クスノキ科・ロウバイ科・ウマノスズクサ科

クスノキ目

  クスノキ科(ゲッケイジュ、クスノキ)

  ロウバイ科(ソシンロウバイ)

コショウ目

  ウマノスズクサ科(ウマノスズクサ)

 


ゲッケイジュ(Laurus nobilis)

<クスノキ目・クスノキ科・ゲッケイジュ属>

2015/3/31            2015/4/9            2015/4/17

クスノキ科ゲッケイジュ属の常緑高木で、雌雄異株。

地中海沿岸が原産地で、日本には明治時代に移入されたとされている。

葉にはシネオールと呼ばれる芳香成分が含まれ、葉を乾燥させたものは香辛料のローリエである。

地中海沿岸の乾燥気候に適応して葉は硬く丈夫で、普通、葉の周辺は規則正しく波打つ。

4月~5月に、葉腋に小さな黄白色の花を付ける。花被片は4個。

雄花のオシベは8~12個あり、雌花にはメシベと仮オシベが4個ある。

雄花の内側のオシベと、雌花の仮メシベの内側に、黄色い腺体が付く。

古代ギリシアでは若枝を編んで「月桂冠」とし、勝利と栄光のシンボルとして勝者等の頭に被せた。

 

3/31 多摩川へ向かう道路脇に植えられたゲッケイジュにツボミが付いているのに気が付きました。

4/9 ツボミが膨らみ、一部で開花が始まっていました。

4/17 満開状態で、一部の花は茶色く枯れ始めていました。

調べたところ、この花は雄花と分かりました。雌雄異株なので、この株は雄株です。

近くに雌株がないか探したのですが、全て雄株でした。雌株は少ないとのことです。

2015/4/9                2015/4/17

雄花の拡大写真です。透き通るような花弁とオシベの先の黄色い腺体が目を引きます。

2015/7/28

久しぶりにゲッケイジュの前を通ると、新枝の葉の脇にツボミのようなものが付いていました。

来年の春に咲く、雄花のツボミのようです。それにしても気が早いですね。



クスノキ(Cinnamomum camphora)

<クスノキ目・クスノキ科・ニッケイ属>

クスノキ科ニッケイ属の常緑高木で、史前帰化植物。

日本では、本州西部の太平洋側、四国、九州に分布するが、特に九州に多い。

海外では、台湾、中国、ベトナムなどの暖地に自生している。

樹高30m、幹回り10mを超えるものもあり、樹齢1000年と言われるものもある。

葉は互生で、3行脈の尖った楕円形。表面は光沢があり、裏面は灰白色で全縁。

普通、3行脈の基部にはダニ部屋と呼ばれる瘤状のものがあり、ダニが住み着く。

葉をちぎると樟脳の匂いがするが、この葉や枝を蒸留して樟脳を作る。

4月~5月に新芽の展開と共に前年の葉は落葉する。

新芽の伸長とともに、5月~6月に新葉の腋から円錐花序を出し、小さな花を付ける。

黄緑色の花被は、筒状で先が普通6裂する。花被片は2mm弱で、花後、脱落し筒部のみ残る。

9個のオシベは3個ずつ輪状に並び、内側に退化した仮オシベが3個ある。

果実は液果で、直径8mm程になる。10月過ぎに黒紫色に熟す。

 

2015/5/8

多摩川の河川敷へ向かう途中の公園で、クスノキが小さな花を咲かせていました。

花が咲くのは知っていたのですが、撮影する機会がなく、延び延びになっていました。

この日、ちょうどカメラを持っていたので、撮影できました。

しかし、花までちょっと距離があり、アップでの撮影はできませんでした。

2016/4/14

新葉も、共に伸び出した円錐花序のツボミも、まだまだ初々しい感じです。

2016/4/26

ツボミも大きくなり、一部で開花が始まりましたが、まだ、大半はツボミです。

2016/5/16

ちょっと日が経ってしまったので心配だったのですが、まだ、花は残っていました。

といっても、多くの花は枯れて茶色くなり、白い花を探すのが大変でした。

2015/8/18

クスノキがたくさんの果実を付けていました。球形の果実が鐘型の果床に乗っています。

2015/10/23

他のクスノキでは、果実が黒く熟してたくさん落果していますが、この樹にはその気配がありません。

8月の写真と比較しても、少し緑色が濃くなったように思える程度です。

2015/11/12

そのクスノキの果実ですが、気が付くと濃紫色から黒紫色に熟していました。

その熟すスピードはかなり早く、数週間で熟すようです。


ソシンロウバイ(Chimonanthus praecox Link cv. concolor)

