ノボタン科・フトモモ科・ミソハギ科・ブナ科・マメ科

フトモモ目

  ノボタン科(シコンノボタン)

  フトモモ科(フェイジョア)

  ミソハギ科(ザクロ、サルスベリ)

ブナ目

  ブナ科(マテバシイ)

マメ目

  マメ科ネムノキ亜科(ネムノキ)

  マメ科マメ亜科(ラッカセイ、フジ)


シコンノボタン(Tibouchina urvilleana)

<フトモモ目・ノボタン科・シコンノボタン属>

ノボタン科シコンノボタン属の常緑低木で、中南米原産。

原産地では常緑ではあるが、日本では冬に落葉する事が多い。

葉は楕円形で対生し、ビロード状に全体が産毛で覆われている。

花は、紫色の大輪で、5花弁。釣り針状の大きなオシベと、小さなオシベがある。

花期は、夏から秋にかけてで、一日花を毎日のように咲かせる。

比較的耐寒性があるので、温度が維持されれば、冬でも花を付ける。

植生として利用されるが、ノボタンと混同されていることがままある。

違いは、小さなオシベの色で、本種は紫色で、ノボタンは黄色である。

2014/8/26

多摩川への途中の公園で見かけ、撮影しました。

以前から、時々公園などで見かける花で、気になっていた花です。

調べてみると、南国原産の低木で、耐寒性があるので植栽として利用されているようです。

紫色の大きな花がたくさん咲き続けるので、見栄えが良いのも理由のようですね。


フェイジョア(Feijoa sellowiana)

<フトモモ目・フトモモ科・フェイジョア属>

フトモモ科フェイジョア属の常緑小高木で、南米が原産の亜熱帯果樹。

樹高は2~7mで、樹皮は灰褐色で、不規則に裂け目が入り、剥がれる。

葉は対生し、長さ3~7cmの楕円形で先は鈍形。葉表は濃緑色で光沢があり、葉裏は綿毛が密生して銀白色。

花期は5月~8月で、茎頂や葉腋の集散花序に数個付き、直径4cm前後の花をつける。

花弁は、内側が赤褐色で外側が白色で分厚く、花弁に糖分を含む。

オシベは長さ15~25mmで、花糸は緋色、葯は黄色。

果実は、長さ3~8cmの楕円状卵形で、緑色~幹どり色。果肉は緑色で芳香がある。

多くの品種では自家受粉できないため、異なるDNAの木を2本以上隣接して植える必要がある。

果実は、自然落果したものを更に追熟させて、生食またはジャムやゼリーなどに加工される。

2013/11/5

多摩川への途中の公園で、植え込みの中にオリーブらしき木が混じっているのに気が付きました。

良く見ると、果実が2個付いています。

ただ、形がオリーブの果実とは異なり、萼片のようなものが残っています。

葉は丸みを帯びて幅広ですが、裏面が白く、オリーブに近いです。しかし、果実と葉のみでは同定できませんでした。

※ 翌春、その花を確認でき、その特徴からフェイジョアと分かりました。

2014/6/3             2014/7/10             2014/7/30

2014/8/20             2014/9/17              2014/10/10

6月に花が咲き、授粉できたものは7月初めには子房がいくぶん膨らんでいました。

7月の下旬には、果実らしい形になり、順調に育っているようです。

9月になると、大きさはあまり変わりませんが、いくぶん膨らんできたようです。

10月に入って、久しぶりに見に行くと、支えきれなくて垂れるほど大きくなっていました。


ザクロ(Punica granatum)

