イネ目
イグサ科(クサイ、スズメノヤリ)
イネ科(スズメノカタビラ、カモガヤ、カラスムギ、コバンソウ、ヒメコバンソウ、スズメノテッポウ、
ホソムギ、ネズミムギ、ホソネズミムギ[ホソネズミムギ]、ハルガヤ、イヌムギ、ノゲイヌムギ、チガヤ)
クサイ(Juncus tenuis)
<イネ目・イグサ科・イグサ属>
イグサ科イグサ属の多年草で、自生種。
日本では、北海道から、本州、四国、九州と全国に分布する。
世界的にも北アメリカやユーラシア大陸などに広く分布している。
人の踏み跡などによく生え、細長い葉のあるイグサというのが、草藺の名の由来。
草丈は30~50cmで、茎は細い糸状。踏みつけに強い。
葉の基部は葉鞘となって茎を抱く。葉鞘の縁に灰白色の薄膜状の耳状突起(葉耳)がある。
花期は6月~9月で、茎の先に集散花序をつける。
数個の苞葉を出し、最下の苞葉は花序より長くなる。
花被片は長さ4mm前後で6個あり、縁が白い膜質で、先が鋭く尖って平開する。
オシベも6個ある。花後も花被片は残り、朔果は花被片と同長かそれ以下である。
種子は長さ0.4mmほどで表面に粘液があり、朔果に付着して残っていることがある。
2013/5/23
多摩川への道路脇に少し固まって生えていました。
草丈が20~30cm程で、カヤツリグサの仲間に見えたのですが、イグサの仲間でした。
既に、花の時期は過ぎていたようで、果実ができていました。
スズメノヤリ(Luzula capitata)
<イネ目・イグサ科・スズメノヤリ属>
イグサ科スズメノヤリ属の多年草で、自生種。
日本では、北海道から、本州、四国、九州と全国に分布する。
イグサ科ではあるが、見た目はイグサというより、イネ科の植物に似ている。
短い茎は地上のは出ず、根生葉のみが地表に出て、伸びる。
3月頃に20cm前後の花茎を伸ばし、その先端に花が集まった頭花を多くは1個付ける。
花被片は赤褐色で、それより短い花糸のオシベが6個あり、大きめの葯が目立つ。
頭花は、最初にメシベが成熟し、その後、オシベの葯が伸びてくる。果実はさく果で、黒褐色。
2014/4/10
多摩川への道路脇の草原で、以前から気になっていたスズメノヤリが開花していました。
昨年も、気が付くと結実した状態になっていて、花を見ることができませんでした。
今年は、気が付いた時、まだ、頭花に黄色いものが見えていました。
2015/3/31 2015/4/10 2015/4/10
昨年は、撮影タイミングが遅く、咲いている個体が少なかったのですが、今年は開花が遅めです。
同じ日の撮影ですが、まだ、未開花のものもたくさん残っていました。
2015/4/16
中の2枚の写真は部分拡大ですが、左下に伸びている淡黄色の糸状のものがメシベの柱頭です。
既に雌性期は過ぎて、赤褐色の花被片は大きく開き、メシベは萎びて3裂した柱頭が1本のようになっています。
その基部に見える淡黄色の丸いものが子房で、その周りの赤褐色の花被片の前にある黄色いものがオシベです。
メシベが受粉すると、このオシベが伸び出してきます。中央右寄りの花では、花粉が花被片に付いています。
左の写真は、結実後の頭花の様子で、花被片の中に茶褐色の果実が見えています。
まだ、未成熟なため、果実の先に枯れたメシベが残っているものがあります。
成熟すると裂開し、中から3個の種子がでてきます。
スズメノカタビラ(Poa annua L.)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・イチゴツナギ連・イチゴツナギ属>
イネ科ナガハグサ属の1年草か越年草で、在来種。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで広く分布している。
海外では、極地近辺以外の全世界に分布している。
草丈は10~30cmで、茎は直立か斜上して叢生し、倒伏せず、節からの発根も少ない。
葉は、長さ4~10cmの線形で、先は急に細くなって尖る。
花期は3月~11月で、春に多いが、秋まで咲き続ける。
