アゲハチョウ科・シジミチョウ科・シロチョウ科

チョウ目

  アゲハチョウ上科アゲハチョウ科(アオスジアゲハ、ナミアゲハ、キアゲハ、クロアゲハ、

                  ナガサキアゲハ)

  アゲハチョウ上科シジミチョウ科(ウラギンシジミ、ウラナミシジミ、ツバメシジミ、

                  ヤマトシジミ、ベニシジミ)

  アゲハチョウ上科シロチョウ科(モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、モンキチョウ、

                 キタキチョウ)


アオスジアゲハ(Graphium sarpedon)

<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・

          アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・アオスジアゲハ属>

アゲハチョウ科アオスジアゲハ属に分類されるチョウで在来種。

日本を含め、東アジア、東南アジア、オーストラリア北部の広い範囲に生息している。

日本では、東北地方南部あたりが北限とされており、寒い地方では数がすくない。

日本の亜種は、「Graphium sarpedon nipponum」で、朝鮮半島にも分布している。

前翅長は40~45mmで、開張は55~65mmになる。

翅は黒色で、前翅と後翅に青緑色の帯が貫いているのが特徴で、この部分には鱗粉はなく、透き通っている。

翅の模様の雌雄差はほとんどないため、雌雄の判断は生殖器を確認する必要がある。

出現時期は5月~10月で、年に3~4回発生する。

飛翔は敏捷で、飛翔力が高いため、樹木や花の周りを目まぐるしく飛び回っていることが多い。

幼虫は、クスノキ科の植物(クスノキは防虫剤の樟脳の原料)を食草にしている。

クスノキは、街路樹や公園、寺社の境内などに多く、そのため、都内でもよく見かける。

冬は蛹で越冬する。

 

 2012/5/8

ナミアゲハを撮影していると、アオスジアゲハもハマダイコンの給蜜に現れました。

動きが速く、良いアングルで撮影はできませんでしたが、なんとか撮影できました。

夏にクスノキの周りで良く見かけます(メスが産卵に来る)が、高い梢を飛ぶことが多いので、撮影は難しいです。

そのため、給蜜に花の所にいる時が撮影のチャンスなのですが、動きが速いのでチャンスは少ないです。

2013/7/11

多摩川への途中にある公園で、クスノキの梢を飛ぶアオスジアゲハを見かけました。

その撮影をしていると、もう1匹が絡んできてしばらくもつれ合っていました。

その後、分かれて行きましたが、オスとメスだったのか、オスどおしだったのか?

2013/7/11

分かれた片方が、近くのイワダレソウで給蜜していたので、数mまで近づいて撮影。

多少、翅が傷んではいますが、きれいな青色の文様は印象的です。

2013/10/1                 2013/10/3

花も少なくなったこの時期、ヤブガラシの花とシチヘンゲ(ランタナ)で給蜜中のアオスジアゲハに出会いました。

ヤブガラシの花では、2匹が絡み合うように給蜜していましたが、求愛行動中だったのかもしれません。

2013/10/9

多摩川へ行く途中、公園脇のクスノキで、小枝の新芽に産卵中のアオスジアゲハに出会いました。

産み付けては、近くを一回りして、また産み付ける動作を何度も繰り返していました。

そのため、数本の枝には卵がかなりの数産み付けられていました。

孵化した1齢幼虫にとっては、柔らかい葉が最適なのでしょう。

しかし、この時期に孵化して、蛹にまで成長できるのかちょっと心配になります。


ナミアゲハ(Papilio xuthus)

