チョウ目
カイコガ上科スズメガ科(オオスカシバ、ホシホウジャク、ホシヒメホウジャク、セスジスズメ)
カイコガ上科ヤママユガ科(オオミズアオ)
シャクガ上科シャクガ科(ヒロバツバメアオシャク、ウメエダシャク、ユウマダラエダシャク)
オオスカシバ(Spoladea recurvalis)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・カイコガ上科・
スズメガ科・ホウジャク亜科・オオスカシバ属>
2012/8/21 2012/9/10 2012/9/10
スズメガ科オオスカシバ属に分類されるガで、在来種。
日本では、本州から四国、九州に分布している。
海外では、中国、東南アジア、アフリカ、オーストラリアに分布する。
和名は、成虫の翅が透明なことに由来するが、スカシバガ科ではなく、スズメガ科に属する。
前翅長は26~30mm、開張は50~70mmあり、出現時期は5月~9月である。
体の背中側は黄緑色で、腹側は白。腹部中央に黒で挟まれた赤い帯模様がある。
その帯模様より尾端側は黄色で、尾端には黒い毛の束がある。
オオスカシバの翅の表面には、顕微鏡レベルの微細な顆粒が密生している。
その光学的な効果により、他の蛾などの鱗粉を除去した翅よりも透明度が高い。
幼虫は、黄緑色か褐色の体色で、尾端に1本の角がある。食草はクチナシで、その害虫である。
8/21 ここでオオスカシバを初めて見たのは先月の7/27ですが、うまく写真が撮れませんでした。
今日、かなり傷んだ個体ですが、メドウ・セージの花で給蜜中の所を撮影する事ができました。
胸部や腹部の背中側がかなり禿げて来ています。
9/10 多摩川の土手の手前にあるムクゲの花で給蜜しているのを撮影できました。
ほとんど痛みのない、きれいな個体です。
名前の由来である羽が透明な所もよくわかると思います。
その透明な翅ですが、羽化直後には他のスズメガと同様に鱗粉が普通に付いています。
そして、羽化後の最初の飛翔時に、鱗粉が飛んでしまい、このような透明な翅になります。
2013/10/3
多摩川へ向かう途中の公園で、給蜜中のオオスカシバを見かけました。
公園に植えられている花を、しばらくあちこち飛び回っていましたので、何カットか撮影できました。
傷みのほとんどないきれいな個体でした。
羽化直後のオオスカシバ
2015/7/2
駅に向かっている途中、壁面に止まるオオスカシバを見かけました。
良く見ると、翅に鱗粉が付いており、白っぽくて不透明です。
今朝、羽化したばかりなのでしょう。羽化直後の野生種を見られるとはラッキーでした。
翅以外にも、全体的に色が淡く鮮やかで、なんとも初々しい感じです。
あいにく、カメラは持っていませんでしたので、携帯のカメラでなんとか撮影できました。
この後、最初の飛翔時に、翅の鱗粉は全て吹き飛んで、透明な翅になります。
ホシホウジャク(Macroglossum pyrrhosticta)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・カイコガ上科・
スズメガ科・ホウジャク亜科・ホウジャク属>
スズメガ科ホウジャク属に属する蛾の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、インド北部まで広く分布している。
成虫は、体長35mm前後、開張は40~50mmで、全体にこげ茶色である。
成虫の出現時期は7月~11月で、全体に暗褐色だが、後翅には黄褐色の斑紋がある。
