布する。

出現時期は4月~10月で年1~3化、成虫で越冬する。体長は10~14mm。

赤褐色の翅に白っぽい逆三角形の小楯板、腹部の白黒の模様が印象的なカメムシである。

この白黒のブチ模様は、触角にもあり、それが本種の名前の由来となっている。

成虫も幼虫もマメ科、キク科、ダイコン、ゴマ、ニンジン、ゴボウ、イネなどの汁を吸汁する。

吸汁された種子は、変色した成長不良の実となるため、イネが被害に合うと斑点米となる。

この斑点米が少しでも交じると、商品価値が下がってしまうため、農家の方にとっては要注意害虫である。

 

9/13 河川敷の土手で、キンエノコロに群がっているカメムシを見かけました。

赤褐色のカメムシですが、見たことがありません。取りあえず写真を撮って後で調べました。

特徴的な色と模様でしたので、直ぐに本種と分かりました。

キンエノコロに群がっていたのは、その果実から吸汁していたものと思われます。

余談ですが、新潟の農家の方に聞いた話では、以前はカメムシによる稲の被害はほとんどなかったそうですが、

近年は温暖化の影響か、カメムシ(本種かホソヘリカメムシかは不明)の被害が増えているそうです。

カメムシは斑点米の原因になり、品質に影響するので防除が大変みたいです。

10/3 シチヘンゲの実に止まっている本種を見かけました。

実の汁と吸っているのかは不明ですが、良いアングルで撮影できました。

腹部と触角の白黒のぶち模様がよく分かると思います。

2014/6/23          2014/6/27          2014/9/12

6/23 多摩川に行く途中の道端で、ニガクサの花に群がっているブチヒゲカメムシを見かけました。

結構、移動が早くて、接写系でのピント合わせは、追いかけるのが大変でした。

6/27 多摩川に行く途中の道端で、アメリカオニアザミの綿毛にブチヒゲカメムシが群れていました。

アメリカオニアザミの種子を狙っているのでしょうか。

9/12 川縁のアレチウリの花にいました。この花穂は、まだ果実は出来ていません。

アレチウリの果実は、イガグリのように棘でガードされていますので、吸汁は骨が折れるでしょうね。

カメムシの脱皮

2013/11/5

多摩川への途中の公園でトウネズミモチの撮影をしていて、カメムシが脱皮しているのに気付きました。

カメムシの種類に関しては、脱皮直後で幼虫の色が不明確なため、同定できていません。

おそらく時間の経過と共に、本来の色が変わっていくのでしょう。

ただ、ずんぐりした体形と腹部背面の模様の特徴から、ブチヒゲカメムシの可能性があると思っています。

なお、気が付いたのが、ほぼ脱皮が終わるところだったので、最後に皮から抜け出る所だけになってしまいました。


ウシカメムシ(Alcimocoris japonensis)

<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・カメムシ亜科>

カメムシ科カメムシ亜科の昆虫で、在来種。

日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。

体長は8~9mmで、出現時期は4月~11月である。

胸部左右の大きな突起とベージュ地に黒褐色の細かな模様が特徴的なカメムシ。

このような模様を持つカメムシは、他には居らず、比較的珍しい種類である。

言うまでもありませんが、大きな突起が牛の角を連想させることが、本種の名前の由来となっている。

食草は、アセビ、シキミ、サクラ、ヒノキなどで、特にアセビが好物のようである。

2014/3/25

河川敷へ向かう途中の小学校の裏庭でたくさん花を咲かせていたフキノトウに付いていました。

すぐ上には立派なソメイヨシノが花を咲かせる準備をしていましたので、そこで越冬していたのかも知れませんね。

今まで、いろいろなカメムシを見てきましたが、本種を見たのは初めてです。

柵越しでの撮影しかできませんでしたので、あまり鮮明な写真は撮れませんでした。


チャバネアオカメムシ(Plautia crossota stali)

