アオイ科・ジンチョウゲ科・アブラナ科

アオイ目

  アオイ科(ゼニアオイ、タチアオイ)

  ジンチョウゲ科(ミツマタ/アカバナミツマタ)

アブラナ目

  アブラナ科(ナズナ、カラクサナズナ、マメグンバイナズナ、ハマダイコン、セイヨウカラシナ、

        オオアラセイトウ、イヌカキネガラシ、カキネガラシ、イヌガラシ、ミチタネツケバナ)

        (参)セイヨウアブラナ、アキノタネツケバナ、ミズタネツケバナ


ゼニアオイ(Malva sylvestris var. mauritiana)

<アオイ目・アオイ科・アオイ亜科・ゼニアオイ属>

アオイ科ゼニアオイ属の2年生草本で、地中海沿岸が原産の帰化植物。

日本では、園芸品種として全国で栽培されているが、逃げ出して野生化しているところもある。

かなり劣悪な環境でも生育できるため、河川敷や線路脇などの荒れ地でも生育する。

茎は直立して良く分枝し、剛毛がある。草丈は1m以上になる。

葉は互生し、長さ10㎝強、幅6㎝前後で、長さ5㎝程の葉柄があり、基部は浅い心形。

葉は、掌状に浅く5~7裂し、その裂片は丸く、鈍鋸歯がある。

花期は8月~10月で、葉腋に数個の花を付け、下から上に咲き上る。小苞は広幅の長楕円形。

花の直径は4㎝前後で、淡紅紫色から紫色に濃色の縦筋がある5花弁。

多数のオシベの花糸がくっついて筒状になり、長いメシベの花柱を包み込んでいる。

雄性先熟で、最初にオシベが成熟して花粉を出し、しおれた頃にメシベが伸び出して柱頭が10裂する。

 

2013/5/8

多摩川への途中の道路脇で見かけたゼニアオイですが、昨冬から咲き続けています。

春になって一段と元気になったようで、花数も増えたように思います。


タチアオイ(Althaea rosea)

<アオイ目・アオイ科・アオイ亜科・タチアオイ属>

アオイ科タチアオイ属の多年草で、帰化植物。

中国原産とされていたが、現在は、トルコ原産種と東ヨーロッパ原産種の雑種とされている。

日本では、園芸品種として全国で栽培されているが、野生化しているところもある。

草丈は1~3mで、茎は直立し、毛が密生する。

托葉は長さ8mm前後の卵形で、先が3裂する。

葉は直径6~16cmで5~7裂して円形に近く、両面に星状毛がある。葉柄は長さ5~15cm。

花期は5月~10月で、花茎が長く直立し、穂状に花が多数つく。

苞葉は長さ6~8mmのカップ形で、普通6~7裂し、星状毛が密生する。

萼は直径2~3cmの鐘形で、裂片は長さ12~15mmで、星状毛が密生する。

花は直径7~10cmで、花色は、白、黄、ピンク、赤、紫と多彩で、二重や八重の品種もある。

オシベ筒は長さ2cm前後で、花糸は長さ2mm前後。花柱は分枝して多数あり、毛がある。

花は下から次々に咲き上がり、長く咲き続ける。

 

2012/5/24

冬に多摩川の土手で見かけたタチアオイですが、カラスムギなどに埋めれて見えなくなっていました。

気が付くと、その上に茎を伸ばし、花を咲かせ始めていました。

よく見ると、何種類かのタチアオイが道路脇で花を付けています。


ミツマタ(Edgeworthia chrysantha)

