ミズキ科・ミカン科・モクレン科・ヤマノイモ科

ミズキ目

  ミズキ科(ハナミズキ、ヤマボウシ)

ムクロジ目

  ミカン科(サンショウ)

モクレン目

  モクレン科(ユリノキ)

ヤマノイモ目

  ヤマノイモ科(オニドコロ、ナガイモ、ヤマノイモ)


ハナミズキ(Benthamidia florida)

<ミズキ目・ミズキ科・ミズキ亜科・ヤマボウシ属>

2014/4/22              2014/4/22             2014/5/28

ミズキ科ヤマボウシ属の落葉高木で、北アメリカ原産。アメリカヤマボウシの別名を持つ。

庭木や街路樹として利用されることが多い。

1912年にワシントンD.C.へソメイヨシノを送った返礼として、1915年に送られたのが始まり。

樹高は5~10mで、樹皮は灰黒色。成長が比較的遅く、自然に樹形は整う。

葉は対生し、枝先に集まって付く。葉身は8~12cmの楕円形で葉脈が目立ち、縁は波打ち葉先は尖る。

花期は4月下旬~5月上旬で、白と淡いピンクの花を付けるが、花弁に見えるのは総苞。

4枚の苞の真ん中に見えるのが花序で、直径5mmほどの黄緑色の4弁花が多数集まって付く。

花後には苞が落ちて果実が付き、秋には真っ赤に熟す。また、葉も秋には紅葉する。

 

4/22 ハナミズキの白い苞が平開し、中央部では開花が進んでいました。

花弁は4枚で、4個のオシベが外に飛び出し、中央にメシベが1個あります。

5/28 多摩川の道路脇で街路樹として植えられているハナミズキですが、花後、果実が大きくなっていました。

2014/8/22             2014/8/27             2014/9/4

8/22 果実がいくぶんふっくらとしていますが、大きな変化はありません。

8/27 果実の果皮がいくぶん黄色みを帯びてきていますが、見た目の変化はあまりありません。

9/4 果実の果皮が、この1週間ほどで、かなり赤みを帯びてきました。

2014/9/17             2014/9/29             2014/10/28

9/17 2週間ほどで、果実は見違えるほど赤く熟していました。

9/29 いくぶん残っていた黄色っぽい部分もなくなり、全体が真っ赤です。

これで完熟状態なのでしょうか。直ぐ横にあるつぼみも大きくなっています。

10/28 久しぶりに見に行くと、果実の大半が落果し、わずかに残っているだけでした。


ヤマボウシ(Benthamidia florida)

<ミズキ目・ミズキ科・ミズキ亜科・ヤマボウシ属>

2014/4/28(つぼみ)        2014/5/14(つぼみ)          2014/5/15(花)

ミズキ科ヤマボウシ属の落葉高木で、在来種。

日本では、本州から四国、九州に分布し、海外では朝鮮半島から中国に分布する。

樹高は10~15mで、幹は暗赤褐色で、老木では不規則に樹皮が剥がれる。

葉は対生して枝先に集まって付き、長さ4~12cmの楕円形で、葉質は薄く、縁は全縁で波打つ。

葉脈は深く明瞭で、葉裏の脈腋には褐色の毛叢(もうそう)があり、茶色い染みのように見える。

花は5~6月に開き、淡黄色から淡緑色で小さく、多数が球状に集合している。

白い大きな花弁のように見える総包片が4枚あり、その中央に花が付く。

花弁は数mm程で4個、オシベも4個で、花柱は1個である。

ハナミズキの果実は、個々の果実が分かれて赤く熟するのに対し、本種は集合果になる。

直径10~15mm程の球形の集合果は、熟すると赤くなり、食用になる。

 