<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・カメムシ亜科>

カメムシ科カメムシ亜科の昆虫で、在来種。

日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布する。

海外では、朝鮮半島から中国に分布する。

出現時期は4月~11月で、体長は10~12mmである。集団で成虫越冬する。

体色は、きれいな緑色に、羽の部分が茶褐色のツートンカラーである。

植食性のカメムシで、ナシ、カキなど果樹園で栽培される多くの果樹の食害する、農業害虫である。

越冬した成虫は、翌春から初夏にかけて果樹のツボミや果実を食害し、6月下旬頃に杉やヒノキに産卵する。

本種では、幼虫は杉とヒノキの果実(球果内部の種子)を餌として成長し、7月下旬くらいから新成虫が出現する。

2014/7/18

河川敷へ向かう途中の公園で、サザンカの若い果実に付いている本種を見かけました。

かなりポピュラーなカメムシですが、河川敷も含め、この近辺で見かけたのは初めてです。

新成虫かどうかは時期的に微妙ですのではっきりしません。

ただ、外見がきれいで、たくさん付いていましたので、その可能性は高いと思います。


クサギカメムシ(Halyomorpha halys)

<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・カメムシ亜科>

カメムシ科クサギカメムシ属のカメムシで、在来種。

日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布している。

海外では、朝鮮半島から中国、台湾など、東アジアに広く分布している。

体長は13~18mmで、前翅の膜質部を除いてまだら模様のある褐色で、腹部は橙色である。

頭部は突き出して幅はほぼ同じで、複眼がこぶのように左右に突き出す。

触角は体色と同色で、関節の部分が白くなっている。

前胸の両肩はあまり強く突き出さず、前縁に四つの小さな淡褐色の斑紋が並ぶ。

腹部は中程がやや幅広で、前翅の両側から少しはみ出す。前翅の膜質部は腹部の後端を超える。

植食性のカメムシで、非常に多くの種類の植物の茎や葉から吸汁する。

幼虫は果実には付かないが、成虫は果樹や豆類の吸汁もするため、農業害虫として古くから知られる。

成虫で越冬し、人家に入り込んで冬を越すことがあり、悪臭を出すので衛生害虫としても知られる。

越冬個体は、秋の訪れとともに死に、新世代に代変わりする。

なお、本種が刺激を受けたときに出す悪臭は強烈で、最も臭気の強い種の1つとされる。

2014/7/18

河川敷へ向かう途中の公園で、ザクロの実にたくさんのクサギカメムシが付いていました。

ザクロの実によって、黒褐色の斑点がたくさん付いているものがありますが、本種がその犯人のようです。

左端の写真のクサギカメムシは、その口吻をザクロに突き刺して、吸汁しています。 


シロヘリクチブトカメムシ(Andrallus spinidens)

<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・クチブトカメムシ亜科>

カメムシ科クチブトカメムシ亜科のカメムシで、在来種。

南方系のカメムシで、南九州以南に生息していたが、近年は、北上して各地で確認されている。

日本での分布域は、九州から四国、本州に広がっていて、関東辺りでも見られるようになっている。

海外では、東洋区~オーストラリア区~北アフリカと、新熱帯区に広く分布する。

発生時期は4月~10月で、成虫で越冬する。体長は12~16mmである。

体色は茶褐色で、前胸の側角が鋭く尖っていて、半翅鞘前縁に白い条が走り、小楯板の先も白くなる。

肉食性で、ハスモンヨトウ、シャクガなどのガの幼虫の体液を、口吻を刺して吸い取る。

2012/5/8

ハマダイコンの近くで飛翔中の昆虫を見つけました。

ハチかと思ったのですが、葉に止まったところで、カメムシと確認できました。

その時は名前までは分からなかったのですが、後で、シロヘリクチブトカメムシと同定できました。

2014/4/25

多摩川の土手を歩いていて、足元のスギナに止まるシロヘリクチブトカメムシを見つけました。

よく見ると、口吻を伸ばして、何かの幼虫に突き刺しています。

幼虫は、体液の多くを吸い取られ、縮んで口吻にぶら下がっています。


アカスジカメムシ(Graphosoma rubrolineatum)