また、翅を閉じて静止すると、茶色のグラデーション模様が鮮やかに見える。
腹部の後端近くには白色の帯斑があり、胸部に近い側面に黄褐色の班が2対ある。
なお、これらの特徴はクロホウジャクと似ており、注意してよく見ないと判別は難しい。
後翅の黄褐色の斑紋に違いがあり、ホシホウジャクの方がクロホウジャクより幅が広い。
また、前翅先端の斑紋にも違いがあり、クロホウジャクの前縁側がより白っぽく見える。
成虫は、昼間、飛び回ってホバリングしながら長い口吻を伸ばして吸蜜する。
主に、ツリフネソウ、ホウセンカ、アベリア、コスモス、ラベンダーなどを訪花する。
幼虫は尾角がある独特の形をしており、頭部が小さく、体の前方は細くすぼまる。
体色は淡褐色または緑色で、体側に頭頂から尾端まで縦条が走り、その下に斜条が並ぶ。
幼虫の食草はヘクソカズラやアカネで、終齢幼虫の体長は50~55mmになる。
2012/7/27
多摩川へ行く途中にある公園のセイヨウフウチョウソウで、ホシホウジャクの給蜜を見かけました。
夕方、うす暗くなりかかった頃でしたので、普通に撮るとぶれてしまいます。
そのため、フラッシュを使って撮影しました。
給蜜中は、長い口吻を伸ばして、ホバリングしていますので、撮影自体は難しくありません。
それにしても口吻の方が、体より長いというのは驚きです。
2013/10/18
多摩川からの帰り道、道路脇のボタンクサギンの花で給蜜中のホシホウジャクを見かけました。
金網越しの日蔭での撮影になったので、スローシャッターになった分、ブレが大きくなっています。
それでも、なんとか飛翔中の姿勢や翅の裏の色合い、腹部の模様はよく分かると思います。
2014/9/12
多摩川の川縁で、イタドリの葉で休息中のホシホウジャクを見つけました。
じっと動かなかったので、上面と側面から撮ってみました。
翅の上面の模様や、止まっているときの姿勢が良く分かります。
ただ、このポーズでは、腹側や後翅の目立つ橙色の模様は、全く見えませんね。
ホシヒメホウジャク(Neogurelca himachala sangaica)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・カイコガ上科・
スズメガ科・ホウジャク亜科・ネオグレルカ属>
スズメガ科Neogurelca属に属する蛾の1種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、対馬、屋久島、種子島に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国に分布している。
幼虫は尾角がある独特の形をしており、4齢幼虫までは灰白色である。
終齢幼虫になると、紫色型、橙色型、緑色型、緑色無紋型の4型になる。
蛹は枝の上に無造作に作られ、ぶら下がっている。
成虫は、体長25mm前後、開張は35~40mmとやや小ぶりである。
翅は地色が黒褐色で、前翅後縁が大きく湾曲し、後翅には黄色い模様がある。
成虫は、昼間、飛び回って花で給蜜する。幼虫の食草はヘクソカズラである。
2013/9/9
河川敷で、ヒルザキツキミソウから離れられないで、もがいているホシヒメホウジャクを見かけました。
見ると横にシロテンハナムグリがいて、口吻が花の根元から抜けないでもがいているようです。
羽ばたいては休み、羽ばたいては休みを繰り返していますが、全く抜けないようです。
どうやら、シロテンハナムグリが、口吻を押さえ込んでいるようです。
シロテンハナムグリが食事中の所に、口吻を指し込んで、横から蜜を吸おうとしたのでしょうか?