<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・

          アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・アゲハチョウ属>

日本を含め、台湾、中国、朝鮮半島、沿海地方まで分布している。

日本は、北海道から南西諸島まで、全国に生息している。

幼虫はミカン科の植物が食草となっており、四齢幼虫までは黒い体色をしている。

終齢幼虫の五齢幼虫になると緑色の体色に変わる。

なお、幼虫に触ると頭部と胸部の間から強烈な悪臭を放つ黄色い臭角を出す。

成虫の前翅長は4~6cmで、春型の個体は夏型の個体よりも小さい。

翅は黒地に黄白色の斑紋や線が多数入り、キアゲハに似るが、黒線が太めで、黄白色部が白っぽい。

後翅には水色の斑紋があり、尾状突起の内側には橙色の斑紋がある。

キアゲハとの大きな違いは前翅の基部で、キアゲハには模様はないが、ナミアゲハには線模様がある。

本種は、蛹で越冬する。

2012/5/8

連休明けに河原に散歩に出かけましたが、ハマダイコンの花も盛りを過ぎ、休み前とは景色が変わっていました。

その少ないハマダイコンの花に、ナミアゲハが給蜜に来ていました。

今年。河原で初めて確認したアゲハチョウです。

以降、河原でナミアゲハをよく見かけるようになりました。

また、キアゲハも時折見かけますが、サ~ッと通り過ぎるのみで、撮影出来ていません。

2013/4/26             2014/4/16             2016/4/26

多摩川の河原や途中の公園では、3月下旬頃からナミアゲハを見かけるようになります。

ただ、遠かったり、さ~っと通り過ぎたりで、撮影できる機会はあまりありません。

そんな少ないチャンスに巡り合い、撮影できたナミアゲハです。

特定の花に集まるわけではなく、ツツジ、タンポポ、ハマダイコンとバラエティに富んでいます。

2013/7/17

公園への途中で、民家の庭先のサンショウの木で、ナミアゲハの幼虫(5齢幼虫)を見かけました。

緑色のきれいな芋虫です。が、4齢幼虫までは、黒色に白い模様で、鳥の糞に擬態しているそうです。

頭部の臭角を出させようと突っついたのですが、出してくれません。

蛹への準備に入っていたのかもしれません。

2013/9/11

河川敷の柑橘系の小さな木にナミアゲハの幼虫が付いていました。

そこで、頭部を突いて臭角を出させてみました。手に少しふれただけでも強烈な匂いがします。

 

 

交尾中(上がメスで下がオス)      産卵中のメス          産み付けられた卵

1齢幼虫             2齢幼虫             3齢幼虫

4齢幼虫             5齢幼虫(終齢幼虫)       サナギ

河原で見かけたミカンの樹には、いろいろな世代の幼虫が付いていましたので、それらを並べてみました。

産卵している所から、孵化してから終齢幼虫になるまでの成長過程の部分です。

それに加えて、実家の庭で撮影した交尾中の写真とサナギの写真を追加しました。

これで、交尾してから産卵し、サナギになるまでの過程が一通りそろいます。

交尾中は、メスがオスをぶら下げた体制になり、止まっているときも飛ぶときもこの体制になります。

そのため、あまり長く飛ぶことはできないようですが、オスをぶら下げたまま飛ぶなんて、すごいパワーですね。

孵化した1齢幼虫~4齢幼虫までは鳥の糞に擬態して生活します。5齢(終齢)幼虫になると、鮮やかな緑色に変身します。

そして、1週間ほどは食欲旺盛で、盛んに葉を食べまくります。その後、1日程、急に食べずに動かなくなります(休眠)。

7/17に見かけた5齢幼虫は、この休眠の状態だったと思われます。その後、サナギになるための場所探しに動き回ります。

あいにく、この場所では蛹は見つけられませんでしたので、実家で見つけたサナギの写真を使用しています。


キアゲハ(Papilio machaon)

