シギアブ科・ミズアブ科・ツリアブ科・ムシヒキアブ科

ハエ目・ハエ亜目・アブ下目

 アブ上科シギアブ科(クロシギアブ、ヤマトシギアブ)

ハエ目・ハエ亜目・ミズアブ下目

 ミズアブ上科ミズアブ科(アメリカミズアブ)

ハエ目・ハエ亜目・ムシヒキアブ下目

 ムシヒキアブ上科ツリアブ科(クロバネツリアブ)

 ムシヒキアブ上科ムシヒキアブ科(アオメアブ、シオヤアブ、サキグロムシヒキ)


クロシギアブ(Rhagio morulus)

<ハエ目・ハエ亜目・アブ下目・アブ上科・シギアブ科>

2013/4/22                 2013/4/25

初夏に見られる体長10mm前後の黒い小さなアブで、弱々しくひらひら飛ぶ。

長くは飛ばず、ちょっと飛んでは何かに止まり、じっとしていることが多い。

体色は闇褐色で、胸背に2本の灰白色の縦線がある。翅は黒味を帯びた半透明で、翅脈は黒色。

オスの複眼は少し離れ、メスの複眼は大きく離れている。また、オスに比べ、メスの体色は薄い。

シギアブの仲間では、幼虫が未知のものが多いが、本種も詳しい生態は不明である。

 

4/22 多摩川の土手で、ギシギシの葉に止まる交尾中のハエのような、アブのような昆虫を見かけました。

同じ頃に飛び回っているケバエの仲間かと思っていたのですが、シギアブの仲間と判明しました。

外見から、クロシギアブか、ヤマトシギアブと見当を付けていましたが、決め手がなく未同定としていました。

2014年に下記のヤマトシギアブに出会って、脚の色からクロシギアブとしました。

4/25 先日は、交尾中の個体を見かけ場所の近くで、メスと思われる個体と出会いました。

メスと思ったのは、複眼が離れていたからですが、本種のオスでも、複眼は接していません。

それで、改めて見直してみたのですが、複眼の大きさからオスの個体と思われます。

なお、4/22の写真で、上がオスで、下がメスです。雌雄で複眼の大きさに若干の差があります。


ヤマトシギアブ(Rhagio japonicus)

<ハエ目・ハエ亜目・アブ下目・アブ上科・シギアブ科>

2014/4/25             2015/4/21              2015/4/21

初夏から見られる体長13mm前後の黒い小さなアブで、弱々しくひらひら飛ぶ。

本州から四国、九州に分布し、山地で普通に見られる。

翅は黒味を帯びた半透明で、翅脈は黒色。胸背に2本の灰白色の縦線がある。

クロシギアブに似るが、脚が黄褐色なこと、オスの複眼は接する事が異なる。

ただ、オスがメスよりやや小さいことや、メスの体色がオスより淡い色味である点は同じである。

 

2014/4/25 多摩川の土手で、シロヘリクチブトカメムシの写真を撮っていると、直ぐ近くにいました。

どこかで見かけた気がしたのですが、思い出せませんでしたので、取りあえず撮影し、後で調べました。

その結果、昨年未同定としていたシギアブと良く似ていましたが、脚の色が異なります。

それで、本種はヤマトシギアブ、昨年見かけたものはクロシギアブと分かりました。

脚の色以外は、写真からでは違いが分からないほど良く似ています。

なお、複眼が接しているので、この個体はオスです。

2015/4/21 今年も同じ時期に河川敷の土手で見かけました。今回は、背中の模様が良く見えています。

中央の写真の個体は複眼が離れているのでメス、右端は離れているのでオスです。


アメリカミズアブ(Hermetia illucens)

<ハエ目・ハエ亜目・ミズアブ下目・ミズアブ上科・ミズアブ科・アメリカミズアブ亜科>

ミズアブ科の昆虫で、戦争中にアメリカから来た帰化種。

日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。

海外では、北・中部アメリカに分布する。

成虫は5月~10月頃に出現し、体長は15~20mmである。

体色は黒で、腹部に2つの白紋がある。触角は長く、複眼にはナミ状の模様がある。

成虫の餌は、花の蜜であるが、幼虫は腐敗物や獣糞などの腐敗有機物を食べる。

そのため、水洗トイレが普及する前は、便所周辺に多くいたため「便所バエ」と呼ばれていた。

2014/9/16

多摩川の川縁で、アレチウリの上に止まっている本種を見かけました。

子供の頃には、良く見かけたものですが、何時の頃からか見かけなくなりました。

そのため、見たのはずいぶん久しぶりで、なかなか名前が思い出せませんでした。


クロバネツリアブ(Ligyra tantalus)

<ハエ目・ハエ亜目・ムシヒキアブ下目・ムシヒキアブ上科・ツリアブ科>

ツリアブ科のアブで、在来種。

日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。

海外では、朝鮮半島から中国、台湾、東南アジアに分布する。

体長は14~18mmで、黒い翅と黒色の体色に白い帯模様が特徴的。

出現時期は7月~9月で、生息域が河岸の草原や海浜に限定されている。

オスに比べて、メスが著しく大型である点が特徴的なツリアブである。

2013/7/22

多摩川の川縁で、ヤブガラシの近くでホバリングしている黒いアブのようなものを見かけました。

その後、ヤブガラシの花に止まったので、可能な限り接近して撮影し、アブと分かりました。

あまり近づくと、直ぐに飛び立ってしまうのですが、近くでホバリングして、また止まります。

翅も、体も真っ黒なのですが、白い帯模様がよく目立ちます。

名前の「ツリアブ」は、ホバリング中の姿が、吊り下げられているように見える事が由来です。

2014/9/19             2014/9/19             2015/6/30

2014/9/19 昨年は、ときどき見かけた本種ですが、今年は全く見かけず、この日が初めての確認となります。

久しぶりに見るためか、昨年見たものより大きく感じました。

2015/6/30 川縁でよく見かけるのですが、今年は、除草後の土手下で見かけました。

毎年、見かける度に、こんなに大きかったかなと思うほど、大きく見えます。


アオメアブ(Cophinopoda chinensis)

