アオイ科・アブラナ科

アオイ目

  アオイ科(ゼニアオイ、タチアオイ)

アブラナ目

  アブラナ科(アブラナ、セイヨウカラシナ、ハマダイコン、アキノタネツケバナ、ナズナ)


ゼニアオイ(Malva sylvestris var. mauritiana)

<アオイ目・アオイ科・アオイ亜科ゼニアオイ属

アオイ科アオイ属の2年生草本で、地中海沿岸が原産の帰化植物。

日本では、園芸品種として全国で栽培されているが、逃げ出して野生化しているところもある。

かなり劣悪な環境でも生育できるため、河川敷や線路脇などの荒れ地でも生育する。

茎は直立して良く分枝し、剛毛がある。草丈は1m以上になる。

葉は互生し、長さ10㎝強、幅6㎝前後で、長さ5㎝程の葉柄があり、基部は浅い心形。

葉は、掌状に浅く5~7裂し、その裂片は丸く、鈍鋸歯がある。

花期は8月~10月で、葉腋に数個の花を付け、下から上に咲き上る。小苞は広幅の長楕円形。

花の直径は4㎝前後で、淡紅紫色から紫色に濃色の縦筋がある5花弁。

多数のオシベの花糸がくっついて筒状になり、長いメシベの花柱を包み込んでいる。

雄性先熟で、最初にオシベが成熟して花粉を出し、しおれた頃にメシベが伸び出して柱頭が10裂する。

2013/2/8

多摩川への道路脇で見かけました。

本来の花期は6月~10月ですが、なぜか、この寒空に枯れることもなく咲き続けていました。

草丈は、1m以上あり、青々とした葉を付け、たくさんの花を咲かせています。


タチアオイ(Althaea rosea)

<アオイ目・アオイ科・アオイ亜科・タチアオイ属>

アオイ科タチアオイ属の多年草で、帰化植物。

中国原産とされていたが、現在は、トルコ原産種と東ヨーロッパ原産種の雑種とされている。

日本では、園芸品種として全国で栽培されているが、野生化しているところもある。

草丈は1~2mで、茎は直立し、毛が密生する。

葉は互生し、葉身は直径6~16cmの円形に近く、5~7裂し、両面に星状毛がある。

葉柄は長さ5~15cmで、葉同様に星状毛がある。托葉は長さ8mm前後の卵形で、先が3裂する。

花期は5月~10月で、花茎を長く直立して伸ばし、穂状に花を多数付け、順次咲き上って行く。

萼は直径2~3cmの鐘形で、裂片は長さ12~15mm。星状毛が密生する。

花冠は直径6~10cmで、色は、白、ピンク、赤、紫と変化に富み、二重や八重の品種もある。

オシベ筒は長さ2cmほどで、花糸は長さ2mm前後、花柱は分枝して多数あり、有毛。

2013/2/5

多摩川の土手で見かけました。

おそらく、昨年、植えつけられていたタチアオイと思われます。

昨年は、杭で保護されていましたが、今年は何もないので除草されなければいいのですが。


アブラナ(Brassica rapa L. var. nippo-oleifera)

