オオキノコムシ科・テントウムシ科・ジョウカイボン科

コウチュウ目・カブトムシ亜目

 ヒラタムシ上科オオキノコムシ科(ズグロホソオオキノコ)

 ヒラタムシ上科テントウムシ科(ダンダラテントウ、ナナホシテントウ、ナミテントウ、ニジュウヤホシテントウ)

 ホタル上科ジョウカイボン科(セボシジョウカイ)


ズグロホソオオキノコ(Dacne zonaria)

<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ上科・オオキノコムシ科・オオキノコムシ亜科>

オオキノコムシ科オオキノコムシ亜科に属する甲虫で、在来種。

日本では、北海道から本州、四国、九州、対馬とほぼ全国に分布している。

極普通に見られる種類で、体長は3mm前後と小さい。

前翅の肩部から緩く曲がりながら斜めに伸びる赤い斑紋があるが、中央手前で止まりつながらない。

2013/7/10

多摩川への途中にある公園で白いキノコが目に止まり、撮影しました。

後になって、写真を拡大したときに本種に気付きました。

右の写真のどこにいるか分かりますか?右のキノコの間にある滲みのようなものがそうです。

本種を撮ったものではないので、ピンボケ気味ですが、赤い斑紋が見えています。


ダンダラテントウ(Cheilomenes sexmaculata)

<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ上科・

        テントウムシ科・テントウムシ亜科・テントウムシ族・ダンダラテントウ属>

テントウムシ科ダンダラテントウ属の昆虫で、在来種。

日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布している。

海外では、中国、東南アジア、インド、アフガニスタン、ニューギニア、ポリネシア、ミクロネシアに分布している。

体長は5mmほどで、ナミテントウよりやや小型のテントウムシ。

翅は、黒い下地に赤い斑紋が4つあるが、その変異も多く、ナミテントウの4紋型と混同されやすい。

北の方に生息するものは黒い部分が多く、南にいくほど赤い部分が多くなり、ナミテントウとは逆の分布。

幼虫も成虫もアブラムシを餌としているので、益虫である。

2013/10/11

多摩川への途中にある公園で、キバナコスモスをうろうろしている小振りのテントウムシを見つけました。

よく見るとうっすらと赤い紋が前翅の前縁付近にあり、後縁にも見る角度によって斑紋らしきものが見えます。

ただ、ナミテントウとは紋様の付き方が違うように思え、取りあえず写真を撮って後で確認する事にしました。

後で、調べて、赤い紋様の特徴からダンダラテントウと判明しました。

始めて聞く名前です。調べていて、テントウムシにもいろいろな種類がいると改めて認識させられました。

2013/10/17           2013/10/17           2014/9/30

2013/10/17 多摩川からの帰り道、道端のヨモギの葉の上でダンダラテントウを見かけました。

前回の個体と比べ、赤の紋様が明瞭で、ダンダラテントウの特徴がよく出ている個体です。

ナミテントウとは赤い斑紋の位置がかなり違うことが分かると思います。

2014/9/30 多摩川の川縁で、カナムグラの葉の上でダンダラテントウを見かけました。

途中の公園などでは、ときどき見かけますが、河川敷では初めて確認しました。

※ ダンダラテントウの紋様には、下記のように変異が見られますが、ナミテントウほどではありません。

ダンダラテントウの赤い斑紋の変異

自宅近辺で見かけたダンダラテントウの赤い斑紋の変異です。。

見かけたのは黒色部の多いタイプのみですが、背部後方の斑紋は消失したものもあります。

しかし、頭部側の斑紋は変異はありますが、消失したものは見られませんでした。


ナナホシテントウ(Coccinella septempunctata)

<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ上科・

        テントウムシ科・テントウムシ亜科・テントウムシ族・ナナホシテントウ属

2013/3/11             2013/3/11             2013/3/19

テントウムシ科の昆虫で、在来種。赤色の前翅に7つの黒紋があり、これが和名の由来。

日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。

世界的には、アジア、ヨーロッパ、北アフリカと広く分布している。

体長は8㎜前後で、ほぼ円形に近く、背面は半球状に盛り上がり、腹部下面はほぼ扁平。

頭部、胸部は黒色で、胸部の左右に淡黄色の斑紋、頭部にもいくつかの横斑がある。

前翅は、赤いものと黄色味を帯びたものがあり、大きさに変異はあるが黒斑が4個ある。

なお、前翅を閉じたとき、前翅の基部近くにある黒斑はつながって1つになり、全体で7つに見える。

幼虫も成虫もアブラムシを餌としているので、益虫であり、天敵としての利用も研究されている。

 

