シソ目
オオバコ科(ヘラオオバコ)
シソ科(アオジソ、アメジストセージ、チェリーセージ、ベニバナサルビア、
メグサハッカ、ハナトラノオ、コムラサキ)
モクセイ科(トウネズミモチ、キンモクセイ、ギンモクセイ)
ヘラオオバコ(Plantago lanceolata)
<シソ目・オオバコ科・オオバコ属>
2014/4/8 2012/10/30
オオバコ科オオバコ属の1年草~多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、ほぼ全国的に分布している。オオバコと異なり、踏みつけには弱い。
ヘラオオバコはヨーロッパでハーブとして食用や薬用に利用され、家畜用飼料としても栽培されている。
草丈は、大きい物は50㎝を超えることもあり、披針形の葉も数十㎝になる。
和名は、その葉の形がへら状であることに由来する。
花期は6月~8月で、長い花茎を立ち上げ、その先に円柱状の花穂を付ける。花は下から順次咲き上る。
花からは、メシベと4個のオシベが長く飛び出す。
2012/10/30
晩秋に近いこの時期に、多摩川の河川敷でヘラオオバコが花を咲かせている株に出会いました。
除草で刈り込まれて背の高い草がなくなった後、新芽と共に花茎を伸ばし、花を咲かせたようです。
4月に咲いていた花と比較すると、全体的に鮮やかな緑色になっている点以外、特に差異はありませんでした。
アオジソ(Perilla frutescens var. crispa f. viridis)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ナギナタコウジュ連・シソ属>
シソは、シソ科シソ属の1年草で、原産地はヒマラヤやミャンマー、中国南部。
縄文時代の遺跡からも種実が出土しているが、本格的な栽培が始められたのは平安時代。
シソには品種が多く、代表的な品種にはアカジソや、その変種であるアオジソなどがある。
茎は四角形で直立し、草丈は50~100cmで、長い下向きの軟毛がまばらに生える。
花期は8月~10月で、枝先に円柱形の総状花序を付け、白色~紅紫色の小花を多数付ける。
葉は対生し、長さ8~10cmの広卵形で先が尖り、長い葉柄がある。
アオジソは、葉身は両面とも緑色で、葉質は薄く、縁には粗い鋸歯がある。
花色は白色、稀に淡紅色で、花冠は長さ4~5mmの唇形花である。
上唇は浅く2裂し、下唇は大きく3裂する。オシベ4個は花冠からはあまり突出しない。
メシベの柱頭はハの字型に2裂する。萼は釣鐘形で5分裂し、果期には長さ5~6mmになる。
萼筒には白色の長毛が密生し、黄色の腺点が散在する。
果実は4分果で、分果は長さ1mm前後の球形。表面に網目模様がある。
ペリルアルデヒドに由来する特有の香りと辛味を持っており、和風ハーブの代表種。
葉はもとより、若芽、花穂、実も、刺身や手巻き寿司などに使用される。
2015/9/14
多摩川の河川敷を歩いていて、アオジソが花を咲かせているのを見かけました。
逸出し野生化したものと思われます。花は、いくぶん淡紅紫色を帯びているように見えます。
アメジストセージ(Salvia leucantha)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・アキギリ属>
2013/10/11 2013/10/11 2013/10/7
シソ科アキギリ属の多年草で、メキシコ・中央アメリカ原産の園芸品種。
別名は、メキシカンブッシュセージ、サルビア・レウカンサで、名前の通りサルビアの仲間。
比較的大型で、草丈は1m前後になる。茎には4稜があり、若い茎には白色の毛が厚く付く。
葉は対生し、葉身が6~9cmの長楕円状披針形で、上面は灰緑色で細かいしわが目立つ。
葉身の下面には白毛が多く、そのため帯白色に見える。
短日植物で夜が長くなると茎頂に穂状花序を出し、花芽を付ける。
原産地では、冬から春にかけて開花するが、日本では、条件の合う秋から冬前までが開花期。
萼は鐘型の紫色で、ベルベット状に毛が生えており、そこから花冠が伸びる。
花色は、野生のものは普通は白色であるが、園芸品種には赤紫色やピンクなどもある。
多摩川への道路脇の公園で見かけました。紫の萼や赤紫色の花が遠目にも目立ちます。
萼に生えている細かい毛が、ベルベットのようで触ると気持ち良さそうでした。
