グミ科・バラ科(Ⅰ)

バラ目

  グミ科(ナワシログミ)

  バラ科バラ亜科(ナワシロイチゴ、ヘビイチゴ、ヤブヘビイチゴ、オランダイチゴ、モッコウバラ)

  バラ科モモ亜科(コデマリ、ヤエコデマリ、シジミバナ、ユキヤナギ、リキュウバイ、ヤエヤマブキ)

          (参)ヤマブキ、シロヤマブキ


ナワシログミ(Elaeagnus pungens)

<バラ目・グミ科・グミ属>

2015/3/5         2015/4/9         2015/4/9    .

グミ科グミ属の常緑低木で、タワラグミ、トキワグミの別名を持つ。

日本では、本州中南部から四国、九州にかけて海岸近くに多い。

海外では、中国中南部に自生する。

楕円形の葉は厚くて硬く、互生。若葉の表面には一面に星状毛があり、白っぽい艶消し状になる。

時間の経過と共に星状毛はなくなり、艶のある新緑になる。

花期は秋で、花は両性か単性。黄色い筒状の萼は、先が4裂し、オシベが4本付く。花弁はない。

開花後、筒状の萼の基部が果実を包み、肥厚して核果様になる。翌年の5月~6月に赤く熟す。

なお、果実の先には、萼筒の上部が残る。

 

多摩川の河川敷で、ナワシログミがトベラの間から枝を伸ばしていました。

そこにあるのは知っていたのですが、トベラの剪定時に一緒に切られてしまいます。

そのため、花も果実も見たことがなかったのですが、今年は果実がみられました。

3月に見た時は、まだまだ未熟な状態でしたが、4月になると色付き始めました。

残念ながら、その後、剪定されてしまい、熟した所は見られませんでした。

2015/11/13

花後、結実して間もない果実です。まだ、大きさもバラバラです。

上の写真のように、春にかけて徐々に大きく膨らみ、赤く熟します。

※ ナワシログミの花に関しては、「秋の野草/グミ科」を参照ください。


ナワシロイチゴ(Rubus parvifolius)

<バラ目・バラ科・バラ亜科・キイチゴ属>

バラ科キイチゴ属のツル性の落葉低木で、在来種。

和名は、田植えの頃に赤く果実が熟することに由来する。

日本では全国に分布し、日当たりの良い傾斜地で地を這うように広がる。

海外では、朝鮮半島から中国、台湾、ベトナム、オーストラリアに分布する。

樹高は20~30cmで、茎には下向きの曲がる綿毛があり、直立する刺が散在する。

葉は互生し、長さ8~14cmの奇数羽状複葉で、小葉は1対のものが多い。

なお、1年目の茎では、葉は大きくなり、小葉が2対のものがある。

頂小葉は長さ3~5cmの菱状倒卵形で、3浅裂することもあり、先は丸く、重鋸歯縁である。

葉裏は白い綿毛が密生して白く、葉柄は長さ3~5cmで、葉柄と葉軸には軟毛と刺がある。

花期は5月~6月で、花は紅紫色の5弁花。枝先や葉腋に散房状に上向きに付く。

花弁は長さ5~7mmの倒卵形で、反り返るように付き、ツボミのような状態から開くことはない。

萼は5深裂し、萼の下部だけに刺がある。萼片は開花時には平開か反り返り、花が終わると閉じる。

花弁が立って開かないので、花自体は直径7mm前後しかないが、萼片が開くの直径は15~20mmある。

オシベとメシベは多数あり、メシベは花弁から少し飛び出す。花弁が落ちると、葯が開く。

果実は集合果で、直径15mm前後の球形。酸味があるが、食べられる。

 