<アオイ目・ジンチョウゲ科・ミツマタ属>

ジンチョウゲ科ミツマタ属の落葉低木で、中国~ヒマラヤが原産地。

日本では林内で野生化しているものも多い。

樹高は1~2mで、よく分枝して半球形の樹形を作る。樹皮は灰色で縦の筋がある。

本年枝は必ず三つ又になって出てくるため、これが和名の由来。

葉は互生し、葉身は長さ5~20cmの長楕円形で、先は尖り、基部はくさび形。

縁は全縁で、両面に白灰色の柔毛があり、特に裏面に多い。葉柄は長さ5~10mm。

花期は3月~4月で、葉の展開前に開花する。枝先や葉腋に頭状花序を付ける。

花序には小花が30~50個ほど下向きに集まって付く。

花は両性花で、花弁はなく、萼は長さ13~20㎜で、長さ13~20㎜で先が4裂する。

萼裂片の外側には白い絹毛が密生し、内側は鮮黄色。

なお、園芸品種には内側がオレンジ色~朱色のアカバナミツマタがある。

オシベは8個で、4個ずつ2段になって短い花糸で萼に付く。メシベは1個。

果実は核果で、堅果は長さ8mmほどの楕円体。6月~7月に熟し、緑色で有毛。

和紙の原料の1つとして知られており、原料用に植栽され、一部で野生化している。

現在の主な植栽地は、中国、四国地方ですが、最初の植栽地は静岡県の富士宮市あたりとのこと。

 

2013/3/8

多摩川へ向かう道路脇の公園で、ミツマタが花を付けていました。

この辺りでは、他には見かけません。

ミツマタが紙の原料として利用されたのは平安時代との説もありますが、一般には16世紀の戦国時代になってからとされています。

明治になって大蔵省印刷局がミツマタを原料として研究し、紙幣に使用するようになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アカバナミツマタ(Edgeworthia chrysantha 'Rubra')

 <アオイ目・ジンチョウゲ科・ミツマタ属

2010/3/21

城山のカタクリの里ではミツマタがたくさん植えられています。

カタクリなどもたくさん咲いていますが、ミツマタyやアカバナミツマタもそれに負けじと咲き競っています。 ただ、目だつという点では、アカバナミツマタに軍配でしょうか。  


ナズナ(Capsella bursa-pastoris)

<アブラナ目・アブラナ科・ナズナ属>

アブラナ科ナズナ属の越年草で、在来種。

日本も含め、北半球に広く分布している。日本では、全国に分布する。

草丈は10~50cmで、花期は3月~6月。ただし、最近は真冬でも開花が見られることがある。

根生葉はロゼットを作り、長さ5~10cmの倒披針形で、羽状に裂ける。早春の裂片は細い。

茎葉は互生して、長さ1~5cmの狭披針形。無柄で、基部は茎を抱き、葉は裂けない。

花は直径4mm前後の白い4弁花で、花弁は長さ2~4mmの倒卵形。萼片も4個ある。

オシベは6個で、メシベは1個。下部に果実ができ、先端部では次々につぼみが出来て開花する。

果実は角果で、長さは4~10mmの倒三角形。上部が凹んで、ハート形になる。

春の七草の1つで、若苗を食用にする。かつては、冬季の貴重な野菜であったことによる。

2012/3/27

オオイヌノフグリ同様、3月の中頃から一面の枯れ草の中で目立たずに咲いている春の七草の一つです。

別名のペンペングサは、種子の形状が三味線の撥(ばち)の形に似ていることによるものです。

2014/4/7                2013/4/26

3/4 昨年末から多摩川の河川敷で咲き続けているナズナですが、赤紫の色が抜けて緑色になってきました。

4/26 色がすっかり緑色になり、春に見かけるナズナになりました。

2013/3/14             2014/4/2               2014/4/2

今年は、除草が遅れているようで、河川敷で大きく育ったナズナを見かけます。

あらためて、アップで写真を撮りましたが、花弁が短く、ずんぐりとした花です。


カラクサナズナ(Lepidium didynum)

