アオイ科・イチョウ科

アオイ目

  アオイ科(アオギリ、ウキツリボク、オクラ、モミジアオイ)

 

イチョウ目

  イチョウ科(イチョウ)


アオギリ(Firmiana simplex)

<アオイ目・アオイ科・Sterculioideae亜科・アオギリ属>

2014/6/23             2014/6/23             2014/7/17

アオイ科アオギリ属の落葉高木で、在来種。雌雄同株。

日本では、伊豆半島、愛媛県、高知県、大隈半島、琉球列島などで自生している。

公園樹や街路樹として利用されるため、暖地では野生化して増えている。

海外では、東アジアの亜熱帯から熱帯に分布している。

樹高は15~20mで、幹は直立し、樹皮は緑色。

若木では緑色でなめらかであるが、古くなると灰褐色を帯びて縦に浅い筋が入る。

葉は互生し、葉柄は長く、葉身は長さ、幅とも15~25cmで、掌状に3~5裂する。鋸歯はない。

花期は5月~7月で、枝先に大型の円錐花序を出し、淡黄色の小さな花を多数つける。

花序には雄花と雌花が混じり、雄花の花糸は合着して筒状になり、葯は先端にかたまってつく。

雄花の花糸は合着して筒状になり、葯は先端にかたまってつく。

花弁のように見えるのは萼片で、花弁はない。萼片は5個で、内面には長毛が密生しそり返る。

果実は、未成熟期は鞘状で、5本の鞘が放射状に垂れ下る。

晩夏には鞘が裂開して、葉状になるが、その周辺に4個の種子が付く。

その状態で冬まで残り、冬に強風にあおられると木から離れて散布される。

 

この日、アオギリの枝先に大きな花序が何本も出て、茶色いツボミらしきものがたくさん確認できました。

咲くのは、まだ先だと思っていて、すっかり忘れていました。気が付いて見に行くと、花期は終わっていました。

この木は、結実していないようで花序の先には果実らしきものは全くなく、全て散ってしまっていました。

2015/6/9

昨年、花を見損ねたので、早めに様子を見に行くと、既に花序が伸び始めていました。

まだ、花序が十分に開き切っておらず、ツボミも固まりになったままです。

もう少し経つと、2014/6/23の写真のように、ツボミも大きく展開してきます。

         <雌花>               2015/6/29           <雄花>

なかなか見に行けず、日が空いてしまったのですが、何とか間に合いました。

雌花先熟ですので、咲いているのは雌花が目立ちます。しかし、雄花も少し咲いていました。

雌花の子房には柄があり、裂開した萼片から飛び出しています。

なお、褐色がかった子房は5つの袋からなっており、その先にメシベの花柱が出ています。

雄花にも裂開した萼から飛び出しているものがありますが、これは雄花の花糸が合着して筒状になったものです。

その筒状の花糸の先に葯が固まって付いています。

2014/7/17

この日、別の場所で見かけたアオギリです。このアオギリには鞘状の果実が付いていました。

このことから、この木は結実率は高いことがわかります。前述の木とは大きな差がありますね。

2014/8/6

アオギリの果実ですが、見に行ってみると8月の初旬なのに鞘は裂開していました。

裂開した鞘の付け根付近に、左右に2個づつ果実が付いているのが分かります。

2014/9/11

久しぶりに様子を見に行くと、かなりの鞘が茶色く枯れて、果実はしわがれていました。

このまま冬まで残り、寒風に吹き飛ばされるのを待つことになります。


ウキツリボク(Abutilon megapotamicum)