<アブラナ目・アブラナ科・アブラナ属>

アブラナ科・アブラナ属の越年草で、史前帰化植物と考えられている。

西アジアから北ヨーロッパの雑草が原種で、中国で栽培作物となり、それが渡来したと考えられている。

以前は、ナタネ油の原料として利用されていたが、現在は野菜として栽培されることが多い。

そのため、別名には、ナノハナやナタネなどがある。

なお、現在、ナタネ油の原料には、セイヨウアブラナの種子が使用されている。

草丈は80~150㎝程になり、葉は互生し、柔らかくてしわがあり、淡緑色。

葉の基部は茎を抱くが、上部の茎葉は無柄で茎を大きく抱く。

花期は3月~5月で、鮮黄色の4花弁の花を上部に集まって付ける。

花の直径は15~25㎜前後と比較的大きく、オシベは6個で、萼片4個は花時には開出する。

果実は、長さが5~10㎝ほどになり、種子は熟すと赤褐色になる。

よく似たセイヨウアブラナは、下記の点でアブラナと区別できる。

・葉が厚くて、薄っすらと白粉を塗ったように白っぽい

・4個の萼片が開出せずに斜上して、花弁に接していることが多い

・種子は熟すると黒色になる

2013/2/7

多摩川への通り道の脇にある小さな畑で、アブラナが栽培されていました。

使いきれなかったのか花が咲きはじめていましたが、その花にミツバチが訪れていました。

黄色い十字架状の花は、アブラナ属の花の特徴ですが、アブラナとセイヨウアブラナの違いは、

アブラナでは萼片が水平近くまで開き、セイヨウアブラナでは斜めに立ち上がる点です。


セイヨウカラシナ(Raphanus sativus var.raphanistroides)

<アブラナ目・アブラナ科・アブラナ属>

アブラナ科アブラナ属の越年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。

アブラナ(Brassica rapa)とクロガラシ(Brassica nigra)の雑種である。

日本では関東以西で見られ、特に関西には多い。日本には弥生時代に伝来したといわれている。

草丈は1m以上になり、上部で分枝する。

下部の葉は大きく30㎝に達し、羽状深裂して頭部は大きく、鋸歯がある。

上部の葉は小さく、全縁で、葉の基部は茎を抱かない(良く似たセイヨウアブラナは茎を抱く)。

花期は4月~5月で、花は直径10㎜程の十字型で、花色は黄色。萼片は開花時には斜上する。

セイヨウアブラナの花は、一回り大きく、茎頂部にまとまって咲き、萼片が開花時には直立に近い。

2013/1/30

散歩コースの多摩川の土手で、セイヨウカラシナが根生葉をロゼット状に広げていました。

昨年、この辺りにセイヨウカラシナが多く咲いていたので、それと分かりました。

しかし、土手にはハマダイコンがたくさんあるので、知らないと探すのは大変です。

芯に近い若葉の様子を比較するとハマダイコンとの違いがよく分かると思います。

2013/2/27                 2013/2/28

2/27 土手のセイヨウカラシナですが、花茎を伸ばし始め、春が近いことを感じているようです。

花を咲かせるのも時間の問題となってきました。

2/28 昨日のセイヨウカラシナとは少し離れた所で、雑草に埋もれたセイヨウカラシナを見つけました。

株自体が小さめなこともありますが、まだ根生葉のみで、成長が遅いです。

場所によって、成長にも大きな違いがあるようです。


ハマダイコン(Raphanus sativus var.raphanistroides)

