バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目
バッタ上科オンブバッタ科(オンブバッタ)
バッタ上科バッタ科(ハネナガイナゴ、コバネイナゴ、ショウリョウバッタ、ツチイナゴ、トノサマバッタ、
クルマバッタモドキ、マダラバッタ、イボバッタ)
オンブバッタ(Atractomorpha lata)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・オンブバッタ科・オンブバッタ亜科・オンブバッタ属>
オンブバッタ科オンブバッタ属のバッタで、草地や畑などで普通に見られる。
メスの上にオスが乗っている姿をよく見かけるが、それが和名の由来になっている。
日本では、北海道から本州、四国、九州と全国に分布する。
海外では、朝鮮半島から中国、台湾、東アジアに広く分布する。
体長はオスが25mm前後、メスが42mm前後で、バッタの仲間では小型の部類に入る。
体色は緑色と褐色の2タイプがある。頭部は先が尖り、先端付近に触角と複眼が付く。
体の断面は3角形に近く、複眼から前胸部、後脚腿節に伸びる線で、背面と腹面が分かれる。
成虫の翅は前後とも先が尖り、後翅は透明で基部が黄色味を帯びる。
動きは鈍く、長い翅を持つが飛ぶことはほとんどなく、後脚で跳躍したり、歩いて移動する。
2012/9/3
多摩川へ行く道端で、オンブバッタのメスを確認しました。
ショウリョウバッタを太く短くしたような形をしています。
写真の個体の体色は、緑色ですが、淡褐色系の個体もいます。
この淡褐色系に、まれにピンク色の個体が見られるそうです。
2013/10/3
多摩川へ行く途中の道端で、オオケタデの葉に止まっているオンブバッタを見かけました。
オスが上に乗って、名前通りにおんぶしている状態です。
そのため、交尾中なのかと思ったのですが、そうではありませんでした。
メスの腹部末端が下の方に大きく曲がっていて、交尾できる体勢ではありません。
これが意図的に曲げられているのか、奇形なのかは分かりません。
ハネナガイナゴ(Oxya japonica japonica)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・イナゴ亜科・イナゴ属>
バッタ科イナゴ属のバッタで、日本では、本州から四国、九州に分布する。
海外では、中国、台湾、東南アジアからインドに広く分布する。
出現時期は8月~11月で、体長はオスで17~34mm、メスで21~40㎜である。
体の側面に濃茶色の筋が入った明るい緑色のバッタで、翅は腹端や折り曲げた後ろ足より長い。
イネ科の植物の葉を摂食するので、イネの害虫でもある。
ただ、同時に水田から得られる重要なタンパク源とされ、多くの地域で食用とされた。
2012/9/3
多摩川の川縁の草原で、ハネナガイナゴを確認しました。
明るい緑色に、こげ茶色のツートーンカラーで、精悍なイメージです。
ただ、農家の方には稲の大害虫として、嫌われ者です。
なお、イナゴの佃煮には本種とコバネイナゴが使われえるそうです。
2014/9/12
多摩川の川縁でカナムグラの葉に、どこからともなくハネナガイナゴが飛んできました。
このような良く見える所で、ハネナガイナゴを見るのは久しぶりです。
コバネイナゴ(Oxya yezoensis)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・イナゴ亜科・イナゴ属>
バッタ科イナゴ属のバッタで、日本では、北海道から本州、四国、九州、南西諸島と全国に分布する。
体長はオスが16~33mm前後で、メスが18~40mmである。
体色は明るい緑色で、頭部から尾部までの側面には暗褐色の筋が走っている。
なお、背面は肌色か緑色のものが多いが、稀に紅色の個体がいる。
翅は、腹端を越えないものが多いが、長翅型のものも見られる。
出現時期は8月~11月で、卵で越冬する。
イネ科植物の葉を摂食するので、イネの害虫であるが、その他の雑草もよく食べる。
ただ、同時に水田から得られる重要なタンパク源とされ、多くの地域で食用とされた。
危険を感じると草にぴたりと体寄せて、裏側に回り込み身を隠す習性がある。
2012/9/3
ハネナガイナゴを撮影していると、このコバネイナゴが直ぐ近くに飛び込んできました。
体色が、全体的に淡い色合いです。脱皮後、まだ日が浅いのでしょうか?