2013/4/25

多摩川への途中にある、JRの道床脇の斜面に生えていました。

この写真の状態では、花色などが不明で、ナワシロイチゴとは分かりませんでした。

2012/5/7

気が付くと、赤紫の花がツボミの状態になっており、花色は白ではなく、赤紫と分かりました。

早速、花色から同定をはじめ、ナワシロイチゴと分かりました。

同時に、ツボミのようなものが、実は開花状態と分かり、ちょっと驚きました。

2013/5/9                2013/5/10

5/9 右端がツボミ、左端が開きかけ、中央はしぼみかけです。

5/10 右端は開花して間もない状態で、左端は開ききった状態、

中央は花弁が縮れて成熟したオシベが見えています。

2013/5/14               2013/5/22

5/14 花もほぼ咲き終わり、オシベも枯れかけています。

5/22 すっかり花は咲き終わり、開いていた萼が閉じ始めています。

後は、1ヶ月後、果実が熟すのを待つだけで、除草されなければ、味見をしてみようと思っています。

2013/6/18               2013/6/25

6/18 果実はしっかりと熟し、食べごろとなりました。

6/25 花床を残すのみとなり、後は枯れるだけとなっています。

ナワシロイチゴは集合果で、核果が集まっています。その核果を集めて試食してみました。

多少、酸味が強いですが、しっかりとした甘みもあり、十分、生食できます。

2014/5/8

ナワシロイチゴを接写系で拡大撮影しました。

開きかけた所と、開き切ったところを撮影しましたが、花弁がオシベを包み込んでしまっています。

その花弁の隙間から覗いている花弁より色の濃い、モジャッとしたものがメシベの柱頭です。

この状態で授粉し、メシベが成熟すると花弁が縮れて落ちます(2013/5/9、10の写真を参照ください)。

そして、成熟したオシベが顔を出して、受粉のための花粉を提供します。


ヘビイチゴ(Duchesnea chrysantha)

<バラ目・バラ科・バラ亜科・キジムシロ連・キジムシロ属 >

バラ科キジムシロ属の多年草で、在来種。

以前はヘビイチゴ属とされていたが、遺伝的な解析で、キジムシロ属に含められるようになった。

日本ではも北海道から九州、沖縄まで全国に分布し、海外では朝鮮半島から中国とアジア南東部に分布する。

茎は地を這い、節から根を出して増える。葉は互生し、長い葉柄の先に3小葉からなる葉が付く。

小葉は長さ3㎝前後の楕円形か倒卵形で、葉先は鈍頭、基部はくさび形。粗い鋸歯がある。

花期は4月~5月で、葉対生で、葉柄の反対側から花柄を出し、黄花を付ける。

花の直径は15㎜ほどで、先の3裂した副萼片は、萼片と同じか幾分大き目。

黄色い花被片、萼片、副萼片とも5個あり、オシベは多数ある。

また、中心の花床上に心皮が多数離生して付き、花床は果時には肥大して果床となる。

果実は真っ赤に熟すが、果床には光沢がなく、淡紅色。痩果が多数付き、痩果には皴がある。

果実に毒はないが、無味乾燥で味がなく、食用には向かない。

 

2012/4/20

多摩川の河原では、多くの雑草に交じって、ところどころで見かけます。

花は、黄色で比較的大きい方なので目立ちますが、とにかく地を這うように咲くので、遠目では見えません。

2012/5/24

花後、1ヶ月もすると真赤な果実になります。

果実の表面には粒粒があり、イチゴっぽい果実ですが、とにかく味がありません。

そのため、毒はないのですが食用には向きません。

2013/4/23

今年も、多摩川への道路脇や河川敷にヘビイチゴが花を咲かせていました。

ただ、河川敷では除草されなかったので、他の野草に埋もれていて遠目では見えません。


ヤブヘビイチゴ(Duchesnea indica)

<バラ目・バラ科・バラ亜科・キジムシロ連・キジムシロ属>

バラ科キジムシロ属の多年草で、在来種。

日本では、本州から、四国、九州に分布する。海外では、東アジア、南アジアに分布する。

草丈は10㎝ほどにしかならず、匍匐茎を出して広がる。

葉は濃緑色の三出複葉で、楕円形の小葉には細かい鋸歯があり、長い葉柄がある。

頂小葉は長さが数cmの長楕円形で、広卵形のヘビイチゴとは形が異なる。

また、ヤブヘビイチゴでは重鋸歯にならないが、ヘビイチゴは重鋸歯になることが多い。

花期は4月~6月で、葉腋から花柄を出して、直径20mmほどの黄色い花を1つ付ける。

5個の三角形状の萼片と葉状の副萼片が交互に付き、副萼片が萼片より大きい。

果実は花托が肥大した偽果で、果床は濃紅色で赤い痩果にはしわがない。

この果実は食べられるが、味はほとんどしないので、生食には向かない。

本種では、果期にも花が見られるので、黄色い花と赤い果実を同時に見られる。

※ヤブヘビイチゴは、副萼片が萼片より有意に大きく、果床が光沢ある赤で、痩果に皴がない。

 