<アブラナ目・アブラナ科・ダイコン属>

アブラナ科ダイコン属に属する多年草で、在来種。

アブラナ科の植物は北半球に多く、多くの種が地中海沿岸部に分布している。

日本にも古い時代にユーラシア経由で伝わったとされているが、定かではない。

大根が野生化したとの説もあるが、遺伝的に栽培種との差が大きく、野生種の可能性が高いといわれている。

日本全国の砂浜や河原に自生する越年草で、群生するところもある。

草丈は30~70cmで、根は円柱形で、太さは1cm前後で硬い。大根のように太くならず、辛みが強い。

葉は互生し、長さ5~20cmで、羽状に全裂して側羽片は2~12対。両面に毛を散生して、鈍鋸歯縁。

花期は4月~6月で、直径20~25㎜の白色~淡紫色の4花弁で、紫脈があり、基部は長い爪になる。

オシベは6個あるが、その内の4個が長く、2個は短い。その内側に大きな蜜腺がある。

メシベは1個。萼片は4個あり、淡緑色で直立する。

果実は無毛で、長さ5~8cmの長角果。数珠状にくびれて先は細く尖る。

果実は熟しても裂開せず、簡単に節で切れる。種子は褐色~赤褐色で、海水で運ばれて分散し、長寿命。

2012/3/29

散歩コースの多摩川の河原では、ハマダイコンの花は、3月下旬頃からちらほら咲きはじめます。

花は、淡紅色のグラデーションを帯びているものと、ほぼ白色のものがありますが、遠目には白く見えます。

2012/12/26

新たに芽を出したハマダイコン、土手の枯れ草の間から葉をのぞかせています。

翌春に向けて、着々と準備を進めているようです。

しかし、中には気の早いのもあるようで、もう花を咲かせているものもありました。

それとも、咲き残っているのでしょうか?どちらにしても狂い咲きですね。

2013/2/5

土手のハマダイコンですが、もう、春が近いことを感じさせてくれます。

若々しいしっかりとした葉を広げ、花茎を伸ばす時を待っているようです。

2013/2/20

土手のハマダイコンですが、いよいよ花茎を伸ばし始めました。

土手を白く染めるのもそう遠くなさそうです。

※ 土手を白く染め上げているハマダイコンの風景に関しては、「多摩川の四季の風景」に掲載しています。


アキノタネツケバナ(Cardamine autumnalis)

<アブラナ目・アブラナ科・タネツケバナ属>

アブラナ科タネツケバナ属の1年草で、在来種。

稲刈り後の乾田や畦などに生え、小葉が全て掌状に浅く裂けているのが特徴。

花期は、他のタネツケバナ類が春先なのに対し、8月~10月と秋に咲く。

なお、植物学的には諸説があり、種として明確にはなっていないとのこと。

そのため、分布域なども明確になっていないのが現状である。

2014/1/6

多摩川への道路脇で、コンクリートの隙間からタネツケバナが花を咲かせていました。

撮影後、ミチタネツケバナと比較したところ、小葉の形が全く異なります。

再度、調べ直して秋のタネツケバナにたどり着いたわけですが、花期が合いません。

ただ、結実した長角果がかなり残っていました。

そのため、もっと早い時期から咲いていたものと推測され、本種としました。

2013/3/6<ミチタネツケバナ>      2014/1/6<アキノタネツケバナ>

ミチタネツケバナの小葉が広楕円形なのに対し、アキノタネツケバナの小葉は掌状に浅く裂けています。

両者比較すると、その小葉の形状の違いは、一目瞭然だと思います。

2014/2/26              2014/2/26             2014/3/7

年初に見かけたアキノタネツケバナ、その後の様子を見てきました。

株が一回り大きくなり、花もたくさん付けていました。

なお、小葉が掌状に浅く裂けているところは変わりません。

2014/3/17              2014/3/17             2014/3/18

春になって、ミチタネツケバナが花を咲かせ始めましたが、本種もまだまだ元気です。

ただ、一部の葉に変色が見られるようになりました。


ナズナ(Capsella bursa-pastoris)

<アブラナ目・アブラナ科・ナズナ属>

アブラナ科ナズナ属の越年草で、在来種。

日本も含め、北半球に広く分布している。日本では、全国に分布する。

草丈は10~50cmで、花期は3月~6月。ただし、最近は真冬でも開花が見られることがある。

根生葉はロゼットを作り、長さ5~10cmの倒披針形で、羽状に裂ける。早春の裂片は細い。

茎葉は互生して、長さ1~5cmの狭披針形。無柄で、基部は茎を抱き、葉は裂けない。

花は直径4mm前後の白い4弁花で、花弁は長さ2~4mmの倒卵形。萼片も4個ある。

オシベは6個で、メシベは1個。下部に果実ができ、先端部では次々につぼみが出来て開花する。

果実は角果で、長さは4~10mmの倒三角形。上部が凹んで、ハート形になる。

春の七草の1つで、若苗を食用にする。かつては、冬季の貴重な野菜であったことによる。

2012/3/27

3月の中頃から一面の枯れ草の中で目立たずに咲いている春の七草の一つです。

別名のペンペングサは、種子の形状が三味線の撥(ばち)の形に似ていることによるものです。

2012/12/26

多摩川の河川敷で、枯れ草の中で春を待つギシギシの隣にナズナが花を咲かせ、結実していました。

花期は2月~6月なので、何とも奥手なナズナです。色も緑色ではなく、早春と同じ赤褐色を帯びています。

2013/2/1

多摩川河川敷のナズナですが、年を越しても花を咲かせていました。

そうなると、奥手と言うより、超早咲きだったのかもしれません。