花の色が紫のものは、「ミッドナイト」という品種だそうです。
チェリーセージ(Salvia microphylla)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・アキギリ属>
シソ科アキギリ属の多年草で、アメリカ南部、メキシコが原産地の園芸品種。
本種ですが、近縁種のアキノベニバナサルビアと共に日本ではチェリーセージと呼ばれることが多い。
しかし、チェリーセージは本種の英名であり、アキノベニバナサルビアの英名はオータムセージである。
また、学名のサルビア・ミクロフィラでも流通している。
ちなみに、アキノベニバナサルビアの学名は、サルビア・グレッギー(Salvia greggii)である。
本種の葉は軽くもむと甘みのあるフルーツのような香りを放ち、ハーブティーやポプリに利用できる。
草丈は50~100cmで、茎は基部からよく分枝し、直立する。枝は細く赤褐色をしている。
葉は対生し、長さ2~5cmの長卵形で、浅鋸歯があり、揉むと甘い香りがある。葉柄は0.5~2cm。
花期は5月~11月と長く、茎から穂状花序を伸ばし、鮮赤色の唇形の小花を咲かせる。
花の長さは20~25mmで、上唇は筒状に丸まって表面に毛がある。
下唇は3裂し、中裂片は大きく広がって中央が凹む。
アキギリ属は、通常は雄性先熟で、最初にオシベが成熟して花粉を出す。
オシベ2個の半葯は丸まった上唇の中に隠れていて、葯隔でつながったもう一方の半葯は下唇の方にある。
下唇の方の半葯を媒介者が押すと、上唇の中の半葯が押し出されて、媒介者の背に花粉を付ける。
雌性期になると、上唇の中にあったメシベが成熟し、上唇の先の方から柱頭が顔を出す。
そこに媒介者来ると、背中に押し付けられて付いている花粉が、柱頭に付く仕組みになっている。
2014/10/31
多摩川への道路脇の公園で、初夏の頃から咲き続けています。
あまり大きな花ではなく、花数もそれほど多くはありませんが、花色が強烈なので目に付きます。
ベニバナサルビア(Salvia coccinea)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・アキギリ属>
シソ科アキギリ属の多年草であるが、園芸的には1年草として扱われる。
南米原産の園芸品種で、元々は赤い花であるが、ピンクや白い品種もある。
英名はテキサスセージ(Texas sage)で、学名のサルビア・コクシネアでも流通している。
前述のピンクの花にはコーラルニンフ(Coral nymph)、白花にはスノーニンフ(Snow nymph)と呼ばれる品種である。
草丈は60~120cmで、茎は4稜形で直立し、下向きの灰色の長軟毛が多い。
葉は対生し、長さ2~7cmの三角状卵形で、基部は心形で先が尖り、縁には鋸歯がある。
葉裏には、灰色の短い綿毛があり密生している。葉柄は長さ0.5~2cm。
花期は5月~10月で、茎先から輪散花序の伸ばし、唇形花を多数咲かせる。
花序には下向きの白くて細かい軟毛が密に生える。苞は卵形で、花柄より長く、縁毛がある。
花柄は長さ2~3mmで、萼は筒状の鐘形で長さ7~9mm、細かい軟毛がある。
花冠の筒部は長さ16mmほどで、上唇は長さ2.5mmほどあり、縁毛があって先は微突形。
下唇は長さ7mmほどで、上唇とほぼ同長かやや長く、大きく左右に広がって中央が凹む。
オシベ2個とメシベ1個は、上唇の先から長く突き出て、メシベの柱頭は2裂する。
2014/10/20
多摩川への道路脇の公園で、初夏の頃から咲き続けている上品なピンクの花が気になっていました。
余裕ができたので撮影して調べてみたところ、コーラルニンフというベニバナサルビアの品種と分かりました。
花弁の下唇が大きく発達し、その下唇のピンクのグラデーションがとても上品な感じです。
メグサハッカ(Mentha pulegium)
<シソ目・シソ科・イヌハッカ亜科・ハッカ連・ハッカ属>
シソ科ハッカ属の多年草で、南ヨーロッパから西アジアが原産地。
英名のペニーロイヤルミント(Pennyroyal mint)で呼ばれることもある。
湿った草地や河岸に生え、日本でも栽培逸出したものが各地で帰化している。
草丈は40~60cmで、這地性で地下茎で増えるため、株分けが容易である。