<フトモモ目・ミソハギ科・ザクロ属>

ミソハギ科ザクロ属の落葉小高木で、地中海の東部から北西インドが原産の帰化植物。

ザクロには実ザクロと花を観賞する花ザクロとがあり、朱色の花を開く。

樹高は2~6mで、幹は褐色で不規則に剥がれ、枝には4稜があり、無毛である。

葉は対生し、長さ2~5cmの長楕円形で、基部は楔型、先は鈍形で、全縁である。

葉表には光沢があり、葉柄は長さ2~10mmある。

花期は6月で、花筒は長さ2~3cmで赤橙色~淡黄色のつぼ型。

萼は肉質で光沢があり、先が6浅裂し、三角状で直立する。

花弁は6個あり、長さ1.5~3cmの倒卵形で赤橙色。

花弁の先は円形~鈍形で、薄くてしわがある。オシベは多数ある。

果実は花托の発達したもので、直径5~12cmの球状になり、秋に赤く熟すと外皮が不規則に割れる。

果汁の多い赤く透明な果肉(仮種皮)の粒が無数に入っており、その粒の中心に種子がある。

2013/6/18

多摩川への道路脇で、大きなザクロの木を見かけました。

あまり数は多くありませんが、大きな花をいくつか付けていました。

花弁は時間が経つとピンと伸びるのかと思っていたのですが、しわしわのままだそうです。

そのまますっかり忘れていたのですが、気が付くと、地面に落ちて踏みつぶされた果実がありました。

2014/5/7             2014/5/20             2014/6/4

5/7 ザクロのツボミが大きくなり、開花も近くなっていました。

目玉のように黒いアブラムシが1匹付いていて、ツボミが和金(金魚の一種)のように見えます。

5/20 ザクロの開花が始まりました。分厚い萼片が割れて、花弁が開き始めています。

6/4 シワシワの花弁が開いて、たくさんの黄色い葯が目立ちます。

2014/6/4             2014/6/17             2014/6/23

開花したザクロで、受粉に成功したものは残りますが、多くは落下してしまいます。

残ったものは、徐々に大きくなっていきます。

2014/7/14              2014/7/18             2014/7/18

ザクロもずいぶん大きくなりました。

その中でも、その表面がきれいなものと、黒褐色の斑点がたくさん付いたものがあります。

その黒褐色の斑点ですが、どうやらカメムシに汁を吸われた後のようです。

右の写真では、クサギカメムシが口吻をザクロの表面に突き刺しています。

2014/8/21              2014/9/18             2014/10/10

8/21 カメムシの被害に遭わず、大きく成長したザクロが、ほんのりと赤く色づき始めました。

カメムシに吸汁されたものの中には、委縮して落果したものもあります。

9/18 1ヶ月近く経ちましたが、いくぶん外皮の赤みが強くなった程度で、見た目はあまり変わりません。

10/10 どうかなと思って見に行くと、既にぱっくり割れて、中の果実がポロポロと落ちていました。

ザクロの果皮に、突いたり引っ掻いたような傷跡があるものもありましたので、これを食べる鳥もいるようですね。

2014/9/29              2014/10/10           2014/10/16

これはザクロが割れる様子を継続して撮ったものです。

きれいな外皮に凹みが広がり、茶色く変色して、部分的に腐ったような感じになります。

その凹みがさらに大きくなって、爆ぜるように外皮がパックリと割れていきます。

2014/10/21           2014/10/24

ぱっくり割れたザクロですが、日が経つにつれて大きく開いていきます。


サルスベリ(Lagerstroemia indica)