2012/4/20

多摩川の道路脇の民家の庭先で、ヘビイチゴと比べると大柄な赤い果実が目に止まりました。

黄色い花が咲いている時点では、ヘビイチゴと思って見過ごしていたものです。

明らかに、ヘビイチゴと比べると果実は一回り以上大きく、艶々としています。

後で気づいたのですが、果実の後ろから黄色い花の一部が顔を出していました。

ヤブヘビイチゴとヘビイチゴの花と果実と葉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤブヘビイチゴとヘビイチゴの花は、三角形状の萼片と葉状の副萼片が交互に付く点は同じです。

そして、萼片よりも副萼片の方が大きい点でも同じですが、ヤブヘビイチゴの方がより副萼片が大きいです。

ヤブヘビイチゴとヘビイチゴの果実の違いで、最も分かりやすいのは果床です。

ヤブヘビイチゴの果実は、果実が大きくなって果床が広がっても、光沢のある赤い色をしています。

一方、ヘビイチゴの果実は、果実が大きくなって果床が広がると白くなり、光沢もなくなります。

また、痩果もヤブヘビイチゴは皺がなくツルっとしているのに対して、ヘビイチゴは皺があります。

葉は、ヤブヘビイチゴもヘビイチゴも三出複葉である点は同じですが、小葉の形に違いがあります。

ヤブヘビイチゴの小葉は楕円形~卵形なのに対して、ヘビイチゴの小葉は楕円形~倒卵形で形が異なります。

また、ヤブヘビイチゴでは重鋸歯になりませんが、ヘビイチゴは重鋸歯になることが多いです。


オランダイチゴ(Fragaria ×ananassa Duchesne)

<バラ目・バラ科・バラ亜科・キジムシロ連・オランダイチゴ属>

バラ科オランダイチゴ属の多年草で、栽培品種としていろいろな種類が流通している。

チリイチゴ(Fragaria chiloensis)とバージニアイチゴ(Fragaria virginiana)の人口交配種である。

日本で、イチゴとして流通しているのは、ほぼこのオランダイチゴの事である。

草丈は10~40cmで、茎は葉と同じかそれより短く、黄色い絨毛が密に付く。

葉柄は長さ2~10cm、葉身は3小葉からなり、小葉には短い小葉柄がある。

小葉は葉表が濃緑色、葉裏が淡緑色で、長さ3~7cmの菱形。縁に鋭い鋸歯があり、先は円形。

花期は4月~5月で、集散花序に花が5~15個付く。下部に短い柄のある苞があり、葉状。

花冠の直径は15~20mmで、花弁は白色の倒卵状楕円形である。

萼片は卵形で副萼片よりわずかに長く、副萼片は楕円状披針形の全縁で、果時には拡大する。

オシベは20個前後あり、不等長である。心皮は多数ある。

集合果は熟すと赤色になるが、食用となるのは花托(花床)であり、果実は表面の粒粒である。

 

2012/4/18

多摩川への道路脇で、オランダイチゴが花を咲かせていました。

言うまでもなく、オランダイチゴは栽培品種であり、野草ではありません。

白い花を咲かせるオランダイチゴと、黄色い花のヘビイチゴとの対比のため、掲載しています。

花の形は似ています(通常は花弁は5枚ですが、右端は6枚の奇形です)が、果実はかなり異なります。

オランダイチゴは、花托が赤く、果実は黒っぽいですが、ヘビイチゴは果実が赤く、花托は白っぽいです。

その味は、オランダイチゴが甘酸っぱくておいしいのに、ヘビイチゴは無味乾燥で食べられたものではありません。


モッコウバラ(Rosa banksiae f. lutea Rehder)

<バラ目・バラ科・バラ亜科・バラ属>

バラ科バラ属の常緑つる性低木で、中国原産の帰化植物。

花色は、白か淡い黄色で、一重咲と八重咲がある。なお、一重咲と八重咲の白花には芳香がある。

バラ属ではあるが、八重咲き黄モッコウバラには刺がないので、園芸用途には向いている。

一重咲き白モッコウバラなどには、少ないが棘がある。

樹高は環境によるが6m以上にもなる。葉は互生し、奇数羽状複葉で、長さ4~8cm。

小葉数は3~5個で、長さ2~5cmの長楕円形で光沢がある。

革質で葉裏の脈には短毛があり、葉表は無毛。先が尖り、縁には細かい鋸歯がある。

花期は4月~5月で、枝先の散房花序に10~20個の花が付く。花の直径は15~25mm。

小花柄は長さ2~3cmで、苞は早く落ちる早落性。

一重咲き黄モッコウバラ(Rosa banksiae f. lutescens Voss

八重咲き黄モッコウバラ(Rosa banksiae f. lutea Rehder

一重咲き白モッコウバラ(Rosa banksiae var. normalis)

