タデ科・ナデシコ科・バラ科

ナデシコ目

  タデ科(ヒメツルソバ、ギシギシ)

  ナデシコ科(コハコベ、ミドリハコベ、ムシトリナデシコ)

バラ目

  バラ科(ビワ、ウメ)


ヒメツルソバ(Persicaria capitata)

<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・イヌタデ属>

タデ科イヌタデ属の多年草で、中国南部~ヒマラヤが原産の帰化植物。

明治時代に観賞用として導入され、野生化して本州の東北地方以南、四国、九州、南西諸島に帰化。

茎は地を這い、よく分枝して広がり、長さ50cm程になる。茎には赤褐色で長い毛がある。

葉は互生し、長さ15~35mmの卵形で先が尖り全縁で、表面には山形の暗紋があり、秋には紅葉する。

花期は5月~11月であるが、真夏には花を付けない。

茎先に直径1cm前後の球形の花序を1~3個付ける。

花は、開花直後はピンク色をしているが、徐々に色が抜けて白へと変化する。 

なお、花弁に見えるのは長さ2mm前後の萼片で、先端は5浅裂して直立する。

オシベは6~8個あり、花糸は白色で葯は赤茶色。メシベは1個で柱頭は3裂する。

花柱も柱頭も白色で、柱頭は円盤状に膨らむ。

痩果は長さ1.5mmほどの3稜形で、花被に包まれたまま黒褐色に熟す。

2012/4/24

多摩川への道路脇などで、春になると新しく蔓を伸ばして広がり、花を付けていました。

花の数が多いのと、色がピンク系なのでよく目立ちます。

2012/12/27

暑い盛りには花がなくなっていたヒメツルソバですが、涼しくなって花を付け始めました。

12月のこの時期には、葉が多少紫色を帯びていますが、まだ、きれいな花を咲かせています。

この花は、霜が降りるまで見られるようなので、もう少し見られるかも。

2013/1/11

民家の間の細い路地で、ヒメツルソバがまだ花をたくさんつけていました。

葉は、下記の紅葉とは異なり、暗赤紫色になっていました。

ヒマラヤ原産だけあって、寒さには強いみたいですね。

ただ、公園で大きな群落をつくっていた所は、全て枯れていました。

ヒメツルソバの紅葉

2006/11/25

県立相模原公園フランス式庭園で見かけた、真っ赤に紅葉したヒメツルソバです。

多摩川近辺では、紅葉したヒメツルソバを見かけたことはないのですが、日照の関係でしょうか。

上の写真の場所は、大きな桜の樹の下ですが、こちらは芝生公園の側なので遮るものはありません。


ギシギシ(Rumex japonicus)

<ナデシコ目・タデ科・タデ亜科・ギシギシ属>

2014/2/27                 2013/3/5

タデ科ギシギシ属の多年草で、広く日本に分布している。

スイバと異なり、同じ株に両性花と雌花をつける。茎や花が赤味を帯びない点でスイバと区別できる。

茎の途中の葉の付き方や、痩果を包む萼片に瘤状のふくらみがあるかどうかでも区別できる。

草丈は40~100cmほどになり、茎は直立して多数分枝する。

下部の葉は、長楕円形で長い柄があり、縁は波打っている。

茎葉は上部ほど小さくなり、無柄になる。葉先は丸く、基部はやや心形。

花期は5月~6月で、花は細長い総状花序に付き、多段に密に輪生する。雌雄同株。

両性花と雌花があり、花被片(萼)6個、オシベ6個、メシベ1個からなる。

果実を3個の内花被が包む。内花被は心形で、縁に不規則な鋸歯があり、中央に長卵形のこぶがある。

 

2014/2/27 多摩川の河川敷や土手の則面では、この時期、ギシギシは葉を大きく広げています。

もっと早時期だと、ロゼットのように葉も寝ていて地面に這っていますが、春が近付くと盛り上がってきます。

2013/3/5 すっかり葉が立ち上がって、もう数週間もすると花茎を立ち上げて来ると思います。


コハコベ(Stellaria media)