<アブラナ目・アブラナ科・カラクサナズナ属>

アブラナ科カラクサナズナ属の越年草で、南アメリカ原産の帰化植物。

なお、カラクサナズナ属とする説や、ヨーロッパ原産説もあり、はっきりしない。

日本では明治時代に帰化が確認されており、関東以西に広く分布する。

海外でも、ヨーロッパ、アジア、北アメリカ、アフリカ、オーストラリアなど広く温帯に帰化している。

比較的小型で横に這う草で、深い切れ込みのある唐草模様のような葉と、独特の悪臭が特徴。

悪臭のため、牧草地や飼料の栽培地では、要注意の雑草。乳牛が食べると牛乳に悪臭が移る。

本種には、カラクサガラシ、インチンナズナの別名がある。

ちなみに、インチン「茵陳※」とはカワラヨモギの漢名で、その若葉の形に似ていることが由来。

※ インチンのチンは、草冠が付くのですが、コードにはないので陳で代用しています。

2013/5/10

多摩川の土手の階段で、変わった形の実を付ける小さな本種を見つけました。

階段の立ち上がりの隅のわずかな割れ目に、タチイヌノフグリと共に生えていました。

総状花序で直径1mm程の小さな花を多数付けますが、花弁は小さな針状で、ない場合も多く、目立ちません。

花に比べて、果実は数ミリと大きく、たくさん付くので、こちらの方が目立ちます。

最初見たとき、果実とは思わず、ツボミがたくさん付いているのかと思ったほどです。

2016/4/14

多摩川からの帰り道、道端で若芽が黄色い野草を見かけました。

花のツボミらしきものはありましたが、開花はまだ先のようでした。

葉の形だけからの判断ですが、本種としています。


マメグンバイナズナ(Lepidium virginicum)

<アブラナ目・アブラナ科・マメグンバイナズナ属> 

アブラナ科マメグンバイナズナ属の2年草で、北アメリカ原産の帰化植物。

日本では明治時代に帰化が確認されており、現在では北海道から九州まで、全国で分布が確認されている。

草丈は20~50cmで、茎が直立して、上部で多数分枝する。

葉は濃緑色で光沢があり、普通、根生葉は花期には枯れる。

茎葉は互生し、無柄で長さ2~5cmの倒披針形で、縁には不規則で粗い鋸歯がある。両面無毛。

花期は5月~6月で、茎頂の総状花序に多数の花を付ける。

花は直径3mm前後の緑白色で、4弁花。お椀状の萼片も4個で、背に多少の毛がある。

萼片の間からしゃもじ状の花弁が伸びるが、きちんと開いたものは少ない。

オシベは2~4個で、軍配型の子房の上に短い柱頭がある。

果実は長さ3㎜前後の扁平な円形で中央に筋があり、その形状が軍配に似て、小さいのが和名の由来。

果実の縁には翼があり、左右2室に分かれる。各室に種子が1個入り、種子にも翼がある。

2013/5/29

多摩川から離れた所では、以前から確認していましたが、多摩川への道路脇でも見かけました。

時期的には、既に終わりに近い状態で、先端にわずかに花が残っている状態でした。

拡大写真で、ぼやけてはいますが、果実の形状が分かると思います。

2014/9/5

多摩川の土手の則面にある通路を歩いていて、マメグンバイナズナに気が付きました。

セイバンモロコシの隙間から顔をのぞかせていました。

河川敷で見かけたのは初めてですが、いつの間にか侵入していたのですね。

本来は、5月~6月が花期なのですが、盛夏の河川敷で花を咲かせていたようです。


ハマダイコン(Raphanus sativus var.raphanistroides)