<チョウ目Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・

          アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・アゲハチョウ属>

本種は、ヨーロッパからアジア、北米北西部にかけて広く分布し、いくつかの亜種に分かれている。

日本は、北海道から本州、四国、九州まで、全国に分布している。

日本に分布している亜種は、「Papilio machaon hippocrates」とされている。

幼虫は、セリ科植物(セリ、ハマウド、シシウド)を食草とするため、生息地は広い。

また、野菜のニンジン、パセリ、ミツバ、アシタバも大好物なため、農家の方にとっては害虫である。

なお、幼虫は、三齢幼虫まではナミアゲハと同じ黒い体色をしている。

しかし、四齢幼虫では白地に黒と黄色の斑点模様となる。

さらに、終齢幼虫の五齢幼虫になると黄緑と赤い斑点のある黒の縞模様に変わる。

なお、幼虫に触ると頭部と胸部の間から強烈な悪臭を放つ黄色い臭角を出す。

成虫の前翅長は4~6cmで、春型の個体は夏型の個体よりも小さく、かつ、黒い部分が少ない。

翅は黒地に黄白色の斑紋や線が多数入りナミアゲハに似るが、黄色味が強く、黒線が細い。

後翅には水色の斑紋があり、尾状突起の内側には橙色の斑紋がある。

ナミアゲハとの大きな違いは前翅の基部で、キアゲハには模様はないが、ナミアゲハには線模様がある。

本種は、蛹で越冬するが、-196℃の低温にも耐えられる。

2014/8/21

多摩川への道路脇の公園で、キバナコスモスで給蜜中のキアゲハに出会いました。

飛翔中の個体は、たまに見かけますが、給蜜している所に出会ったのは初めてです。

おかげで、今まで写真のなかったキアゲハを撮影する事ができました。

反射光で見えている左側より、透過光で見えている右側の黄色っぽい色の方が、見た印象に近いです。

ナミアゲハとキアゲハ その見分け方と幼虫違い

ナミアゲハとキアゲハを左右で合成してみましたが、その違いが分かりますか?

ナミアゲハとキアゲハを簡単に見分ける方法は、前翅付け根の模様(赤丸の中)です。

ナミアゲハは縞模様が明確に出ていますが、キアゲハには模様がありません。

ナミアゲハの終齢幼虫      キアゲハの終齢幼虫

ナミアゲハとキアゲハの終齢幼虫です。成虫と異なり、違いは歴然としています。

なお、3齢幼虫までは鳥の糞に擬態していて、両者の幼虫は良く似ています。

4齢幼虫になると、キアゲハの幼虫は白地に黄色と黒の斑点模様の警戒色となり、模様は終齢に近くなります。

食草も両者で全く異なりますので、見つかる場所も全く異なります。

ナミアゲハの幼虫は、食草である柑橘系の樹(ミカン、カラタチなど)で見られます。

キアゲハの幼虫は、食草であるセリ系の植物(セリ、ニンジン、パセリなど)で見られます。

ただ、例外もあるようで、柑橘系やキク科、キンポウゲ科などでキアゲハの幼虫が見つかることがあるようです。


クロアゲハ(Papilio protenor)

<チョウ目Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・

          アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・アゲハチョウ属>

アゲハチョウ科アゲハチョウ属の蝶で、在来種。

日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。

海外では、朝鮮半島から中国南部、台湾、ヒマラヤ、インドシナ半島まで分布している。

成虫の前翅長は50~70mmあり、オスの後翅前縁には白斑がある。

また、後翅の赤斑は、オスよりもメスの方がよく発達する。また、メスの前翅は白っぽくなる。

幼虫は、サンショウ、ユズ、カラタチなど柑橘系の植物が食草である。

終齢幼虫の五齢幼虫になるとナミアゲハのような緑色の体色に変わるが、帯模様は茶色である。

なお、幼虫に触ると頭部と胸部の間から強烈な悪臭を放つ臭角を出すが、本種は紅色をしている。

2013/7/10

多摩川からの帰り道、道路脇の公園でアガパンサスで給蜜中のクロアゲハと出会いました。

木の陰で、うす暗かったため、シャッタースピードが遅くなり、大半が翅がぶれてしまっていました。

辛うじて、この1枚だけが、なんとか判別可能な状態でした。

後翅の白斑は確認できませんが、表面が黒っぽく、赤斑もあまり発達していないのでオスと思われます。

2013/8/15             2013/8/15             2014/7/18

2013/8/15 多摩川への途中の公園で、クロアゲハが数匹給蜜しているのを見かけました。

なかなかじっとしていてくれないので、うまく撮影できたのは数カットでした。

上の写真と比較すると、前羽が白っぽく、後翅の赤斑も明瞭です。白斑もないようなのでメスと思われます。

2014/7/18 多摩川への途中の公園で、ミカンの木に産卵しているクロアゲハを2匹見かけました。

なかなかじっとしてくれないのと、ミカンの葉が邪魔で、なんとか撮影できたのはこの1枚のみでした。


ナガサキアゲハ(Papilio memnon)