花序は長さ3~8cmの円錐花序で、各節に花序枝が双生して開出し、花序枝は平滑である。
小穂は長さ3~5mmの惰円形で、2~5個の小花からなり、紫色を帯びることもある。
苞頴は菱形に近い形状で、第2苞頴が第1苞頴より大きい。
護穎は膜質で長さ3mm前後、護頴の中側脈の軟毛が多い。内穎は3mm弱で護頴よりやや小さい。
オシベは3個で、葯は淡黄色。花柱は2個である。
よく似たアオスズメノカタビラ(学名は未確定)との識別点は、
・アオスズメノカタビラの葉は青色味を帯びた緑色で、スズメノカタビラは黄色味を帯びる
・護頴の中側脈の毛が少ないのがアオスズメノカタビラで、多いのがスズメノカタビラ
・葯の長さがアオスズメノカタビラは0.7mm以上で、スズメノカタビラはそれ以下
2013/3/6
多摩川の道端で見かけたものです。
日本国内では、極普通に見られる雑草の1つですが、多摩川の河川敷では未確認です。
草丈は10~20cm程と小柄なこともあり、背の高い草が多い河川敷では生育が難しいのかもしれません。
2014/3/17 2014/3/19
今まであまり気にしていませんでしたが、スズメノカタビラはあちらこちらで見かけます。
今回、他の野草の写真を撮っていて、それに気が付きました。結構、ポピュラーな存在だったようです。
なかには、小穂の先がピンク色になった個体もありました。
なお、葯の長さなどは未確認ですので、アオスズメノカタビラの可能性もあります。
カモガヤ(Dactylis glomerata)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・イチゴツナギ連・カモガヤ属>
イネ科カモガヤ属の多年草で、ユーラシア原産の帰化植物。
日本では北海道から四国、九州に広く分布している。
海外でもアフリカ、アジア、南北アメリカ、オセアニアと広範囲に移入分布する。
日本では牧草として移入され、野生化して広がった。
草丈は大きいものでは1mを超える。根茎は短く、茎は叢生して、全体に無毛で平滑。
根生葉は、長さ50cm前後で、粉白色を帯びて柔らかく、中央脈は高く隆起する。
花期は、6月~8月で、長さ20cm程の円錐形の花序を出す。
小穂は長さ10㎜程の扁平な楕円形で、毛と短い芒があり、3~6個の小花からなる。
なお、イネ科の花粉症の中でも、カモガヤはその代表格とのこと。
スギ花粉症の方の半分は、カモガヤの花粉症になると言われており、要注意植物です。
2013/5/7
多摩川の河川敷で、カラスムギやネズミムギなどに交じって、所々で見かけます。
多数の小穂が密に付いているので、ボテっとしており、ネズミムギなどとは見た目が異なるので目立ちます。
2103/5/8
昨日より小穂が開いているカモガヤを見つけました。
小穂の色が淡紫色になって、薄黄色の葯が顔をのぞかせているものもありました。
2103/5/21
河川敷で大きく小穂を開き、葯が風に揺られているカモガヤを見かけました。
たまたま、接写用のカメラを持っていたのでアップで撮ってみました。
カラスムギ(Avena fatua)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・イチゴツナギ連・カラスムギ属>
イネ科カラスムギ属の1年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物で史前帰化植物とされている。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
世界的には、南北アメリカ、アフリカ、アジア、オセアニアと広範囲に移入分布している。
草丈は20~100cmで、茎は直立して叢生し、葉は無毛で長さ10~20cmになる。
花期は5月~7月で、長さ10~20cmの疎らな円錐花序を出す。
小穂は長さ20~25mmで、2~3個の小花からなる。
苞頴は長さ20~25mm、護頴は黄褐色~暗褐色で長毛があり、芒を護衛の背面に付ける。
小穂からは小花の数だけ芒(途中で曲がり、下部は黒化色で捻じれ、上部は黄色)が長く突き出る。