4/28 ヤマボウシが薄緑色の苞を広げたばかりで、つぼみも未成熟です。

5/14 4枚の苞も白くなり、十分に広がって、中央の花も盛り上がって来ています。

5/15 日当たりの良い場所にあったヤマボウシでは、既に開花が始まっていました。

2014/5/23            2014/6/9            2014/7/10

5/23 ヤマボウシの花もすっかり散って、メシベの花柱のみが目立っています。

6/9 ヤマボウシの白い総包片が枯れて散り始めていました。

7/10 ヤマボウシの果実も一回り大きくなり、外に飛び出していた花柱も目立たなくなってきました。

2014/8/20            2014/8/27            2014/8/27

8/20 ヤマボウシの果実もかなりふっくらとしてきました。

8/27 気が付くと、日当たりの良い部分では果実が黄色く熟し始めていました。

早いものでは、かなり赤みが強くなってきています。この1週間で一気に熟し始めたようです。

この1週間、一気に気温が下がって10月並みの気温になったのが影響しているのでしょうか。

乗鞍高原で見たヤマボウシは、既に真っ赤に熟していましたので、気温がキーになっている可能性はあります。

2014/9/2

かなり熟した果実が多くなってきており、一部で落果が始まりました。

試食してみましたが、果肉はとろっとして甘みが強く、生食でもなかなかいけます。

皮の部分は渋みがあり、食べない方が良いようです。

冷凍庫でシャーベット状にしてみましたが、これは、けっこういけました。

2014/9/17

小さな果実は、ほぼ落果してしまい、特大サイズの果実のみが残っていました。

はち切れそうなほど大きく、中には種子がいっぱい詰まっているように見えます。

その一方で、既にツボミができて、来春の準備は整っているようです。


サンショウ(Zanthoxylum piperitum)

<ムクロジ目・ミカン科・サンショウ属>

2013/6/25              2013/7/31            2013/9/17

ミカン科サンショウ属の落葉小高木で、北海道から屋久島まで、広く分布する。

日本以外では、朝鮮半島の南部に分布する。

樹高は2~5mで、幹は灰褐色、いぼ状の突起と鋭い刺がある。

サンショウは雌雄異株で、雄株と雌株がある。

葉は奇数羽状複葉で、枝に互生し、葉の基部には一対の刺がある。

4~5月頃、枝先に淡黄色の花を集散花序につけるが、花に花弁はない。

果実は10月頃に赤熟し、2経つに割れて、光沢のある黒色の種子ぶら下がって出てくる。

香りの良い新芽や若葉、若い実は食用になる。

 

多摩川への道路脇にある小学校の裏で、大きなサンショウ木を見かけました。

気が付いた時には、ちょうど料理に使うには良い大きさになった果実を付けていました。

その後、秋になってふと見ると、果実が赤くなって熟していました。

サンショウの果実が赤くなることを、この時まで知りませんでしたので、ちょっと意外な感じでした。

2013/10/17

その後、10月に入ると、果実が割れて、中なら真っ黒な種子が2つぶら下がっていました。

この割れた果皮を乾燥させ、粉末にしたものが粉山椒だそうです。

2013/12/5

果実が赤く熟していた頃には青々としていた葉も、12月に入ると一気に黄葉してきました。

この後、12月末には落葉して、すっかり枝だけになってしまいました。


ユリノキ(Liriodendron tulipifera)

<モクレン目・モクレン科・ユリノキ亜科・ユリノキ属>

2014/7/3                2014/7/8

クレン科ユリノキ属の落葉高木で、北アメリカ中部原産。

日本へは明治時代初期に渡来し、公園樹、街路樹として全国で利用されている。

原産地では、樹高は60mを超える大型種だが、日本では多くは20~30m程度。

花は両性花で、開花期は5~6月。

花弁は9弁、花径は5~6センチでクリーム色にオレンジの斑が入り、形はチューリップに似る。

外側の3枚の萼片(花被片との記載もある)は花の下まで反り返り、内側の6枚の花被片がチューリップ状になる。

その中央に、らせん状に付いたメシベと、それを取り囲むように多数のオシベが付く。

なお、ユリノキは重要な蜜源植物であり、良質の蜂蜜がとれる。

 

東京国立博物館本館前庭に巨木があり、そこに下記のように記されている。

「明治8、9年頃渡来した30粒の種から育った一本の苗木から明治14年に現在地に植えられた」

同じ時期に新宿御苑にも植えられたようで、樹齢100年を超える巨木になっています。

 