<チョウ目Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・

          アゲハチョウ科・アゲハチョウ亜科・アゲハチョウ属>

日本では、本州近畿以南から四国、九州、南西諸島に分布している。

海外では、東南アジアとインドネシアの島嶼から、中国、台湾を経て日本まで分布している。

近年は、茨城県南西部や栃木県南部でも確認され、関東北部での増加が顕著である。

なお、日本に分布するのは、亜種の「Papilio memnon thunbergi Von Siebold」である。

成虫の前翅長は80mmほどあり、日本産のチョウでは、オオゴマダラなどと並ぶ最大級のチョウである。

本種は、性的二形が顕著で、オスの翅は全体が黒く、後翅の外縁にわずかに赤い斑点が認められる程度。

一方、メスの後翅の中央部には白く細長い斑点が並び、その外縁に赤い環状紋が並ぶ。

その白い斑点は、南の個体ほど広くなる傾向があり、九州や沖縄産では前翅にまで広がる。

2013/9/12

多摩川への道路脇の民家脇で、白い模様が目立つアゲハチョウを見かけました。

同じ所を何度も往復し、地面に降り立って給水していたようです。

見たことがないアゲハチョウだったので、後で調べてナガサキアゲハと分かりました。

南方系のチョウで、以前は関東にはいなかったものが、最近、関東北部で増えているらしいです。

ただ、翅も傷んでいるし、白い紋も大きく目立つことから、南方からの迷蝶かもしれません。

ちなみに、この個体は、後翅の紋様の特徴から、メスです。


ウラギンシジミ(Curetis acuta Moore)

<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・

          シジミチョウ科・ウラギンシジミ亜科・ウラギンシジミ属>

典型的な暖地性のチョウで、日本では本州以南に分布する。

日本以外ではヒマラヤ地域から中国にかけて分布する。

前翅長は19~27mm、翼開長は35~40mmで、翅の裏は銀色一色で、これが和名の由来。

翅の表側は、オスはオレンジ色、メスは白から淡い水色をしていて、識別は容易。

幼虫の食草は、マメ科のクズやフジなどで、花や蕾を食べる。

成虫は、5月~10月に見られ、花・樹液・腐果などに集まる。そして、成虫で越冬する。

2013/8/28

河川敷への途中の公園で、ウラギンシジミを見かけました。

関東に来て以来、見かけたのは初めてです。

カメラを持っていなかったので、携帯で撮影したため、いささか不鮮明です。

しかし、ウラギンシジミの裏面の銀色部分はよく分かると思います。

この後、飛び立った時に、表面のオレンジ色が見えましたので、この個体はオスです。

2013/11/8

多摩川に向かう途中、道端のネズミモチの葉にウラギンシジミが飛んできて止まりました。

翅を開いてくれたので、表面の色がよく分かります。水色なのでメスの個体です。


ウラナミシジミ(Lampides boeticus)

<チョウ目Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・

          シジミチョウ科・ヒメシジミ亜科・ウラナミシジミ属>

シジミチョウ科ウラナミシジミ属に分類されるチョウで、在来種。

南方系の移動性が高いチョウで、春から秋にかけて温帯域に分布を広げ、冬には死滅する。

そのため、日本では秋には北海道南部から本州、四国、九州で多く見られるようになるが、

冬から春には東日本ではあまり見られなくなる。西日本の温暖な地域では通年で見られる。

日本以外でもアフリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアまで広く分布する。

前翅長は15~20mmで、翅裏には淡褐色と白のしま模様があり、これが和名の由来。

翅の表側には黒褐色の地の内側に金属光沢のある青い部分がある。

青色部分は、オスでは広く、メスでは翅の付け根部分に少しある程度である。

また、後翅の後端には黒斑が2つあり、この黒斑の間には細い尾状突起がある。

幼虫は、マメ科植物(クズ、エンドウ、アズキなど)を幅広く食べる。

2012/10/3

コセンダングサで給蜜中のウラナミシジミを見かけました。

関西の方では特に珍しくもないのですが、関東に来てからはあまり見かけなくなっていました。

あいにく、金網越しの撮影で、手前のものがボケて写りこんでしまいました。

それでも、羽の裏の模様はよくわかると思います。

2013/9/9                 2013/9/17

河川敷で、ウラナミシジミを見かけました。

ちょうど翅を半開きにしていたので、翅の上面を撮影できました。後翅の細い尾状突起もよく分かります。

ウラナミシジミの表面は、オスはほぼ全面に青い光沢が見られますが、メスは黒褐色が多くを占めます。

その点から言うと、この個体は、両方ともメスです。


ツバメシジミ(Everes argiades)