<フトモモ目・ミソハギ科・サルスベリ属>

ミソハギ科サルスベリ属の落葉中高木で、中国南部原産の帰化植物。

樹高は5~7mで、幹は淡紅紫色で平滑、不規則に薄く剥げ落ち、濃淡のまだら模様が現れる。

葉は対生または互生となり、コクサギ型葉序となることもある。

花期は6月~9月で、枝先に円錐花序を付け、花を密に付ける。

花弁は6個で、筒状の萼は先が6裂する。花弁は細い筒の先に縮れた円形の拡大部が付く。

花色は、紫色、赤紫色、淡紅紫色、白色と変化に富む。

オシベは、外側の6個は花糸が太くて長く、葯は紫色。その内側に30個前後の黄色い葯のオシベがある。

メシベは1個で、果実は円い蒴果(さくか)で、種子には広い翼がある。

2012/7/25

庭木としてよく植えられていますが、独特な花の形と、木肌が特徴的です。

筒状の萼が6つに裂け、そこから縮れた6枚の花弁が出てきます。

この写真の花色は、淡い紅色ですが、白花もあります。

この木の木肌は、古い樹皮が次々と剥がれ落ちて、いつもすべすべしています。

そのため猿も滑って登れないの意味で、猿滑と表記することもあります。

ただ、実際には、猿はいとも簡単に登ってしまうそうです。

2013/7/9                2013/7/10

多摩川への途中の公園で見かけた、濃いピンクのサルスベリの花です。


マテバシイ(Lithocarpus edulis)

<ブナ目・ブナ科・マテバシイ属>

         (雄花)           (雌花序(中央)と雄花序)        (雌花)

ブナ科マテバシイ属の常緑高木で、日本固有種。雌雄同株。

日本では、本州の房総半島の南端、紀伊半島、九州から南西諸島の温暖な沿岸地に分布する。

上記以外の地域で見られるものは、薪炭用に植栽されたものや、そこから逸出したもの。

樹高は10~15mになり、幹は灰黒色で平滑、樹皮に縦の白色の筋が入る。

葉は互生して螺旋状に並び、長さ5~20cmの倒卵状楕円形で、基部が楔型で先は短く尖って、全縁。

葉質は厚い革質で、葉表には光沢があり、葉裏は淡緑褐色。葉柄は長さ1~2.5cm。

雄花序は、新枝の脇から数個が斜上し、雌花序は新枝の上部の葉の脇から斜上する。

雌花序の上部にはしばしば雄花が付いていることがある。

果実は、堅果(ドングリ)で、熟すのに2年を要する。つまり、ひと冬越して、翌年の秋に熟す。

果実は、タンニンをあまり含まないため、アク抜きを必要とせず、そのまま食用になる。

2014/6/3

中央の写真の中程で真っ直ぐ伸びているのは、雌花序です。その周りにあるのは雄花序です。

雌花序の下方に付いてるのは雌花ですが、途中から雄花に変わっています。

そのマテバシイの雄花と雌花を拡大したのが左右の写真です。

2014/5/19              2014/6/4            2014/6/23

2014/7/10               2014/7/18            2014/7/30

2014/8/21              2014/8/27             2014/9/1

2014/9/17               2014/9/25                2014/9/29

昨年、受粉したドングリも、6月の初旬までは殻斗から先端が覗いているだけの状態でした。

今年の花も終わった6月下旬になると、殻斗を押し開いてドングリが顔を出していました。

7月にはいると、大きいものは、良く見かけるドングリの形に成長しています。

成長にかなりばらつきがあるようで、まだ、昨年からあまり変わっていないものもあります。

8月も下旬が近づくと、成長したドングリの先端が、黄緑色からドングリの茶褐色に変わり始めました。

9月の声を聞くと、ドングリもすっかり色づき、落果が始まっていました。

9月も下旬になると、かなりのドングリが落果してしまいました。

そのため、いつも撮っていたドングリも花序ごと落果してしまっていました。

落果していた花序と周りに落ちていたドングリを後日撮影したものです。

その近くには、今年の春に受粉し、来年、ドングリに成長する雌花を付けた花序が立っていました。

2014/9/28

マテバシイのドングリは、アクが少ないのでそのままでも食べられるそうです。

ただ、味がほとんどしないとのことなので、グラッセにしてみることにしました。

小さいので殻をむくのが大変でしたが、薄皮は簡単に剥けました。

それをクッキングペーパーで包み、糸で1個づつ括って、90分じっくり煮ます。

その後、砂糖を足しながら、1週間かけて作ったのが写真のものです。

少々固めでしたが、二回りほど膨らんで、おいしくいただきました。

味は、当然かもしれませんが、マロングラッセに近いと思います。


ネムノキ(Albizia julibrissin Durazz.)