多摩川への途中にある幹線道路の街路樹ですが、ユリノキであることに気が付きました。

ずっと、プラタナスの木だと思い込んでいたのですが、若い果実に気付いて、間違いに気付きました。

おそらく、5月頃には樹上で独特の花を咲かせていたものと思いますが、全く気が付きませんでした。

ここの街路樹は、良く剪定も行われていますので、花を付ける枝が少ないのかもしれません。

剪定の難を逃れた枝が、結実していたのを偶然見上げた時に、目に止まったようです。

事実、周りの街路樹でも探してみましたが、葉が生い茂っていることもあり、見当たりませんでした。

※ ユリノキの花の写真は、「春の野草/モクレン目モクレン科」を照ください。

2014/8/20             2014/9/2            2014/9/17

ユリノキの果実ですが、きれいな淡緑色の表面に、褐色の染みのようなものが出来てきました。

果実の成熟が進んでいるのでしょう。全体が褐色になったら、開いて種子が出てくるはずです。

2014/10/3             2014/10/8              2014/10/8

10/3 10月に入り、褐色になった部分の方が多くなってきました。

しかし、台風18号の通過(10/6)後、様子を見に行くとありません。下に落ちていました。

このとき、もう1つ、落果した果実を拾いましたが、こちらは完全に全体が褐色になっていました。

10/8 落ちていたものを撮影したのですが、2日の間に乾燥が進み、少し開いてしまいました。

上記の果実を分解してみました。通常は飛ばない最も外側から外しています。

外側のものも内側のものと似ていますが、翼果の根元部分が小さく貧弱です。

内側の翼果を拡大したものを見ると、種子の入っている部分がしわしわです。

まだ、十分に成熟する前に落果してしまったものかもしれません。

2014/10/9             2014/10/9              2014/10/10

台風は、葉も吹き飛ばして行きましたので、見通りが良くなり、新しい果実も見つかりました。

直ぐ近くの2本の樹で、各々、数個の果実を見つけました。

これらの果実は、かすかに緑が残っている程度に成熟が進んでいました。

その脇で、来春に向けて新しい芽が成長していました。

2014/10/20               2014/11/19

10/20 新たに見つけた果実の一つが、開き始めていました。まだ、翼果が飛んだ形跡はありません。

11/19 他の果実も開き始めましたが、最外周の翼果(最後まで残ります)が開いているのみです。

内部の翼果が開いて、飛ぶのはまだ先のようですね。

2015/11/13

今年は、落葉して分かったのですが、かなり多くの果実が残っていました。

果実は、まだ、緑の残っているものから、かなり翼果が開き始めているものまで様々です。

右端の下向きになっている果実には、翼果の翼が少し見えています。


オニドコロ(Dioscorea tokoro)

<ヤマノイモ目・ヤマノイモ科・ヤマノイモ属>

ヤマノイモ科ヤマノイモ属のつる性多年草で、日本各地の山野に自生している。

雌雄異株で、ヤマノイモに似るが、葉が互生している点、ムカゴを作らない点などで区別できる。

葉は、三角状心形で、長さ、幅とも10cm程になり、先は長く尖る。

雄花序は葉腋から直立し、淡緑色の小さな花を付ける。ただし、花が咲き上る頃、重みで頂部は垂れ下る。

雌花序も葉腋からでるが、初めから垂れ下がる。

雄花の6個の花被片は平開し、オシベも6個ある。雌花の基部には下位子房があり、メシベの花柱は3裂する。

果実は、子房の3つの翼が大きく成長し、3枚の翼のようになる。この翼の中に薄い種子が2個入っている。

根は、そのままでは有毒で食用には適さないが、灰汁であく抜きすることで食べることはできる。

2013/7/10

多摩川に向かう道路脇の民家で、植木に絡みついているオニドコロを見かけました。

盛大に絡みつき、大量の花を咲かせていました。

オニドコロの雄花序は直立するそうですが、花序が大きすぎて垂れ下っているものもあります。

オニドコロの雄花・雌花と果実

      <雄花>        <雄花花序>  2015/8/21   <雌花>          <雌花花序>

新潟の胎内へ向かう途中、只見線の越後須原駅手前の川沿いで見かけました。

最初に目に付いたのは雄花でしたが、直ぐ近くに雌花もあり、両方を撮影できました。

2013/11/24

奈良の室生寺へ向かう参道脇で見かけたオニドコロの果実です。

垂れ下る花序に、楕円形のさく果は上向きに付き、3つの翼があります。

果実の翼の部分に種子が入っており、裂開して各々2個の種子が出てきます。

種子にはカエデの種子のように翼があり、風に乗って飛びます。


ナガイモ(Dioscorea batatas)