果実は長さ7mm前後の長楕円形で、淡黄褐色の毛が密生する。
イネ科カラスムギ属の1年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布している。
世界的には、南北アメリカ、アフリカ、アジア、オセアニアと広範囲に移入分布している。
2013/5/7
多摩川の河原や土手の則面などで、あちらこちらに群生して、この時期の主役の1つです。
大きめの小穂がまばらにぶら下がっている様は、独特の形をしているので分かりやすいですね。
1つの小穂は、数個の小花で構成されており、小花には暗褐色の長い芒が付いています。
2013/5/31
多摩川の河原や土手のカラスムギもすっかり枯れてしまい、茶色くなった小穂が風に揺れています。
小穂には脱落し損ねた穎果(えいか:イネ科の果実)が残っており、真っ直ぐだった芒が屈曲しています。
この芒の屈曲は乾燥によって起き、湿ると真っ直ぐになるため、乾湿によって屈曲を繰り返します。
この屈曲運動が、地上に落ちた穎果では、穎果が発芽しやすい状況を作るのに役立っているそうです。
コバンソウ(Briza maxima Linnaeus)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科 ・イチゴツナギ連・コバンソウ属>
イネ科コバンソウ属の1年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。明治時代に観賞用に輸入された。
ヨーロッパから南北アメリカ、アフリカ、アジア、オセアニアの温帯に広く分布している。
日本では、本州中部以南に分布している。
草丈は30~70㎝と環境によって変化が大きい。
茎は直立して叢生し、葉は狭披針形で薄くて柔らかい。
花期は5月~7月で、花序は大きなものでは長さ10㎝程になり、10個ほどの小穂を付ける。
小穂は、長さ15㎜前後の長卵形で、その形が小判に似ていることが和名の由来。
小穂は、10~20個の小花からなり、光沢がある黄褐色。
2012/5/8
多摩川の河原に行く途中の道端で見られます。
小穂が比較的大きく、偏平な小判型をしているので目立ちます。
2013/4/11 2013/4/18 2013/4/18
多摩川の河原に行く途中の道端で、今年もコバンソウの小穂が揺れていました。
昨年より、増えたようで、ちょっとした群落になっていました。
2013/5/31
4月には青々としていたコバンソウですが、この時期になると成熟して枯れ、全体が褐色になっています。
枯れてはいても、小穂はしっかりの残っており、光沢もあって見栄えもします。
2014/4/8 2014/4/16 2013/4/11 2014/4/22
独特な形の小穂を持つコバンソウですが、若い小穂は黄色味が強く、徐々に白っぽくなります。
また、その形も細めの紡錘形から、和名のような小判形に変わって行きます。
成熟して褐色になる頃には先端も開いて、色、形とも小判のようになります。
ヒメコバンソウ(Briza minor)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・イチゴツナギ連・コバンソウ属>
イネ科コバンソウ属の1年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
日本では、本州から四国、九州、沖縄に分布し、路傍や草原などに普通に生育する。
世界的にも温帯、暖帯に広く分布している。
草丈は20~40㎝で、全体に無毛で、細い茎は直立して、叢生する。
葉は線状披針形で、薄くて柔らかく、長さは15㎝程になる。
花期は5月~7月で、長さ10㎝程の裾の広い円錐形の花序を出し、多数の小穂を付ける。
小穂は、長さ幅とも4㎜程のコバンソウに似た小さい三角形で、それが和名の由来。
小穂は、5個前後の小花からなり、光沢のある淡黄緑色。
2012/5/15
多摩川の河原に行く途中の空き地で見かけました。
コバンソウと比較すると格段に小さく、注意してみないと気が付きません。
