ユリ科・アカネ科

ユリ目

  ユリ科(バイモ)

リンドウ目

  アカネ科(ハナヤエムグラ、ヒメヨツバムグラ、ヤエムグラ)


バイモ(Fritillary verticillata var. thunbergii)

<ユリ目・ユリ科・バイモ属>

ユリ科バイモ属の半蔓性多年草で、中国原産の帰化植物。

観賞用として栽培されることが多いが、野生化したものもある。

草丈は50~80cmで、地下の鱗茎は2~3個の鱗片からなり、直径は2cm前後。

和名のバイモ(貝母)は、この貝状の鱗片が相対して二枚貝に似ている様が由来になっている。

なお、別名のアミガサユリは、花弁の内側の網目模様から付けられた名前である。

茎は直立して、葉は長さ7~11cmの線状披針形で、無柄で3~5輪生し、上部では互生する。

花期は5月~6月で、上部の葉腋に鐘形の花を1個ずつ、やや下向きに付ける。

小花柄は長さ1~3㎝。花被片は長さ25~35mmの楕円形で6個(稀に7個)ある。

淡黄色~紫褐色の網状紋があり、内面だけに黒紫色の網状紋があるものが多い。

オシベは長さ10~15mmで、無毛。花柱は3裂し、裂片は長さ2mm前後。

乾燥させた球根の鱗茎は、生薬(貝母)として利用されるが、有毒なアルカロイドも含まれる。

 

2012/5/8

多摩川に行く途中の公園脇で見かけました。

花色が地味なので、あまり目立ちませんが、下向きに咲く花の内側に網目模様があります。

2014/3/28

以前見かけたバイモですが、大きな株になり、多くの花を付けていました。

見かけは下向きに咲く地味な花ですが、その内側に赤褐色の網目模様が見られます。


ハナヤエムグラ(Sherardia arvensis)

<リンドウ目・アカネ科・アカネ亜科・アカネ連・ハナヤエムグラ属>

アカネ科ハナヤエムグラ属の1年草で、ヨーロッパ、北アフリカ、南西アジア原産の帰化植物。

国内では、北海道、本州、四国に分布するが、まだ、あまり多くはない。

茎は基部からよく分岐し、地表を這って広がり、先の方で数十cmに立ち上がる。

茎は四角形で角が稜になっており、最初は無毛に近いが生長するにしたがって下向きの毛が多くなる。

下部の葉は卵形で4個が輪生するが、上部では6枚前後が輪生し、長さ5~10mmの挟披針形で先が尖る。

花期は4月~8月で、枝先に8枚の苞葉に囲まれた花序を付ける。

花は直径2.5~3mmの淡紫色で、花冠は4裂する。オシベは4本、メシベは1本。

 

2013/5/21

多摩川への道路脇で、薄紫の小さな花を見つけました。

葉の付き方などからヤエムグラの仲間と分かりました。

後で調べて、ハナヤエムグラと分かりましたが、1960年代に見つかった比較的新顔のようです。

見かけた場所に1株だけ咲いており、それ以外の場所では見かけません。

2013/7/2

多摩川への道路脇でアカバナルリハコベを見かけ、その写真を撮っていて、本種に気付きました。

春先に見かけた株が枯れて以来、見ることがなかったのですが、ひょんな所で再会です。

この場所では、周りに小さな株がいくつかありました。


ヒメヨツバムグラ(Galium gracilens)

<リンドウ目・アカネ科・アカネ亜科・アカネ連・ヤエムグラ属>

アカネ科ヤエムグラ属の多年草で、日本では、本州、四国、九州に分布している。

名前の通り、葉が4枚輪生する。ヨツバムグラに似て、葉が細くて小型であることが名前の由来。

茎は基部で分岐して斜上し、草丈は20~40cmになるが、非常に細くて繊細。茎の断面は4角形。

葉は長さ4~12mmの狭披針形で、先が尖り、縁と裏面の中脈上に斜上する白い短毛がある。

輪生する4個の葉は、対生する2個の本来の葉と葉と同形の托葉からなっている。

花期は5月~7月で、枝先や葉腋から細い花序を出し、数個の花をつける。

花柄は長さ1~3mmと比較的長く、花冠は淡黄緑色で4裂し、直径1mm前後。オシベは4個。

花冠の下に2個の半球が引っ付いた子房があり、表面には瘤状の突起が多数ある。

果実は2個の分果からなり、分果の表面には鱗片状または鈎状に曲がったごく短い突起状の毛がある。

 

2013/5/7

多摩川への道路脇の桜の木の下で見かけたヒメヨツバムグラです。

日陰で育った個体なので、元々弱弱しいのがさらに弱弱しく感じるほど細くて華奢です。

日陰でうす暗いため、手持ちで写真を撮るのに苦労しました。

なんとか拡大写真を撮りたかったのですが、手ぶれして全滅でした。

2013/5/9

一昨日のリベンジで、接写を試みました。

しかし、うす暗いので、やはり手持ちでは手ぶれを起こし、何とか形が分かるものは1枚だけ撮れました。

花色は、白に近い色で、花冠が4裂しているのが分かりますが、オシベやメシベは判別できません。


ヤエムグラ(Galium spurium var. echinospermon)

<リンドウ目・アカネ科・アカネ亜科・アカネ連・ヤエムグラ属>

2013/1/11               2013/4/25

アカネ科ヤエムグラ属の越年草で、在来種。ただ、史前帰化植物ともいわれている。

日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。

海外では、東アジア、ヨーロッパ、アフリカにも分布している。

草丈は30~50cmで、茎は4稜形。稜には下向きの刺が生え、他のものに引っかかって伸びる。

葉は6~8個が輪生しているように見えるが、1対だけが本来の葉で、後は葉と同形の托葉が変化したもの。

葉は長さ1~3cmの狭倒披針形で、先端は刺状に尖り、縁と裏面の主脈には逆向きの刺がある。

なお枝先では輪生する葉の数が少なくなる。また、冬季の葉は、幅広で、光を効率よく受けられる。

花期は4月~6月で、茎先や葉腋に集散花序を付け、数個の花を付ける。

花序柄は長さ1~4cmあり、花柄は1~15mm。

花冠は4裂し、直径は1~1.5mmで黄緑色~白色。オシベは4個ある。

花冠の下に2個の半球が引っ付いた子房があり、表面には下向きに曲がった鉤状の刺が多数ある。

果実は2個の分果からなり、分果の表面には鈎状に曲がった短い突起状の毛がある。

 

2013/1/11、4/25

多摩川への道路脇で見かけたヤエムグラです。

冬季(1/11)に撮影したものと春季(4/25)に撮影したものを比較のために並べてみました。

両者の葉の形の違いが分かると思います。春季のものも、根元に冬の名残が残っていますね。

2013/4/8            2013/4/22             2013/4/22

多摩川への道路脇でヤエムグラが花を咲かせていました。

花は、直径数mm程しかなく、花色も緑がかった白色なので、よく見ないと分かりません。

私も、最初、気が付かなくて、かなり開花が進んでから気付きました。

2014/4/7            2014/4/14           2014/4/14

ヤエムグラの花をアップで撮り直してみました。日当たりが良いのか、葉の色が昨年のものより濃いです。

今度は、オシベやメシベの様子も分かるようになりました。