タコウキン科・マンネンタケ科・キクラゲ科・シロキクラゲ科

ヒダナシタケ目

  タコウキン科(カワラタケ、ホウネンタケ)

  マンネンタケ科(オオミノコフキタケ)

  ?科(1種)

キクラゲ目

  キクラゲ科(キクラゲ)

シロキクラゲ目

  シロキクラゲ科(ハナビラニカワタケ) 


カワラタケ(Trametes versicolor)

<ヒダナシタケ目・タコウキン科・シロアミタケ属

2012/9/24                 2012/9/24           2012/10/2

タコウキン科シロアミタケ属のキノコで、木材を分解する白色腐朽菌で、世界で最も普通に見られる。

科名に関しては未確定で、タコウキン科、タマチョレイタケ科、サルノコシカケ科(暫定)などが使われている。

子実体は側着生で無柄であり、群生する。広葉樹または針葉樹の枯木、切株などに重なり合って群生する。

傘は幅1~5cm、厚さ1~2mmの半円形~扇形で、貝殻状に湾曲する。

上面は同心円状の環紋を持ち、色の変異は多くて灰色、黄褐色、藍色、黒色などが見られ、微毛がある。

肉は薄く皮質で弾力性があり、強靭である。腹面は管孔が白色~灰褐色で孔長は1mm前後。

 

9/24 多摩川に行く途中の道端で見かけました。雨後でまだ湿っている状態でした。

残念ながら、裏面の紫色は確認できませんでしたが、形状などからカワラタケとしました。

ただ、似たものも多いの、間違っているかもしれません。

10/2 天気が続いた後のキノコの様子です。

乾燥して、白っぽい灰褐色になり、ナメクジの這った跡がキラキラと光っていました。

2014/6/10

久しぶりに見に行ってみると、今年も、しっかりと成長を始めていました。

縁の白っぽい部分が瑞々しく、伸び盛りといった感じです。

2014/6/10                 2012/9/24

子実体の傘の上面と裏面(子実層面)を拡大してみました。

傘の上面には環紋が見られ、毛がびっしりと生えています。

子実層面は灰褐色で、突起状のものが並んで凸凹しているように見えます。少なくとも滑らかではありません。

これらの点から、カワラタケで間違いはないと思われます。


ホウネンタケ(Abundisporus pubertatis)

<ヒダナシタケ目・タコウキン科・ホウネンタケ属>

タコウキン科ホウネンタケ属の多年生のキノコで、帰化植物ではあるが、原産地ははっきりしていない。

科名に関しては未確定で、タコウキン科、タマチョレイタケ科、サルノコシカケ科(暫定)などが使われている。

ナラなどの広葉樹(コナラ属に多い)の枯木上に発生する白色腐朽菌。

子実体は1年~多年生ともされ、半背着生で傘の部分で着くなど傘が見えないことがある。

傘は直径4~20cmほどの半円形~馬蹄形で、上面は淡灰褐色から褐色~暗紫褐色に変化する。

殻皮は発達せず、肉は暗紫褐色~濃茶褐色でコルク質で軽い。

子実層面(裏面)は、灰白色から暗紫褐色~濃茶褐色に変化する。

管孔は微細で類円形で、子実層面全体に広がり、縁の無孔部分は狭い。孔長は8mm以下。

2012/7/2

多摩川に行く途中の公園の木に奇妙なキノコが張り付いていました。

よく見ると、いくつかの枝の切り口などに見られます。

調べてみると、ホウネンタケらしいことが分かりました。

キノコの傘の表面があまりなくて、裏面(子実層面)が表側に出ている感じです。

特に、中央と右側の個体は、傘の表面が樹に張り付いていて、裏面しか見えていません。

どうやら、中央の写真が若い個体で、時間が経つと両サイドのような茶褐色に変わるようです。

2013/7/10

昨年見かけたホウネンタケですが、1年後の様子です。

枝の切断面に張り付いている方は、いくぶん大きくなっていますが、1年前とそれほど変わっていません。

しかし、その下の方に張り付いていた方は、かなり大きくなって、上の方にくっ付きかけています。

下段は、子実層面を拡大したものですが、管孔は微細で拡大してもザラっとしたようにしか見えません。

発生場所が高所のため、これ以上近づけないので、管孔の穴を確認することはできませんでした。


オオミノコフキタケ(Ganoderma austorla)