この個体は、後足の片方が取れてしまっていますが、そのため翅の長さが確認しやすいです。
ハネナガイナゴと比べて、翅の長さが短いことがよくわかります。
ハネナガイナゴ同様、稲の大害虫です。
なお、イナゴの佃煮には本種とハネナガイナゴが使われえるそうです。
2012/10/31
多摩川の河川敷の近くで、葉の裏で足の手入れをしているコバネイナゴを見かけました。
腹部の長さと翅の長さの違いがよくわかります。
ショウリョウバッタ(Acrida cinerea)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・
バッタ科・ショウリョウバッタ亜科・ショウリョウバッタ属>
2012/7/2 2012/7/20
バッタ科ショウリョウバッタ属のバッタで、在来種。
ユーラシア大陸の熱帯から温帯にかけて広く分布する。
日本では、北は北海道から南は九州まで、ほぼ全国に分布する。
出現時期は8月~11月で、オスで40~50mm、メスで75~80mmと倍近い差がある。
オスは飛ぶときに「キチキチキチッ」と音を立てるので、キチキチバッタの別名で呼ばれることがある。
メスの両方の後ろ足の先を持つと、体をしゃくるように上下させるので、ハタオリバッタの別名がある。
精霊舟に似ることから「ショウリョウ」の名が付いたといわれる。
しかし、雌雄の大きさの差が甚だしいことから「霄壤」の名(ショウジョウバッタ)を別名として持つ。
7/2 草むらが動いたように感じたので、よく見るとショウリョウバッタの幼虫が葉の上にいました。
緑色で小さい(推定30mm以下)ため、よく目をこらしても草むらの中では見つけるのは難しいです。
7/20 草むらでショウリョウバッタの幼虫を見かけました。
前回見たときから2週間経過していますが、大きさも倍くらい(推定50mm)になっていました。
2012/8/17 2012/9/6
8/17 久しぶりに草むらを歩いていると、キチキチキチとショウリョウバッタのオスが飛び立ちました。
メスも居ないかと探してみましたが、会えませんでした。
9/6 草むらを歩いていると、茶褐色のショウリョウバッタのオスが飛び立ちました。
草むらでは、緑色の個体の方が多いのですが、茶褐色の個体はちょっと珍しいですね。
2013/7/22 2013/7/23
今年も、河川敷の草原には、ショウリョウバッタのオスがたくさん見られます。
草原を歩くと、次から次に、キチキチキチと飛んでいきます。
しかし、メスのショウリョウバッタには、出会えません。
2013/8/19
草原を歩いていると、バサッと大型のバッタが飛びました。
緑色型のショウリョウバッタのメスです。しかし、草に埋もれて一部しか見えません。
もうちょっと撮りやすい所に飛び出してくれればいいのに。ちょっと残念。
2013/9/9
多摩川の河川敷では、初めて見る緑色に褐色の筋が入ったタイプのオスです。
緑色や褐色型の個体より、線が入るだけでダンディに見えます。
2013/9/10
前日見かけた緑色に褐色の筋が入ったタイプですが、今日はメスに出会いました。
近づいても逃げなかったので、前から、後から、横から撮影してみました。
ツチイナゴ(Patanga japonica)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・ツチイナゴ亜科・ツチイナゴ属>
バッタ科ツチイナゴ属のバッタで、在来種。
日本では、本州から四国、九州、南西諸島に分布する。
海外では、中国からインドまで広く分布する。
独特の模様がある茶褐色のバッタで、成虫の体長はオスが50~55mm、メスが50~70mmと大型。
全身が茶褐色で、細かい毛が生えており、背中には黄白色の線が頭部から尾部まで走っている。
複眼の下に淡黄色で縁取られた黒い線、胸部の側面にも黒と淡黄色の縦しまがある。
大半の幼虫は、終齢幼虫まで鮮やかな黄緑色をしているが、稀に褐色型の幼虫もいる。
成虫になると黄緑色から一転して茶褐色にかわる。これは、枯草の多い冬季に保護色となる。
日本に分布するバッタ類は、卵で越冬する種類ばかりだが、本種は成虫で越冬し、翌年の初夏に産卵する。
そのため、他のバッタ類が成虫となる夏頃には幼虫で、成虫が現れるのは10月頃からである。
2013/8/30
多摩川の河川敷を散歩していると、突然、草むらから大型のバッタが飛び出してきました。
トノサマバッタかと思いましたが、背中にベージュの線が走り、色も異なります。
後で、調べて本種と分かりましたが、見かけた時期が中途半端です。
越冬した個体にしては遅すぎ(6月くらいまで)、今年の成虫にしては早すぎ(10月頃から)ます。
写真をよく見ても、傷んだ所は全く見当たりませんので、早熟な今年の個体と判断しました。
トノサマバッタ(Locusta migratoria)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・トノサマバッタ亜科・トノサマバッタ属>
2012/7/9 2012/9/11
バッタ科トノサマバッタ属に属するバッタで、在来種。ダイミョウバッタとも呼ばれる。