撮影後、逃がしてやろうとしたのですが、ちょっと引いたくらいでは取れませんでした。
もがいていたためでしょうか、かなり傷んで、体表の模様は判別不能です。
ただ、後翅の模様はきれいに残っていましたので、その形状から本種と判断しました。
セスジスズメ(Theretra oldenlandiae)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・カイコガ上科・
スズメガ科・ホウジャク亜科・コスズメ属>
スズメガ科コスズメ属に分類される蛾で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布する。
背中に白い縦筋が2本走っていて、それば和名の由来と思われます。
見た目が、ジェット戦闘機を思わせる精悍なスタイルで、翅の模様もそれを助長している。
幼虫は、全体が黒っぽい(稀に黄緑色)イモムシで、背の両側に黄色から黄橙の眼状紋が並ぶ。
頭部と尾部では眼状紋は小さく連続し、尾端では左右から先端が白い尾角の基部で接する。
終齢幼虫に近づくにつれ、体色は黒褐色になり、眼状紋は赤っぽくなる。
非常な大食漢で、成長スピードが早く、数日で数倍に成長する事もある。
食草はヤブガラシやノブドウ、サトイモやサツマイモなど雑多で、数日で丸坊主にされることがある。
発生は、初夏から秋にかけて繰り返され、蛹で越冬する。
2012/8/20
多摩川へ行く道端で、ヤブガラシの葉を食べているガの幼虫に気付きました。
調べたところ、セスジスズメの幼虫と分かりました。
幼虫は、写真を見ていただければ分かる通り、黒の体色に黄色と赤の眼状紋を持つ、目立つ配色です。
非常に成長が早く、幼虫の食欲は、数日でヤブガラシが軸だけになるほど凄まじいです。
その食欲ゆえに、農作物の葉を食い荒らす害虫としても知られているようです。
セスジスズメの成虫
2015/9/19
自宅近くを歩いていて、コンクリート壁に止まっているセスジスズメをみかけました。
スズメガの中では、比較的良く見かける種類です。
止まっている姿は、後退翼を持つジェット戦闘機のようにスマートで精悍です。
オオミズアオ(Actias artemis)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・カイコガ上科・
ヤママユガ科・ヤママユガ亜科・Actias属>
12:16:00 12:16:42 12:17:39 12:18:41
チョウ目ヤママユガ科に分類される大型の美しい蛾の一種で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州の平地から高原まで広く分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、ロシア南東部に分布する。
出現時期は4月~8月で、初夏と夏の年2化。サナギで越冬する。
青白色の翅を持ち、前翅は三角形にとがり、後翅は後方に伸びて尾状になる。
前翅長は80~120mmで、前翅前縁は赤褐色になり青白色との対比が美しい。
前翅と後翅にはそれぞれ中央に丸い斑紋が1個ずつある。
触角は雌雄とも櫛歯状だが、雄ではっきりとよく発達する。
幼虫の食草は、モミジ、ウメ、サクラ、リンゴなどバラ科、ブナ科、カバノキ科などで多い。
成虫は口が退化していることもあり、物を食べたり飲んだりすることはない。
なお、よく似たオナガミズアオがおり、個体変異もあるので見た目での区別は難しい。
・後翅の眼状紋は、オオミズアオは楕円で、オナガミズアオは円形に近いものが多い
・触角の色は、オオミズアオは茶褐色で、オナガミズアオは緑色を帯びることが多い
・前翅前縁の赤と白の境界は、オオミズアオは曖昧で、オナガミズアオは明瞭なものが多い
・前翅翅端は、オオミズアオは丸みを帯び、オナガミズアオは尖っている
・前翅外縁は、オオミズアオは緩く波打つが、オナガミズアオは直線的である
・オオミズアオの食草は多いが、オナガミズアオはハンノキ類やヤシャブシ類に限られる
発見場所の近くにハンノキ類やヤシャブシ類がなければオオミズアオの可能性が高い
・幼虫の頭部は、オオミズアオは茶褐色で、オナガミズアオは緑色である
両者の区分点は曖昧なものもあるので、これらの点を総合的にみて判断する必要がある。
2015/4/22
多摩川へ行く途中の神社の参道脇で、羽化したばかりのオオミズアオを見つけました。
もっと早い時刻、早朝に羽化するのではと思っていたのですが、そうではないようです。
本種に関する研究ではないですが、日暮れ後、平均15~19時間後に羽化が見られたとありました。
この時期の日没時刻は18:20頃なので、撮影時刻はこの範囲に入ります。
見かけた時、翅はそれほど伸びていませんでしたので、蛹から出て茎に登って間がない頃と思われます。
その後、3分弱で前翅は9割方伸び、後翅もかなり伸びていました。
