エゴノキ科・サクラソウ科・ツバキ科

ツツジ目

  エゴノキ科(エゴノキ)

  サクラソウ科(アカバナルリハコベ、マンリョウ)

  ツバキ科(サザンカ)


エゴノキ(Styrax japonica)

<ツツジ目・エゴノキ科・エゴノキ属>

2012/3/11                 2014/5/30

エゴノキ科エゴノキ属の落葉小高木で、在来種。

日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄まで全国の雑木林で見られる。

和名は、果実を口にするとえぐい(えごい)ことに由来する。

花期は5月で、新枝の先端に白い花を房状に多数付け、花は下向きに咲き、芳香がある。

花には数cmの花柄があり、花冠は5深裂してあまり開かない。

オシベは10本あり、その中央からメシベが1本飛び出している。

果実は、長さが2cmほどまでになり、熟すと果皮が破けて褐色の種子が露出する。

 

公園などでよく見かけるエゴノキ、多摩川への道路脇の公園にもあります。

3月には、枝先に固まって白い花を多数付け、近くを通ると花の香りが匂ってきました。

5月には、花後、メシベを残したまま、子房が大きくなり始めていました。

2014/6/19

6月には、果実も大きくなっていました。

しかし、日当たりの加減か、木によって成長度合いに差があります。

2014/8/26

8月に見に行くと、一部の果実では、種子が露出したり、落果していました。

良く見ると、果皮が引きちぎられたようになっており、花柄にも傷の様なものがあります。

まだ、きれいな果実も残っていますので、鳥に突かれたのかもしれませんね。

2014/9/1             2014/9/17             2014/10/10

日陰で成長が遅いエゴノキがあったので、改めて果実の様子を見てみることにしました。

9月中はほとんど変化がなかったのですが、10月になって見に行くと、はじけて種子が落下していました。

2014/10/10

直ぐ上の果実がちょうどはじけて、種子が飛び出していましたのでアップで撮ってみました。

果実の外皮が縦に裂けて丸く縮むと、種子が押し出されるようになり、ポロリと落ちるようです。


アカバナルリハコベ(Anagallis arvensis f. arvensis)

<ツツジ目・サクラソウ科・ルリハコベ属>

サクラソウ科ルリハコベ属の1年草で、日本では北海道から本州、四国、九州に分布する。

神奈川県内では、本種の記録は他でもあるようであるが、ルリハコベは見つかっていないようである。

ヨーロッパでは地中海沿岸にルリハコベが多く、北に行くに従い本種が増えるとのこと。

日本でも、ルリハコベは暖地の沿岸部を好み、紀伊半島、四国、九州等に自生しており、

一方、本種は、日本でも北の方が多くなるようである。

海外では、ヨーロッパ、アジア、アフリカに自生しており、熱帯、亜熱帯に広く帰化している。

ルリハコベの母種とされている。

海岸近くのやや乾燥した草地に生え、草丈は20cm前後で、よく分枝して横に広がる。

上部の葉腋から花柄を出し、直径10mmに満たない橙色の花をつける。

花冠は深く五裂し、下部は筒状に一体化している。オシベの葯は黄色いので目立つ。

果実は球形で、最初、葉の下に隠れるように垂れ下るが、熟すとともに上向きに起き上がってくる。

2013/7/2

多摩川への道路脇で、1株だけ、本種が花を付けているのを見かけました。

小さな花ですが、朱色の花色なので、結構注意を引きます。 


マンリョウ(Ardisia crenata Sims)

