ショウガ科・ウコギ科・ナス科

ショウガ目

  ショウガ科(キバナシュクシャ)    (参)ハナシュクシャ、ニクイロシュクシャ

セリ目

  ウコギ科(キヅタ)

ナス目

  ナス科(クコ、ヒヨドリジョウゴ)


キバナシュクシャ(Hedychium gardnerianum)

<ショウガ目・ショウガ科・シュクシャ属>

ショウガ科シュクシャ属の多年草で、ヒマラヤ原産の園芸品種。

日本では、関東地方以西の温暖な環境で越冬できる。

ショウガに似た根茎を持ち、その腋芽から茎を直立させ、草丈は1~2.5mになる。

なお、茎のように見える部分は葉鞘が重なり合ったもので、いわゆる偽茎である。

葉は2列に互生する単葉で、長さ20~60cmの剣型。縁は全縁で、先は尖り、基部が葉鞘となる。

花期は8月~9月で、葉の間から花茎を伸ばし、長さ15~45cmの総状花序に多数の花を付ける。

花序には緑色の苞があり、1個の苞が2個の花を抱く。花は直径6cmほどの黄色い蝶形花である。

花被片は、外花被は3個が合着して基部の苞に隠れ、内花被は基部が合着して先が3個に分かれ線形。

筒部の長さは5cmほどあり、3個の仮オシベが花弁状に発達し、側仮オシベは内花被片より大きい。

中央の仮オシベは唇弁状に大きく広がり、浅く2裂する。

稔性のあるオシベが1個あり、花糸は橙色で太く、長く前に突き出す。

その稔性のあるオシベの葯の先端から、メシベの柱頭が短く突き出す。

2013/11/5

多摩川への道端にある公園で見かけた黄色っぽいハナシュクシャです。

花弁が黄色いので、キバナシュクシャとしましたが、純粋なものではないかもしれません。

ショウガ科の植物なので、良い香りがします。

ショウガ科シュクシャ属の花

下記は自宅近くで撮影したものですが、草姿や花の構造はよく似ています。

ただ、花色以外に、花の付き方や外見に微妙な違いが見られます。

白いハナシュクシャはホワイトジンジャーやジンジャーリリーの名前で呼ばれることもあります。

香りが良いので、この花のツボミがハワイのレイに使われているそうです。

ハナシュクシャ(Hedychium coronarium)

<ショウガ目・ショウガ科・シュクシャ属>

ショウガ科シュクシャ属の多年草で、インドからマレーシアが原産の園芸品種。

和名は漢方薬(縮砂)のシュクシャ(ショウガ科)に似ていることによる。

本種は、熱帯を中心分布するが耐寒性があるため、関東地方以西の温暖な環境で越冬できる。

草丈は1~2mで、葉には長い葉鞘があって互生し、葉鞘が重なった偽茎は直立する。

葉身は長さ22~55cmの長楕円形で先は尖る。表面は無毛で光沢があり、裏面には長毛が密生する。

花期は6月~10月で、花序は頂生の穂状花序で、多数の花が密に付く。

花は直径10㎝前後で、花被片は6個。外花被3枚は合着して花のつけ根にある。

内花被片3枚は、基部が合着し、その中の上弁は2裂して大きく、中央部は淡黄色を帯びる。

もう1枚、唇形の花弁があるが、これはオシベ2個が変化したものである。

6個のオシベの内、他の2個は弁化して唇弁の付属片となり、1個は退化している。

最後の1個が長く伸びて念性があり、メシベと一体化して葯の先端から柱頭が短く突き出す。

花は夕方から咲き始め、強い芳香を持つため、香水として利用される。

葉、茎、根茎の形状は、ショウガやミョウガによく似ている。 

 

ニクイロシュクシャ(Hedychium carneum

<ショウガ目・ショウガ科・シュクシャ属>

ショウガ科シュクシャ属の多年草で、インドからマレーシアが原産の園芸品種。

本種は1815年に発見され、日本への渡来は昭和の初め頃とされる。

草丈は1~2mで、葉には長い葉鞘があって互生し、葉鞘が重なった偽茎は直立する。

葉は長さ40cmほどの披針形で先が尖り、裏面の主脈に絹毛がある。

花期は8月~10月で、頂生の長さ15~30cmの穂状花序に多数の花を付ける。

花は直径10㎝前後で、花被片は6個。外花被3枚は合着して花のつけ根にある。

内花被片3枚は、基部が合着し、その中の上弁は2裂して大きく、中央部は淡黄色を帯びる。

もう1枚、唇形の花弁があるが、これはオシベ2個が合着して変化したものである。

その基部で、2個の付属片が横に開いているが、これも2個のオシベが弁化したものである。

6個のオシベの内、長く伸びる1個だけに念性がある。最後のオシベ1個は退化している。

メシベは、このオシベと一体となり、橙色の葯の先端から緑色の柱頭が短く突き出す。

花は夕方から咲き始め、強い芳香を持つが、他のシュクシャより香りはいく分弱い。


キヅタ(Hedera rhombea)