<チョウ目Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・

          シジミチョウ科・ヒメシジミ亜科・ツバメシジミ属>


シジミチョウ科ツバメシジミ属のチョウで、在来種。

日本では、北海道から本州、四国、九州と広範囲に分布する。

日本に分布するのは、亜種「Everes argiades hellotia」である。

なお、北海道には亜種「Everes argiades seitzi」も分布する可能性が指摘されている。

海外では、ユーラシア大陸の温帯域に広く分布している。

前翅長は9~19mmで、翅の表面はオスでは青紫色、メスでは黒い。

翅裏は灰白色で暗色の斑紋があり、後翅の後端にはオレンジ色の斑紋がある。

後翅には尾状突起があり、この突起をツバメの尾羽に見立てたのが和名の由来。

出現時期は3月~10月と長く、年に4~5回発生して、幼虫で越冬する。

幼虫の食草は、シロツメクサやハヤズエンドウなどのマメ科の植物の花やツボミ、新芽である。

成虫は、日中に様々な平地の草地を活発に飛び回り、様々な花で吸蜜する。オスは地面でも吸水する。

2013/4/18

長年、ヤマトシジミのオスが交尾しようとメスを追いかけて、付きまとっているものと思っていました。

しかし、よく見るとオスの後翅に橙色の斑紋があり、翅裏の黒紋にも違いがあります。

ヤマトシジミのオスと思っていたのは、ツバメシジミのオスでした。

右側の翅の表側が黒っぽい個体は、ヤマトシジミのメスです。翅の裏側の地色は茶色味がかっています。

両者は同じような場所にいて見かけも似ているので、よく確認しないと混同してしまう可能性がありますね。

大いに反省しています。


ヤマトシジミ(Zizeeria maha)

<チョウ目Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・

          シジミチョウ科・ヒメシジミ亜科・ヤマトシジミ属>

2012/5/16                 2012/5/16         2012/6/19

シジミチョウ科ヤマトシジミ属のチョウで、在来種。

日本では、本州から四国、九州、南西諸島まで広く分布している。

海外では、台湾、朝鮮半島から中国、フィリピン、インドネシア、インドなどに分布する。

多くの亜種に分かれ、日本でもトカラ列島の悪石島以南の南西諸島亜種とそれ以外の本土亜種に分かれる。

開張は20~30mmで、翅の表面は、オスでは青~青白色で、外縁部には黒色帯がある。メスでは全面黒~暗灰色。

翅裏は、雌雄とも灰褐色の地色に、円形またはくの字型の黒色斑紋があり、斑紋は翅脈をまたがらない。

雌雄とも季節変異があり、低温期ではオスの黒色帯は細くなり、青い部分は白味を帯びた青白色になる。

メスでは、黒~暗灰色の地色に基部側より青紫色の部分が拡大し、青味を帯びてくる。

夏の高温期には、オスでは黒色帯は太くなり、青味が強くなる。メスは、ほぼ全面黒~暗灰色になる。

日本では、本州以南で極普通に見られ、年4~5回発生し、4月~11月まで見られる。

冬は幼虫で越冬するが、冬でも暖かいと摂食する。なお、南西諸島では周年発生する。

 

2012/5/16 ベニシジミよりも見かけたのは1ヶ月ほど後になってから。

よく見かける割に、ちょこまかと飛び回るので、なかなか撮影できず、今日、やっと撮影できました。

ちょっと、羽が傷んでいますが、羽の色合いはうまく出ていると思います。

2012/6/19 久しぶりにヤマトシジミを見かけました。

特に変わったところがあるわけではありませんが、羽の裏を見せてくれたので、掲載します。

2012/7/5                  2012/10/30

7/5 ヤマトシジミのメスにやっと出会えました。

ヤマトシジミのオスの翅の表には、全面に青い光沢があります。

しかし、メスの翅の表は、黒っぽく、特に夏型は青い鱗粉がないので真黒です。

10/30 セイバンモロコシの花穂に2匹のヤマトシジミが止まり、翅を開けたり閉めたりしていました。

下側のヤマトシジミがオスで、上側がメスです。

翅をパタパタするのは、求愛行動なのでしょうか?