葉は対生し、緑色で卵形、縁は全縁のものと浅鋸歯があるものがある。
花期は7月~9月で、花茎を伸ばして総状花序を出し、唇形花を穂状につける。
花色は淡紫色が多いが、赤や青もある。上唇は極浅く2裂し、下唇は3裂して中央の裂片が大きい。
オシベ4個は、花冠から飛び出す。メシベ1個は長く飛び出し、柱頭は2裂する。
本種の芳香は、他のミントのカルボンではなく、d-プレゴンという毒性があるものによる。
そのため、食用には使用不可で、防虫効果があるとされる。
2014/9/18
多摩川の河川敷で、花壇の跡地の様な所で見かけました。
シソ科の花と分かりますが、良く似た種類が多いので、同定に手間取りました。
花の付き方、葉の形状や付き方から本種としましたが、間違っている可能性もあります。
2014/9/29 2014/9/30 2014/9/30
9/29 多摩川に行く途中の道端でも本種を確認しました。日蔭のためか、花色がピンクに近い色です。
9/30 河川敷で見かけたものを、接写系で拡大撮影してみました。花の特徴が良く分かると思います。
ハナトラノオ(Physostegia virginiana)
<シソ目・シソ科・ハナトラノオ属>
シソ科ハナトラノオ属の多年草で、北米東部が原産地。
日本には大正時代に渡来し、逸出して野生化しているものもある。
草丈は40~120cmで、匍匐枝を出して広がり、茎は地下茎から直立する。
茎は無毛で、断面が四角形。あまり分枝せずにまっ直ぐに伸びる。
葉は対生し、長さ5~15cmの披針形で、鋸歯がある。葉身は濃緑色でやや厚く、無柄である。
花期は7月~10月で、茎頂に長さ20~30cmの総状花序を付ける。
花は長さ3cm前後の唇形花で、四方に規則正しく並んで、下から咲き上る。
2012/9/10
多摩川への道路脇でちょっとした群落を作っていました。
クマバチが時折訪れていました。
白いハナトラノオ(サマー・スノー)
2020/8/14
実家近くを散歩中に見かけた白いハナトラノオ、サマー・スノーです。
最近、他の場所でも見たことがあり、この白い花を楽しむ人が増えているのでしょうか。
コムラサキ(Callicarpa dichotoma)
<シソ目・シソ科・ムラサキシキブ属>
シソ科ムラサキシキブ属の落葉低木で、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布する。
自生しているものは少なく、公園や庭などに植生されているものが多い。
樹高は2m程になり、枝先は垂れ下る。葉は対生し、その葉腋上部から集散花序を出す。
淡紅紫色の花冠は長さ3mmほどで、上部は4裂し、裂片は平開する。
果実は3mm程の球形で、初め緑色であるが、熟すに従い鮮やかな紫色になる。
2013/10/3
多摩川の河川敷で、以前花壇であったと思われる所で、コムラサキが果実を付けていました。
あいにく、花が咲いている頃は見過ごしていたようで、花の写真はありません。
まだ、樹高50cm程の小さな木ですが、手折られたりしなければもっと大きくなるでしょう。
2013/10/7
そういえばと思い、途中の公園に立ち寄ったところ、やはり、大きなコムラサキがありました。
1mを超える大きさなので、河川敷のものより大量の果実をたわわに付けていました。
※コムラサキの花に関しては、「夏の野草/シソ科」に掲載しています。
トウネズミモチ(Ligustrum lucidum)
<シソ目・モクセイ科・オリーブ連・イボタノキ属>
モクセイ科イボタノキ属の常緑高木で、中国中南部原産の帰化植物で要注意外来生物。
日本では、本州中南部から四国、九州にかけて分布している。
樹高が10~15mで、幹は灰褐色に粒状の皮目がある。
葉は対生し、長さ6~12cmの卵形で先が窄まって尖り、全縁。
やや薄い革質で、日にかざすと葉脈が透けて見える(ネズミモチは透けない)。
花期は6月~7月で、長さ10~20cmの大型の円錐花序に白い小花を多数つける。
花冠は長さ3~4mmの筒状で、先が4裂し、筒部と裂片とはほぼ同長である。
裂片の先は尖り、平開から反曲する。オシベは2個で花冠から長く突き出し、メシベの花柱も少し出る。
果実は長さ8~10mmの楕円形で、10月~12月頃に黒紫色に熟す。果実は白い粉をかぶる。
2012/10/27
いつもの散歩コースより10kmほど上流の河岸で、トキワサンザシの近くで見かけました。