<ナデシコ目・ナデシコ科・ハコベ属>

ナデシコ科ハコベ属の越年草で、日本では全国的にみられる。

全世界に帰化植物として定着しており、北米やヨーロッパでは極普通の庭草である。

ミドリハコベに似ているが、いくぶん小型で、茎が暗紫色を帯びる所が異なる。

草丈は10~30cmで、茎は下部から多数分枝して、下部は地を這い、上部は斜上する。

葉は長さ1~2cmの卵形で対生し、縁は全縁。下部の葉には長い葉柄があるが、上部では無柄になる。

花期は3月~10月と長く、花は集散花序に付き、花柄がある。

萼片は5個で、鈍頭で楕円形。長さは3~4㎜あり、縁は薄膜質。

花弁は萼片より若干短めの白色で、5個あり、2深裂する。そのため、花弁が10枚に見える。

メシベの花柱の数は3個で、オシベの数は1~7個ある。

2012/12/27

多摩川への道路脇で見かけたコハコベです。

花期は3月~9月ですので、季節外れの狂い咲きでしょうか?

見た目は、ミドリハコベに似ていますが、いくぶん小型で、茎が暗紫色を帯びる所が異なります。

花弁は2つに深く裂けているので10枚に見え、雌しべの花柱の数が3本、雄しべの数は1~7本です。

2013/1/11                 2013/2/7               2013/2/28

1/11 多摩川への道路脇で見かけたコハコベです。

年を越してますます大きくなり、花を咲かせていました。

近くに生えているミドリハコベが、まだ、弱弱しいのとは対照的です。

この撮影の後、大雪に見舞われたのですが、雪が融けた後も元気でした。

2/7 コハコベの葉も緑が濃くなって若々しくなり、花の数も増えてきました。

2/28 多摩川への道路脇のコハコベですが、このまま春になだれ込みそうです。

花の両脇にある葉は、アメリカフウロで、こちらも春に向けて成長を続けています。


ミドリハコベ(Stellaria neglecta Weihe)

<ナデシコ目・ナデシコ科・ハコベ属>

ナデシコ科ハコベ属の越年草で、在来種。

日本では全国的に見られ、海外ではアジア~ヨーロッパに広く分布している。

草丈は30~60cmで、茎には片側に1列に毛が生え、暗紫色を帯びることはなく、全体に緑色である。

葉は長さ20~30mmで、上部の葉は無柄で大きくなるのに対して、下部の葉は葉柄があって小さい。

花期は3月~9月で、花冠の直径は10mm前後である。

花弁は2つに深く裂けているので10枚に見え、メシベの花柱の数が3個、オシベの数は5個以上ある。

萼片は花弁よりわずかに短い。5個の萼片は長さ3~4mmで、白毛と腺毛があり、果時には大きくなる。

似たものにコハコベ(茎が紫色を帯びる)や、ウシハコベ(大型で、雌しべの花柱が5つある)がある。

2013/1/11

多摩川に向かう道端の石垣の上で、ミドリハコベが若芽を伸ばしていました。

春には大きくなって花をたくさん咲かせるミドリハコベですが、まだ、弱弱しい感じです。


ムシトリナデシコ(Silene armeria)

<ナデシコ目・ナデシコ科・マンテマ属>

ナデシコ科マンテマ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。

日本では北海道から四国、九州と全国に広く分布する。

海外でも、温暖な地域に広く分布する。

草丈は50cm程になり、葉は対生し、広披針形で基部は茎を抱く。

花期は5月~8月で茎の頂部に円錐花序を出し、紅紫色の5花弁の花を密生させる。

花弁は平開し、先は浅く2裂する。

花弁の付け根に1対の鱗片があり、花の中央で立ち上がって飾りのようになっている。

萼は紅紫色の筒状で、15mmほどある。オシベは10本あり、メシベは1本で花柱は3裂している。

茎上部の葉の下部に粘液が帯状に分泌されて、薄茶色になっている部分がある。

この部分に小昆虫が捕えられることがあるが、食虫植物ではないので消化吸収されることはない。

和名は、この小昆虫が捕えられることに由来するものである。

2012/8/20

多摩川へ行く道端で、8月頃まで艶やかなピンクの花をたくさん咲かせています。

周りに何もないのに花色が目立つので、弥が上にも目を引きます。

2012/12/27

夏に見かけた同じ場所で、ムシトリナデシコの若芽が春を待っていました。

夏には多くの花を咲かせるムシトリナデシコですが、この時期は葉をロゼット状に広げています。


ビワ(Geranium carolinianum)