2013/4/18

今年になって初めて確認したヤマトシジミです。

翅の表面が黒っぽい前の方にいるのがヤマトシジミのメスで、青っぽい光沢があるのがオスだと思っていました。

それが、2019/7/17に別の目的で写真を調べていて、オスの後翅に橙色の斑紋があることに気が付きました。

あれっ と思って、よく見るとオスの翅裏の黒紋も、ヤマトシジミとは異なっています。

なんと、ヤマトシジミのオスと思っていたのは、ツバメシジミのオスだったんです。

似ているとはいえ、思い込みによるとんでもない間違いをしていました。

2013/6/24

多摩川への道端で、カタバミで給蜜中のヤマトシジミのメスを見かけました。

開いた所と閉じた所をうまく撮れたので、掲載します。

翅の表が黒っぽく、ほとんど青い金属光沢がないのが分かると思います。


ベニシジミ(Lycaena phlaeas)

<チョウ目Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・

          シジミチョウ科・ベニシジミ亜科・ベニシジミ属>

2012/4/9(オス)           2012/5/17(メス)           2012/6/26(オス)

シジミチョウ科ベニシジミ属のチョウで、在来種。

ユーラシア大陸と北アメリカ大陸に広く分布し、多くの亜種に分かれている。

日本に生息する亜種は、「Lycaena phlaeas americana Harris」である。

日本では、北海道から本州、四国、九州に分布する。

前翅長は15mm前後で、出現時期は3月~11月と長い。

前翅は表裏とも赤地に黒褐色の斑紋があり、後翅は表面が黒褐色で、裏面が灰色。

雌雄で翅の形が異なり、前翅が尖ったような形のものがオスで、少し丸まった感じのものがメスである。

また、春型ではオレンジ色が鮮やかで、黒斑が小さくなり、縁取りも幅が細くなる。

夏型では、黒斑が大きくなり、オレンジ色部分に縁取りの灰褐色が混ざりこんで、全体が黒っぽくなる。

秋型は、春型のようにオレンジ色が鮮やかになるが、黒斑や縁取りは夏型に近い。

幼虫の食草は、タデ科植物のスイバ、ギシギシ等。冬は幼虫で越冬する。

 

2012/4/9 ベニシジミもキタテハと同じく比較的早くから見かけたチョウです。撮影できたのはこの日が最初です。

この河原では、シロチョウ科の仲間より、だいだい色系のチョウの方が先に飛び始めるみたいです。

2012/5/17 春先に見かけたベニシジミと比較すると、黒の文様がはっきりし、少し大きくなっています。

2012/6/25 この頃になると、ベニシジミもしっかりと夏型に衣替えです。

先の2枚と比較すればわかると思いますが、全体に黒っぽくなり、黒い紋様も大きくなります。

2015/9/16(オス)         2013/10/7(メス)           2012/11/15(メス)

2015/9/16 夏型に近いベニシジミ(オス)です。これから秋の深まりとともに、鮮やかな橙赤色が増えていきます。

2013/10/7 時期が早いこともあり、まだ、夏型の名残である黒っぽい部分が多いベニシジミ(メス)です。

2012/11/15 すっかり春型のような橙赤色になったベニシジミ(メス)です。

モンシロチョウ(Pieris rapae)

