ムラサキ科・モクレン科・モチノキ科

ムラサキ目

  ムラサキ科(キュウリグサ)

モクレン目

  モクレン科(カラタネオガタマ、コブシ、シデコブシ、ハクモクレン、モクレン、ユリノキ)

モチノキ目

  モチノキ科(ウメモドキ、クロガネモチ、モチノキ)


キュウリグサ(Trigonotis peduncularis)

<ムラサキ目・ムラサキ科・キュウリグサ属>

ムラサキ科キュウリグサ属の越年草で、在来種。ムギ類と一緒に入ってきた史前帰化植物と考えられている。

日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。海外ではアジアの温帯に広く分布する。

草丈は10~30㎝になり、根元の葉は卵形で長い葉柄がある。

茎葉は互生し、長楕円形で葉柄があるが、上部では無柄になる。

花期は3月~5月で、茎先にサソリ型花序(ぐるっと巻いた花序)に、花径3㎜程の淡い青紫色の花を付ける。

花冠は5烈し、中心の円形の部分は黄色い。その円形の穴の奥にオシベ5個とメシベがある。

 

2012/4/18

多摩川への道路脇で、淡青色の小さな花が咲いているのに気が付きました。

とにかく非常に小さな花で、屋外の撮影では、花が揺れてうまく撮れず、四苦八苦しました。

この花を楽しむには、虫メガネは必須アイテムですね。

2013/3/14             2013/3/14             2013/4/8

3/14 昨年と同じ場所で、キュウリグサが花を咲かせ始めました。

これから、茎を伸ばしながら、次々と花を咲かせていくことでしょう。

4/8 昨年は、気が付かなかったのですが、多摩川の河川敷にもキュウリグサがたくさん生えていました。

小さな花なので、背の高い野草に交じってしまうと、よほど注意していないと気が付きません。

2014/3/17             2014/3/19             2014/4/14

3/17、19 今年も、キュウリグサの小さな花が咲き始めました。

まだ、花茎は伸ばし始めたばかりで短く、花の数も10個に満たない数です。

4/14 この頃になると花茎は20cm程まで伸び、かなり咲き上っていました。

今年は、直径3mm程しかない花を目いっぱい拡大して撮影してみました。

といっても、手持ちのレンズではこれが限界です。

キュウリグサとノハラムラサキ

ヨーロッパ原産の帰化植物であるノハラムラサキが1936年に確認され、本州と北海道に広がっています。

キュウリグサとノハラムラサキはよく似ていて、同じような場所に生えています。

しかし、注意深く観察すると、上記のように異なる所がありますので、判別可能です。


カラタネオガタマ(Michelia figo)

<モクレン目・モクレン科・モクレン亜科・オガタマノキ属>

モクレン科オガタマノキ属の常緑低木で、中国南部が原産地。

樹高は5m程にしかならず、枝葉がよく茂り、花に芳香があることから、庭木などに利用される。

耐寒性が低く、温暖な気候を好むことから、関東以西で植生に利用される。

葉は全縁で、5cm程の先の尖った広卵形の葉を互生する。

開花時期は、5月~6月で、花径は3cm程。バナナの様な強い芳香を放つ。

クリーム色で厚い花弁は6枚で、花弁の縁が紅紫色を帯びる。

オシベとメシベは多数が付くが、その間に軸があるのが、他のモクレン科には無い特徴。

 

2016/4/25

多摩川への道路脇の垣根で、見慣れない花が咲いているのに気が付きました。

近づくと良い香りが漂ってきました。

後で調べると、本種と分かりましたが、決め手はメシベの基部にある軸です。

中央の写真で、花の左後ろに映っている花弁の落ちたメシベを見ると、軸がよく分かると思います。


コブシ(Magnolia kobus)

<モクレン目・モクレン科・モクレン亜科・モクレン属>

モクレン科モクレン属の落葉高木で、早春に白い花を梢いっぱいに咲かせる。

日本では、北海道から本州、九州に分布する。

樹高は15m以上になり、幹も直径60cmに達するものもある。

葉は互生し、倒卵形で先は尖る。葉よりも先に花が咲く。

花は、白いへら状の花弁が6枚で、萼片は3枚ある。

メシベは緑色で、ベージュ色のオシベが周りを取り囲み、ともにたくさんある。

果実は、袋果の集合体で、ゴツゴツと瘤が寄り集まった不定形な形をしている。

 