八重咲き白モッコウバラ(Rosa banksiae f. alboplena Rehder = Rosa banksiae Aiton 'Alba'

 

2013/4/26

多摩川への道路脇の民家の塀で、咲き誇っていたモッコウバラです。

黄色の八重咲きなので、「八重咲き黄モッコウバラ」になりますが、もっともポピュラーな品種です。

アカオ ハーブ&ローズ ガーデンで見たモッコウバラ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伊豆のアカオ ハーブ&ローズ ガーデンで見た見事なモッコウバラの垣根です。

棘のないバラなので、一般の家庭でも扱いやすく、最近、あちらこちらで見かけるようになりました。


コデマリ(Spiraea cantoniensis)

<バラ目・バラ科・モモ亜科・シモツケ連・シモツケ属>

バラ科シモツケ属の落葉低木で、中国中南部原産の帰化植物。

日本では、本州以南で庭木や公園樹として利用されている。

春に小さな白花を、手毬のように丸く集団で咲かせることが、コデマリの名前の由来。

個々の花は、直径5~7mmの5花弁の小さな花であるが、これが球状に固まって大きな花序になる。

その花序が、枝に並ぶように付くため見栄えが良く、庭木としてよく利用される。

よく似た咲き方で名前も似ているオオデマリ(下記参照)は、スイカズラ科で全くの別種である。

樹高は1~1.5mで、枝は細く、暗赤褐色、後に褐色になり、弓なりに先が枝垂れる。

葉は互生し、長さ3~5cmの菱状狭卵形で、先は尖り、葉先半分に不規則な鋸歯がある。

花期は4月~5月で、直径3~4cmの丸い散形花序に多数の花をつける。

※ よく似た咲き方で名前も似ているオオデマリは、スイカズラ科で全くの別種

 

2014/4/24

多摩川への道路脇で、満開になっている本種をみかけました。

八重のコデマリは昨年見かけたのですが、この辺りで一重のものは始めてみました。

八重のコデマリほどではありませんが、丸く球状に花を付ける様は、その和名に恥じません。

八重の花と異なり、5枚の花弁とオシベ、メシベが良く分かります。

オオデマリ(Viburnum plicatum var. plicatum)

<マツムシソウ目・スイカズラ科・ガマズミ属>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スイカズラ科ガマズミ属の落葉低木で、日本の自生種。

日本原産のヤブデマリの園芸品種が本種である。

ヤブデマリは、花序の周辺部のみに装飾花を付けるが、花序の花全てが装飾花となったもの。

 

2011/5/6

相模原麻溝公園で見かけたオオデマリです。

見た感じは、コデマリを数倍大きくしたよう見えますが、花の形が全く異なります。

オオデマリの装飾花は、無性花で、花弁のみが大きくなったものです。


ヤエコデマリ(Spiraea cantoniensis var. plena)

<バラ目・バラ科・モモ亜科・シモツケ連・シモツケ属>

バラ科シモツケ属の落葉低木で、中国原産の帰化植物。

日本では、本州以南で庭木や公園樹として利用されている。

春に小さな白花を、手毬のように丸く集団で咲かせることが、コデマリの名前の由来。

なお、コデマリは一重の花で、八重咲きはその変種となる。

花以外の特徴は、基本的にはコデマリと同じである。

 

2012/4/19

多摩川への道路脇の民家の庭からはみ出していたヤエコデマリです。

花が球状に集まっているのが分かると思います。

八重咲きは、見た目豪華ですが、綺麗な球にはならないようです。


シジミバナ(Spiraea prunifolia)