<ヒダナシタケ目・マンネンタケ科・マンネンタケ属>

2012/9/24              2012/10/2             2012/10/2

マンネンタケ科マンネンタケ属の多年生のキノコ。

キノコ自体は灰褐色や茶褐色だが、ココアの粉状の胞子を撒き散らし、自身も覆われている事が多い。

しかし、不思議なことに胞子を吹き出す管孔面には全く付着せず、白いままである。

傘の形は半円形~腎臓形で、傘の色は淡灰色~灰褐色~暗褐色と個体差があり、同心円状の環溝がある。

子実層托は管孔状で、白色~淡黄白色。孔口は円形で4~5個/mm。管孔は擦ると茶褐色に変色する。

近年、コフキサルノコシカケと思われていたものが、実は、本種であった事が分かっている。

特に、低地で見られるものは多くが本種で、コフキサルノコシカケは深山で見られることが多い。

ただ、見かけはコフキサルノコシカケと酷似しており、外見での判別は困難で、下記の点が異なるとされる。

・断面を見ると管孔と肉質部分の境界に黒い線が入るのがオオミノコフキタケ(コフキサルノコシカケにはない)

・殻皮の厚さが3㎜以上あるのがオオミノコフキタケ(コフキサルノコシカケは3㎜以下)

・胞子の大きさの違いがあり、オオミノコフキタケは8.5μm以上ある(コフキサルノコシカケはこの半分程度)

ただし、両者の特徴を併せ持つ中間型も見つかり、上記の判別法も決め手にならないとのこと。

 