<アブラナ目・アブラナ科・ダイコン属>

アブラナ科ダイコン属に属する多年草で、在来種。

アブラナ科の植物は北半球に多く、多くの種が地中海沿岸部に分布している。

日本にも古い時代にユーラシア経由で伝わったとされているが、定かではない。

大根が野生化したとの説もあるが、遺伝的に栽培種との差が大きく、野生種の可能性が高いといわれている。

日本全国の砂浜や河原に自生する越年草で、群生するところもある。

草丈は30~70cmで、根は円柱形で、太さは1cm前後で硬い。大根のように太くならず、辛みが強い。

葉は互生し、長さ5~20cmで、羽状に全裂して側羽片は2~12対。両面に毛を散生して、鈍鋸歯縁。

花期は4月~6月で、直径20~25㎜の白色~淡紫色の4花弁で、紫脈があり、基部は長い爪になる。

オシベは6個あるが、その内の4個が長く、2個は短い。その内側に大きな蜜腺がある。

メシベは1個。萼片は4個あり、淡緑色で直立する。

果実は無毛で、長さ5~8cmの長角果。数珠状にくびれて先は細く尖る。

果実は熟しても裂開せず、簡単に節で切れる。種子は褐色~赤褐色で、海水で運ばれて分散し、長寿命。

2012/3/29

散歩コースの多摩川の河原では、ハマダイコンの花は、3月下旬頃からちらほら咲きはじめます。

花は、淡紅色のグラデーションを帯びているものとほぼ白色のものがありますが、遠目には白く見えます。

資料によると、根は直径1cm程度、長さは15cm程度、触感はゴボウのようで、すこぶる辛いとのこと。

肥料を与えると大根になるといわれており、実際、兵庫県美方郡新温泉町浜坂で栽培実験されているそうです。

ただ、一般の大根とは形状は似ていても、辛みも抜けないようですし、大根にはなりきれないみたいです。。

2013/3/7                2013/3/11

昨年末から多摩川の土手で、春の訪れを待っていたハマダイコン。

待ちかねたように、花茎が伸び始めました

2013/4/18                2013/4/25

1ヶ月ほどで、土手の則面を埋め尽くしました。

4/18の写真は、則面を下から見上げたもので、4/25の写真は、則面から土手沿いを映したものです。

ハマダイコンがどれくらい咲いているか想像できると思いますが、凄まじい数です。

2014/4/7            2014/4/8            2014/4/8

今年も、ハマダイコンが土手の則面を白く染め上げ、咲き誇っています。

そのハマダイコンの花ですが、ほぼ全体が紫色のものから、純白のものまで、変異は多いです。

2014/5/9

5月に入るとハマダイコンの花も少なくなり、円柱形の長角果が目立つようになります。

長角果は、数珠状にくびれており、1つの数珠状の所に種子が1つ入っています。

熟した果実は、くびれた所からちぎれて、散らばり、増えて行きます。


セイヨウカラシナ(Brassica juncea (L.) Czern)

<アブラナ目・アブラナ科・アブラナ属>

アブラナ科アブラナ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。

アブラナ(Brassica rapa)とクロガラシ(Brassica nigra)の雑種である。

日本では関東以西で見られ、特に関西には多い。日本には弥生時代に伝来したといわれている。

草丈は1m以上になり、上部で分枝する。

下部の葉は大きく30㎝に達し、羽状深裂して頭部は大きく、鋸歯がある。

上部の葉は小さく、全縁で、葉の基部は茎を抱かない(良く似たセイヨウアブラナは茎を抱く)。

花期は4月~5月で、花は直径10㎜程の十字型で、花色は黄色。萼片は開花時には斜上する。

セイヨウアブラナの花は、一回り大きく、茎頂部にまとまって咲き、萼片が開花時には直立に近い。

2012/4/4

散歩コースの多摩川の河原では、ハマダイコンに交じって、ちらほらと黄色い花を咲かせています。

ただ、数はそう多くはなく、ところどころ集まっているところはあっても、あまり目立ちません。

似たものにセイヨウアブラナがあり、同じような場所に生えていそうですが、散歩コースでは見かけません。

両者は、葉の基部が異なり、セイヨウアブラナでは葉の基部が茎を抱き、セイヨウカラシナでは抱きません。

2013/3/14                2013/3/18        2013/3/18

3/14 昨年末から多摩川の土手で、春の音連れを待っていたセイヨウカラシナ。

2月末から伸び始めた花茎は、50cmを超えて、着々と成長を続けています。

3/18 成長は非常に早く、4日後には花茎は1mを超え、腋芽の開花が始まりました。

2013/3/22         2013/3/22               2013/3/29

3/22 花茎は2m近くに達し、腋芽も含めて多くの花が開きはじめました。

3/29 バックのハマダイコンもセイヨウカラシナも、満開です

2014/4/7

今年も、土手の階段脇で、セイヨウカラシナが2m近い花茎を伸ばして咲いています。

土手の大半は、ハマダイコンが占有しているので、見られるのは限られた場所だけです。

 

多摩川のこの場所では、ハマダイコンが幅を利かせ、黄色い花は稀にしか見ることができません。

その黄色い花も、セイヨウカラシナしか確認できていませんが、もう1種、黄色い花があります。

それがセイヨウアブラナで、同じような場所に生え、混生していることもあるそうです。

ここでは未確認ですが、セイヨウカラシナより一足早く咲きだすそうです。

参考までに、下記に利根川の土手で見かけたセイヨウアブラナを記載いたします。

 セイヨウアブラナ(Brassica napus)