2013/5/22 2013/6/11
5/22 コバンソウの小穂が2cm弱あるのに対し、ヒメコバンソウの小穂は4mm程しかありません。
その形状も、コバンソウは先のすぼまった楕円形ですが、本種は正三角形に近い形状です。
6/11 青々としていたヒメコバンソウも、すっかり枯れて、雨にぬれていました。
ヒメコバンソウの小穂は小さいので、水滴が付くと形がはっきりと分かりません。
2013/6/17
晴れている日に、枯れたヒメコバンソウを改めて撮り直しました。
コバンソウ同様、枯れた小穂はしっかり残っており、開いてはいますが形は残っていました。
2015/5/20 2015/5/19 2015/5/20
今年、多摩川の土手の通路脇で、本種を見つけました。
今年初めて確認しましたが、以前から生えていたのかどうかは不明です。
草丈が低く、小穂もほとんど目立たない大きさなので、見落としていた可能性が高いですが。
スズメノテッポウ(Alopecurus aequalis)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・イチゴツナギ連・スズメノテッポウ属>
イネ科スズメノテッポウ属の1年草で、史前帰化植物。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国の水田などでよく見られる。
世界的にも北半球の温帯に広く分布している。
草丈は20~40cmで、地下茎はなく、基部で多少分枝し、横に少し這って垂直に立ち上がる。
葉は細長く、縁は多少波打ち、斜上する。
葉の基部は長い葉鞘となり、葉身との境目に膜状の葉耳が突き出る。
花期は4月~6月で、花茎の先に3~8cmの棒状の穂を付ける。
小穂は軸に密着し、密に寄り集まっている。小穂は長さ2~4mmの広卵形で、1小花。
苞頴は2個とも同形で、3脈があり、長毛が斜上する。
花が咲く前は、緑色の棒にしか見えないが、開花すると小穂から葯が出てくる。
葯は、最初は白色に近いが、花粉が出てくると黄色~黄褐色に変わる。
護頴は苞頴と同長で、背面中央の基部寄りから芒を出すが、小穂の外へはわずかに出る程度。
内頴はない。オシベは2~3個。果実は扁平で、長さ1mm強で暗灰色。
スズメノテッポウは生育場所で、水田型と畑地型に分ける説がある。
水田型は大型で自家受粉し、畑地型は小型で他花受粉する。
この説では、水田型をスズメノテッポウ、畑地型をノハラスズメノテッポウと分ける。
小穂の長さで分けられるとされるが、中間型もあり、判別は容易ではない。
2013/5/17
昨年は見落としていたスズメノテッポウですが、今年は見つけました。
最初、多摩川への道路脇で、特徴的な橙色の葯が目に止まり、1本だけ確認しました。
その後、途中の公園の隅で、スズメノテッポウが固まっている所を見つけました。
子供の頃にはそこいら中に生えていたものですが、今は探さないと見つかりません。
葉鞘の部分を使った草笛は、簡単に作れて良く鳴るので、ピーピー鳴らして遊んだものです。
ホソムギ(Lolium perenne L.)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・イチゴツナギ連・ドクムギ属>
2013/4/12 2013/4/12 2015/7/2
イネ科ドクムギ属の多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
牧草として使われ、ペレニアルライグラスの名前で利用されている。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで、各地で野生化して広く分布している。
海外では、アジア、北アメリカ、北アフリカの温帯に広く帰化している。
草丈は30~80cmで、全体に平滑で無毛。
葉の多くは根生し、長さ4~25cm、幅2~5mmで、展開前は中肋で折りたたまれる。
葉舌は膜質で、長さは1~3mm。葉鞘の上端に狭い葉耳がある。
花序は長さ12~30cmの細い穂状で、小穂は長さ10~15mmで、扁平で無梗。