2013/3/28

多摩川のへの道路脇の公園で、コブシが花を咲かせました。

ツボミの頃からヒヨドリの食害に遭い、食いちぎられたツボミが下にたくさん落ちていました。

それを乗り越えて開花した残り少ない花です。

2015/3/31

今年は、食害が少なく、多くの花が開花してました。

コブシの果実

2015/7/11             2013/7/20             2015/9/23

 2015/9/23            2015/9/23             2015/9/23

多摩川のへの道路脇の公園で見かけたコブシは、花は咲くのですが、結実しません。

これらの写真は、自宅近くの公園で見かけたコブシの果実です。

熟してくると赤みを帯びた果実が裂け、種子が顔を見せます。

その種子ですが、直ぐには落ちません。白い繊維のようなものでつながっています。

種子は、糸を引くように徐々に伸びて垂れ下り、限界まで伸びるとポトリと落果します。


シデコブシ(Magnolia stellata)

<モクレン目・モクレン科・モクレン亜科・モクレン属>

モクレン科モクレン属の落葉小高木で、日本の固有種。

自生地は、愛知県、岐阜県、三重県の一部に限られ、自生個体群は準絶滅危惧種。

園芸用に苗が市販されており、庭木や公園樹として利用されている。

樹高は2~5mで、樹皮は灰白色~灰褐色で、皮目がある。若い枝や葉の柄には軟毛が密生する。

葉は互生し、長さ5~10cmの長楕円形で、全縁。葉先は鈍頭で、基部は狭い楔型。

花期は3月~4月で、葉が展開する前に開花する。

花は直径7~10cmで、白色~淡紅色の花被片12~18個あり、細長いリボン状。

オシベ、メシベとも多数あり、雌性先熟で、自家不和合性。

果実は袋果が集まった長さ3~7cmの集合果である。

熟すと裂開し、赤い種子が糸状の珠柄の先に垂れ下がる。

和名のシデ(四手)は、玉串や注連縄(しめなわ)などに下げる紙の事で、形が似ている事に由来。

 

2013/3/13

多摩川への道路脇の民家で、シデコブシの花が咲き始めていました。

花には、白から淡いピンクの細い花被片がたくさん付いています。

なお、花被片の様子から、コブシとシデコブシの交雑種の可能性もあります。


ハクモクレン(Magnolia heptapeta)

<モクレン目・モクレン科・モクレン亜科・モクレン属>

2013/3/11             2013/3/11          2014/3/28

モクレン科モクレン属の落葉高木で、中国原産。

日本では、庭木や公園樹として、北海道から本州、四国、九州と全国で利用されている。

樹高は10mを超える大型種で、葉は全縁の塔卵形で、葉身は10cmを超える。

開花時期は3月~4月で、コブシより10日前後早い。葉の展開前に開花する。

白い花被片は9個で、長さ8㎝前後の倒卵形でほぼ同じ大きさ。

オシベは長さ10mmほどで、連結して刺状に突き出す。葯は長さ7㎜ほどで、横に裂開する。

雌ずい群は淡緑色で、長さ2㎝強のこん棒状。

果実は円筒形であるが、一部しか成長しないので、不規則に湾曲する。

秋には、翌春のための冬芽や花芽が準備され、それらは淡灰黄色の長い絹毛で覆われている。

 

2013/3/11 多摩川への道路脇の民家の庭で見かけました。

コブシがまだ固いツボミの頃、花がほころび始めていました。

コブシの花と比較すると、花が上向きに付き、幅のある厚ぼったい花びらを付けます。

なお、どちらも花弁は6枚ですが、ハクモクレンの萼は、花弁と大差ないので花弁は9枚に見えます。

 