<アオイ目・アオイ科・アオイ亜科・イチビ属

2013/10/1              2013/11/5

2013/11/5              2013/11/5

アオイ科イチビ属の常緑半蔓性低木で、ブラジル原産の帰化植物。

日本では、園芸品種として栽培されており、別名はチロリアンランプ。

樹高は1~3mで、枝は細く長く、寄り掛かかって伸び、枝先が垂れる。

葉は互生し、葉身は長さ5~15cmの狭卵形で、分裂しないか3~5浅裂し、鋸歯がある。

葉柄があり、基部は心形で先は鋭く尖り、托葉がある。

花期は6月~10月で、葉の脇から長い花柄を垂れ下がらせて、花を付ける。

最初、赤い筒状の萼が大きく膨れてきて、その赤い萼を割るように、5個の黄色い花弁が突き出す。

花の直径は3cm前後で、その黄色い花から濃赤褐色のオシベとメシベが飛び出している。

 

野草ではありませんが、公園で独特な形の花を咲かせていました。

漢字で書くと「浮釣木」。花が釣り下げられて、宙に浮いているように見えることに由来しているそう。

別名のチロリアンランプは、チロル地方のデコレーションランプに似ていることに由来するそうです。


オクラ(Abelmoschus esculentus)

<アオイ目・アオイ科・アオイ亜科・フヨウ連・トロロアオイ属>

2014/9/3                2014/10/1

アオイ科トロロアオイ属の1年草で、アフリカ北東部原産の野菜。

原産地では多年草であるが、耐寒性がなく、少しの霜でも枯れてしまうため、日本では1年草。

和名は「アメリカネリ」で、別名を「陸蓮根(おかれんこん)」と言う。

普及前から「ネリ」の名で食べられていた地域(沖縄や鹿児島など)以外では、英名のオクラ(okra)が一般名。

草丈は2mほどになり、15~30cmの大きさの掌状の葉をつける。

花期は7月~10月、花は黄色い花弁に中心が赤色で、トロロアオイの花と良く似ている。

開花は夜から早朝にかけてで、昼にはしぼんでしまう1日花である。

果実は、先が尖って五つの稜があり、表面に短毛が生えている。

熟すと木質化して固くなるので、若い果実を食用とする。

※ 沖縄などで栽培されている島オクラ(ネリ)は、在来種で丸くて稜がない果実を付ける。

大きくなってもあまり固くならないので、大きくなったものも食用になる。

 

9/3 野草ではありませんが、民家の庭先で大きな花を咲かせていました。

野菜の花としては、見ごたえのある大きく目立つ花です。

しかし、残念ながら1日花で、早朝に咲いて、昼にはしぼんでしまいます。

10/1 10月に入りましたが、まだ、花を次々に咲かせていました。

花を引き立てているメシベの柱頭をアップで撮ってみました。 


モミジアオイ(Hibiscus coccineus)

<アオイ目・アオイ科アオイ亜科・フヨウ連・フヨウ属>

アオイ科フヨウ属の多年草で、北アメリカ原産の帰化植物。

日本では、園芸品種として全国で栽培されているが、逃げ出して野生化しているところもある。

ハイビスカスと同じフヨウ属で、10cm前後の大型の赤い花を付けるのでよく目立つ。

草丈は1.5m~2mで、茎は硬く直立する。

葉は長さ10~20cmで、掌状に深く3~5深裂して、裂片の幅は狭い。

花期は7月~9月で、上部の葉腋から花柄を伸ばし、直径10~20cmの深紅色の花を付ける。

花弁は5個で、平開し、花弁の幅が狭いので、花弁の間に隙間がある。

メシベとオシベの基部は合着して長い柱状となり、上部にブラシ状にオシベが出て、その先に5個の柱頭が付く。

果実は直径1.5~2.5cmの蒴果で、熟すと5裂する。

 2012/7/20

野草ではありませんが、民家の庭先で大きな花を咲かせていました。

フヨウと同じ構造の花ですが、花弁の間に隙間があり、重なり合うことはありません。

葉は、モミジのように深裂し、それが名前の由来となっています。


イチョウ(Geranium carolinianum)