<アブラナ目・アブラナ科・アブラナ属>

アブラナ科アブラナ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。

アブラナとキャベツの雑種起源とされ、成長した茎や葉がキャベツのようにロウ質の白粉で覆われる。

草丈は50~100㎝程になり、葉は厚く、基部の葉は長さ数十㎝になり、羽状に裂ける。

中上部の茎葉は、無柄で茎を大きく抱く。花期は3月~5月で、鮮黄色の花を上部に集まって咲く。

花の直径は15㎜前後と比較的大きく、萼片は開出せずに斜上して、花弁に接していることが多い。果実は、長さが5~10㎝ほどになり、種子は熟すと黒色になる。

※ 在来種のアブラナとは別種で、本種の種子は黒く熟すのに対し、アブラナの種子は赤褐色に熟す。

 

2017/3/12

利根川の土手沿いに黄色い花が帯状に咲いていました。

近づいて確認すると葉が茎を抱いていたので、セイヨウアブラナと分かりました。

土手沿いに車を走らせると、土手に沿って黄色い花が帯状にずっと伸びています。

確認は出来ていませんが、おそらく、大半がセイヨウアブラナではないかと思われます。

理由は、既に満開に近い状態にあり、セイヨウカラシナが咲きだすのはもう少し後と思われるためです。 


オオアラセイトウ(Orychophragmus violaceus)

<アブラナ目・アブラナ科・オオアラセイトウ属>

アブラナ科・オオアラセイトウ属の越年草で、中国原産の帰化植物。

中国東部に分布し、特に東北部や華北地区に多い。ヨーロッパ南部にも見られる。

江戸時代に栽培品種として入ってきたものが野生化して広がったとみられる。

別名として、ショカッサイ(中国の呼び名で諸葛孔明と関係しているようです)やムラサキハナナを持つ。

草丈は20~80cmで、茎は直立して、基部で分枝する。また、上部での分枝もしばしば起きる。

根生葉はロゼット状にならず、葉柄は長さ2~8㎝で、羽状に深裂する。

長裂片は基部は心形で、長さ2~10cmと大きく、側裂片は1~6対で長さ3cm前後。

上部の葉は長さ2~10cmで、基部は茎を抱き、全縁か粗い不規則な歯牙状。

花期は3月~5月で、茎先に総状花序を付け、薄紫色の花を多数付ける。

花は直径20~30mmの4弁花で、開花時は濃紫色であるが、花期の終わり頃には色が薄くなる。

萼片も4個あり、長さ10mm前後で、花と同じ薄紫色。直立して、基部は袋状。

オシベは6個で、花糸は白く、葯は線形で黄色く、外に反り返る。メシベの柱頭は淡黄色。

果実は狭い線形の長角果で、長さは10cm前後になる。4個の稜が目立つ。

2012/3/30

散歩コースの多摩川の河原では、土手の道の際などで見かけるだけで、数は非常に少ないです。

どちらかというと、途中の公園の脇や民家の庭などの方が多く、その種が土手の方に運ばれたのでしょう。

2013/3/8

多摩川への道路脇の公園で、オオアラセイトウが花を付けていました。

まだ、花が少ない時期に、紫の大きめの花は、いやが上にも目立ちます。

2013/3/28

多摩川への道路脇の公園で、オオアラセイトウが大きな株になり、花を咲かせていました。

残念ながら、今年は、多摩川の土手沿いでは、見かけませんでした。

 オオアラセイトウの群落

 

2010/4/4

多摩川では、群生は見られませんが、定着すると繁殖力が強いので群落をつくることがあります。

上記写真(相模原麻溝公園)のように大きな群落では見ごたえがあります。 


イヌカキネガラシ(Sisymbrium orientale L. )