2014/3/28 今年はどうしたことか、ハクモクレンのツボミがほとんど付いていません。

数少ないツボミの1つが、開き始めていました。

※ 通常、モクレンというと、紫色の花弁のシモクレンを指しますが、本種と混同されている事があります。 

2015/10/5

春に花を咲かせていたハクモクレンをふっと見上げた時、赤いものが目に止まりました。

大きな葉の陰に、ハクモクレンの果実が赤く熟し、葉の隙間から見えていたのです。

残念ながら、葉が多くて全体が見えるものがありませんでした。

ハクモクレンの花と果実

2015/9/19          2016/3/19          2016/3/19 

2016/3/19                 2016/4/2         2016/4/16

2016/4/23         2016/5/20          2016/6/4

2020/10/3         2020/10/13           2020/10/19

自宅近くの畑で見かけたハクモクレンです。2段目左端のように、満開のときには青空に白い花がよく映ます。

その隣は、花弁が落ちて、枯れたオシベがまだ残るメシベ(子房)です。

その2週間後には、オシベも落ちて、螺旋状のメシベだけが残っていました。

3段目左端は、その1週間後ですが、枯れ残っていたメシベの花柱も綺麗に落ちていました。

その隣は約1ヶ月後ですが、一部の子房が膨れてきていました。

その2週間後に見に行くと、ほとんどの果実は落ちてしまったようで、数個確認できただけでした。

その内の1つですが、大半の子房が大きくなり、3倍ほどの大きさになっていました。

2016年は果実が全て落果してしまったのですが、2020年には赤い果実が残っていました。

中の赤い種子が白い糸を引いてぶら下がっているのを見たかったのですが、残念ながら見損ないました。


モクレン(Magnolia quinquepeta)

<モクレン目・モクレン科・モクレン亜科・モクレン属>

モクレン科モクレン属の落葉低木で、中国南西部が原産地。

花が紫色であることから、シモクレン(紫木蓮)の別名もある。

樹高は5m程にしかならず、10cm程の先の尖った広卵形の葉は互生する。

開花時期は、4月~5月で、濃い紅色の花弁は9枚で、外側の3枚は萼片状。強い芳香を放つ。

花弁はハクモクレンとは異なり舌状で長い。オシベとメシベは多数が螺旋状に付く。

このモクレンとハクモクレンの交雑種がサラサモクレン(Magnolia×soulangeana)で、庭木として利用される。

花色は、淡紅紫色から暗赤色と変異が多く、花弁は9枚で、外側の3枚は萼片状。

サラサモクレンは、花色、花形、樹高などは、幅広い変異がある樹種です。

開花は、ハクモクレン→サラサモクレン→モクレンの順になる。

※ サラサモクレンをサクラモクレンと誤記されたサイトがいくつかありました。

花色からそう呼びたくなる気持ちも分かりますが、間違えないようご注意を。

 

2015/4/9

多摩川への道路脇の民家の庭で見かけたモクレンです。

奥まった所にあり、ツボミも少なかったので、うまく撮れたのはこの1枚のみでした。

ハクモクレンと比較して、花弁が長いのが分かります。

2016/4/5

他では咲き終わっているモクレンでしたが、まだ、ほころび始めたばかりの樹を見つけました。

日当たりの関係で開花が遅かったのかと思ったのですが、

咲き終わっていたのはサラサモクレンだった可能性があります。

モクレンとサラサモクレンの花

2016/4/5                2016/4/2

上記のモクレン(左側)と自宅近くの公園で見かけたモクレン(右側)を比較してみました。

下記の点から、自宅近くの公園で見かけたモクレンは、サラサモクレンの可能性が高いです。

・花色が先に向かって淡くなり、きれいなグラデーションになっている

・公園や庭木として植えられているものは、サラサモクレンの園芸品種が多い

・後日見かけたモクレンがツボミなのに既に開花している(開花はサラサモクレンの方が早い


ユリノキ(Liriodendron tulipifera)

<モクレン目・モクレン科・ユリノキ亜科・ユリノキ属>

2016/4/14           2015/4/22            2016/4/25

2015/5/7          2016/4/26            2015/5/19

クレン科ユリノキ属の落葉高木で、北アメリカ中部原産。

日本へは明治時代初期に渡来し、公園樹、街路樹として全国で利用されている。

原産地では、樹高は60mを超える大型種だが、日本では多くは20~30m程度。

花は両性花で、開花期は5~6月。

花弁は9弁、花径は5~6センチでクリーム色にオレンジの斑が入り、形はチューリップに似る。

外側の3枚の萼片(花被片との記載もある)は花の下まで反り返り、内側の6枚の花被片がチューリップ状になる。

その中央に、らせん状に付いたメシベと、それを取り囲むように多数のオシベが付く。

なお、ユリノキは重要な蜜源植物であり、良質の蜂蜜がとれる。

 