日本では、北は北海道から南は九州まで、ほぼ全国に分布する。
海外では、ユーラシア大陸のヒマラヤ山脈の北側から、ヨーロッパ全域、アフリカ北部に生息する。
体長は35~65mmで、オスよりもメスの方が大きい。
前翅には暗褐色と白色のまだら模様があり、後翅には模様はなく、この点でクルマバッタなどと異なる。
個体によって色が異なり、主に緑色型と褐色型の2タイプに分かれる。
また、高密度の環境で育った群性相と密度の低い環境で育った孤独相という2タイプがある。
よく見にすることがあるのは、孤独相に属する個体である。
群性相の個体は、飛翔能力が高く、食草の幅が広がって、大群で移動(飛蝗)するようになる。
近年では、2011年に沖縄県下地島で発生している。
海外では、中央アジアやアフリカで発生し、農作物が全滅する被害が発生している。
7/9 トノサマバッタは何度か見かけたのですが、撮影できたのは今日が初めてです。
この個体は、緑色の部分がない褐色型です。
枯れ草の中では目立ちませんが、青々とした草の中では、褐色型は比較的目立ちます。
9/11 久しぶりに河原の草むらを歩いていると、褐色型のトノサマバッタが飛び出してきました。
着地した所へそっと近づき、今度は横から撮影しました。
羽の模様がよくわかります。
2012/9/14
河原の草むらで、今度は緑色型のトノサマバッタに出会いました。
緑色型といっても、ショウジョウバッタとは異なり、羽は褐色のままです。
2013/9/4
土手の下の道を散歩中、目の前に褐色型のトノサマバッタが飛び出してきました。
近づいても逃げなかったので、前からと後から撮影してみました。
2013/9/4 2013/9/19
土手の下の道を歩いていると、トノサマバッタがよく飛び出してきます。
今年は除草されなかったので、かなり多くのバッタ類が生息しているようです。
飛び出してきて、道路に出てきた褐色型と緑色型のトノサマバッタです。
クルマバッタモドキ(Oedaleus infernalis)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・トノサマバッタ亜科・Oedaleus属>
バッタ科トノサマバッタ亜科に分類されるバッタで、在来種。
日本では、本州の東北地方南部より南の地域に見られる。
背面に一対の白い「く」の字型の模様があり、上から見ると「X」字型に見える。
出現時期は7月~11月で、体長はオスが32~45mm、メスが55~65mmである。
クルマバッタに似ているがやや小型で、顎が体色と同じ(クルマバッタは青い)であり、オスの後脛節は赤い。
また、クルマバッタに比べて、後翅のクルマ状の模様は薄い。
2013/7/31
多摩川の河川敷を歩いていると、草むらからマダラバッタ飛び出してきました。
それを撮影しようとしていると、その横に飛び出してきました。
後で調べて、背中の白い一対の「く」の字模様から本種としました。
マダラバッタ(Aiolopus thalassinus tamulus)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・トノサマバッタ亜科・Aiolopini族・Aiolopus属>
バッタ科トノサマバッタ亜科に属するバッタで、在来種。
日本では北海道から本州、四国、九州、沖縄と、ほぼ全国に分布する。
出現時期は8月~11月で、全長はオスで27~31mm、メスで34~35mmである。
緑色型と褐色型のあり、稀にピンク色の個体も見られる。
後脛節が赤、青、黒の斑模様で、これが和名の由来。翅にも特徴的な斑模様がある。
主に乾燥した草がまばらな草原に生息しているが、動作は俊敏で、敏感なため捕獲は困難。
求愛時、オスはメスの側で発音することが知られている。
2013/7/31
多摩川の河川敷を歩いていると、草むらからバッタ飛び出してきました。
きれいなピンク色をした個体で、後で調べてマダラバッタと分かりました。
河川敷で初めて確認したマダラバッタが、まれにしかいないピンクの個体とは、ラッキーでした。
イボバッタ(Trilophidia japonica)
<バッタ目・バッタ亜目・バッタ下目・バッタ上科・バッタ科・トノサマバッタ亜科・イボバッタ属>
バッタ科イボバッタ属のバッタで、在来種。
日本では、本州から四国、九州に、海外では、朝鮮半島に分布する。
出現時期は7月~11月で、体長はオスで18~24mm、メスで28~35mmである。
日本国内に生息するトノサマバッタの仲間では、最少の部類に入る。
全体が灰褐色と暗褐色のまだら模様で、胸部背面にイボ状の突起が2個あり、それ和名の由来。
日当たりの良い裸地を好み、地面に居ると体の模様が保護色となって見つけにくい。
2012/9/3
多摩川へ行く道端で、イボバッタを撮影できました。
多摩川の河原でも見かけますが、草むらに潜られるとまず見つけられません。
といっても、土の上でも写真の通り、よく見ないと見えてきません。
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