<アブラナ目・アブラナ科・キバナハタザオ属>

アブラナ科キバナハタザオ属の一年草で、ヨーロッパ(地中海沿岸)原産の帰化植物。

日本では、本州、四国、九州に分布し、市街地の道端や空地に生える。

草丈は20~80cmで、茎は直立し、分枝する。

葉は、長さ3~8cmで羽状に深裂し、曲がっていることが多い。

上部では葉の裂片は少なく、下部では葉の基部が矛形に張り出している。

花期は4月~7月で、直径10mm前後の黄色い4弁花。萼片は4個で、白い毛が多い。

果実は、長さ7~10cmの長角果で、幅1mm前後の細い円柱形で、枝先で開出する。

同属のカキネガラシとは、花は似ているが、実の形や付き方が異なる。

カキネガラシの果実は長さ15mm以下で、枝に密着して付くが、

イヌカキネガラシの長角果は、長さが7~10cmと非常に細長く、開出したり斜上する。

2012/4/19

散歩コースの多摩川の河原では、土手の道の際などで見かけるだけで、数は非常に少ないです。

写真を見ればわかるとおり、その果実がとにかく細長く、枝に見えてしまいます。

2013/3/21            2013/3/21            2014/4/14

2013/3/21 多摩川に向かう途中、幹線道路の街路樹の下で、イヌカキネガラシを見つけました。

かなり大きく育ち、特徴的な長角果を伸ばしています。

2014/4/14 今年も、同じ場所で咲いていましたので、アップで撮ってみました。

2013/4/1

多摩川の土手際でも、小さな株を見つけました。

やはり、土手の方では、数は少なくて、見つけるのに苦労しました。


カキネガラシ(Sisymbrium officinale)

<アブラナ目・アブラナ科・キバナハタザオ属>

アブラナ科キバナハタザオ属の一年草で、ヨーロッパ(地中海沿岸)原産の帰化植物。

日本では、北海道から九州にまで全国的に分布し、市街地の道端や空地に生える。

草丈は80㎝ほどになり、茎は直立して良く分枝し、下向きの毛がある。

根生葉は長さ20cmほどになり、羽状に深裂する。上部の葉ほど小さくなる。

花期は4月~6月で、花は直径5㎜ほど4花弁で、花色は黄色。萼には長い毛が生える。

同属のイヌカキネガラシとは、花は似ているが、実の形や付き方が異なる。

カキネガラシの果実(長角果)は他のアブラナ科の花と異なり、茎にぴったりと張り付いている。

2012/5/8

散歩コースの多摩川の河原では、土手の道の際などで見かけるだけで、数は非常に少ないです。

写真を見ればわかるとおり、果実は茎に沿って付き、その細長い茎の先に小さな花が咲いています。

2013/5/8

今年も同じ場所で、大きく枝を広げて絡み合っているカキネガラシです。

この場所以外でも、土手の上の通路脇で、所どころにポツンと咲いているのを見かけます。


イヌガラシ(Rorippa indica)

<アブラナ目・アブラナ科・イヌガラシ属>

アブラナ科イヌガラシ属の多年草で、在来種。

日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。

海外では、朝鮮半島から中国、台湾、インド、フィリピン、東南アジアなどに分布する。

草丈は10~50cmで、短い根茎があり、根元から株立ちとなる。茎は赤味を帯びた暗緑色。

葉は互生し、下部の葉は羽状に裂けるが、上部の葉はほとんど切れ込みがない。

葉の縁には細かい鋸歯があり、基部には小さな耳があり、茎を抱く。

花期は4月~6月で、直径4~5mmの黄色い4弁花。オシベは6個あり、子房上位で、萼片は4個。

果実は長さ15~25mmの細長い円柱状の長角果。弓状に少し曲がる。

種子は2列に並び、熟すと花被が裂開して、種子が落ちる。

2012/4/23

昨年も5月まで見落としていたイヌガラシですが、今年も見落としていました。

ただ、気が付くと結構あちらこちらで見かけます。

2012/5/9

多摩川の河原に向かう途中の道路脇で見かけました。

アブラナ科の植物ですが、黄色い花の花びらが比較的小さく、あまり目立ちません。

この個体は、草丈が20cmほどしかありませんでした。


ミチタネツケバナ(Sisymbrium officinale)