最後まで、見届けたかったのですが、時間がなくて、途中までとなってしまいました。
なお、この個体ですが、触角がみごとな櫛歯状ですので、オスと思われます。
ヒロバツバメアオシャク(Maxates illiturata)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・シャクガ上科・
シャクガ科・アオシャク亜科>
シャクガ科アオシャク亜科のガで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、対馬で見られる。
海外では、朝鮮半島から中国東部、台湾に分布している。
出現時期は6月~7月。開張はオスで30~33mm、メスで32~35mm。
顔面は暗褐色で、翅はやや青味を帯びた緑色。
ギザギザした白い外横線が目立ち、前翅・後翅共に黄褐色の縁毛がある。
オスの触角は櫛歯状で、メスの触角は糸状である。
幼虫は、ソメイヨシノ,モモなどのバラ科の葉を食害し、桃の害虫としても知られている。
2014/9/19
多摩川の川縁で、アレチウリの葉に止まっている本種を見かけました。
薄緑色の蛾は、ときどき街灯などで見かけますが、この場所で見たのは初めてです。
もっと上の方から撮れれば良かったのですが、横に近い角度でしか撮れませんでした。
そのため、横長に写っていますが、実際には縦方向に倍くらいの長さがあります。
アオシャク亜科には、似たような蛾が複数いますが、翅や外横線の形状から本種としました。
ウメエダシャク(Cystidia couaggaria couaggaria)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・シャクガ上科・
シャクガ科・エダシャク亜科>
シャクガ科エダシャク亜科のガで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州とほぼ全国に分布する。
海外では、シベリアから朝鮮半島、中国まで広く分布している。
出現時期は6月~8月の年1回で、開張は35~45mmある。
翅は白黒の斑模様で、体色は黄色の地色で、細長い腹部には黒い帯模様がある。
昼行性で、蜜を求めてリョウブの花に集まることが多い。
幼虫は、黒地にオレンジ色と白色の模様があり、頭部中央に白い横線があるのも特徴。
幼虫の食草は、バラ科(ウメ,モモなど)、ニシキギ科(マユミ,ニシキギなど)、エゴノキなど多様である。
2012/6/25
多摩川の河川敷に行く途中で見かけたので撮影しましたが、あちこちでよく見かけるガです。
よく見かけるガですが、似たようなガが多くいるので、同定には手間取りました。
特にシャクガ科は数が多いのと、翅の模様に変化が多いので、難しいです。
ユウマダラエダシャク(Abraxas miranda miranda Butler)
<チョウ目・Glossata亜目・Heteroneura下目・二門類・シャクガ上科・
シャクガ科・エダシャク亜科>
シャクガ科エダシャク亜科のガで、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで、ほぼ全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国東北部に分布している。
出現時期は5月~6月、8月~10月の年2回で、日中は羽を開いて暗い葉の上で休み、夕方に活動する。
前翅長は18~26mm、開張は30~50mm。
翅は白く、全体に薄灰色の斑模様があり、中央に黄褐色と茶褐色の斑ある。
体色は地色が橙黄色で、多数の黒斑がある。
幼虫の食草は、ニシキギ科のマサキやコマユミ、ツルマサキなどである。
よく似たヒメマダラエダシャクかクロマダラエダシャクとの識別点は、前翅前縁中央にある大きな薄灰色の斑。
この斑の中に濃色の丸い輪っか状の斑紋が無いのが本種で、あるのが上記の2種である。
2013/5/28
多摩川の河川敷で、川縁の木の葉に止まっていました。
同じような模様を持つガがいますが、前翅前縁中央の大きな薄灰色の斑の中に濃色の班がないので本種としました。
2013/6/20
雨の日に河川敷の川縁近くの木の根元で、数え切れないほどの尺取り虫を見かけました。
後で調べて、ユウマダラエダシャクの幼虫と分かりました。
シャクガの幼虫を尺取り虫と言いますが、上記はその移動の様子です。
左端の状態から頭部を前の方に伸ばしていき、
右端の状態になると尾部を前方に移動させ、左端の状態になります。
この移動の様子が、長さを測っているように見えることが、「尺取り虫」の名前の由来です。
※ 「尺」は、尺貫法における長さの単位で、東アジアで使われています。
日本では、明治時代に1尺=10/33m(=30.303cm)と定められました。
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