<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・

          シロチョウ科・シロチョウ亜科・シロチョウ族・モンシロチョウ属>

アゲハチョウ上科シロチョウ科に分類されるチョウの一種で、在来種。

日本(全国)を含め、全世界の温帯、亜寒帯に広く分布する。

広い分布域の中でいくつかの亜種に分かれている。

日本に分布するのは亜種「Pieris rapae crucivora」とされている。

幼虫の食草はキャベツ、アブラナなどのアブラナ科植物で、それらの栽培域の拡大に伴い分布を広げてきた。

日本のモンシロチョウは、奈良時代に大根の栽培と共に移入されたと考えられている。

成虫は3月~11月頃まで長期間見られ、年に4~5回ほど発生するが、時期や回数は地域によって異なる。

開長は45~50mmで、前翅の基部半分ほどが灰白色なのがメスで、オスは翅の付け根のみ灰白色。

オスはメスを探して飛び回るので、長時間飛び回っている個体の多くはオスである。

オスはメスを見つけると交尾しようとするが、交尾済みのメスは翅を広げ、腹部を突き上げて拒否する。

幼虫は、孵化後、4回脱皮して終齢幼虫となり、その後蛹になる。越冬は蛹で行う。

2012/4/13

一面に咲いているハマダイコンの花の周りを飛び回るだけで、吸蜜行動は全くといっていいほど取りません。

セイヨウタンポポで吸蜜中のモンシロチョウがいたのでやっと撮影できました。

モンキチョウも見かけましたが、サ~ッと飛び過ぎて行ってしまい撮影できませんでした。

2012/5/7            2012/5/7            2012/6/19

5/7 ハマダイコンでも給蜜行動が見られるようになり、撮影も楽になりました。

6/19 土手の除草作業が行われ、見晴らしが良くなったためか、やたらとモンシロチョウが目に付きます。

めぼしい花がなくなったため、数少ない花の近くに集まっていることも要因の1つと思われます。

2012/6/19          2012/7/6          2013/5/24

6/19 シロツメクサの草陰で、同じ所をうろうろしているモンシロチョウを見かけました。

よく見るとメスが給蜜しており、オスが交尾しようと近づいているところでした。

ただ、メスの方は交尾済みのようで翅を広げて腹部を上に立て、交尾拒否姿勢を取っています。

7/6 今日は、見事に愛が成就し、交尾に成功したモンシロチョウに出会いました。

かなり近づいて撮影しましたが、微動だにしません。ちなみに、翅が外側になっている方がオスです。

5/24 この日、河川敷で交尾中のモンシロチョウを見かけました。

写真を撮ろうとしたとき、横からお邪魔虫が絡んできたので、交尾したまま飛び立ちました。

それも、メスはぶら下がっているだけで、オスだけが羽ばたいて移動しています。

交尾中のメスを奪われないためと思いますが、オスの飛翔力は強いんですね。

しばらく、3匹で絡んでいましたが、お邪魔虫はあきらめてどこかへ飛んで行きました。

2013/6/24

1匹のオスが、メスに求愛中のところに、別の雄が割り込んできました。

そのため、メスを中心に2匹のオスが恋の鞘当てを始めました。

初めは低い所で3匹が絡んでいたのが、だんだん上昇し、とうとう見えなくなってしまいました。

※ 子供の頃、裏の畑でモンシロチョウ数十匹が団子状態で飛んでいて、網の一振りで一網打尽にしたことがあります。

おそらくメスと交尾しようと多くのオスが追いかけてたいのでしょう。

後で、捕獲したチョウを調べていると、1匹だけスジグロシロチョウが混じっていました。

このスジグロシロチョウを追いかけていたのか、たまたま、混じっていたのか。今となっては調べようがありません。

たくさんのチョウを取っていたのは、この頃、チョウの翅を使って絵を描くのに夢中になっていたためです。

2013/8/27

河川敷の川縁で、アレチハナガサにまさに止まろうとしているモンシロチョウを撮ることができました。

翅を大きく開いて減速し、目標の花にとまる瞬間です。

飛行機がヘッドアップして、フラップを目いっぱい下げ、揚力を保ちつつ、スピードを下げるのに似ていますね。


スジグロシロチョウ(Pieris melete)