<セリ目・ウコギ科・キヅタ属>

2015/7/28             2014/9/2             2013/9/20

ウコギ科キヅタ属の常緑つる性木本で、在来種。

花期が冬になるので、フユヅタの別名を持つ。

日本では、北海道南部から本州、四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島にも分布する。

茎から多数の不定根を出して、樹木や岩場を這い上る。

葉は互生し、3角形~5角形で浅く掌状に3~5裂する。

葉の質は革質で、濃緑色。葉脈が淡緑色で良く分かる。

花期は10月~12月で、茎の先に直径数cmの散形花序を付け、黄緑色の花を付ける。

花は、直径10mmに満たない小さな両性花で、花弁は5枚、オシベも5本付く。

果実は核果で、直径8mm前後の球形。翌年の4月頃に黒紫色に熟す。

 

2015/7/28 順序が逆になっていますが、7月には新しい花序の先で花芽が膨らみ始めます。

2014/9/2 9月に入ると花芽が大きくなり、花柄も伸びて放射状にツボミが付きます。

2013/9/20 9月も下旬になると、キヅタの開花が始まります。

 

多摩川への道路脇で、民家の塀にキヅタが絡み付いて花を咲かせていました。

実は、後で分かったのですが、この塀にはツタとアケビも一緒に絡み付いています。

そのため、春にはキヅタの葉の間からアケビの花が顔を出します。

秋には、常緑のキヅタの葉と、紅葉したツタの葉のコントラストが楽しめます。

2014/10/2            2014/10/1            2014/10/1

今年もキヅタが開花を始めました。昨年より花の密度がかなり高く、たくさん花を咲かせていました。

そのためか、キヅタの花に歓迎されざるコガタスズメバチが毎日のように訪花していました。

2014/11/19

たくさんの花を付けていたキヅタですが、気が付くと花はすっかり終わっていました。

その果実は、花が終わった直後の花盤は黄色ですが、徐々に褐色、黒褐色と変わっていくようです。

写真には、その様子が写っていますが、子房の部分もその変化と共に大きくなっていますね。

来春には、成熟して大きく丸くなり、真っ黒になった果実が見られると思います。

2015/3/3                2015/4/10

昨年末に結実していたキヅタですが、3月になると淡紫色から濃紫色に色付いていました。

4月になると、もう真っ黒といった方が良い色になっていました。


クコ(Lycium chinense)

<ナス目・ナス科・クコ属>

2012/8/20          2013/10/10                 2012/12/12

ナス科クコ属の落葉低木で、中国原産の帰化植物。

日本以外にも、台湾、朝鮮半島、北アメリカにも移入されて分布が広がっている。

枝は長さ1m以上、太さは数mm-1cmほどで、細くしなやかである。

地上部は束状で、上向きに多くの枝が伸びる。

枝には2-5cm程度の葉と1-2cm程度の棘が互生するが、枝分かれは少ない。

垂直方向以外に地上にも匍匐茎を伸ばし、同様の株を次々と作って繁茂する。

開花期は夏-初秋で、直径1cmほどの小さな薄紫色の花が咲く。

果実は長径1-1.5cmほどの楕円形で、赤く熟す。

一旦定着すると匍匐茎を伸ばして増え続け、数年後にはまとまった群落となることが多い。

果実は酒に漬けこんでクコ酒にする他、生食やドライフルーツでも利用される。

薬膳として粥の具にもされる。また、柔らかい若葉も食用にされる。

 

2013/10/10

クコの花期は長く、8月~11月くらいまで見られます。多摩川の土手でも、ほぼ同じです。

ただ、今年は土手の除草時期の影響で、土手では見られませんでした。

川縁にへばり付くように残っている株が花を咲かせていました。

初冬には、真っ赤に熟した果実がたわわに実っていることでしょう。


ヒヨドリジョウゴ(Solanum lyratum)

<ナス目・ナス科・ナス属>

ナス科ナス属のつる性多年生植物で在来種。

日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の林縁などで見られる。

日本も含め、東アジアから東南アジアに広く分布する。

葉は互生し、三裂、五裂したものから、卵状のものまで大きな変異がある。

茎や葉など全草には柔らかい毛が密生する。

花は、互生する葉の脇から伸びた枝に多数付き、白色の五花弁で、徐々に大きく外に反り返る。

花弁の根元には緑色の斑紋があり、オシベの葯はメシベを取り巻く。

果実は液果で、直径1cm弱の球形で、緑色から赤く熟す。

2014/10/2

多摩川への道路脇にある学校の裏庭で、小さな花を咲かせている本種を見つけました。

以前から生えていたものと思いますが、除草されるので気が付かなかったのかもしれません。

距離があったので、あまりアップでは撮れませんでしたが、花や若い果実を確認できました。

ヒヨドリジョウゴの花と果実

2014/9/13             2014/9/13             2014/9/13

2014/9/13             2014/10/25

相模原市と町田市の間を流れる境川の縁で見かけたヒヨドリジョウゴです。

多摩川では、アップで撮れませんでしたので、代わりに掲載します。

上段左端は開花間もない花で、花弁は平開しています。

しかし、日が経つにつれ、中央の写真のように大きく反り返っていきます。

下段左は、若い果実ですが、熟すと徐々に赤くなります。

右の写真は、熟す途中の果実など、いろいろな状態の果実が写っています。