東京国立博物館本館前庭に巨木があり、そこに下記のように記されている。

「明治8、9年頃渡来した30粒の種から育った一本の苗木から明治14年に現在地に植えられた」

同じ時期に新宿御苑にも植えられたようで、樹齢100年を超える巨木になっています。

 

4/22 昨年、ユリノキと気付いた街路樹ですが、冬には大きく剪定されてしまいました。

しかし、前年に果実を見かけた樹には、いくつかのツボミを確認できました。

5/7 順調に育ったツボミが開花していました。10輪程の花が次々と開花していきました。

5/19 花が終わり、花弁が散ったところから、独特の形の果実が見えています。

2015/5/22

さて、花弁がすっかり落ちて、果実だけになったユリノキです。

全ての花が受粉に成功した訳ではないようで、両者の違いは明らかですね。

東京国立博物館本館前庭のユリノキの巨木(2014/5/5)

東京国立博物館のユリノキは巨木なので、花が分かる程度の写真では一部しか写りません。

右端の写真では、花が小さく写っているため、隙間から見えている空との区別が難しい状態になります。

これで写っている範囲は、全体の3割程度なので、全体を写すと何の木か分からなくなりますね。


ウメモドキ(Ilex serrata)

<モチノキ目・モチノキ科・モチノキ属>

モチノキ科モチノキ属の落葉低木で、在来種。雌雄異株。

和名は、葉がウメの葉に似ていることに由来する。

日本では、本州から四国、九州の落葉広葉樹林内に自生する。

日本以外では、中国にも分布している。

樹高は2~3mになり、幹は灰褐色。

葉は互生し、長さ3~8cmの卵形~狭卵形で、葉先は尖り、基部は楔型。縁に細鋸歯がある。

葉の両面に短毛があり、枝や葉柄にも毛がある。

花期は6月で、葉腋に花を多数付けるが、雄花は十数個、雌花はその半分程度となる。

花は淡紫色の4弁花か5弁花で、直径4mm前後。

雌花のオシベは退化しており、白色。花柄は長さ2~4mmである。

果実は、直径5~6mmの核果で、秋に真っ赤に熟す。

 

2013/5/23

多摩川へ向かう途中の公園で、見慣れないピンクの小さな花をたくさん付けた木を見かけました。

後で調べて、ウメモドキと分かりましたが、雄株が雌株かはっきりしません。

花の数がどちらともとれる数なのと、昨秋、赤い実が付いていたかはっきりしないためです。

結果は、下記の写真の通りで、後日、雄花、つまり雄株と分かりました。

ウメモドキの雄花と雌花

      2013/5/23< 雄花>           2017/5/31< 雌花>


クロガネモチ(Ilex rotunda)

<モチノキ目・モチノキ科・モチノキ属>

モチノキ科モチノキ属の常緑高木で、自生種。

日本では、本州の関東以西から四国、九州、南西諸島の山野に自生する。

樹高は10m程になる。葉は互生し、葉身は8cm前後。楕円形で尖り全縁で、葉柄は紫色を帯びる。

雌雄異株で、本年枝の葉腋に散形花序を出し、5月~6月に小さな花を5個前後付ける。

白色または淡紫色の花弁は4~7個で、萼片も同数。

雄花には、4~7個の完全なオシベと、退化した小さなオシベがある。

雌花は、メシベと退化したオシベがある。子房は球形で花柱はなく、柱頭は1個。

果実は核果で、5mm強の球形。11月頃に赤く熟す。なお、黄色く熟すものもある。

 