<ヤマノイモ目・ヤマノイモ科・ヤマノイモ属>

ヤマノイモ科ヤマノイモ属のつる性多年草で、在来種とする説と中国原産とする説がある。

ナガイモは、ヤマノイモとは別種のヤマノイモ属で、風味などが異なる。

根茎は太い円柱状で、茎や柄は紫色を帯びることが多い。

葉は、基部では互生し、上部では対生となる。葉柄は2~3cm。

葉身は長さ3~10cmで、基部が左右に張り出す。

花期は7月~8月で、雌雄異株。雄花序は長さ2~5cmで、数個が集まって立ち上がる。

雄花は、外花被片3個に包まれた球形で、外花被片は長さ2㎜以下で黄緑色。

内花被片は少し小さく、オシベは6個。花の基部には長さ1mmほどの苞がある。

雌花序は長さ5cm以下で、数個が集まって垂れ下がる。

ヤマノイモと同じように、ムカゴを付ける。

 ナガイモは、概ね、以下の3つに分類される。

    ナガイモ群(円柱状の芋):粘りが少なく、きめも粗い。栽培が容易なため、生産量も多い。

   ツクネイモ群(丸っこい芋):粘り、きめが最も細かく、ヤマノイモと並び、美味。

         主に、丹波・篠山や奈良・三重で生産され、関西でヤマイモというとこの群を指す。

イチョウイモ群(イチョウ型の芋):大和芋のことで、ナガイモよりムチンが多く、粘りも強い。

 2012/9/5

多摩川へ行く途中の公園脇に生えていたものです。

雄花は枯れて、ムカゴができていました。

2013/6/18

昨年見かけた所に、今年も盛大に絡みつき、花を咲かせていました。

昨年は、既に花が枯れてムカゴが大きくなっていた時期ですので、確証は持てませんでしたが、

今年は、花が咲き始める前に確認ができました。結論は、ナガイモであろうということです。

ヤマノイモの雄花は、真っ直ぐに近い形で立ち上がります。

しかし、ナガイモの雄花は、上の写真のようにそこまで真っ直ぐには伸びません。

根元の芋を掘りだせば、もっと、確実に判断できるのですが、私物ではないので、そうもいきません。

地域的には、ナガイモ群に属する品種の可能性が高いと思われます。

2013/7/9

なんとかナガイモの花をと思ったのですが、色が黄色っぽくなった後、枯れてしまいます。

そのため、左の写真のようなところしか撮れませんでした。

2013/10/1

秋の深まりと共に、ナガイモの葉が黄色くなり始め、ムカゴもかなり大きくなりました。


ヤマノイモ(Dioscorea japonica)

<ヤマノイモ目・ヤマノイモ科・ヤマノイモ属>

ヤマノイモ科・ヤマノイモ属のつる性多年草で、日本固有種。

日本では、北海道南西部から本州、四国、九州に分布している。

海外では、朝鮮半島から中国に分布する。

葉は対生し、長さ10㎝前後の三角状披針形で、基部は心形。葉柄は数㎝ある。

花期は7月~8月で、雌雄異株。種子のほかムカゴでも繁殖する。

雄花序は、葉腋から数本が直立し、白色の小さな花を多数つける。

雌花序は、葉腋から下垂し、白色の花がまばらにつく。

地下には1本の芋があり、地上部の成長と共に縮小し、秋には新たな芋と置き換わる。

芋は、ジネンジョとうな名前で売られているが、食べられるようになるには4~5年を要する。

 2012/9/13

多摩川へ行く途中の公園脇で、見かけました。

この株は雄株で、雄花の花序は直立しています。雌花の花序は下垂するそうですが見当たりませんでした。

ヤマノイモは、自然薯(ジネンジョ)や山芋(ヤマイモ)と呼ばれ、山で掘られていたものです。

近年は、山芋掘りが禁止されたり、数が減ったりで、栽培品が増えているそうです。

ヤマノイモの果実

2014/9/13              2014/10/25           2014/10/25

9/13 相模原の16号線沿いで見かけたヤマノイモの若い果実です。

垂れ下る花序に、さく果は下向きに付き、3つの丸い翼があります。

10/25 一ヶ月強が過ぎて熟し初め、未熟な黄褐色ものや熟して褐色になったものが混じっていました。

2014/11/30

ヤマノイモの葉はすっかり枯れて無くなり、枯れた果実が風に揺られていました。

その一部を持ち帰って、割ってみました。1つの翼の中に、2つの種子が入っていました。

種子には、丸い翼が付いており、風に乗って良く飛びそうです。