<バラ目・バラ科・モモ亜科・ナシ連・ナシ亜連・ビワ属>

2013/1/11             2013/1/11             2013/1/17

バラ科ビワ属の常緑高木で、中国南西部原産の帰化植物。

日本には古代に持ち込まれたとみられる。

世界的には、インドやハワイ、イスラエル、ブラジル、ヨーロッパなどに移入、栽培されている。

樹高は6~10mで、幹は灰褐色、横しわがある。

葉は互生し、長さ15~20cmの広倒披針形で、葉は厚く、裏面には葉脈が隆起する。

葉表は濃緑色で光沢があって無毛。葉裏には褐色の毛が密生する。

花期は11月~1月で、円錐花序に直径1cm前後の白色の5弁花を多数付ける。

花弁の基部内側や萼には褐色の毛が密生する。

果実は直径3~4cmの広惰円形で、大きな種子が1~2個入る。

2013/1/11,17

ビワの花は、薄茶色の萼に5弁の白い花びらの花を多数付けますが、非常に地味です。

そのため、遠目では花が咲いているのかどうか分かりずらいです。

この時期、花が少ないので、花蜜を求めて、いろいろな野鳥が訪れています。

この撮影した木には、メジロが盛んに飛び回っていましたが、シジュウカラやヒヨドリも見かけました。

2013/11/11               2013/1/29

2014/5/19             2014/5/28             2014/6/4

撮影年は異なりますが、ビワの開花から食べ頃になるまでの様子です。

11/11 冬の訪れとともに、ビワが花をほころばせ始めました。

1/29 年が明け、ビワの花も満開状態です。この頃、野鳥が給蜜によく訪れます。

5/19 ビワの実も大きく育ち、後は熟すのを待つだけといったところです。

5/28 ビワの実が、黄色く色付き始めました。が、完熟までにはまだ少し時間が必要なようです。

6/4 ビワの実が、きれいなオレンジ色に完熟し、食べごろとなっていました。


ウメ(Prunus mume)

<バラ目・バラ科・モモ亜科・モモ蓮・サクラ属>

バラ科スモモ属(サクラ属)の落葉高木で、中国原産とされる。

日本には古代に持ち込まれたとの説や日本原産との説もあり、明確ではない。

ウメは、花を楽しむ観賞用品種と、実を取るための実梅品種がある。

また、ウメは、「自花不結実性」が強く、2品種以上混生させないと結実しない品種がある。

ウメは、一節に花が一つしか付かないため、複数の花が付くモモよりも華やかさは劣る。

花色は、白からピンク、赤まで種類は多く、一重と八重がある。

※ 果肉には、クエン酸をはじめとする有機酸が多く含まれるため、健康食品として販売される。

しかし、未成熟な果実や核の中の種子には、青酸配糖体が含まれ、条件によっては有毒となる。

といっても、梅酒の未成熟な実や梅干しの種は、アルコールや塩分で毒性は低下している。

2013/2/20

一重の白梅ですが、単独で咲いているだけでは、華やかさにかけますね。

野鳥にも人気薄で、白梅の方ではめったに見かけません。

2013/2/20

八重の紅梅(と言ってもピンクですが)で、枝垂れ梅です。

花数が多いこともありますが、隣の白梅と比べると非常に華やかです。

野鳥にも人気で、メジロがよく訪れています。

2014/1/24             2014/2/13             2014/1/24

1/24 多摩川の河川敷で、ゲートボール場の脇に植栽されていた白梅と紅梅です。

白梅は、ツボミがほころびかけていましたが、開花したものはありませんでした。

一方、直ぐ側の紅梅は、三分咲きといったところで、開花時期に差があるようです。

2/13 ツボミだった白梅ですが、大雪の影響は少なく、5分咲きになっていました。

一方、紅梅の方は、2週続けて土曜日の大雪で、見る影もない状態になってしまっていました。