<アブラナ目・アブラナ科・タネツケバナ属>

アブラナ科タネツケバナ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。

日本では、北海道から本州、四国、九州まで、全国に分布している。

草丈は20~40cmで、花期は2月~4月。

葉は羽状深裂し、小葉は広楕円形で、頂葉が卵形で大きい。根生葉は果時にも残る。

根生葉の小葉には柄があり、茎には葉があまり付かない。

花茎の頂部に総状花序を付け、下から順次咲き上っていく。

花は白色の4弁花で、オシベは4本が多いが、5本とか6本のものもある。

在来種のタネツケバナに似るが、下記のようないくつかの識別点がある。

・果時に根生葉があるのがミチタネツケバナで、無いのがタネツケバナ

・果実が直立するのがミチタネツケバナで、斜上するのがタネツケバナ

・小葉が広楕円形なのがミチタネツケバナで、狭楕円形がタネツケバナ

2013/3/1

昨年に気付いていたのですが、撮影のタイミングを逸していたミチタネツケバナです。

花は、直径5mmにも満たない小さなもので、白い花弁が4枚、十字状に開きます。

2013/3/6

改めて、花の拡大撮影と、全体の撮影を行いました。

根生葉は、果期まで残り、根生葉の小葉には柄があります。

長角果は花茎に寄り添うように立ち上がり、上向きに付けます。

※ 良く似たタネツケバナは、果期に根生葉はなく、長角果は斜上し、途中から上向きに曲がります。

2013/4/1                2013/5/10

4/1 ミチタネツケバナもかなり咲き上り、長角果の付き方がよく分かります。根生葉も残っています。

5/10 ミチタネツケバナの花は終わり、長角果も早いものは種を飛ばして枯れています。

2014/3/17            2014/3/17            2014/3/18

今年もあちらこちらでミチタネツケバナが花穂を伸ばし、花を咲かせ始めました。

それで、昨年から花を咲かせている、よく似たアキノタネツケバナと比較してみました。

最も違いが分かるのは、葉の小葉の形状ですが、花の形にも違いがあるようです。

参考までに、下記に良く似たアキノタネツケバナとミズタネツケバナに関して記載いたします。

 

アキノタネツケバナ(Cardamine autumnalis)

<アブラナ目・アブラナ科・タネツケバナ属>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2014/3/17             2014/3/17             2014/1/6

アブラナ科タネツケバナ属の1年草である。

稲刈り後の乾田や畦などに生え、小葉が全て掌状に浅く裂けているのが特徴。

花期は、他のタネツケバナ類が春先なのに対し、8月~10月と秋に咲く。

なお、植物学的には諸説があり、種として明確にはなっていないとのこと。

そのため、分布域なども明確になっていないようである。

2014/1/6,3/17

昨年から花を咲かせ続けていると思われるアキノタネツケバナです。 

アキノタネツケバナは、ミチタネツケバナとは小葉の形が全く異なります。

 

ミズタネツケバナ(Cardamine scutata var. latifolia)

<アブラナ目・アブラナ科・タネツケバナ属>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アブラナ科タネツケバナ属の越年草で、用水路脇、中栄養な湿地の細流脇などに生える。

日本では、本州から四国、九州に分布する。海外では、朝鮮半島から中国に分布する。

母種のタネツケバナよりも大型でほとんど無毛な点で区別可能であるが、オオバタネツケバナとは似ている。

ただ、茎の中程に付く葉の頂小片と側小片の基部が合着しているかで区別でき、合着が見られるのは本種。

花茎下部は暗紫色は帯びず緑色で、ほとんど無毛。各葉腋から良く分枝する。

花茎の頂部に総状花序を付け、下から順次咲き上っていく。

白色の花弁は4枚、オシベは6本で内2本は横に広がり少し短い。長角果は、斜上して付く。

2014/4/29

日光東照宮の見学を終え、昼食を取るために表参道から国道120号へ向かう途中で見かけました。

タネツケバナの仲間であることは直ぐに分かったのですが、それ以上は分かりませんでした。

後で、調べていて、花茎が緑色で、頂小葉と側小葉の合着が見られることから本種としました。