写真の果実は未熟なため、まだ、緑色をしていますが、紫色に色付き始めたものも見えます。
似た樹木にネズミモチがありますが、花や果実がトウネズミモチより少なく、果実につやがありません。
トウネズミモチは、ネズミモチより樹高が高くなり、葉も大型で、日にかざすと葉脈が透けて見えるので区別できます。
2013/1/11
多摩川に向かう途中の公園に、樹高が10mに近い大きなトウネズミモチの木がありました。
大きな木なので、花の頃には気付かなかったのですが、実を見てトウネズミモチと分かりました。
木全体に、この写真のように大量の果実を付けていました。
2013/1/17
上記の写真を撮った6日後には、この写真のように果実はすっかり無くなっていました。
ヒヨドリによってすっかり食べつくされたようです。
キンモクセイ(Osmanthus fragrans var. aurantiacus)
<シソ目・モクセイ科・オリーブ連・モクセイ属>
モクセイ科モクセイ属の常緑小高木樹で、ギンモクセイの変種。
中国南部原産の帰化直物で、中国名は「丹桂」。
金桂(ウスギモクセイ)、銀桂(ギンモクセイ)も含め、「桂花」と呼ばれることもある。
雌雄異株であるが、日本には雄株しかなく、結実する事はないといわれている。
樹高は3~5mで、幹は淡褐色、樹皮には細かい縦の割れ目が入る。
葉は対生し、長さ10㎝前後の楕円形で、先が尖る。縁は、前縁か葉先半分に細かい鋸歯がある。
花期は9月~10月で、葉腋に集散花序をつけ、強い芳香のある花を多数つける。
苞は長さ3㎜前後の広卵形で、小花柄は長さ4~10㎜。萼は長さ1㎜程。
花冠は、黄色~橙色で、直径5㎜、長さ4㎜程で、筒部の長さは1mm前後。
オシベは2個は筒部の中程に付き、不完全雄しべも2個付く。
2012/10/16
多摩川へ行く道で、いつの間にかキンモクセイの香りが漂っているのに気が付きました。
見渡すと、あちらこちらでキンモクセイが満開になっていました。
ギンモクセイ(Osmanthus fragrans var. fragrans)
<シソ目・モクセイ科・オリーブ連・モクセイ属>
モクセイ科モクセイ属の常緑小高木樹で、単にモクセイと言う場合は、一般にはギンモクセイを指す。
中国原産の帰化直物で、中国名は「桂花」。
金桂(ウスギモクセイ)、銀桂(ギンモクセイ)も含め、「桂花」と呼ばれることもある。
樹高は3~10mで、幹は灰褐色、樹皮には細かい縦の割れ目が入る。
葉は対生し、キンモクセイより葉幅が広く、先の尖った楕円形で、縁には細かい鋸歯がある。
ただし、鋸歯のない全縁の葉のものもある。
雌雄異株で、花は葉腋に固まって付く。花冠は、白色で4深裂し、オシベは2個。
花には香気があるが、キンモクセイほど強くなく、近寄らないと分からない。
キンモクセイと異なり、ギンモクセイは結実し、翌春に黒く熟す。
2014/10/1
多摩川からの帰り道、ふっと見上げたところに、白い花を付けたモクセイを見つけました。
おそらくギンモクセイだと思ったのですが、後で調べてみることにして、写真を撮りました。
拡大写真では、純白ではなく、淡黄色に見えますが、肉眼では限りなく白い花でした。
良く似たウスギモクセイ(ウスキモクセイ)は、もっと黄色みが強いようなので、ギンモクセイとしました。
2014/10/17
多摩川からの帰り道、別の民家の庭先で、キンモクセイと並べて植えられているギンモクセイを見かけました。
やはり、花を拡大すると淡黄色に見えますが、肉眼的には白い花です。
前述の株では、葉に白っぽい斑点が付いて、傷んでいるように見えましたが、この株はきれいです。
前述の株では、葉に細かい鋸歯が付いていましたが、この株の葉は、全縁の葉しか見当たりませんでした。
キンモクセイとギンモクセイの花
2014/10/20
多摩川へ向かう途中の民家の庭で、キンモクセイとギンモクセイが並んで花を付けていました。
両者を並べて植えるというのはおしゃれではありますが、花数にかなりの差があります。
キンモクセイの花付きはこれで普通ですが、ギンモクセイの多いところでもかないません。
キンモクセイは香りも強いので、並べるとギンモクセイが見劣りしてしまいます。
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