<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・カメムシ上科・カメムシ科・クロカメムシ亜科

カメムシ科クロカメムシ亜科のカメムシで、在来種。

日本では、北海道からから本州、四国、九州、南西諸島とほぼ全国に分布する。

海外では、朝鮮半島から中国に分布する。

出現時期は6月~8月で、体長は9~12mmである。

黒地に赤い縦条があり、赤い縦条は濃淡と幅に個体差が見られる。

小楯板が非常に大きく、ほぼ腹部背面を覆っていて、前翅、後翅とも端が少し見える程度である。

腹面は赤と黒の斑模様をしている。

なお、この赤と黒のはっきりとした模様は警戒色になっていて、捕食を免れやすくなっている。

成虫も幼虫もセリ科の植物の花の蜜や種子の汁を食べる。

2013/9/13

河川敷の元花壇と思われる一角にパセリらしきものがあり、その花や種子に付いていました。

小さなカメムシですが、目立つ配色なので、目を引きます。


ヒメナガカメムシ(Nysius plebeius)

<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ナガカメムシ上科・

                   マダラナガカメムシ科・ヒメナガカメムシ亜科>

マダラナガカメムシ科ヒメナガカメムシ亜科に属するカメムシで、在来種。

日本では、本州から四国、九州、小笠原諸島、南西諸島に分布する。

海外では、朝鮮半島、ミクロネシア、ミッドウェーに分布する。

出現時期は4月~10月で、体長は4mm前後。

体色は灰黄色で、前翅の皮質部の後縁は淡色と暗褐色の縞模様。

イネ科の穂やキク科の花によく集まる小さなカメムシで、翅が透明なためアブのようにも見える。

2013/6/18

多摩川への道路脇で、オオアレチノギクのツボミの上にいる小さな昆虫を見かけました。

それにしても、5mmにも満たない大きさで、翅が透明に見えるため、小さなアブの仲間に見えました。

しかし、触角や頭部の形はカメムシの特徴を持っており、後で調べてヒメナガカメムシであるとわかりました。

2013/7/2

多摩川への道路脇のヒメジョオンで、本種が群れていました。

交尾中の個体もおり、なかなかにぎやかです。なお、交尾している下の大きい方がメスです。

なお、左の写真で右に写っているのは、体長8㎜程のアカガネコハナバチです。

本種が如何に小さなカメムシなのかが、お分かりいただけると思います。

2014/6/27

多摩川への道を脇で、アメリカオニアザミの冠毛にいたブチヒゲカメムシ撮影していて本種に気付きました。

いたのは、この1匹だけでしたが、うまくアップで撮影できました。

 

※ 右側に見えている枝毛がたくさん出ている白い物がアメリカオニアザミの冠毛の一部です。

直径が数㎝になる大型で、冠毛にはたくさんの枝毛が出ていて、大きくても風に乗りやすくなっています。

名前にアメリカが付いていますが、原産地はヨーロッパで、アメリカ経由での非意図的移入による命名のようです。

北海道に侵入し、現在は九州以外の国内で繁殖している「要注意外来生物」です。


ヒメマダラナガカメムシ(Graptostethus servus)

<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ナガカメムシ上科・

                   マダラナガカメムシ科・マダラナガカメムシ亜科

マダラナガカメムシ科ヒメナガカメムシ亜科に属するカメムシで、在来種。

日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布し、海外では、台湾に分布する。

出現時期は4月~11月で、体長は8~10mmである。

赤と黒の鮮やかな模様を持つナガカメムシであるが、黒斑には変異が多く、ほとんど無いものもいる。

比較的温暖な地域を好むようで、本州では主に海岸沿いのハマヒルガオなどに多い。

ヒルガオ科の植物の汁を吸うが、ハマヒルガオの減少に伴い、生息数は減っている。

2012/9/4

多摩川への途中にある公園で、マーガレットコスモスの花芯にとまるカメムシを見つけました。

見たことがないカメムシでしたので、写真を撮って後で調べました。

特徴的な赤に黒の模様でしたので、直ぐにわかると思っていましたが、同じパターンのカメムシが何種類かいます。

マダラナガカメムシ、コマダラナガカメムシ、ヒメジュウジナガカメムシ、ジュウジナガカメムシなどです。

胸部や前羽の斑紋で、絞り込んでいくのですが、どれとも一致せず悩みました。

始め、本種の黒紋がない真っ赤な前翅の写真を見て、違うと判断していたためです。

さらに調べて行くと、黒紋に変異があることが分かり、そのうちの1つが本種と一致しました。

本写真のように明瞭な黒紋のあるものと、まったくない赤一色の個体が同一種とは思えませんね。

なお、本種は、ヒルガオ科の植物が主な食物ですが、マーガレットコスモスの蜜を吸っているように見えます。

よく似た赤黒模様のカメムシ

似たような赤と黒のツートーンの模様を持つ、カメムシたちです。

斑紋が異なるため間違えることはないと思いますが、パッと見てわかる人はかなりの通ですね。

 