<バラ目・バラ科・モモ亜科・シモツケ連・シモツケ属>

2014/4/10           2014/4/18           2014/4/18

バラ科シモツケ属の落葉低木で、中国原産。

同属のユキヤナギより遅れて咲きだす。

樹高は1~3mで、株立ちとなり、枝は上向きに出て、アーチ状に垂れ下る。

小枝は始め赤褐色だが、古くなると灰褐色~黒褐色に変わり、細くてわずかに角がある。

花期は4月~5月で、花は10mmほどの小さな白い八重咲きで、八重咲きのコデマリに似ている。

花柄は20mm前後と長めで、数個の花柄が一ヶ所から出る。花にはオシベやメシベがなく、結実しない。

 

多摩川への道路脇の公園で、シジミバナを見かけました。

最初、八重のユキヤナギだと思ったのですが、調べると、ユキヤナギに八重咲きはなく、本種と分かりました。

ユキヤナギとは同属なので、八重か一重かの違いはありますが、花の咲き方などは良く似ています。

名前の「シジミ」は「蜆」のことで、花がシジミの内臓に似ていることから付けられたといわれています。

別名の「エクボバナ」も、花の中央の窪みをエクボに見立てたものです。


ユキヤナギ(Spiraea thunbergii)

<バラ目・バラ科・モモ亜科・シモツケ連・シモツケ属>

2012/3/29                2014/3/18

バラ科シモツケ属の落葉低木で、在来種。別名はコゴメヤナギ、コゴメバナなど。

日本では、本州の東北地方以南の太平洋岸、四国、九州に分布し、海外では中国に分布する。

手がかからず、適度な大きさ以上にもならないので、庭木などによく利用される。

ただ、自生種は、場所によっては絶滅が危惧されるところがある。

樹高は1~2mで、枝は褐色~赤褐色で、地際から多くの枝を出して広がり、枝は枝垂れる。

葉は互生し、長さ25~40mmの披針形で先が尖り、基部は楔型で、縁には細かい鋸歯がある。

花期は3月~4月で、前年枝に柄のない散形花序を多数付け、2~7個の白花が付く。

花は直径8㎜前後の5弁花で、花弁は長さ2~4mmの広倒卵形。

オシベは20個前後あり、基部の内側に黄色い蜜腺がある。メシベは1個で、花柱は5個。

萼は無毛で、萼片は卵状三角形。花柄は長さ6~12mmで細い。基部に小さな葉が数個付く。

果実は長さ3㎜前後の袋果で、5個が集まって付く。

 

自生ではないですが、河川敷の通路沿いにユキヤナギが植栽され、3月下旬から一斉に咲きはじめます。

アップの写真がなかったので、掲載します。ここまで拡大するとウメなどと同じバラ科の花と分かりますね。

2012/4/6                    2012/4/12

4/6 ユキヤナギは、1週間ほどで満開となり、その後1週間で散ってしまいます。

そのため、この景色が見れるのは1週間ほどの限られた時期だけです。

4/12 ユキヤナギの開花もピークが過ぎ、花が散り始めて木の地肌が見えはじめました。

その頃になると、入れ替わるように土手の法面にハマダイコンの花が咲き始めます。

2014/2/13

大雪の降った後ですが、ユキヤナギの花芽が日を追って綻んで来ています。

所どころで、時期外れの花が咲いているものもありますが、ほとんどはこの状態です。

※ 右端の写真で、後に白く見えているのは残雪です。

2013/3/7           2013/3/11           2013/3/11

3/7 今年もユキヤナギが咲く季節が近づいてきました。

ツボミも大きくなってきており、咲き出すのももうすぐです。

3/11 暖かい日が続いたこともあり、ユキヤナギの花が咲きはじめました。

まだ、全体的には5分咲き程度ですが、枝によっては満開に近いものもあります。

2012/04/06                  2012/4/17

4/6 ユキヤナギの花が開花のピークを迎えた頃には、道路の両側が白く縁取られます。

土手の則面のハマダイコンも、ポツリポツリと花を開き始めています。

4/17 10日ほどの間に、ユキヤナギの花はすっかり散ってしまい、見る影もありません。

入れ替わりに、ハマダイコンが満開になって、土手の則面を白く染め上げていました。

2013/5/8                2013/5/21

5/8 ユキヤナギの花が終わり、種子ができていました。

ただ、ちょっと遅くて、大半の袋果が裂開してしまっています。

左側の中央少し上に裂開前の袋果が、右下に未成熟なものが残っています。

5/21 裂開して種子の無くなった袋果が、花のように開いて残っています。

2014/4/15                2014/4/22

昨年撮り損ねた裂開前のユキヤナギの袋果です。

4/22の拡大写真で、白く写っている部分から裂開するのですが、間もなくはじけるものと思われます。


リキュウバイ(Exochorda racemosa)