小穂は長さ6~7mmの小花2~10個からなる。
頂部の小穂だけに第1苞頴はつき、側小穂にはない。
第2苞頴は長さ5~10mmの狭披針形で、小穂の半分程度の長さが多い。
護頴は長さ5~7㎜の披針形で、芒はなく、内頴は護頴とほぼ同長である。
類似のネズミムギは小穂に芒があり、第2苞頴は小穂の長さの1/3程度が多い。
2013/4/12 多摩川の土手で、下記のホソネズミムギなどと混じって多く見られます。
日本国内では、普通に見られる雑草の1つですが、多摩川の土手でもそのようです。
2015/7/2 多摩川の土手で、ずいぶん遅咲きのホソムギを見かけました。
一度、除草されているので、その後に伸び出したものかもしれません。
ちょうど、きれいな淡黄色の葯が出て、風に揺られていいました。
ネズミムギ(芒がある)によく似ているのですが、芒がないのが特徴で、この点で本種はホソムギとしています。
ただ、ネズミムギと交雑しやすいようで、両者の中間型も知られており、判定が難しいようです。
ネズミムギ(Lolium multiflorum Lam.)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・イチゴツナギ連・ドクムギ属>
イネ科ドクムギ属の1年草または2年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
牧草として使われ、イタリアンライグラスの名前で利用されている。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで、各地で野生化して広く分布している。
海外では、南北アメリカ、アフリカ、オセアニアなどの温帯から暖帯に広く帰化している。
草丈は40~80㎝で、全体に無毛。茎(稈)は直立して、単生か叢生する。
葉は長さ20cm程の線形で、葉の展開前には、葉が巻いている。
花期は6月~8月で、長さ20㎝前後の穂状の花序で、無柄の小穂が20個前後、交互に付く。
花序軸は蛇行し、小穂は長さ15㎜程で、15個前後の小花からなる。
護頴に芒があり、長さは1~8㎜で、同じ小穂に長さの異なる芒が混在する。
2013/4/12
多摩川の土手では未確認ですが、途中のJRの線路脇の空き地で見かけました。
日本国内では、普通に見られる雑草の1つです。
ホソムギ(芒がない)によく似ているのですが、芒があるのが特徴です。
また、基部にある第二包穎の長さが小穂の半分以下の点で、ネズミムギとしています。
ただ、ホソムギと交雑種には、両者の中間型も知られており、判定が難しいようです。
ホソネズミムギ/ネズミホソムギ(Lolium × hybridum Hausskn.)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・イチゴツナギ連・ドクムギ属>
2013/5/8 2013/5/8 2013/5/21
イネ科ドクムギ属の1年草または2年草で、ネズミムギとホソムギの雑種。
両種は、自然交雑もするが、人為的な交配種が本種であり、多数の品種が世界中で利用されている。
そのため、ホソネズミムギともネズミホソムギとも呼ばれている。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで広く利用され、免出したものも多い。
草丈は40~70cm。葉の展開前には、葉が巻いていることが多い。
花期は6月~8月で、長さ20㎝前後の穂状の花序で、無柄の小穂が15個前後、交互に付く。
花序軸は蛇行し、小穂は長さ15㎜程で、15個前後の小花からなる。護頴に芒がある。
5/8 多摩川の土手で、ホソムギなどと共に多く見られます。
5/21 先のネズミムギ同様、小穂の小花に芒がありますが、ネズミムギほど長くないです。
また、基部にある第二包穎の長さは、小穂の1/3強と比較的短いです。
ホソムギとネズミムギの特徴を併せ持ち、どちらの特徴が強く出るかでいろいろな形態があるようです。