<ハエ目・ハエ亜目・ムシキヒアブ下目・ムシヒキアブ上科・ムシヒキアブ科・クシヒゲムシヒキ亜科>

2012/6/29                 2013/8/1

ムシヒキアブ科クシヒゲムシヒキ亜科の肉食性のアブで、在来種。

日本では、本州から四国、九州、南西諸島に、海外では、朝鮮半島から中国に分布する。

体長は20~29mmで、褐色の体色に青緑色に輝く複眼が特徴で、それが名前の由来。

脚は黒色で、脛の部分が鮮やかな黄褐色である。

出現時期は6月~9月で、河川敷の草地や林の周辺で普通に見られる。

 

草むらでよく見かけるアブですが、多摩川の河川敷にも多くいて、度々見かけます。

目に特徴があり、生きている間は、きれいな緑色に光ります。

大変攻撃的で、自分より大きなトンボなどにも攻撃を仕掛け、捕食するそうです。

2012/6/29 このときは、セマダラコガネを捕えて、その体液を吸い取っていました。

腹部の形状から、メスの個体と思われます。

2013/8/1 マメコガネを抱えて体液を吸っているようです。

腹部の形状や尾部の特徴からオスの個体と思われます。

2012/7/2            2012/7/4            2013/7/24

多摩川の河川敷では、交尾中のアオメアブをときどき見かけます。

交尾したまま器用に飛んでいきますが、さすがに長距離は飛ばず、直ぐ近くに止まることが多いです。

交尾中の個体ですが、どの写真もオスが下になって、メスは翅をたたみ、オスは翅を開いています。

交尾中は、常にこのような体勢なのでしょうか? それとも偶然?

2012/7/4(オス)           2012/7/20(メス)

アオメアブのオスとメスを撮影できましたので掲載します。

雌雄の違いは、腹部の形状と尾部を見るとわかります。両者を比較してみてください。


シオヤアブ(Promachus yesonicus)

<ハエ目・ハエ亜目・ムシキヒアブ下目・ムシヒキアブ上科・ムシヒキアブ科・シオヤアブ亜科

ムシヒキアブ科シオヤアブ亜科の肉食性のアブで、日本ではほぼ全国に分布する。

海外では、朝鮮半島から中国、極東ロシアにも分布する。

草原や林の周辺の日当たりの良い場所で、よく見られる普通種。

体長は23~30mmで、体色は黒褐色で、黄色い毛が生えている。

その黄色い毛のため、腹部は黒と黄色の縞模様に見える。なお、オスの腹端には白い毛が密生する。

獰猛な狩人で、見晴らしの良い枝先などに留まり、獲物を待ち伏せする。

獲物が近づくと、一気に襲い掛かり、自分より大きな獲物でも一撃で仕留める。

幼虫は土中や朽木の中にいて、他の昆虫などを食べて成長する。

2013/7/19

草むらでよく見かけるムシヒキアブですが、多摩川の河川敷で見かけたのは初めてでした。

多摩川の河川敷では、圧倒的にアオメアブが多いです。

この日見かけたシオヤアブは、何か獲物を抱えたままでした。

写真を見て、初めてフタモンアシナガバチと分かりました。

オスの腹端には、白い毛があるので、この個体はメスですね。

シオヤアブの攻撃は、背後から口吻を突き刺す一撃必殺の攻撃で、自分よりも大きな獲物も襲うそうです。

スズメバチでさえ、一撃で倒す能力を持つそうなので、何をか言わんやですね。


サキグロムシヒキ(Machimus scutellaris)

<ハエ目・ハエ亜目・ムシキヒアブ下目・ムシヒキアブ上科・ムシヒキアブ科・ムシヒキアブ亜科>

日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。

海外では、極東ロシアから朝鮮半島、中国に分布する。

体長は20~26mmで、頭部と胸部は黒い地色に灰白の粉を吹いている。

腹部は淡黄褐色の粉で被われていて、腹部の先だけ黒いのが特徴。

肢は黒色で、部分的に内側が黄褐色をしている。

発生時期は、6月~9月で、ハエや蚊等を捕えて食べが、自分より大きい虫も襲う。

幼虫は、土中や朽木にいてコガネムシ類の幼虫やミミズ、ワラジムシ、ダンゴムシなどの体液を吸う。

マガリケムシヒキやヒサマツムシヒキなど似たものもおり、以下の点で区別する。

・サキグロムシヒキ 複眼は黒色、翅は透明、脚は黒色である

・マガリケムシヒキ 複眼は緑色、翅は透明、脚は黒いが脛節は黄褐色、オスは前脚フ節まで黄褐色

・ヒサマツムシヒキ 複眼は黒色、翅は透明、脚は黒色で、脛節に汚黄毛がある

2013/6/28

草むらでよく見かけるアブですが、多摩川の河川敷では見かけませんでした。

河川敷近くの公園のキンシバイの花、そこに止まっているのを見かけました。

アオメアブより少しスレンダーな感じのサキグロムシヒキのオスでした。