アカシマサシガメ(Haematoloecha nigrorufa)

カメムシ目・カメムシ亜目・トコジラミ下目・サシガメ上科・

        サシガメ科・ビロウドサシガメ亜科・アカシマサシガメ属

この中では唯一の肉食系で、幼虫、成虫とも地上性小型昆虫類(ヤスデ、ダンゴムシなど)の体液を吸います。

第1脚の腿節は特に太く、胸部には赤い地色に黒い十字型の陥没部があります。

ヒメホシカメムシ(Physopelta parviceps)

<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ホシカメムシ上科・

        オオホシカメムシ科・オオホシカメムシ亜科・オオホシカメムシ属

アカメガシワ、シイ、クワなどの花や果実に集まり、それらを吸汁するカメムシです。

ジュウジナガカメムシ(Tropidothorax cruciger)

<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ナガカメムシ上科・

        マダラナガカメムシ科・マダラナガカメムシ亜科・ジュウジナガカメムシ属

成虫、幼虫ともガガイモ、イケマなどのガガイモ科を吸汁します。

革質部の縁にある赤い十字が特徴で、前胸背の黒斑がヒメジュウジナガカメムシより細長いです。 


キバラヘリカメムシ(Plinachtus bicoloripes)

<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ヘリカメムシ科・ヘリカメムシ亜科>

ヘリカメムシ科ヘリカメムシ亜科のカメムシで、在来種。

日本では、本州、四国、九州、南西諸島に分布する。近年になって北海道にも侵入が確認された。

海外では、朝鮮半島から中国、台湾に分布する。

出現時期は4月~11月で、体長は11~18mmである。

上から見ると黒っぽい体色で地味ではあるが、腹部が黄色く、脚の途中まで真っ白で基部が赤い。

なお、幼虫は翅が短いので、腹部の黄色が非常に目立つ。

ただし、マユミの実にいるときは、同じ黄色のため保護色となり、逆に目立たない。

成虫、幼虫ともニシキギ科のニシキギやマユミなどの果実を吸汁する。

2013/7/19

多摩川への道端で、落ち葉の上にいるカメムシに気付きました。

遠目には真っ黒なカメムシに見えたのですが、近づいて良く見ると、腹部が鮮やかな黄色です。

脚の基部が赤く、その先が白になり、さらに黒くなっています。

腹部周辺は、黄色と黒のツートンカラーで、横から見ると、なんとも目立つ配色です。

黒くて地味な背面と黄色がド派手な腹部を持つ、綺麗なカメムシでした。

今まで、見たことはなかったのですが、調べると直ぐに本種と分かりました。


ハリカメムシ(Cletus rusticus)

<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ヘリカメムシ科・ヘリカメムシ亜科>

2012/9/4                2012/9/24          2015/5/8

ヘリカメムシ科ヘリカメムシ亜科のカメムシで、在来種。

日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで、ほぼ全国に分布する。

発生時期は4月~11月で、体長は10~12mmである。

体色は褐色で、腹部には白い縁取りがある。イネ科やタデ科の植物を吸汁する。

ホソハリカメムシやヒメハリカメムシとよく似ているが、下記の点で区別する。

・ヒメハリカメムシは8mm以下と小型で、触角第1節が頭幅とほぼ同じである

・ホソハリカメムシはやや小さくて細長く、肩の棘がより水平方向を向いている

・ハリカメムシの触角第1節の外側には細い黒条があるが、ホソハリカメムシにはない

 