<マメ目・マメ科・ネムノキ亜科・ネムノキ連・ネムノキ属>

マメ科ネムノキ属の落葉高木で、在来種。

日本では、本州から四国、九州に、海外では、朝鮮半島から中国に分布する。

樹高は6~10mで、幹は灰褐色で皮目が目立つ。

葉は互生し、長さ20~30cmの2回偶数羽状複葉で、葉裏は粉白色で軟毛が生える。

小葉は左右不対称で包丁のような形をしており、夜になると小葉は閉じる。

花期は6月~7月で、小枝の先端に淡紅色の花を数十個からなる花序を付け、夕方に開花する。

花は、花弁が7~8mmと小さく、基部が合着している。

花糸が長さ3~4cmと長いオシベを多数付け、花糸の中程から先が紅色になって、房のようになる。

果実は豆果で、長さ10~15cmの広線形で、細長くて扁平である。

褐色に熟して、下側の線に沿って裂開し、長さ5~9mmで扁平な楕円形の褐色の種子が出てくる

2013/7/5

多摩川への道路脇の民家から突き出して咲いているネムノキを見かけました。

まだ、木が小さいためか、花序の花数が少なく、固まって咲いていると丸い1つの花のように見えます。


ラッカセイ(Arachis hypogaea)

<マメ目・マメ科・マメ亜科・ツルサイカチ連・ラッカセイ属>

マメ科ラッカセイ属の一年草で、南米原産の移入種。

16世紀に、世界中に栽培が広がったとされている。

花が落ちるようにして地中で実を生むというのが、落花生(らっかせい)の名前の由来です。

日本へは江戸時代に中国から入ってきたので、別名がナンキンマメとなっている。

草丈は25~50cmで、茎は根元で分枝して横に這い、四方に広がる。

葉は互生し、2対の小葉からなる偶数羽状複葉で、小葉は倒卵形。

花期は6月~7月で、葉腋に直径1cm前後の黄色い無柄の蝶形花を付ける。

花の下の花柄状のものは、萼筒が長く伸びたものである。

上方に萼、花弁、オシベがあり、萼筒の基部に1個の子房がある。

花が咲く前に自家受粉し、受粉後、数日経つと子房柄が下方に伸びて地中に潜り込む。

地中に潜り込んだ子房が、徐々に肥大して網状の凹凸のある莢となり、中に普通は2個の種子ができる。

2012/9/3

多摩川に行く途中の道端で、栽培されているのを見かけました。

野草ではないのですが、その花を間近で見ることは少ないので撮影しました。

お昼頃にはしぼみ始めてしまいますので、開いているところを撮影できたのはこの日が初めてです。

花のある所から、下の方に茶色の根のようなものが下に伸びているのが分かると思います。

これが地中に刺さって、その先によく見るラッカセイの殻ができます。


フジ(Wisteria floribunda)

<マメ目・マメ科・マメ亜科・フジ連・フジ属>


日本の固有種で、本州から四国、九州に分布し、山野に普通に見られる。

公園などで植栽として利用される場合は、藤棚を作って這わせることが多い。

別名、ノダフジ(野田藤)ともいう。

ツルの巻き方は右巻(上から見て時計回り)で、ヤマフジの左巻とは真逆。

4月から5月にかけて咲き、花序は長く、20cmから長いものでは80cmに達する。

夏になると新しい枝先から、また、少し花が咲くことがある。

2014/7/24

多摩川へのいつもの道路より少し離れた公園で、季節外れのフジの花が咲いているのに気が付きました。

花序の数は、数個と少ないのですが、春先と変わらない薄紫の花を咲かせています。

夏に新枝に花が付くことがあるようですが、見たのは初めてです。

花の横には、春に咲いた花の果実がぶらぶらと下がっていました。

2015/8/5

右巻きか左巻きか記憶が曖昧だったので、改めて確認したものです。

間違いなく、上から見て右巻きでしたので、本種で間違いはありません。

なお、奥に見える巻いていないのは、ブドウの木です。この棚にはフジとブドウが同居しています。