<ツツジ目・サクラソウ科・ヤブコウジ属>

サクラソウ科・ヤブコウジ属の常緑小低木で、在来種。

日本では、本州の関東以南、四国、九州に自生する。

日本以外では、朝鮮半島から中国、台湾、インド、インドシナ半島に分布する。

6~7月に散状花序を出し、やや下垂したソバカスのある白い花を開く。

11月頃に紅く熟し、その果実が美しいので栽培され、正月の縁起物とされる。

赤く熟した果実は、そのまま越冬し、翌年の4月頃まで見られる。

なお、栽培品種には白や黄色の果実もある。

2013/7/9

多摩川への道路脇の民家の植栽の下で、マンリョウが白い花を咲かせていました。

赤い果実は良く見かけますが、花を見るのは初めてです。

花弁は白く5深裂し、5個の黄色いオシベとその中央にメシベが1本、チョロっと出ています。

花弁にも雄しべにも黒褐色の斑点が、ソバカスのように散在しています。

その花の脇で、昨年に結実した真っ赤な果実がまだ、残っていました。

2013/9/2

今年になって結実した未成熟な果実が、かなり大きくなっていました。

その果実にも、暗褐色の斑点が、点々と付いています。


サザンカ(Camellia sasanqua)

<ツツジ目・ツバキ科・ツバキ属>

2014/3/19             2014/4/23             2014/5/9

ツバキ科ツバキ属の常緑高木で、日本固有種。

日本では山口県、四国南部から九州中南部、南西諸島等に自然分布する。

海外では、台湾、中国、インドネシアなどに分布する。

樹高は2~5mほどで、幹は灰褐色で平滑。葉は互生し、長楕円形で長さは5㎝前後。

葉は固く、両面とも光沢があって、主脈と葉柄には短毛がある。鋸歯は細かく鋭い。

花期は10~12月で、花の直径は7cm前後で、花柄は極短い。花弁は6個前後で平開する。

オシベは基部は合着しているが、ツバキのように筒状にはならない。

野生種の花色は白であるが、栽培品種には赤、白、ピンクなどさなざまな花色がある。

ツバキは、花が丸ごと落花するが、サザンカは花弁が1枚ずつ落ち、オシベはその後に落ちる。

 

3/19 オシベごとボトッと落ちてしまうツバキと異なり、サザンカはオシベが枯れ残っています。

4/23 多くの花の中で、受粉に成功したものは、産毛に覆われた種子が大きくなってきました。

5/9 種子の中には、メシベが残っているものも、すっかり無くなってしまったものもあります。

2014/7/10             2014/7/18             2014/8/21

7/10 7月に入ると、サザンカの果実も大きくなり、果実の上部の産毛が無くなって、光沢が出てきました。

7/18 1週間ほどたった時、チャバネアオカメムシが吸汁していました。

その1週間後、果実が黒っぽく変色していましたので、触るとポロリと落果してしまいました。

チャバネアオカメムの食害で、委縮してしまったようです。

8/21 食害を受けなかったものは、順調に成長しているようです。

2014/9/17             2014/10/10           2014/10/10

9/17 1ヶ月弱経過しました。大きさはほとんど変わりませんが、赤みが強くなっていました。

10/10 10月になって気が付くと、果実が裂開して種子は落ちていました。

直ぐ横には、裂開途中で種子が付いた状態の果実もありました。

2014/10/14           2015/10/22             2015/10/22

2014/10/14 サザンカの果実は、最初に外皮の1つが裂開するようです。

2015/10/22 その後、残りの2つの外皮が裂開して、種子が現れます。

種子は、アームのようなものに付いていますが、そこから外れて落果します。

種子の向きによっては、うまく落下しないようで、この写真のように残ってしまいます。

しかし、この種子も風などで枝が揺れれば、下に落ちるでしょう。

2014/10/15

サザンカの果実ですが、その裂開する様子を推測してみました。

最初に外皮の1つが裂開するようですが、その内側に種子に付いたアームの様なものがあります。

続いて、残りの2つの外皮が裂開して、種子が現れます。

完全に裂開後、アーム状のものが乾燥によって種子を釣り上げるのかもしれません。

種子に触ると、ポロリとアームから離れて落下しました。

種子には、アーム状のものとつながっていた部分(白っぽい部分)と、数個の凹みがありました。

アーム状のものにも、つながっていた部分と、凹みと一致する黒いものが付いていました。

下段はその部分を拡大したものです。

アームの表面の小さな黒点ではなく、裏側から上下に突き出している黒い部分です。

この黒い部分と、種子の白い部分の上部左右の凹んでいる部分が一致するようです。