2015/5/19

多摩川へ向かう途中の道路脇で、淡紫色の退化したオシベがきれいな本種の花に気が付きました。

小さな花ですが、葉腋にたくさん付いており、葉柄の赤紫色と相まって目立ちます。

花の独特な形状と葉柄の色から、本種と分かりました。

2015/7/27

葉腋に花の数と大差ない数の多数の果実が付いていました。

果実には、淡い黄緑色の筋が入っていました。

2015/9/14

たわわに実っていた果実ですが、8月に剪定されて、すっかりさびしい状態となりました。

少しだけ、果実が残っており、その様子を追うことにしました。

果実は、筋のような模様が消え、淡緑色の真ん丸になっていました。

2015/10/6

10月に入ると、果実が淡黄色に色付き始めました。

どうやら、この樹は果実が黄色く熟す「キミノクロガネモチ」であったようです。

2015/10/23

淡い黄色に橙色が入り、全体に赤っぽくなってきました。

2015/10/26

果実全体が明るいオレンジ色になりました。これで完熟でしょうか。

2015/11/13

果実に赤みが加わり、赤色というよりは、朱色になっていました。

下記のクロガネモチの色と比較すると、色味は異なります。

ただ、キミノクロガネモチなのかどうかは微妙です。普通のクロガネモチかもしれません。

2015/10/23

多摩川の河川敷で、いつもの散歩コースから少し外れたところで、クロガネモチを見かけました。

淡い黄色から赤っぽいものまで混じっています。

かなり赤みの強いものがありますので、この樹は普通のクロガネモチと思われます。

2015/11/13

全体に果実が真っ赤に色付いて、鮮やかな赤色になっていました。

2016/5/16

クロガネモチは雌雄異株のため、その雄花を探していたのですが、灯台元暗しで、近くにありました。

以前から同定できず、不明種として保留していたのが、実は、クロガネモチの雄花だったのです。

モチノキ属の花と当たりは付けていたのですが、探し切れていませんでした。

それが、クロガネモチを改めて調べていて、その雄花の写真が見つかり、同定できたしだいです。

その樹には、赤い果実がたくさん付いていたので、雌株と思いこんでいました。

そこで、改めて調べ直すと、雄株と雌株が一緒に植えられていることが分かりました。

雄花は、大きめの赤紫色の花弁と良く目立つ黄色い葯があり、そればかりに目が行っていました。

しかし、その雄花に隠れるようにして、淡い色の雌花も咲いているのが確認できました。

2016/5/13

寄せ植えになっていた雌株の雌花です。

雄花と比較すると地味な花ですよね。どうしても近くの雄花に目が行ってしまいます。

ただ、最初に掲載した雌花とは、子房や柱頭の色が異なります。

クロガネモチとキミノクロガネモチ

    <クロガネモチ>        <キミノクロガネモチ>

両者の雌花と果実をほぼ同じ時期に撮影したものを並べてみました。

果実の色が全く異なるのはもちろんですが、花弁や雌花の子房の色も異なっています。


モチノキ(Ilex integra)

<モチノキ目・モチノキ科・モチノキ属>

モチノキ科モチノキ属の常緑高木で、自生種。

日本では、本州の宮城県、山形県から四国、九州、南西諸島の海縁の山地に自生する。

樹高は10m程になる。葉は互生し、葉身は5cm前後、楕円形で尖り、成木では全縁。幼木では鋸歯あり。

雌雄異株で、前年枝の葉腋に極短い枝を出し、4月頃に黄緑色の小さな花を束生する。

雄花は2~15個、雌花は1~4個ずつ集まる。花弁は4個で萼片も4個、オシベも4個ある。

雄花には、オシベ4本と、退化したメシベがある。

雌花は、緑色の大きな子房と退化した4本のオシベがある。メシベの柱頭は4残裂する。

果実は核果で、1cm程の球形。11月頃に赤く熟す。

 

2015/4/9

多摩川へ向かう途中の民家の生垣に使われていました。

前年枝にびっしりと花が付き、その間などから伸びた新芽と共演です。

2015/7/28

花の数からするとかなり少ないですが、淡緑色の球形の果実がたくさん付いていました。

2015/9/3

9月に入ると、果実が赤く色づき始め、枝によっては赤い果実が目立ち始めました。

2015/9/14

9月半ばには、果実の半分以上が赤く色づき、赤みも一層増しました。