<クスノキ目・ロウバイ科・ロウバイ属>

ロウバイ科ロウバイ属の落葉低木で、中国原産の帰化植物。

日本には、江戸時代の初め頃に渡来したとされている。

樹高は5m程までになる。葉は対生し、尖った長楕円形で、全縁。

花期は1月~2月で、直径2cm程の黄色い花を付ける。香りが強く、蝋細工のような光沢がある。

ロウバイには、ソシンロウバイ、マンゲツロウバイ、トウロウバイなどの栽培品種がある。

よく見かけるのは、花が大きく、花の中心まで黄色いソシンロウバイである。

基本種のロウバイは、花の外周は黄色い花被片だが、中心部が暗紫色になる。

周囲の黄褐色の総苞から、黄色の花被片へと準じ大きくなりながらオシベまで螺旋状に付く。

花の中心部には、8個のオシベ、不完全な仮オシベ、その中心に多数のメシベがある。

雌性先熟で、最初オシベは大きく開き、葯も閉じており、中央のメシベは他からの花粉を受け入れる。

授粉後、オシベが閉じて中心に集まり、葯も裂開して花粉が出始める。

花後、花托蛾大きくなり、長卵形の偽果になる。中には、1cmほどの痩果がたくさん入っている。

偽果の鱗状の模様は、総苞、花被片、オシベが付いていた部分で、頂部には仮オシベが残る。

種子などには、アルカロイドであるカリカンチンを含むため、有毒植物である。

 

2015/4/23

多摩川への途中の公園で見かけたロウバイの偽果です。

花を見ていないので、ロウバイなのか、ソシンロウバイなのか、種類は不明です。

ただ、良く植えられているのはソシンロウバイなので、仮に本種としています。

来年、花を確認して種類を判断したいと思います。 

ロウバイとソシンロウバイの花

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     <ロウバイ>          <ソシンロウバイ>

ロウバイの花は、梅の花と咲く時期も花の形も似ていますが、クスノキ目とバラ目と遠縁の系統です。

ただ、どちらも良い芳香があり、ロウバイの香りは、清涼感のある清々しい香りです。

ロウバイにはいくつか園芸品種があり、花弁が黄色一色のソシンロウバイもその1つです。

マンゲツロウバイは花芯に紫褐色の輪があり、ロウバイの花は小ぶりで、花弁が尖り、花芯が褐色です。

なお、実生で生産されているため、紫褐色の斑紋の入り方などは変異が多く、各々に個性があるようです。


ウマノスズクサ(Aristolochia debilis)

<コショウ目・ウマノスズクサ科・ウマノスズクサ属>

ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属の多年生つる植物で、在来種。

日本では、本州の関東以南から四国、九州、南西諸島で見られるが、数はそう多くはない。

日本以外では、中国に分布している。

蔓性で長さ2~3mになり、全体に無毛である。冬期には地上部は枯れる。

葉は互生し、長さ4~7cmの三角状卵形の粉緑色で全縁。やや厚い紙質である。

先は円頭で、基部は両側が耳状に張りだした心形。葉柄は長さ1~2cm。

花期は7月~9月で、花は葉腋につき、長さ2~4cmの花柄の先に長さ3~4cmの筒状花を付ける。

花弁はなく、3個の萼が合着して花弁状の上に湾曲した筒になり、舷部は広がり、筒の基部が球形になる。

花の外側は黄緑色で、舷部は内側は紫褐色である。筒部の内側には逆毛があり、上端が三角状に長くなる。

メシベ1個は筒の球形の基部にある。オシベ6個は、その下に隠れるように付いている

雌性先熟で、雌性期には筒部の逆毛が長くなり、ハエが入ると出られなくなる。

雄性期には、逆毛が萎縮してハエが出られるようになる。

蒴果は長さ2~6cmの球形~楕円形で、熟すと基部から6裂する。

種子は長さ4~5mmの扁平な卵状三角形で、膜状の翼がある。

 

2013/3/29

昨年、多摩川に行く途中の幹線道路の中央分離帯に咲いていたウマノスズクサが、今年も芽を出しました。

分離帯の植栽、ツツジの葉の間からつるの先端が何本か顔を出しています。

2013/4/12                 2013/4/25

4/12 ウマノスズクサのつるが何十本もニョキニョキと立ち上がって、絡み合っています。

4/25 さすがに自立できなくなり、互いに絡み合ったまま倒れ込んでしまいました。

ほとんど目立つ葉はなかったのですが、葉も開き始めています。

満開のヒラドツツジが、上で絡み合っているウマノスズクサを邪魔そうにしています。

2013/5/7

ウマノスズクサも、かなり葉が大きくなり、夏の姿に近くなってきました。

しかし、まだ、ツボミは確認できません。