ハルガヤ(Anthoxanthum odoratum)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・イチゴツナギ連・ハルガヤ属>
イネ科ハルガヤ属の多年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。
明治時代に牧草として移入され、酸性土壌を好み、路傍や草地に生える。
草丈は20~50cmで、茎は叢生して直立し、群生する。
葉は長さ5~10cmの線形で柔らかく、両面に長い毛がある。
葉舌は長さ2~2.5mmの鋭形で、無毛。
花期は4月~7月で、花序は長さ3~7cmの穂状。
小穂は長さ8~9mmの線状披針形で、光沢があり、芒があって、3小花からなる。
下2個の小花は退化して、褐色の毛が密生する護頴となる。
なお、第1小花の芒は短く、第2小花の芒は長い。
第3小花は両性で、オシベは2個、護頴と内頴は無毛の膜質で、芒はない。
オシベの葯は黄白色であるが、紫色を帯びることもある。
最初にオシベが伸び、オシベの落下後にメシベが出てくる。
メシベの花柱の先は2裂し、葯が落ちた後も白色の長い花柱が残る。
雄しべ先熟であり、雌しべの花柱の先は2裂し、残り目立つ。
花穂には甘い香りがあり、乾燥するとその香りは一層強くなる。
2013/6/17
多摩川の土手の則面で、変わった形のイネ科と思われる枯れた穂を見つけました。
今まで、見たことがない形の穂ですが、枯れた状態から同定はおこなえませんでした。
2014/4/22 2014/4/22 2014/4/22
昨年見かけた変わった穂の持ち主を探して、土手を歩き回って探しました。
そして、他のイネ科の植物に交じって、その花穂を風に揺らしている所を見つけました。
生えていたのは、この一角のみで10株に満たないので、うっかり通り過ぎる所でした。
さて、肝心の花穂ですが、ちょうどオシベが出ているところでした。
それで、調べ直してハルガヤと分かりました。
2015/4/16 2015/4/2 2016/4/6
土手に生えているハルガヤですが、年々、その数を増やしています。
今年、最初に見かけた所では大きな群落になっていました。他の場所にも群落が広がっていました。
左端は、オシベが落ちて、糸状のメシベが出てきたところです。
右端は、オシベと伸び始めたメシベが見えています。
2014/5/15
少し時間がたったので、ハルガヤの様子を見に行ってみました。
オシベはすっかり無くなり、メシベの残骸のようなものが少し残っている程度です。
すでに、花穂の先の方が少し茶色くなりかけていて、そのため、以前よりは目立ちやすくなっています。
イヌムギ(Bromus catharticus)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・スズメノチャヒキ連・スズメノチャヒキ属>
イネ科スズメノチャヒキ属の1年草で、南アメリカ原産の帰化植物。
日本では、北海道から、本州、四国、九州に分布するが、沖縄にはない。
牧草として導入され、野生化して広まった。
世界的にも北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オセアニアと広範囲に移入分布している。
草丈は40~100cmで、茎は太く、根本で分枝して数本が束生し、濃緑色で平滑。
葉は長さ15~30cmの広線形で先が尖り、ややまばらに毛がある。
葉舌は白色の薄膜質で、長さは4mmほど。葉の基部は2つ折りのような葉鞘になり、軟毛が密生する。
花期は5月~8月で、茎先に長さ15~20cmの円錐花序を出し、先はやや垂れる。
花序の各節から数個の枝を横に伸ばし、まばらに小穂を付ける。
小穂は長さ20~25mmで、両端の尖った扁平な披針形。5~10個の小花からなる。
各小花の護穎は先が尖り、長さ1~2mmの短い芒がある。
なお、国内で見られるものは、内部の花は閉鎖花がほとんどで、開かないままで結実する。
2013/4/19
多摩川への道路脇の空き地で、大きな円錐花序を出していました。