2012/9/4 多摩川への道端で、ママコノシリヌグイの花にカメムシ止まっていました。

10mmほどの小さなカメムシですが、肩から角が左右に張り出しています。

後で調べると、ハリカメムシかホソハリカメムシであるとわかりました。

角の張り出し具合が分かりにくいのですが、触角第1節の黒条(狭拡大して確認)で判定しました。

2012/9/24 多摩川の河川敷の草原で、アレチウリの葉の上でハリカメムシを見かけました。

こちらも角の張り出し具合ははっきりしませんが、1枚目の写真より角が小さい気がします。

触角第1節の黒条が確認できませんので、ホソハリカメムシの可能性もあります。

2015/5/8 多摩川の土手で、ハルガヤの花穂に止まっていました。

この角度から見ると、触角第1節外側の黒条が分かりやすいです(といっても強拡大が必要です)。

また、腹部腹板の黒斑の並び方や数が両者で異なり、その点もハリカメムシに一致する。


ホソハリカメムシ(Cletus punctiger)

<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ヘリカメムシ科・ヘリカメムシ亜科>

日本では、本州から四国、九州、対馬、南西諸島に分布する。

出現時期は7月~9月で、体長は9~11mm。体色は地味な茶色で、腹部には白い縁取りがある。

ハリカメムシとよく似ているが、本種の方が幅が狭く、細長い体形をしている。

また、ハリカメムシより胸部両端の角の横幅がなく、張り出しが小さいので、鋭く尖って見える。

また、ハリカメムシの触角第1節下面にある黒条が、本種にはない。

イネ科やタデ科の植物を吸汁し、イネの害虫(斑点米発生の要因となる)である。

2013/8/16

土手の則面で、メヒシバにしがみ付いて風に揺られているハリカメムシらしきものを見つけました。

ゆらゆらと動くので、手前の草が邪魔をして撮りにくかったのですが、なんとか撮れました。

角の張り出し具合が小さく、体形が細長く見えますので、ホソハリカメムシとしました。

ただ、触角第1節の黒条や腹部腹板の黒点に関しては未確認です。


ホオズキカメムシ(Acanthocoris sordidus)

<カメムシ目・カメムシ亜目・カメムシ下目・ヘリカメムシ上科・ヘリカメムシ科・ヘリカメムシ亜科>

ヘリカメムシ科ヘリカメムシ亜科のカメムシで、在来種。

日本では、本州、四国、九州、南西諸島に分布する。

海外では、台湾、朝鮮半島から中国に分布する。

成虫の体長は14~17mmで、濃茶色で腹部側面に縞模様があり、体表面に細かい短毛がある。

頭部は小さく、触角は長い。特に第2節が長く、第4節は根棒状で短い。後脚の腿節は太い。

出現時期は4月~11月で、オスは縄張りを持って単独で活動し、メスは集団を形成する。

オスの縄張りにはメスの集団があり、オスはメスの集団を取り合って戦う。

成虫も幼虫も食草は、ナス科の植物ホウズキやナス、トマト、ヒルガオ科の朝顔やサツマイモなど。

幼虫は葉と茎から、成虫は茎から吸汁し、大発生すると吸汁によって成長が止まる。

※ ヘリカメムシ類は従来ヘリカメムシ科1科であったが、最近、頭部などの特徴から3科に分けられた。

ヘリカメムシ科(ホオズキヘリカメムシ、ホソハリカメムシなど)

クモヘリカメムシ科Alydidae(クモヘリカメムシなど)

ヒメヘリカメムシ科Rhopalidae(アカヒメヘリカメムシなど)

2013/7/19

多摩川への道端で、イヌホオズキの茎に群がるカメムシに気付きました。

10mmに満たない小さなカメムシですが、まだ翅が小さく、成虫ではないようです。

後で調べて、ホオズキカメムシと分かりました。

成虫は、濃茶色で腹部側面に縞模様があり、体表面に細かい短毛が生えているそうです。

大きさからいって、おそらく5齢幼虫と思われ、短毛はありますが、縞模様まだないようです。

2014/9/12

川縁のアレチウリの葉の上でじっとしている本種に気が付きました。

以前、幼虫が群れているのを見たことはありますが、生態を見るのは初めてです。

特に目立った模様はなく、地味な色合いです。

ただ、後脚の太さが目立ちます。しかし、オオヘリカメムシほどの太さではありません。