<チョウ目Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・

          シロチョウ科・シロチョウ亜科・シロチョウ族・モンシロチョウ属>

シロチョウ科モンシロチョウ属に分類されるチョウで、在来種。

日本を含め、中国東北部、東シベリア、朝鮮半島に分布している。

日本でもほぼ全国でみられる。冬は幼虫で越冬する。

翅脈の周りの鱗粉が黒くなっている点がモンシロチョウとの識別点で、特にメスでは顕著。

モンシロチョウが比較的日当たりのよい草原を好むのに対し、本種はやや薄暗く湿った場所を好む。

春型では翅の裏側翅脈に沿い灰色の筋が見られ、夏型では表面の黒紋が大きくなる。

幼虫の食草は、イヌガラシ、ダイコンなどのアブラナ科植物。

2012/4/25

久しぶりにスジグロシロチョウを確認できました。

本来、日蔭などを好むため、山野の林の近くなどに多く、さんさんと日の当たる河川敷では珍しいです。

モンシロチョウは花畑の中を飛び回っているだけですが、スジグロシロチョウはハマダイコンから給蜜していました。

なお、この個体は♀で、3枚目の写真は産卵しているところです。


モンキチョウ(Colias erate)

<チョウ目Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・

          シロチョウ科・モンキチョウ亜科・モンキチョウ属>

2012/6/15          2012/7/6

シロチョウ科モンキチョウ属に属するチョウで、在来種。

ヨーロッパ南東部から、中央アジア、日本や台湾まで分布しており、日本ではほぼ全国でみられる。

日本で見られるのは、亜種(C. e. poliographus Motschulsky)である。

開張は50mm前後、前翅長は23~26mmで、前翅外縁が黒く、翅の中央には銀色の斑紋がある。

オスの翅の地色は黄色で、雌では黄色と白色の2種類がある。

出現時期は3月~11月で、年に2回発生する。冬は幼虫で越冬する。

食草は、ムラサキウマゴヤシやクローバーなどのマメ科の植物である。

 

 

6/15 除草された土手の少なくなった花で、モンキチョウが給蜜していました。

この個体は、翅の色が白っぽいので、メスです。

7/6 ムラサキツメクサで給蜜中の黄色いモンキチョウです。

オスにもメスにも黄色っぽい個体はいるので、色だけでは雌雄を判別できません。

2012/7/2

モンキチョウの求愛。黄色いオスが、白っぽいメスの前に回り込んで、必死のアピールです。

この状態で、ずっと飛び回っていたのですが、こちらが根負けして見送ってしまいました。

愛は成就したんでしょうか? 気になります。

2012/10/26

秋も深まったこの時期に、モンキチョウの求愛行動を見かけました。

最後のひと頑張りといったところでしょうか。この後生まれた幼虫が越冬するものと思います。

2015/10/23

今年も求愛中のモンキチョウのペアに出会いました。

黄色いオスが、白っぽいメスの前に回り込んで、アピールに必死です。

多摩川で見かけたペアは、この組み合わせばかりです。


キタキチョウ(Eurema mandarina)

<チョウ目Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・アゲハチョウ上科・

          シロチョウ科・モンキチョウ亜科・キチョウ属>

シロチョウ科キチョウ属に分類されるチョウで、在来種。

日本では、本州の東北南部から四国、九州、南西諸島に分布する。

海外では、アフリカ中部以南からインド、東南アジア、オーストラリアと広く分布している。

翅は黄色で、前翅、後翅とも外縁は黒色に縁どられ、裏面に黒褐色の斑点がある。

夏型の外縁の黒帯は幅広で、秋型では黒帯は先端に少し残るか、消失する。

幼虫の食草は、ネムノキ、ハギ類のマメ科の植物で、年に数回発生し、成虫で越冬する。

以前は1種とされたが、現在では下記の2種に分類された。しかし、外見からは識別困難。

・キチョウ(ミナミキチョウ/Eurema hecabe) 南西諸島に分布する

・キタキチョウ(Eurema mandarina) 本州から南西諸島に分布する

2014/3/17

河川敷等で何度か見かけたキタキチョウですが、動きが早くて撮影できていませんでした。

この日、菜の花で給蜜中のキタキチョウを見かけ、やっと撮影できました。

それほど珍しいチョウではありませんが、河川敷では極たまに見かける程度です。

2014/6/27

河川敷で花を咲かせていたミソハギで、給蜜中のキタキチョウを見かけました。

河川敷で見る機会は少ないのですが、今年はこれでやっと2例目です。