円錐花序の各節から数本の横枝を出し、数個の小穂を付けています。
小穂は扁平で、数cmの長さがあり、5~6個の小花からなっています。
小花には短い芒がありますが、見た目には芒があるようには見えません。
ノゲイヌムギ(Bromus sitchensis)
<イネ目・イネ科・イチゴツナギ亜科・スズメノチャヒキ連・スズメノチャヒキ属>
イネ科スズメノチャヒキ属の多年草で、北アメリカ原産の帰化植物。
日本では、北海道から、本州、四国、九州と全国に分布する。
草丈は0.8~1.5mで、群生して、茎は直立する。
葉は、長さ35cm前後で幅が1cm前後の線形で、無毛である。
葉鞘は無毛で、長さ5mm前後の三角形で半透明な膜質の葉舌がある。
茎先に長さ20~35cmの円錐花序を出し、長さ25~35mmの扁平な小穂を付ける。
小穂は6~12個の小花からなり、護穎は2つ折りになり、先端に5~10mmの芒がある。
開花すると、長さ5mmほどの黄色い葯が小花から垂れ下がる。
イヌムギとよく似ているが、小穂がかなり扁平で、芒の長さが5mm以上ある。
イヌムギの芒は1mm程しかなく、閉鎖花なので開花しても葯が見えない。
2013/5/31
多摩川の河川敷で、河岸近くの除草の刈り残し部分の縁で見かけました。
見かけはイヌムギに似ていますが、芒が長いのでノゲイヌムギとしました。
ただ、よく似たヤクナガイヌムギ(Bromus carinatus)の可能性もあります。
両者の違いは、芒の長さと葉の幅で、ヤクナガイヌムギの方が長く、幅が広いようです。
本種は、どちらとも取れるサイズなのですが、芒が短めなのでノゲイヌムギとしました。
チガヤ(Imperata cylindrica Linnaeus)
<イネ目・イネ科・キビ亜科・チガヤ属>
イネ科チガヤ属の多年草で、日当たりの良い空き地よく見られる。
日本では、北海道から本州、四国、九州まで広く分布している。
海外では、アジア中西部からアフリカ、オーストラリアに広く分布している。
また、北アメリカにも帰化が確認されている。
草丈は30~80cmで、根茎は堅くて白く、地中深く横走する。
また、新しい匍匐茎を伸ばして、その先に越冬芽(地中にある)を付ける。
葉は長さ20~50cmの線形で、葉縁や葉先が赤くなることが多い。
なお、葉鞘や茎の節には、普通、毛がある。
花期は5月~6月で、葉に先立って花茎を伸ばし、長さ10~20cmの花穂を付ける。
小穂は長さ5㎜前後披針形で、基部に長さ10mmほどの光沢のある白い綿毛が密生する。
葯は長さ3㎜ほど、柱頭は紫褐色で2裂し、花後にも白い綿毛の中に残ることがある。
2013/4/17
多摩川の河原に行く途中の空き地で見られます。
花穂が出るまでは、葉のみなので、なんだかよく分かりませんが、白い花穂を見れば直ぐに分かります。
花穂の白い綿毛ですが、写真の通り、白く目立つものと、綿毛が見えず紫色の葯と柱頭が目立つものがあります。
ムラサキの濃いものは、日が浅くて若い花穂、綿毛の開いたものは日の経ったものと思われます。
しかし、白い綿毛ですが、天候か湿度かに反応するようで、大きく開いたり、閉じたりします。
そのため、日によって花穂が白くフワフワとして見えたり、紫でスリムに見えたりします。
結実すると、開いたままになり、この綿毛に風を受けて種子が運ばれるようです。
2013/4/18
今日は、綿毛が少し開き気味で、綿毛の間から紫色の葯が覗いているため、見た目は淡くなります。
2013/5/24 2015/4/9 2015/4/9
2013/5/24 多摩川の土手で、所々でチガヤが穂を出していることに気が付きました。
白い穂が出ていなければ、気が付かなかったでしょう。
2015/4/9 土手に生えているチガヤですが、ちょうど、開花したばかりでした。
オシベが風に揺れている花穂があったので、拡大撮影しました。
白い綿毛のあいだから、紅紫色のオシベがあちこちから顔を出し、風に揺れています。
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