<バラ目・バラ科・モモ亜科・ヤナギザクラ連・ヤナギザクラ属>

バラ科ヤナギザクラ属の落葉低木で、中国の中南部が原産地。

樹高は3~4mで、葉は互生し、長さ5cm前後の楕円形。薄目の葉で、裏面は白っぽい。

花期は4月~5月で、枝先に総状花序を付け、直径3cm前後の白い花を付ける。

花弁は5枚で、オシベはたくさんあり、メシベの花柱の先は5裂する。

庭や公園に植栽されることが多く、茶花としても利用される。

 

2012/3/31

多摩川から少し離れた公園で、見かけました。

白い大きめの花が印象的でした。


ヤエヤマブキ(Kerria japonica f.plena C.K.Schn.)

<バラ目・バラ科・モモ亜科・ヤマブキ連・ヤマブキ属>

バラ科ヤマブキ属の落葉低木で、在来種。

日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の山地や谷川沿いなど、湿った所に自生する。

海外では、朝鮮半島から中国に分布する。

樹高は1~2mになり、株立ちになり、新枝は緑色で稜がある。

茎や枝は時間と共に褐色となり、数年で枯れる。

葉は互生し、長さ6cm前後で1cmほどの葉柄がある。長卵形で、先は鋭く尖り、縁には重鋸歯がある。

花期は4~5月で、新しく出た短い側枝の先に、黄色い花を1個付ける。花には一重と八重がある。

一重の花は直径4cm前後で、倒卵形の花弁の先はわずかに凹む。オシベは多数あり、花柱は5~8個ある。

萼筒は杯型で、萼片は4mmほどの楕円形。

萼筒は果期にも残り、その中に痩果が数個付く。9月頃に暗褐色に熟す。

八重の花は直径3~5cmで、オシベは花弁に変化し、メシベも退化しているので結実しない。

 

2012/4/12

多摩川道路脇の学校の校庭で、八重のヤマブキが見事に花を咲かせていました。

山野でよく見かけるヤマブキは、一重のみで、八重のものは見た記憶がありません。

八重のものは、園芸品種で、見た目が豪華なのでよく植栽されるそうです。

なお、一重のヤマブキは結実するそうですが、八重のものは結実しないそうです。


ヤマブキ(Kerria japonica)

<バラ目・バラ科・モモ亜科・ヤマブキ連・ヤマブキ属>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バラ科ヤマブキ属の落葉低木で、在来種。

樹高は1~2mになり、株立ちになり、新枝は緑色で稜がある。

葉は互生し、長さ6cm前後で1cmほどの葉柄がある。長卵形で、先は鋭く尖り、縁には重鋸歯がある。

花期は4~5月で、新しく出た短い側枝の先に、黄色い花を1個付ける。

花は直径4cm前後で、倒卵形の花弁の先はわずかに凹む。オシベは多数あり、花柱は5~8個ある。

 

2018/4/10

相模原市と町田市の境にある境川へ向かう道路脇で見かけた一重のヤマブキです。

少し遅めだったので、傷んでいる花が多かったです。

シロヤマブキ(Rhodotypos scandens)

<バラ目・バラ科・モモ亜科・ヤマブキ連・シロヤマブキ属>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        2010/6/8                   2016/4/16

バラ科シロヤマブキ属の落葉低木で、在来種。

自生するものは少なく、絶滅危惧種種に指定されている。

草丈は1~2mになり、幹は褐色で、若い枝は緑色で無毛。

葉は対生し、長さ10㎝前後の長卵形で、基部はやや心形で、先は鋭く尖る。

葉の縁には鋭い重鋸歯があり、若い葉の裏には絹毛があるが、古くなると脈上のみに残る。

花期は4月~5月で、新しい側枝の先に直径4cm前後の白花を付ける。

花弁は4個で広円形。花柱は4個で、オシベは多数ある。

 

2010/6/8 時期的にはちょっと遅めでしたが、港区の芝公園で見かけたシロヤマブキです。

2016/4/16 境川の畔で見かけたシロヤマブキで、前年の黒く熟した果実が残っていました。