多摩川の土手で、草の上を這っているナナホシテントウをみつけました。

日本では、もっともよく見かけるテントウムシの1つですが、ここで見かけたのは初めてです。

河川敷では、アブラムシを見たことがないので、テントウムシ類はあまりいないのかもしれません。

2013/5/21

この日、ナナホシテントウの幼虫、蛹、成虫を見つけました。

幼虫の斑紋は、成虫とは逆で、黒地に橙色の斑点が頭部近くに4つ、腹部に8つあります。

蛹の方は、成虫とほぼ同じで、橙色の地に黒い斑点が見られます。

多摩川の土手でもしっかりと繁殖していたんですね。

2014/4/25

多摩川の土手を散歩中、ナナホシテントウのカップルに出会いました。

交尾中にも関わらず、かなり忙しなく茎の上をあちらこちらに移動し、じっとしてくれません。

そのため、なかなかピントを合わせ切れず、撮影にてこずりました。

2016/4/26

多摩川の土手を歩いていると、黄色いものが目に止まりました。

何だろうと良く見ると、まだ、脱皮して間もない小さな蛹でした。

辛うじて色の濃い斑紋が見え、それを手がかりに調べた結果、本種としました。

それにしても、上の時間の経った蛹とは、ずいぶんと模様が異なります。

右の写真は、葉に触った時、威嚇なのか体を起してもぞもぞと動いた時のものです。

テントウムシの幼虫とサナギ

ナナホシテントウ、ナミテントウ、ダンダラテントウの幼虫とサナギです。

ナナホシテントウとナミテントウは、背中のオレンジ色の斑紋の並び方の違いで容易に判別できます。

蛹になると変異があり、ナナホシテントウとナミテントウには紛らわしいものもあります。

ダンダラテントウの斑紋の色は、淡いベージュ色で、他の2種とは色が異なります。

この色は蛹でも同じで、黒と淡いベージュ色なので、この3種での比較では判別は容易です。


ナミテントウ(Harmonia axyridis)