9/24 多摩川に行く途中の神社の境内にある、切り株で見かけました。

子実体もあり、成長したものもありと、成長過程が一目でわかるような状態です。

少し、ココアパウダー状の胞子が出ているものがあったのでコフキサルノコシカケだと思いました。

しかし、良く調べてみると、関東地方の低地で見られるものは、ほとんどがオオミノコフキタケであるとのこと。

判定には、胞子の大きさを調べる必要があるそうですが、撮影場所からして本種の可能性が非常に高いと思います。

10/2 1週間ほどしてオオミノコフキタケのあった場所を通りましたが、まだあることを確認しました。

大雨が降ったりしたのですが、まだ、胞子は残っているようです。

2013/7/10                 2013/8/19

昨年見かけた所に、オオミノコフキタケは残っていました。

昨年より、胞子を大量にばらまいて、あたり一面、まるでココアパウダーをまぶしたよう。

大きさも、昨年見かけたもの(一部ははぎとられていましたが)よりも大きくなっているようです。

2015/5/21             2015/6/29              2015/7/28

5/21 久しぶりにオオミノコフキタケがあった所に行ってみました。

昨年からあったものが、新たに成長を始めていました。

6/29 1ヶ月強で、かなり大きくなりました。色の淡い所が、今年成長した部分です。

7/28 どれくらいになったか見に行くと、無残な姿になっていました。

バッサリと折られ、折れた部分が下に転がっていました。

しかし、成長点は生きているので、下部から再生し始めていました。

2015/8/18              2015/9/14             2015/10/5

へし折られたオオミノコフキタケですが、その後、成長を続け、折られる前くらいまでになっていました。

しかし、秋の訪れと共に成長が鈍化し、10月にはほぼ成長が止まったようです。

このまま冬を越し、来春には再び成長を始めるのでしょう。何とも、タフなキノコです。

2015/10/27            2015/10/27              2015/9/14

成長は完全に止まったようです。

表面のひび割れは広がり、裏面も真っ白だったのが黄斑が広がって黄褐色に変わり始めました。

9/14に撮影した裏面の写真と比較すれば一目瞭然です。

なお、10/5時点では黒い斑点はありましたが、まだ、白い状態でした。


不明種

<ヒダナシタケ目・?科>

2012/5/9                2012/9/6

5/9 多摩川に行く途中の道端で見かけました。

実に見事な子実体で、これからの成長を楽しみにしていたのですが、数日後には消えていました。

中国や日本では、幅広い薬効があるとされているので、採取されてしまったのでしょうか。ちょっと残念。

※ この時点では、以前見かけたマンネンタケの子実体の色や形からマンネンタケだと思っていました。

9/6 久しぶりにキノコのあった場所を通ると、大きなキノコになっていました。

子実体を取られた後、また、子実体が出てきていたようです。

それにしても見事に育ったものですが、どう見てもサルノコシカケの仲間にしか見えません。

いろいろ調べてみたのですが、特定できていません。

可能性としては、オオミノコフキタケの可能性が最も高いと思っていますが、胞子が見当たりません。


キクラゲ(Auricularia auricula-judae)

<キクラゲ目・キクラゲ科・キクラゲ属>

キクラゲ科キクラゲ属のキノコで、春から秋にかけて発生する。

主に、中国、韓国、日本などの東アジアで食される。

形は不規則で、円盤状、耳状など変化に富み、直径は2~6cmほどで、背面の一部で枯木に付着する。

子実体はゼリー質でやや半透明、背面は粗毛で白く、表面は暗褐色で滑らかである。

乾燥すると小さく縮んで硬くなり、色も濃くるが、水気を帯びると再び元に戻る。

このキノコは、広葉樹の枯れ木の背面や切り株などに着生する。

生の状態では脆く破れやすいが、火を通すと乾燥させたクラゲを思わせる歯ごたえになる。

2012/9/24

多摩川に行く途中の道端の切り株で見かけました。

切り株の根の間にへばりつくように着生していたので、最初、気が付きませんでした。

不定形で背面の一部で枯木に付着しています。

黒い乾燥したキクラゲは、中華料理などによく登場しますが、生のものは初めて見ました。


ハナビラニカワタケ(Tremella foliacea)

<シロキクラゲ目・シロキクラゲ科・シロキクラゲ属>

シロキクラゲ科シロキクラゲ属のキノコで、夏から秋にかけて発生する。

世界的に広く分布する普通のキノコで、キノコ全体がゼラチン質でブヨブヨと柔らかい。

形は不定形で直径3~20cmほどになり、不規則に波打つ薄膜状の子実体は、両面に胞子を形成し、表面は平滑。

フリルの付いた花弁に似て、淡褐色~赤褐色の塊になるので色の悪い花のように見える。

木と接触する基部は、複数の薄膜が癒着した状態で、上部よりも硬さがあり、色も濃い。

子実体は、ゼラチン質であるが、乾燥すると縮んで硬くなり、色も濃くるが、水気を帯びると再び元に戻る。

このキノコは、カシやヤナギなどの広葉樹や針葉樹の枝や枯枝に活着し、樹皮を破って花びら状に成長する。

ハナビラニカワタケは生食はできないが、コリコリとした食感のキノコなので、さっと茹でて食べるのが良い。

2012/9/24

多摩川に行く途中の道端の切り株の上に、ベージュのモコモコしたものがありました。

よく見るとキクラゲの様なキノコと分かりました。

調べると、形や色などからハナビラニカワタケと思われました。

キクラゲ同様、食用になるそうですが、キクラゲよりも柔らかい感じです。

2014/6/10

カワラタケの近くで、以前は切株の上で見かけたのですが、大きく場所を変えていました。

切り株の近くにあった木の表皮の裂け目に沿って数メートルの範囲にびっしりと生えています。

写真は、その最上部の固まりですが、かなり大きな株になっていました。