<イチョウ目・イチョウ科・イチョウ属>

イチョウ科イチョウ属の裸子植物で、裸子植物門イチョウ綱の中で唯一の現存種。

そのため生きた化石と呼ばれている。

中国原産の樹高20~40mの落葉高木で、雌雄異株であるため、雄株と雌株があり、実は雌株にのみになる。

雄花、雌花とも4月~5月に開花し、雌花の胚珠に取り込まれた花粉は、胚珠の上部にある花粉室に留まる。

そこで4ヶ月程そのままの状態で留まり、胚珠は直径約2cm程度にまで成長する。

成長した胚珠内の花粉では数個の精子が作られ、9月くらいにやっと受精して、種子が成熟を始める。

被子植物では授粉後直ぐに成熟を始めるのに対し、何とも変わった裸子植物の受粉の過程です。

葉は扇形で葉脈が付け根から先端まで伸びており、葉の中央部が浅く割れている。

種子は、11月頃に熟すると軟化し、カルボン酸類特有の臭気を発し、素手で触るとかぶれる。

人為的な移植により、現在は世界中に分布しており、年平均気温が0~20℃、降水量500~2000mmの地域に分布している。

2013/6/18

イチョウは、街路樹として多摩川に行く途中にも、たくさん植えられています。

しかし、果実の臭気が嫌われるため、街路樹には雄株のみが使用されます。

そのため、街路樹で果実を付けるものはほとんど見当たりません。

多摩川に行く途中の神社の境内に、1本、雌株があり、気が付くと、果実は大きくなっていました。

しかし、以下に述べるとおり、この時期の果実では、種子は未成熟です。 


2016/4/25

なんとかイチョウの雌花を撮りたいと思っていたのですが、今年も間に合わなかったようです。

見た目は、授粉前の雌花と大差はないのですが、既に大きくなり始めていました。

おそらく、もう1週間前に気付いていたら撮れたのではと思います。

2015/5/13             2015/5/21             2015/6/29

2015/5/13 今年、イチョウの花が見たいと注意していたはずなのですが、見落としたようです。

気が付くと、梢に小さなものが見えます。ツボミかと期待したのですが、良く見ると果実でした。

2015/5/21 1週間でかなり大きくなり、2個がくっ付居ているものが多いです。

2015/6/29 1ヶ月程経つと、すっかり大きくなり、色も黄色みを帯び始めています。

2015/7/28             2015/8/18             2015/9/3

2015/7/28 さらに1ヶ月程経つと、一回り大きくなり、黄色みも増していました。

2015/8/18 大きさはほとんど変わりません。光の加減かもしてませんが、表面が白っぽくなっていました。

2015/9/3 一段と黄色みが増し、表面の白っぽい粉を吹いたようなところも、今日はあまり目立ちません。

2015/9/14             2013/9/24             2015/10/5

2015/9/14 さらに黄色みは増したようです。今日は、表面の白っぽい粉が良く目立ちます。

2013/9/24 表面にゴルフボールのようなディンプル(凹凸)ができてきました。白っぽい粉も良く目立ちます。

2015/10/5 さらに種子の成熟が進み、橙色になって表面の凹凸が大きくなり、多少、縮んだようです。

2015/10/27

種子はすっかり成熟して、いつ落果してもおかしくない状態なのですが、今年も落果が見られません。

昨年同様、この樹では枝に付いたまま冬になっても落果しないかもしれません。

あまり結実数が多くない別の樹では、中央や右の写真のように落果が見られます。

この樹はなぜ落果しないのか、謎です。

2013/12/10

多摩川への道路の街路樹や公園のイチョウの木も黄葉して、目を楽しませてくれていましたが、

前夜の雨で一気に落葉し、公園ではイチョウの木の下が黄色い絨毯を敷き詰めたようになっていました。

風があまりなかったので、落ち葉が散らばらなかったようです。

イチョウの雄花

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

町田市の薬師池公園で見ることができた、イチョウの雄花です。

近くに雌株もあるので、雌花を探したのですが、雌花は見つけられませんでした。