<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ上科・

        テントウムシ科・テントウムシ亜科・テントウムシ族・ナミテントウ属

テントウムシ科の昆虫で、在来種。斑紋に変異が多いのが特徴。

日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。

世界的には、朝鮮半島から中国、シベリア、サハリンに分布している。

体長は8㎜前後でほぼ円形に近く、背面は半球状に盛り上がり、腹部下面はほぼ扁平。

ナミテントウの上翅の模様は変化に富み、同じ種類とは思えないくらい変異がある。

模様は、黒地に赤い紋が2つある「二紋型」、紋が4つの「四紋型」、多数ある「斑型」、

赤地に黒の斑がある「紅型」の4つが基本形である。

この四つの基本形に対応した斑紋遺伝子があり、その組み合わせで模様が決まる。

ちなみに、「二紋型」や「四紋型」は九州方面に、「紅型」は北海道や東北地方に多い。

幼虫も成虫もアブラムシを餌としているので、益虫である。

2013/5/29

多摩川の土手で、草の上を這っているナミテントウをみつけました。

日本では、ナナホシテントウより多いと言われていますが、ここで見たのは初めてです。

ナミテントウの上翅の模様は変化に富み、同じ種類とは思えないくらい変異があります。

この写真のものは「二紋型」と呼ばれる黒地に赤い紋(といってもオレンジ色ですが)が2つあるタイプです。

これ以外に、紋が4つの「四紋型」、多数ある「斑型」、赤地に黒の斑がある「紅型」があります。

この四型が基本形で、各々に対応した斑紋遺伝子があり、その組み合わせで模様が決まるそうです。

2013/5/21

ナナホシテントウの幼虫を見かけたこの日、少し離れた場所で、ナミテントウの幼虫も見かけました。

体色が黒地に橙色の斑点という所は同じですが、斑点が一列に5つ並んでいます。

2013/6/12

多摩川の土手で見かけるナミテントウは、二紋型ばかりです。

ただ、今日、見かけたナミテントウの紋には凹みがあり、変形二紋型と呼ばれています。

ナミテントウは、2つの斑紋遺伝子を持ち、二紋型と紅型の遺伝子を持つものが変形二紋型になるようです。

つまり、2つの斑紋遺伝子の黒い部分が赤い部分を覆うような模様になるため、

大部分は二紋型になりますが、二紋型の赤い部分に紅型の黒い紋が重なって凹み模様になるようです。

そのため、主な4つの斑紋遺伝子の組み合わせだけでも相当なバリエーションがあることになります。

2013/6/25                 2013/7/2               2013/9/6

6/25 多摩川の土手で見かけた、斑紋の色が赤ではなく、オレンジ色の個体です。

7/2 多摩川へ行く途中の公園で、トウネズミモチで見かけた四紋型の個体です。

9/6 多摩川の河川敷で、イタドリの花にいたナミテントウです。

二紋型ですが、赤い紋の部分に二ヶ所、黒い紋が入りこんでいました。

2013/9/11        2013/10/10              2014/5/27

9/11 河川敷の川縁で、カナムグラの葉にいた紅型のナミテントウです。

ナナホシテントウよりも黒斑の数は多く、ニジュウヤホシテントウと異なり翅に光沢があります。

10/10 河川敷の川縁で、枯れたイタドリの花穂でウロウロしていた紅型です。

5/27 多摩川の土手で、ギシギシに多くのテントウムシが集まっていました。

その中にいた紅型ですが、今まで見かけたものより黒斑が一回り大きいです。

2014/5/27                2014/5/28                 2014/5/28

5/27 多摩川の土手のギシギシで見かけた二紋型?のナミテントウです。

二紋型と紅型の組み合わせではないかと思いますが、紋が3つに分かれてしまっています。

5/28 この日は交尾中のカップルが何組かいました。

二紋型のカップルと、二紋型と紅型のカップルです。

ナミテントウの模様の変異を分かりやすくするために並べてみました。

ナミテントウの上翅の模様には、下記の4つの基本形があります。

・黒地に赤い紋が2つある「二紋型」

・黒地に赤い紋が4つの「四紋型」

・黒地に赤い紋が多数ある「斑型」

・赤地に黒の斑紋がある「紅型」

この四つの基本形に対応した斑紋遺伝子があり、その組み合わせで模様が決まるそうです。

純粋な二紋型や4紋型の斑紋は凹みなどはありませんが、紅型との組み合わせでは変形型になります。

黒色が優性になるようなので、紅型の黒い斑紋が二紋型や四紋型の斑紋の凹みとなって現れます。

また、よく似た模様のダンダラテントウも併せて並べてみました。


ニジュウヤホシテントウ(Henosepilachna vigintioctopunctata)

<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ヒラタムシ上科・テントウムシ科・マダラテントウムシ亜科・マダラテントウ族・マダラテントウ属

テントウムシ科マダラテントウ属の昆虫で、在来種。

日本では、本州、四国、九州、沖縄に分布している。

黄褐色~黄赤褐色に多数の黒紋があり、ベージュの短毛が覆っているので、くすんで見える。

テントウムシ科のうちマダラテントウ亜科のみが草食で、他は肉食である。

本種は、ナス科の直物を食害するため、害虫として嫌われている。

その食痕は特徴的で、葉の表面を表皮を残して食べるのですが、棚田の様な模様になる。

幼虫も成虫も同じような食べ方をする。なお、幼虫にはイラガの幼虫のような棘が全体にある。

ニジュウヤホシテントウでは、棘の色は白いが、棘が黒いのはオオニジュウヤホシテントウである。

本種は、関東以南でよく見られ、関東以北ではよく似たオオニジュウヤホシテントウが多くなる。

※ ニジュウヤホシテントウは、「二十八星瓢虫」と書き、黒紋の多さを表している。

2012/5/8

多摩川への道路脇で、葉がボロボロに食い荒らされているのに気が付きました。

よく見るとニジュウヤホシテントウが多数付いて、ほとんどの葉が食べつくされていました。

それにしても見事な食べっぷりで、残った葉脈が芸術的ですね。

後で、写真をよく見ると黒い紋用の大きさが異なる個体が交じっていました。

オオニジュウヤホシテントウと混じっているのかと思ったのですが、その他の特徴から個体差と判断しました。

2014/6/19

以前、ニジュウヤホシテントウが群がっていた所で、同じ食痕を見つけました。

何度見ても、芸術的な食べ方をしますね。実に見事というほかありません。何となく、棚田を思い起こさせますね。

良く見ると、食べていたのは成虫ではなく、幼虫の方でした。大きさからいって、終齢虫のようです。

体にイラガの幼虫のような棘を持っており、毒はないと思っても、触るのはためらってしまいます。

その棘の色ですが、葉裏のものは分かりにくいですが、光が当っている写真では白く見えるので、本種としました。

※ 棘の色が黒いのは、オオニジュウヤホシテントウになるようです。


セボシジョウカイ(Lycocerus vitellinus)

<コウチュウ目・カブトムシ亜目・ホタル上科・

        ジョウカイボン科・ジョウカイボン亜科・ジョウカイボン族・ジョウカイボン属

ジョウカイボン科ジョウカイボン属の甲虫で、在来種。

日本では、本州から四国、九州、屋久島、対馬に分布している。

出現時期は4月~8月で、体長は9~11mmである。

ジョウカイボン科の体型はカミキリムシに良く似ているが、前翅が柔らかいので触れば区別できる。

体色は黄色~橙黄色で、頭部と前胸背板に黒色斑があるが、斑紋がないものもいる。

後胸や腹部腹板の大半は黒色をしており、前胸中央がやや凹んで後方が左右少し張り出す。

前翅には数本の弱い隆起が見られ、黄色い毛が散生する。

平地の樹木の下や葉上でよく見られ、成虫、幼虫とも他の昆虫を捕えて食べる肉食である。

しかし、成虫は訪花して花粉や花蜜も食べる。幼虫で越冬する。

2014/4/22

多摩川の土手で、見事に咲きそろったノジシャを接写しました。

その時には全く気付かなかったのですが、後で写真を整理していて本種が写っていることに気付きました。

その中で、本種が比較的ピンボケにならずに撮れていたのがこの写真です。

本種を撮ったものではないので、一部隠れたりしており、同定するには不向きな写真です。

最初、ジョウカイボンかと思ったのですが、脚の色が黄色(ジョウカイボンは黒褐色)です。

体色が褐色なのですが、日蔭ではこのような色にも見えるため、脚の色、前胸背面の黒斑から、本種としました。

ただ、頭部が良く見えていないので、間違っている可能性もあります。